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条文構成

○第三十号(三月十八日)

学制二編刻成候ニ付相達候也

追加

海外留学生規則

第百十章 海外留学規則ハ第五十八章ヨリ第八十八章マテ示スカ如クナレトモ[1]或ハ改メ或ハ補ヒ或ハ精フシ或ハ加フヘキモノアルヲ以テ明治六年三月五日左ノ四十三条ヲ議定ス

第百十一章 文部省ニテ官撰留学生ヲ命スルヿハ毎年一月七月両度タルヘシ

第百十二章 第五十九章留学免状ノ書式ヲ示スヿ左ノ如シ

官撰留学生免状書式

第幾
華族
士族

平民
苗字

長男
二男
片仮名ヲ附ク
苗字
当何月何歳何月
但イタリヤ文字ヲ仮
リテ苗字名ヲ書ス



学為修業某国留学申付候
但留学年数満五年トス某国到着ノ月ヨリ年限中

等留学生学
資貸渡候事
年号 月 日 文部

但料紙鳥ノ子紙二ツ切

私願留学生免状書式

第幾
華族
士族

平民
苗字

長男
二男
片仮名ヲ附ク
苗字
当何月何歳何月
但イタリヤ文字ヲ仮
リテ苗字名ヲ書ス
某学為修業満五年某国留学免許候
年号 月 日 文部

但料紙鳥ノ子紙四ツ切

第百十三章 公私共留学中恣ニ苗字名ヲ変スヘカラス且其書体ハ必ス免状ニ記載ノ字様ヲ用ユヘシ書体ヲ略スヘカラス若シ止ムヲ得ス苗字名ヲ改メ或ハ字様ヲ変スル時ハ必ス領事官ノ許可ヲ受クヘシ領事官ハ其許可ヲ出スノ後十日ノ間ニ文部省ヘ報知ノ書ヲ発スヘシ但領事官ヲ欠クモノハ公使之ニ任ス以下皆之ニ傚フ

第百十四章 官撰留学生[2]ハ留学ヲ命スルノ日第八十五章ニ示ス所ノ貸費償還云々ノ証書ヲ出サシム其書式左ノ如シ


華族
士族

平民
苗字

長男
二男
苗字
某学為修業某国留学被 仰付五ケ年間初等留学生之学資御給貸被下置
候段難有奉存候然ル上ハ勉励修業可仕ハ勿論御規則確ク相守満期帰 
朝ノ後ハ右学資償還仕候共又ハ官役相受候共進退一切公命ニ従ヒ聊無
二念相勤可申候依テ証書差出候也

年号 月 日

苗字

苗字
文部省御

但料紙美濃紙一枚ヲ用ユ

第百十五章 私願留学生ハ留学許可ノ日学資其他一切ノ費用滞リナク支給スヘキノ証人連署ノ証書ヲ出サシム其書式左ノ如シ

旅費何百円
一ケ年学資何百円
一ケ年予備金何百円

華族
士族

平民
苗字

長男
二男
苗字
某学為修業某国留学願之通御許可相成候ニ付航海旅費並ニ当年分学資
ハ前書之通当人持参可仕候当年分予備金及ヒ明年ヨリノ学資予備金又
ハ帰朝旅費等ニ至ル迄御省ヨリ御達之都度無遅滞証人引受上納可仕候
依而証書差出候也

年号 月 日


苗字


苗字
文部省御
右之通相異無之候



但時ニヨリ東京出張ノ官員ニテ奥書
スルモ妨ナシトス

但料紙美濃紙一枚ヲ用ユ

第百十六章 官撰留学生ハ第八十三章ニ掲ケタル疾病事故ノ為メ又学科ニ因テ書器費用ノ為メ一名毎ニ予備金三百円ヲ送ルヘシ私費ノ者モ之ニ同シ故ニ私費ノ者ハ留学許可ノ后之ヲ本省ニ納ムヘシ但予備金三百円ハ一ケ年ノ分トス故ニ年計余リアレハ其翌年ハ前ヲ算シテ三百円ニ満ツルノ金高ヲ送ルヘシ

