学制二編追加頒布

• 法令番号: 明治6年文部省布達第57号
• 制定: 1873年（明治6年）4月28日
• 被改正法令: 学制二編 (明治6年文部省布達第30号)
• 底本: 『法令全書』明治６年,内閣官報局,明20-45. 国立国会図書館デジタルコレクション:info:ndljp/pid/787953/1/838

新字体

条文構成

• ［外国語学校・専門学校］（第189章〜第207章）
  • 外国語学校（第198章）
  • 獣医学校（第199章）
  • 商業学校（第200章）
  • 農業学校（第201章）
  • 工業学校（第202章）
  • 鉱山学校（第203章）
  • 諸芸学校（第204章）
  • 理学校（第205章）
  • 医学校（第206章）
  • 法学校（第207章）
• ［専門学校卒業者への学士称号授与］（第208章）
• ［専門学校生徒への学費給貸］（第209章）
• ［学資等献納・寄附者の届出方］（第210章）

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○第五十七号（四月二十八日）

学制二編追加布達ス

第百八十九章 外国教師ヲ雇ヒ専門諸学校ヲ開クモノハ専ハラ彼ノ長技ヲ取ルニアリ其取ルヘキ学芸技術ハ法律学医学星学数学物理学化学工学等ナリ其他神教脩身等ノ学科ハ今之ヲ取ラス

第百九十章 外国教師ニテ教授スル高尚ナル学校法学校理学校諸芸学校等ノ類之ヲ汎称シテ専門学校ト云フ

但此学校ハ師範学校同様ノモノニシテ其学術ヲ得シモノハ後来我邦語ヲ以テ我邦人ニ教授スル目的ノモノトス

第百九十一章 専門学校ニ入ル生徒ハ小学教科卒業シ外国語学校下等ノ教科ヲ踏ミタルモノニシテ年齢十六歳以上タルヘシ

第百九十二章 専門学校ニ入ルノ生徒ハ其学校教科ノ外余力ヲ以テ中学教科ヲ国書ニテ研究スヘシ

第百九十三章 専門学校ヲ分ツ左ノ如シ法学校医学校理学校諸芸学校砿山学校工業学校農業学校商業学校獣医学校等コレナリ

第百九十四章 専門学校ニ入ルモノハ彼ノ言語相通セサレハ其学術ヲ得ル能ハス故ニ外国語学ヲ学ハサルヲ得スコレ外国語学校ヲ設クル所以ナリ

第百九十五章 外国語学校ハ外国語学ニ達スルヲ目的トスルモノニシテ専門学校ニ入ルモノ或ハ通弁等ヲ学ハント欲スルモノ此校ニ入リ研業スヘシ

但此校ニ入ルモノハ小学教科ヲ卒業シタルモノニシテ年齢十四歳以上タルヘシ

第百九十六章 通弁ノミヲ学フモノハ此語学校ニ在テ上下二等ノ教科ヲ卒業スルヿトス

但二三ケ国ノ語学ヲ脩業スルヿアルヘシ譬ヘハ最初英語ヲ学フモノハ先ツ其語学ヲ終リ次ニ仏語ニ転シ下等ヨリ学フ事トス

第百九十七章 各科ノ専門学校ニ入ルモノト雖モ年齢若キモノハ二三ケ国ノ語学ヲ学フ妨ケナシトス

但修業ノ順序等前章ニ同シ

○外国語学校

第百九十八章 外国語学校教科修業年限四年間トス其等級左ノ如シ外国語学校教則別冊アリ

下等第四級一級六ケ月ノ課程トス以下之ニ同シ

一

綴字

二

習字

三

読方

四

諳誦

五

算術

六

体操

下等第三級

一

習字

二

読方

三

諳誦

四

算術

五

会話

六

書取

七

文法

八

体操

下等第二級

一

習字

二

読方

三

諳誦

四

算術

五

会話

六

書取

七

文法

八

作文

九

体操

下等第一級

一

読方

二

暗誦

三

算術

四

会話

五

書取

六

文法

七

作文

八

地理

九

歴史

十

体操

上等第四級

一

読方

二

諳誦

三

算術

四

会話

五

書取

六

文法

七

作文

八

地理学

九

歴史

十

体操

上等第三級

一

読方

二

諳誦

三

算術

四

会話

五

書取

六

文法

七

作文

八

歴史

九

体操

上等第二級

一

読方

二

諳誦

三

算術

四

会話

五

書取

六

文法

七

作文

八

善論

九

体操

上等第一級

一

読方

二

諳誦

三

算術

四

会話

五

書取

六

文法

七

作文

八

善論

九

画学

十

体操

○獣医学校

第百九十九章 獣医学校教科ヲ分テ予科本科トシ予科修業三年間本科修業二年間トス獣医学校教則別冊アリ

	獣医学予科
一	語学	二	算術	三	代数学大意	四	幾何学大意
五	博物学
	但博物学トハ動物学植物学金石学地質学等ノ汎称ナリ

六	医科物理学	七	医科化学	八	植物学薬草ノ部	九	反訳	洋文ヲ和文ニ訳 ス以下之ニ同シ
十	体操
	但予科年限中修業時間ノ外地理歴史経済脩身国体等国書ニ就テ学フヘシ

