ある言語の語の音節間に強弱,高低の差があり,その関係が伝承的事実として一定されている現象をアクセントといい,強弱関係の一定しているものを強弱アクセント,高低関係の一定しているものを高低アクセントという。

朝鮮語のアクセントは,高低アクセントとみられ,音節間の高低関係が尤甚ではないが,高低の違いによって語の意味も変わる例がある。

벼슬을
칼을
밤을
맛이
기를
몸이
말을 타다
말로 되다
말을 잘하다

この三段(高,中,低)のアクセントの違いは,特に慶尚道地方で明確で、京城地方では,ふつう高と中の違いが明確でなく,高低の二段以外には,区別しない。

アクセントの現象は,それぞれの語にのみあるのではなく,文にもある。文のアクセント(別名 理論的アクセントともいい,また文の語調ともいう)は,伝えられる内容の意味と緊密に連結している。「어디 가오?」と質問する場合,この中どの語にアクセントをおくかによって-어디に又は가오に-質問の意味が変わる。어디にアクセントをおく場合(디 가오?),これはそちらの人の行こうとする方向,場所等が知りたいという希望を表明するものであり,가오にアクセントを置く場合(어디 오?),これはそちらの人の行動それ自体が知りたいという希望を表明するものである。

また,このような語句を語調をいくつかに分けて発音することがあり,同一の文

「이것 보아요.」

も,発音時の語調によって「自分がこれを見る。」という叙述文

「이것 보아요.」

になることもあり,「これを見なければならないのか?」の疑問文

「이것 보아요?」

になることもあり,また「これを見よ!」という命令文

「이것 보아요!」

になることもある。従って,文のメロディーの構造が文の語法的構造によって変化することがある。

言語行為の速度は,その行われる場面によって,話者の心的状態によって,それ自体様々に変化しうる。これが,まさに語音の絶対的持続というものであるが,語音には,また相対的持続が区別され,これによって母音と子音には,長短の差が生じることとなる。長短は,主に母音に現れ,その例を挙げれば次のようである。

불(濱) 불(火)
발(簾) 발(足)
말(言) 말(馬)
벌(蜂) 벌(罰)
밤(栗) 밤(夜)
파리(蠅) 파리(巴里)
군무(群舞) 군무(軍務)
경성(鏡城) 경성(京城)
금강(錦江) 금강(金剛)
산수(算數) 산수(山水)

音の高低と長短との関係を見ると,大体高い音が短く,低い音が長い。

불(濱) 長, 低
불(火) 短, 高

また,ㅎ,ㆆパッチムの用言においては,吐とその意味によってその長短が変わる。

넣니 [너ー니] 넣늬? [넣늬?]
넣랴 [너ー랴] 넣나? [넣나?]
넣면 [너ー면]
넣나 나 [너ー나]
지ᇹ니 [지ー니] 지ᇹ늬? [지ᇹ늬?]
지ᇹ랴 [지ー랴] 지ᇹ나? [지ᇹ나?]
지ᇹ면 [지ー면]
지ᇹ나 나 [지ー나]