第百十七章 第八十四章公費生徒ノ学資並ニ前章ノ公私予備金ハコレヲ当人ニ渡サス以後其在留国ノ領事館ニ達シ同館ニ於テ規則ニ因テ渡スモノトス

但其領事ニ達スヘキ証書等ト共ニ之ヲ封シ当人ニ託スヘシ

第百十八章 第七十七章第七十八章第八十一章ニ記載スル洋銀九百ドルラル千ドルラル千五百ドルラル千八百ドルラル六七百ドルラルハ今改テ金貨九百円千円千五百円千八百円六七百円ト定ム

第百十九章 往返途中ノ旅費米国ハ金貨四百五十円欧洲各国ハ六百二十五円ヲ渡スヘシ

第百二十章 留学生ノ為メ外国ヘ輸送ノ金貨ハ一切金円ヲ以テ其数ヲ定ムト雖トモ[1]其金高ヲ其各国ノ為換会社ニ於テ各国ノ貨幣ニ換ヘ手形ヲ以テ送ルヘシ而シテ其時ノ相場ヲ詳記シテ其各国領事館ニ達スルヲ法トス

第百二十一章 官撰留学生ハ第百十四章ノ証書ヲ出スノ後三日ノ間ニ第七十七章ニ出ス所ノ支度料ヲ渡シ次ニ本国発航ノ日限前五日ヨリ十日ノ間ニ旅費ヲ賜ヒ其時在留国領事館ニ出スヘキ証書ヲ渡スヘシ其書式左ニ示ス

第幾
第幾
某国貸費留学生証
何学
初等留学生
学資一ケ年千円
留学年数満五年

属族苗字
苗字
当何月何歳何月
但苗字名ノ記法
留学達書ニ同シ
年号月日某学校ニ於テ中学卒業免状ヲ得年号月日留学申付年号月日某
港ヨリ某国某船ヘ乗込ミ某国ヘ差遣候ニ付費用如左相渡ス
一支度料トシテ金貨何百円
一旅費船賃トシテ金貨何百何拾円
右之通当省ニ於テ本人ヘ相渡候条其地到着之上学資給貸相成留学中並
帰国ノ節等都テ規則之通処分可有之候事
年号 月 日 文部卿
某国某所在留
領事官某殿

但料紙鳥ノ子紙二ツ折表面ニ記スヘシ裏面ハ領事館或ハ公使ニテ当人帰国ノ節記入ノ料トス

第百二十二章 私費留学生ハ本国発航ノ日限前十日ヨリ十五日マテノ間ニ予備金三百円ヲ本省ニ納ムヘシ右日限前五日ヨリ十日マテノ間其在留国領事官ヘ出スヘキ証書ヲ渡ス其書式左ニ示ス

第幾
第幾
某国私費留学生証

某国
学資一ケ年何百円
留学年数何年

属族苗字
苗字
当何月何歳何月
但苗字名ノ記法
留学免状ニ同シ
年号月日某学校ニ於テ中学卒業免状ヲ得年号月日留学差許年号月日某
港ヨリ某国某船ヘ乗込ミ某国ヘ罷越候条留学中並帰国ノ節等都テ規則
之通処分可有之候也
年号 月 日 文部卿
某国某所在留
領事官某殿

但料紙鳥ノ子紙云々前章ニ同シ

第百二十三章 公私留学ノ証書ハ毎一名二枚ヲ作リ其号ヲ同フシ其番ヲ異ニシ一番二番トス共ニ之ヲ領事官ニ達スヘシ生徒帰国ノ時其留学中ノ始末及費用支給之金高等ヲ此証書ノ裏面ニ詳記シ其第一番ノモノヲ以テ当人ニ託シ帰 朝ノ証トシテ文部省ニ達スルヲ法トス其裏面ノ書式左ニ示ス

年号月日某国某所著何月何日領事館ヘ届或ハ出頭
年号月日某所某学校ニ入某教師ニ随フ
年号月日某学卒業或ハ進級或ハ卒業免状ヲ得
年号月日何々之故ヲ以何学校ヘ転ス或ハ退学
年号月日何々之故ヲ以帰国ヲ命ス
年号月日某所発途或ハ発航
洋銀何程 年号月日学資ノ内相渡
但洋銀相場何程ノ分以下此ニ傚ヘ
同 何程 年号月日何学修業ノ為メ何ノ書器ヲ求ムル費用
同 何程 年号月日何ノ事故ニ因テ貸渡ス
同 何程 年号月日帰国旅費トシテ相渡ス
合洋銀何千何百ドルラル
右之通相違無之候事