	獣医学本科
一	動物学	二	生理学	三	解剖学	四	内科	五	外科	六	獣医術
七	実地経験
	但反訳体操等ヲ附ス

○商業学校

第二百章 商業学校教科ヲ分テ予科本科トシ予科修業三年間本科修業二年間トス商業学校教則別冊アリ

	商業学予科
一	語学	二	算術	三	通商地理	四	博物学大意	五	物理学大意
六	数学商業必用ノ部
	但数学トハ算術代数学幾何学三角法微分積分等ノ総名ナリ

七	記簿法	八	通商信書	九	反訳	十	体操
	但予科年限中修業時間ノ外歴史経済修身国体等国書ニ就テ学フヘシ

	商業学本科
一	記簿法	二	算計法	三	商用物品弁識	其原由 其使用 其性質 其種類 其価値 其真偽 其試法
四	商業学	五	商法
	但反訳体操等ヲ附ス

○農業学校

第二百一章 農業学校教科ヲ分テ予科本科トシ予科修業三年間本科修業二年間トス農業学校教則別冊アリ

	農業学予科
一	語学	二	算術	三	代数学	四	幾何学	五	地理学	六	画学図画

七	物理学窮理学ト云フモノ	八	博物学	九	反訳	十	体操
	但予科年限中修業時間ノ外歴史脩身国体等国書ニ就テ学フヘシ

	農業学本科
一	農用化学	二	植物学	三	獣医学農家必用ノ部	四	耕芸園庭及樹木	五	農学

六	農家経済学	七	実地農業
	但反訳体操等ヲ附ス

○工業学校

第二百二章 工業学校教科ヲ分テ予科本科トシ予科修業三年間本科修業三年間トス工業学校教則別冊アリ

	工業学予科
一	語学	二	算術	三	代数学	四	幾何学	五	三角法	六	博物学大意

七	物理学	八	画学	九	工業初歩諸器具ノ使用等	十	反訳	十一	体操
	但予科年限中修業時間ノ外地理歴史経済脩身国体等国書ニ就テ学フヘシ

	工業学本科
一	数学	二	画法幾何	三	画学	図画 罫画	四	百工化学	五	工学実用	機械製作 物品製造
六	実地工業
	但反訳体操等ヲ附シ其他工作場製煉場等ヲ設ク

