朝鮮語文法
朝鮮語文法
朝鮮語文研究会
平壌市 1949
はじめに
編集ここに公刊する「朝鮮語文法」は、朝鮮民主主義人民共和国内閣第10号決定書(1948年10月2日付け「朝鮮語文に関する決定書」を参照)により朝鮮語文研究会が自らの課業を遂行する工程において達成した初の成果である。
朝鮮語文研究会は、内閣決定書に提示された朝鮮語文法編集の課業を成果的に完遂するため、正に1948年10月に朝鮮語文研究会の専門研究委員会内部に12名の専門学者ら(李克魯、田蒙秀、許翼、明月峰、金竜成、申亀鉉、洪起文、金炳済、 朴宗軾、朴俊泳、朴相埃、金寿卿)により構成された文法編修分科委員会(委員長:田蒙秀)を組織した。
1949年9月始め、文法編修分科委員会の、その中でも特に金日成総合大学朝鮮語学講座を中心とした委員らの、努力の結果、朝鮮語文法草稿が完成し、その後1ヶ月あまりに渡る委員らの慎重な検討、そして10月3日の文法分科委員会及び専門研究委員会総会において、最終的な討議の末に朝鮮語文法が基本的に適当に編集されたことを確認し、ここに公刊するに至った。
この「朝鮮語文法」は、朝鮮人民の統一された意思を代表する人民共和国中央政府が樹立された現段階に真の民族統一の基礎となる自己の言語及び文字をより一層強固に統一発展させんとする志向において産出されたものであるのみならず、そこでは、先駆学者らの全ての肯定的遺産を継承すると同時に先駆言語理論の到達した成果を広く採取し、また言語の理論的な面及び実践的な面を統一的に叙述するよう努力した。一方、文法の内容を伝統的な方式により語音論、形態論及び文章論の三分野に区分しつつも、この三分野の相互関連性、そして文章論が形態論に対して、形態論が語音論に対して、それぞれ有する優位性を特に重要視した。
その結果、この「朝鮮語文法」は、文字、綴字法、品詞、文法的範疇、文章成分等の各問題において、従来の文法書に比して少なからず変動を有して来たが、これは朝鮮語の、形態構造及び語音組織に対する深淵な省察の結果帰結したもので、これにより今後朝鮮語の全ての現象は、一般言語学的基礎の上で、考察される可能性を得ることとなった。
ただ勿論、朝鮮語文法体系がこの「朝鮮語文法」により完成されたものでは、決してない。朝鮮語研究が先進科学の軌道上で行われる基礎が、今ここに設計されたに過ぎず、朝鮮語語学再建の高貴なる使命達成のために、今後専門学徒らのより一層強力な批判及び研究事業が展開されることを期待するところである。
「朝鮮語文法」を公刊するに当たり、我々は、祖国の言語及び文字を、日帝の野蛮な弾圧から再び救出してくれた偉大なるソビエト軍隊、及びその天才的首領 スターリン大元帥に、そして我らをして自らの母国語を自由に研究、発展せしめる全ての条件を整えて下さった朝鮮民族の偉大なる指導者、共和国内閣首相金日成将軍に最大の感謝をお送りする。
1949年10月
朝鮮語文研究会
平壌
内容
編集- はじめに
第一篇 語音論
編集- 第一章 発音器官とその調音
- 第一節 発音器官
- 第二節 母音の形成
- 第三節 子音の形成
- 第三章 語音の分類
- 第一節 母音
- 第二節 子音
- 第四章 字母と音価
- 第一節 それぞれの文字とその音価
- 第二節 それぞれの音とその表記
- 第七章 語音の結合的変化
- 第一節 同化
- 第二節 異化
第二編 形態論
編集- 第一部 語の構成とその表記
- 第一章 語の構成
- 第一節 語の文法的単位
- 第二節 語の文法的形態
- 第二章 朝鮮語接辞法の特性
- 第三章 朝鮮語綴字法の基本原則
- 第四章 頭音とその表記
- 第五章 語中音とその表記
- 第六章 末音とその表記
- 第七章 語幹と吐
- 第一節 語幹と語幹
- 第二節 語幹と吐
- 第一項 結合母音「이」と「으」
- 第二項 用言語幹と吐の結合時に現れる音韻交替
- 第三項 類似するパッチムの比較
- 第四項 いわゆる「変格用言」の処理
- 第五項 語幹及び吐の縮約
- 第三節 連音と絶音
- 第八章 パッチム
- 第九章 接頭辞と接尾辞
- 第一節 接頭辞
- 第二節 接尾辞
- 第一章 語の構成
- 第二部 品詞
- 第一章 品詞とその分類
- 第二章 名詞
- 第一節 名詞の種類
- 第一項 固有名詞と普通名詞
- 完全名詞と不完全名詞
- 第二節 名詞の造成
- 第三節 名詞の文法的範疇
- 第一項 格
- 第二項 時称
- 第三項 法
- 第四項 階称
- 第五項 時称と法と階称
- 第一節 名詞の種類
- 第三章 数詞
- 第一節 数詞の種類
- 第一項 数量数詞と順序数詩
- 第二項 単純数詞,複合数詞及び合成数詞
- 第二節 数詞の文法的範疇
- 第三節 文においての数詞の機能
- 第一節 数詞の種類
- 第四章 代名詞
- 第一節 代名詞の種類
- 第一項 人称代名詞
- 第二項 指示代名詞
- 第三項 不定疑問代名詞
- 第二節 代名詞の文法的範疇
- 第三節 文においての代名詞の機能
- 第一節 代名詞の種類
- 第五章 形容詞
- 第六章 動詞
- 第七章 副詞
- 第八章 助詞
- 第九章 感動詞
第三編 文章論
編集- 第一章 文の一般的知識
1949年12月30日発行 朝鮮語文法 (価格81円) 編 纂 朝鮮語文研究会 発 行 朝鮮語文研究会 平壌市元泉里2番地 印刷所 文化出版社 平壌市里門里85番地 ㄱ-13077 30,000部
脚注
編集- ↑ 原典では、「第二節」となっているが、当該ページにおけるタイトルとしては、「第三節」と表記されており、また、そちらの方が妥当であると考えられることから、ここでは「第三節」とした。
この団体著作物又はその原文は、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(北朝鮮の場合は2003年4月28日)の時点で公表の翌年から起算して50年を経過しており、北朝鮮においてパブリックドメインの状態にありました。
この団体著作物又はその原文は、本国若しくは著作物の最初の発行地又は日本国の著作権法において保護期間が満了しているため、日本国においてパブリックドメインの状態にあります。(北朝鮮著作権法第24条及び日本国著作権法第58条参照。)
この著作物又はその原文は、アメリカ合衆国外で最初に発行され、及びその後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず、並びに1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行され、又は1978年より後に著作権表示なしに発行され、並びにウルグアイ・ラウンド協定法の期日に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。
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