年号 月 日
某国某所在留
領事官
文部卿某殿

第百二十四章 官撰留学生学資並公私予備金輸送ノ証書式ヲ左ニ示ス

一ケ年学資千円 私費ノモノハ
此条ヲ欠ク
予備金三百円
合金千三百円
某国貨幣ニ直シテ何千何百ポント或ハドルラル
此相場何拾何銭替
右ハ苗字名別紙証書之通留学 申付
差許
候ニ付前書之金貨相迴候也
年号 月 日 文部卿
某国某所在留
領事官某殿

但料紙薄葉系紙オリエンタルバンク為替手形添ル

第百二十五章 公私留学生其国ヘ到着セハ直チニ領事館ニ出テ文部省ノ証書ヲ達シ館中名簿ニ苗字名ヲ自記シ且在留国大禁ノ概略ヲ聞クヘシ

第百二十六章 官撰留学生其国ニ到着セハ領事官其学科ニ付キ尤良善ナル教師ト学校トヲ撰ヒ之ニ入ラシムヘシ私願留学生ト雖モ官ニ依頼スルモノハ之ニ同シ

但官撰生自ラ之ヲ撰ヒ領事官ニ議シテ之ヲ定ムルモ妨ナシ私願生ノ自ラ撰フ者ト雖モ必之ヲ領事官ニ議スルヲ法トス

第百二十七章 官撰留学生ハ在留国著后一週日ヨリ定則ノ学資ヲ領事館ヨリ受取ルヘシ

但其期日十五日以前ニ係レハ全月分ヲ渡シ十六日以後ニ係レハ半月分ヲ渡スヘシ返納スルモノモ之ニ傚ヘ

第百二十八章 公私留学生入学セル后十日ノ間ニ領事官ヨリ文部省ヘ報知ノ書ヲ発スヘシ其書式左ノ如シ


留学
本管属族
苗字
年号月日某国某所着何月何日領事館ヘ届或ハ出頭
年号月日ヨリ学資給貸
年号月日某所学校ニ入某免状アル教師ニ順ヒ某学科研業
右報知致シ候

年号 月 日
某国某所在留
領事官
文部卿某殿

第百二十九章 公私留学生学資輸送ノ期日ハ第八十四章ニ定ムル如クナレトモ[1]向後オリエンタルバンクニ議シ毎年六月十二月両度ニテ各国ニアルバンク、ヨリ其領事官ニ渡シ文部省ニテハ同時ニ我横浜ニアル、オリエンタルバンク、エ払フノ約ヲナスヘシ

第百三十章 公私留学生帰途ノ旅費ハ期限前三ケ月之ヲ送ルヘシ若事故アツテ半途帰国ノ者ハ領事官予備金或ハ学資金ヲ以テ一時之ヲ融通シ其旨趣文部省ニ達スヘシ

第百三十一章 公私留学生学資輸送ノ証書式ヲ左ニ示ス

某国貸費留学生学資輸送之

一金貨五百円

苗字
此英貨何ポンド何シルリング
年号
半年分学資
以下之ニ準ス
但何拾何銭替百円ニ付何拾何ドルラル以下之ニ準ス

一金貨五百円

苗字
此英貨何ポンド何シルリング

一金貨三百円

苗字
此英貨何ポンド何シルリング 年号何月ヨリ
何月迄何月分
但前ニ同シ
合金何千何百円
此英貨何千何百磅
某国為替会社出張横浜
何バンク手形別紙一枚
此相場何ポンドニ付何ドルラル

右之通差送候間渡方可被取計候也

年号 月 日 文部
某国某所在留
領事官某殿

但料紙薄葉紙

第百三十二章 第六十章生徒総代ハ公使領事ノ指令ニ従ヒ生徒ノ事務ヲ担任スルヿ惰ル可ラス公使或ハ領事館中生徒ノ事務ヲ専任スル官員アルヘキヲ以テ時々其指令ヲ承順スル等ノ類