○鉱山学校

第二百三章 鉱山学校教科ヲ分テ予科本科トシ予科修業三年間本科修業三年間トス鉱山学校教則別冊アリ

	鉱山学予科
一	語学	二	算術	三	代数学	四	幾何学	五	地理学	六	博物学

七	画学	八	物理学	九	化学	十	反訳	十一	体操
	但予科年限中修業時間ノ外歴史経済脩身国体等国書ニ就テ学フヘシ

	鉱山学本科
一	幾何学	二	画法幾何	三	画学図画	四	測量学	五	物理学	機械及砿山機具 ノ部ヲ主トス

六

化学砿類分析ノ部ヲ主トス

七

器械学

八

金石学

九

地質学

十

金属学

十一	築造学	十二	掘鉱学	十三	鉱山律	十四	実地経験
	但反訳体操等ヲ附ス

○諸芸学校

第二百四章 諸芸学校教科ヲ分テ予科本科トシ予科修業三年間本科修業四年間トス諸芸学校教則別冊アリ

	諸芸学予科
一	語学	二	算術	三	代数学	四	幾何学	五	三角法	六	地理学

七

記簿法

八

画学

図画 罫画

九

博物学

十

物理学

十一

化学

十二

反訳

十三	体操
	但予科年限中修業時間ノ外地理歴史経済脩身国体等国書ニ就テ学フヘシ

	諸芸学本科
一	代数学高等	二	幾何学高等	三	三角法	四	微分積分	五	画学	図画 罫画

六

画法幾何学

七

築造学

八

測量学

九

物理学

十

化学

十一

金石学

十二

地質学

十三

金属学

十四

百工化学

十五

重学

十六

動重学

十七

器械学

十八

星学

十九

製造学

二十

機械製作

廿一	蒸気機械学	廿二	掘鉱学	廿三	工学道路橋梁鉄道等	廿四	工作律
廿五	実地経験
	但反訳体操等ヲ附シ其他実地修業ノ為メ工作場製錬場等ヲ設ク

○理学校

第二百五章 理学校教科ヲ分テ予科本科トシ予科修業三年間本科修業四年間トス理学校教則別冊アリ

理学予科

一

語学

二

算術

三

代数学

四

幾何学

五

画学

図画 罫画

六

博物学

七	物理学	八	化学	九	反訳	十	体操
	但羅甸学希臘学等ヲ加ヘ教フルヿアリ 予科年限中修業時間ノ外地理歴史経済脩身国体等国書ニ就テ学フヘシ

	理学本科
一	物理学	二	化学	三	代数学高等	四	幾何学高等	五	微分

六

積分

七

重学

八

星学

九

動物学

十

植物学

十一

金石学

十二	地質学	十三	生理学総論	十四	各種比較解剖学	十五	各種比較生理学
	但反訳体操等ヲ附ス又博物院製錬場器械場等ヲ置ク

○医学校

第二百六章 医学校教科ヲ分テ予科本科トシ予科修業三年間本科修業四年間トス医学校教則別冊アリ

	医学予科
一	語学	二	羅甸学	三	算術	四	代数学	五	幾何学	六	地理学

七	博物学	八	物理学	九	化学	十	反訳	十一	体操
	但予科年限中修業時間ノ外歴史経済脩身国体等国書ニ就テ学フヘシ

	医学本科
一	解剖学	二	生理学	三	医科物理学	四	医科化学	五	医科博物学

六

病理及治療総論

七

内科

八

外科

九

病体解剖

十

組織学

十一

綳帯学

十二

製薬学

十三

薬物学

十四

眼科

十五

産科

十六	婦人科	十七	臨床内科	十八	臨床外科	十九	臨床産科	二十	医律
廿一	実地経験
	但反訳体操等ヲ附ス其他学術試験ノ為メ医院解剖場製薬場等ヲ置ク

○法学校

第二百七章 法学校教科ヲ分テ予科本科トシ予科修業三年間本科修業三年間トス法学校教則別冊アリ

	法学予科
一	語学	二	羅甸学	三	地理学	四	歴史	五	法科総論	六	経済学

七	国勢学	八	反訳	九	体操
	但予科年限中修業時間ノ外数学物理学博物脩身国体等国書ニ就テ学フヘシ

	法学本科
一	経済学	二	国勢学	三	万国公法	四	憲法	五	民法	六	訴訟法

七	商法	八	治罪法	九	刑法	十	公正法	十一	山沢禁	十二	性法
	但反訳体操等ヲ附ス

第二百八章 外国語学校ヲ経テ専門学校ニ入ルノ生徒一ケ年ノ後其学業ヲ試験シテ貧困ナル者ハ学費ヲ給貸スルヿアルヘシ

第二百九章 専門学校ニ於テソノ学科卒業スル者ハ大学科卒業ノモノト同シク学士ノ称号ヲ与フルモノトス

第二百十章 学事ニ付貨幣又ハ書器ヲ献納シ及寄附スル者有之時ハ地方官ニ於テ聞届ケ第九十八章但書之通適宜処分致シ其遣払ハ第百七章之通毎年三月中督学局ニ届ケ出ヘシ

但学資等献納及寄附スル者ノ姓名金高等ハ第七号式ノ如ク表ヲ製シ遣払ノ表ト共ニ督学局ニ出スヘシ

学制第二百十章第七号表式

但料紙美濃紙ノ事

献納及寄附金等一覧表

第幾大学区

某府県

品目

願意

国郡

村 市

属族

姓名

金何千円

何々ノ訳ニテ何ノ金ヲ以テ
何ノ廉エ献ス

金何十円

何々ノ訳ニテ当年限リ或ハ
向何ケ年又ハ永世献ス

田地何反分

何々ノ廉エ寄附

何書器

何学校エ献納

総計

金何千何百円
書籍何巻

器械幾組
地所何反

何人

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• 底本中の旧字を新字に改めた。
• 「コト」の合字は「ヿ」を用いて表記した。

関連項目

• 学制 (明治5年太政官布告第214号)
• 外国教師ヲ以テ教授スル中学教則医学教則及貸費生徒検査法ヲ頒チ官金拝借ヲ申請セハ貧福ヲ検覈具申セシム (明治5年8月17日文部省布達番外)
• 外国教師ニテ教授スル医学教則 (明治5年11月9日文部省布達番外)
• 学資金献納寄付等ノ者ヲ開申セシム (明治6年文部省布達第14号)
• 学事ニ付貨幣等上納ノ者アレハ文部省ニ開申セシム (明治6年太政官布告第112号)
• 学資等ヲ上納スル者地方官ニ於テ聞届適宜処分ノ上開申セシム (明治6年文部省布達第50号)
• 外国語学校教則 (明治6年文部省布達第61号)
• 外国法学校教則 (明治6年文部省布達第74号)
• 外国理学校教則 (明治6年文部省布達第75号)
• 外国諸芸学校教則 (明治6年文部省布達第78号)
• 外国工業学校教則 (明治6年文部省布達第79号)
• 外国鉱山学校教則 (明治6年文部省布達第124号)
• 医制 (明治7年8月18日文部省)

外部リンク

• 公文録 明治六年 第四十九巻 第五十七号学制二編追加ノ条（国立公文書館）
• 太政類典第二編 第二百四十三巻 学制二編附改正（国立公文書館） ※40コマ
• 『文部省布達全書』[明治6年]
• 長尾景弼編纂『増訂 類聚法規別集 第三巻』博文社、1884年2月
• 内閣記録局編輯『法規分類大全第一編 学政門一』1891年3月
• 教育史編纂会編修『明治以降 教育制度発達史 第一巻』竜吟社、1938年5月