埃及マカリイ全書/第三十八講話

第三十八講話

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<< まことの「ハリステアニン」とまことの「ハリステアニン」の如何いかなるとをこころらんには、われらにおほくのちゅう瞭解りょうかいとをようす。 >>

一、 一見いっけんしたるところただしきがごとくなるおほくのものは「ハリステアニン」とみとめらるるなり、さりながらかくのごとものは、おういんぞうとをじつにおのれにゆうするか、あるひしょうしゃぎょういんして、それがためしょうしゃあるひおどろあるひとがむるをなさざるかをこころらんことは練達れんたつにして実験じっけんある人々ひとびとこうなり。練達れんたつなるひとにあらずんば、とうしゃすなはち騙者へんしゃこころるあたはざるべし、なんとなればかれらも修道しゅうどうあるひは「ハリステアニン」のぞうをおのれにへばなり。けだし偽使徒ぎしとハリストスのためにくるしみをうけ、かれ天国てんこくこと福音ふくいんしたればなり。ゆえに使徒しとはいへり、『われろうふくせしことややおほく、むちうたれしこと過度かどごくつながれしことさらおほし』〔コリンフ後十一の二十三〕と、これをもつ使徒しとみづからかれよりもおほくるしみをうけたるをあらはさんとほつす。

二、 きんはたやすく捜索そうさくせらるべし、しかれども王冠おうかんため適当てきとうなる真珠しんじゅ宝石ほうせきとはまれ発見はっけんせらるるのみにて、かれうちにもようてきするものとならざるものおほきことしばしばこれあり。かくのごとく、ハリストス栄冠えいかんのために霊魂たましひつるところの「ハリステアニン」も、その霊魂たましひ聖者せいしゃ同伴どうはんとなりしをるはまれなりとす。光栄こうえいはかくのごとこの霊魂たましひあいして、これがためにくるしみをうけ、これをより復活ふくかつせしめたるものす。さりながらモイセイかほおほひありて、たみ其面そのかほるあたはざりしごとく、いまなんぢこころおほひありて、かみさかええざるをいたす、しかれどもおほひだつするときは、かみみづからあらはれて、「ハリステアニン」とかみあいしてじつかみたづぬるものおのれをあらはしたまふこと、しゅみづかところごとくならん、いはく『かれおのれあらはして居住すまひをなさん』〔イオアン十四の二十一、二十三〕。

三、 されば許約きょやくあたらしき約束やくそくをうけんがためいつはらざるハリストスいたることをつとめん、けだしじう字架じかとをもてごくつみもんをやぶりて、篤信とくしんなる霊魂たましひ引出ひきいだし、そのないじゅつしゃをあたへて、これを其国そのくににみちびきれ、もつ約束やくそくあらたにしたればなり。ゆえにわれかれみやこなるイエルサリムと、てん教会きょうかいと、せいなるてん使集合しゅうごうおいかれともおうたるべし、しかして兄弟けいていうちひさしく練習れんしゅうして実験じっけんたるもの実験じっけんなきものたすけてかれあはれむをん。

四、 或者あるものおのれ防守ぼうしゅして、かみ恩寵おんちょうつよくおのれにようするときにあたり、おのたいせいにせられたるを発見はっけんし、みづからおのれこと決定けっていしておもへらくハリストスきょうにははや肉慾にくよく余地よちあるなく、謙遜けんそん清潔せいけつなるみづからもとらるべくして、ないひとはや神聖しんせいなるてんぞくするものにこうせんとすと。ゆえにかくのごとひと完全かんぜんたつすることうたがひなしとおもふ、しかるにおのれもつ安然あんぜんみなとりしものおもふや、かれたいしてなみおこり、かれふたた海中かいちゅうにありて、ただみづてんとのみなるところひきられ、まさにせんとするをさとらん。かくてわれきたれるつみ種々しゅじゅ悪慾あくよく作生さくせいせん。さりながらかくのごとものは、恩寵おんちょうあらたたまはること、たとへば全海ぜんかいふかきよりいつしょう点滴てんてきをうくるごとくして、これにおいまい毎日まいにちおこなはるるところせきん、ゆえにかくのごとじょうにしてかつあらたなる神妙しんみょうなるこう遭遇そうぐうしたるものは、へんせられしものごとくおどろきかつあやしまん。つひ神妙しんみょうにしててんぞくする恩寵おんちょうかれてらし、かれみちびき、かれやはらげて、すべてを善良ぜんりょうならしめん、ゆえに諸王しょおうおよ有権者ゆうけんしゃしゃおよ高名こうめいなるものかれすればしょうなるものいやしものごとおもはれん。しかれどもぜん時来とききたりてじょう一変いっぺんす、ゆえにかくのごとひとじつおのれをあらゆる人類じんるいよりもさらつみあるものとおもふ。しかしてまた他時たじにはおのれてさながらだいじょうなるおうごとく、あるひおう有力ゆうりょくなるともごとおもふべし。しかしてまた他時たじにはおのれりょくにしてひんなるものおもふべし。つひ困難こんなんするなり、ゆえあるひはかくのごとおもひ、あるひはまたしからざらん、なんとなればぜん嫉妬しっとしゃたるサタナ徳行とくこうおほい発達はったつするものにあくをすすめれて、かれ敗壊はいかいせしめんとつとむればなり。じょうはかくのごとし。

五、 しかれどもなんぢないひとにおこなはるるところして、かれ降伏こうふくするなかれ、彼処かしこハリストス祭台さいだいけがれざる聖所せいしょともてらるるなり、なんぢ良心りょうしんせるおこなひよりきよむるハリストスじう字架じかもつほこるべし、しからばなんぢおのれしんもつかみつとめ、はいするところたれなるをること、ろくしてごとくならん、いはく『われはいするところる』〔イオアン四の二十二〕。なんぢ霊魂たましひかみ体合たいごうすること、しん新郎しんろうともにするごとくなるべし。けだしいふあり、『おうおほいなり、われハリストスてんなる霊魂たましひとにおいてこれをふ』〔エフェス五の三十二〕。しゅ光栄こうえい世々よよす。アミン。