第百三十三章 第六十九章生徒学科進級ノ時ハ生徒ヨリ本省ヘ届クヘシト雖モ領事官モ亦其時々之ヲ文部省ニ報知スヘシ

第百三十四章 第七十七章都下ニアラサル留学生学資ハ九百円ニ定ムト雖トモ[1]其費用都下ニ下ラサルモノハ領事官其事情ヲ審カニシテ千円ヲ給スルヿアル可シ而シテ其趣旨ヲ文部省ニ報知スヘシ

第百三十五章 第八十二章居所転換ヲ許スモノ其許可ノ日ヨリ后十日ノ間ニ領事館ヨリ文部省ニ報知スヘシ

第百三十六章 第八十七章生徒ノ勤惰進退ノ明細表アリト雖モ領事官ニ於テ毎年三月各生ノ教師ヨリ其行状及ヒ勤怠等ノ報知書ヲ取リ之ヲ文部省ニ送ルヘシ

但其教師ノ報知曖昧ニシテ不十分ノ節ハ領事官直ニ之ヲ進退スヘシ

第百三[3]十七章 初等留学生其学科ニ因テ格別ニ費用アルモノハ領事官其事情ヲ熟察シテ一ケ年二百五十円マテハ予備金ヨリ払フヘシ而シテ其時々其所由ヲ詳記シテ文部省ニ報知スヘシ

第百三十八章 官撰留学生学資金領事館ヨリ諸生徒ヘ配達スルハ毎年第二月一日第五月一日第八月一日第十一月一日ノ四度ト定ムヘシ[4]

但時宜ニヨリ毎二ケ月或ハ毎一ケ月ニ渡スヿアルヘシ

第百三十九章 本省ヨリ輸送スル学資領事館ニ達セハ其所ノ最正ナル会社ヘ預ケ其利子ヲ領事館ノ留学生ニ係ル費用ニ充ツヘシ而シテ其利子ノ金高ト遣払ノ目録ト毎半年文部省ニ報知スヘシ[5]

第百四十章 私費生徒ノ其学資金ヲ領事館ニ預ル者モ前章[6]ニ同シ而シテ其遣払ハ其生徒ニモ示スヘシ

但本省ヨリ到着直ニ其生徒ニ配達スルモノハ其金高ノ四十分一[7]則百円ニ付二十五銭ヲ以テ領事館ノ手数料トスヘシ

第百四十一章 生徒領事館ヨリ学資ヲ受取リ其他品物ヲ送リ届ル時ハ必ス速ニ請取リノ証書ヲ納ムヘシ而シテ一切ノ証書其苗字名ハ必ス自記タルヘシ

第百四十二章 十九歳以下ノ留学生アレハ領事官ヨリ他生徒ノ中ヨリ其後見人ヲ命シ学費ハ後見人ヘ渡スヘシ

第百四十三章 官撰留学生ハ官命ノ外年限中半途帰 朝ヲ許サス故ニ私願ヲ以テ半途帰 朝ヲ乞フモノハ旅費ヲ渡サス

但病気ニテ帰 朝ノ者ハ此例ニアラスト雖モ其再航ヲ止ム

第百四十四章 官撰留学生事故アツテ半途帰 朝スル者或ハ死亡スルモノ其学資ニ残余アレハ之ヲ領事館ニ納ムヘシ領事館ハ之ヲ予備金中ニ加ヘ其数ヲ文部省ニ報知スヘシ

第百四十五章 官撰留学生留学中病気等ニ因テ領事館ヨリ官金ヲ借ルモノハ毎年学資ノ十分一ヲ以テ返納スヘシ入費多クシテ留学中皆済セサル者ハ帰 朝ノ后返納スヘシ若シ病死スルモノハ其入費及死後埋葬ノ費用ハ官ノ扶助タルヘシ

但私費生病気等ニ因テ一時官金ヲ借ルモノハ領事館ノ報知ヲ以テ文部省其証人ヨリ取立速カニ迴送スヘシ

第百四十六章 領事館ニ於テハ毎年一月七月両度前半年分ノ学資予備金一切ノ遣払ヲ詳記シテ文部省ニ達スヘシ本省記載ト勘合シ之ヲ公告スヘシ

第百四十七章 官撰留学生ノ病気ニテ帰 朝スルモノハ領事官医師ノ症考ヲ審カニシテ文部省ニ達スヘシ

第百四十八章 公私留学生帰 朝ノ節ハ直ニ文部省ニ出頭シテ領事官渡ス所ノ証書並留学ノ達書免状外務省航海免状ヲ返納シ別ニ留学中ノ始末開申書ヲ出スヘシ其書式左ノ如シ

某国何等留学生
本管属族
苗字
年号月日本国何港発航
年号月日某国某所到着某地ヲ経テ某月日某府ヘ着某月日領事館ヘ出頭
年号月日某所某学校ニ入何免状アル某教師ニ随ヒ年号月日ヨリ某月日
迄何学研業某月日何学卒業免状ヲ得
年号月日何ノ故ヲ以転学或ハ病気ニ付某月日迄退学
年号月日満期或ハ何ノ事故ヲ以テ帰 朝之許可ヲ受何月日某所発途或
ハ発航某月日本国何港ヘ到着
何貨
何程 年号月日学資之内受取
右同断
何学修業何器械代受取
帰国旅費トシテ受取
合何貨 何程
右之通相違無之候也
年号 月 日 苗字

但料紙美濃紙

第百四十九章 官撰留学生ハ学業ノ試験ヲ受ルカ為メ別ニ学術ニ係ル明細書ヲ出スヘシ其業ヲ受ル所ノ教師ヨリ与ヘラレタル学科卒業免状并ニ褒詞状等アルモノハ素ヨリ之ヲ出スヘシ其書式左ニ示ス

但私費之者ト雖モ試験ヲ乞フ者ハ此例ニ準ス

某国留学
本管属
苗字
何国何所何学校ニ入教師誰ニ就何学科何書ヲ用テ何ケ年間留学等ノ事
ヲ詳記ス
年号 月 日

但料紙美濃紙

第百五十章 帰 朝ノ留学生ハ直ニ試験スヘシ

第百五十一章 試験ハ生徒学フ所ノ科目ニ因テ種々ノ問題ヲ設ケ之ニ応答セシメ其学力ヲ判シ等級ヲ証ス

但其優劣ニ随ヒ一日乃至二日三日間ノ試業ヲ為スヘシ

第百五十二章 試業ヲ受クルノ生徒ハ筆紙ヲ攜フルノ外辞書或ハ記臆書等ヲ以テ試業室ニ入ルヲ許サス

第百五十三章 明治五年壬申八月学制ヲ定ムルノ日明治三年庚午十二月定ムル所ノ海外留学規則ヲ改正シテ右学制中ニ掲出セルヲ以テ従前ノ留学規則ハ廃セルモノナルヲ知ル可シ

但従前ノ留学生ハ撰法試業ニヨラス給費貧富ニヨラス規則亦其当ヲ得ス且各地方ヨリ派出スルモノハ尤規律法則ナシ故ニ今日ニ当テ一般必行ノ規則ヲ設ケ改正セサルヘカラス故ニ此改正ハ将来ノ目的而已ナラス亦従前ニ及フモノトス

神官僧侶学校ノ事

第百五十四章 神官僧侶大中小学科免状ヲ得其神社寺院ニ於テ学校ヲ開キ一般ノ生徒ヲ教育スルヿアルトキハ都テ学制ニ準シ教則ニ随ヒ学科ノ順序ヲ蹈シムルハ言ヲ不待而シテ其教旨ハ便宜ヲ以テ講説ストイヘトモ[1]之カ為メ学科時間ヲ減スルヿ一周四日間二時ノ外アルヘカラス宗教ノ為ニノミ設ル学校ハ此限リニアラス[8][9]

但教旨ヲ講設スル為メ学科時間ノ外便宜ニヨリ更ニ幾時ヲ増スハ妨ケナシトス

第百五十五章 神官僧侶神社寺院ニ於テ変則学校ヲ開クモ前条ノ例ニ準スヘシ[9]

第百五十六章 神社寺院ヲ以テ学校ニ用ヒ或ハ他ノ人仮リテ之ヲ私学ニ用ヒ神官僧侶ノ承諾ヲ得ルハ勿論タリ而シテ其教師ハ神官僧侶又ハ他ノ人タリトモ教旨ヲ講説スルハ前条ノ例ニ準スヘシ[9]

第百五十七章 他ノ学校ニ於テモ神官僧侶ヲ請求シ教旨ヲ聴聞スルヿアルヘシ亦前条ノ例ニ準ス[8][9]

第百五十八章 神社寺院ニ於テ開ク学校ハ私宅ニアラサルヲ以テ総テ学校ト称スルヲ得ヘシ第二十八章第三十章ノ但書ヲ見合スヘシ[8][9]

学科卒業証書ノ事

第百五十九章 第四十八章第四十九章大中小学等ノ学科卒業試験状左ノ如シ

但公学私学共同シ

小学等級卒業ノ証書式雛形 大奉書紙四ツ切四
折ヲ用ユ以下同シ



貫属
族卒僧侶平民
苗字
当年何月何歳何月

等小学第幾級卒業候事
第幾大学区何
管内
第幾中学区何郡何所
第幾番小
年号 月 日

学印ノ一ヲ示ス

第幾大学区
第幾中学区
第幾番小学

但シ村落小学等
ナレハ何々小学
ト書ス可シ
小学教科卒業ノ証書式雛形



貫属
族卒僧侶平民
苗字
当年何月何歳何月
小学教科卒業候事
第幾大学区何

管内
第幾中学区何郡何所
第幾番小
年号 月 日
中学等級卒業ノ証書式雛形



貫属
族卒僧侶平民
苗字
当年何月何歳何月

等中学第幾級卒業候事
第幾大学区何
管内何郡何所
第幾番中
年号 月 日
中学教科卒業ノ証書式雛形



貫属
族卒僧侶平民
苗字
当年何月何歳何月
中学教科卒業候事
第幾大学区何

管内何郡何所
第幾番中
年号 月 日
大学一科卒業ノ証書式雛形 鳥ノ子紙四ツ切四折
ヲ用ユ以下同シ



貫属
族卒僧侶平民
苗字
当年何月何歳何月

卒業候事



学教師位氏
同学学長位氏
年号 月 日



○何
トハ化学眼科等ノ類ナリ
○但教官ナレハ教師ノ二字ヲ削リ官名ヲ以テ之ニ
填ス教師外国人ナレハ其国名ヲ書シ其下ニ教師ノ
名ヲ自記スヘシ又教員二三名ニテ其生徒ヲ教授ス
ル時ハ連名スルヿ有ルヘシ以下之ニ傚フ
大学全科卒業ノ証書式雛形



貫属
族卒僧侶平民
苗字
当年何月何歳何月



科成業候事




学教師位氏
同学学長位氏

文部卿位氏
年号 月 日
師範学校卒業ノ証書式雛形 大奉書紙四ツ切
四ツ折ヲ用ユ



貫属
族卒僧侶平民
苗字
当年何月何歳何月

学師範学科卒業候事

第幾大学区何
管内何郡何所
師範学
年号 月 日


  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 「トモ」は合字。
  2. 底本には「留学生」ではなく「学留生」と印字されているが、公文録および『文部省布達全書』と照合した上で、明らかな誤植と見なして訂正を加えた。
  3. 正誤の箇所
  4. 明治6年文部省布達第72号による改正の箇所。
  5. 明治6年文部省布達第46号による改正の箇所。
  6. 底本には「章」ではなく「草」と印字されているが、公文録および『文部省布達全書』と照合した上で、明らかな誤植と見なして訂正を加えた。
  7. 明治6年文部省布達第31号による改正の箇所。
  8. 8.0 8.1 8.2 明治6年文部省布達第71号による改正の箇所。
  9. 9.0 9.1 9.2 9.3 9.4 明治6年文部省布達第122号による改正の箇所。

関連項目

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外部リンク

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この作品は1929年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。