財産税法/日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律第2条第1項による読替え
朕󠄄は、帝國議會の協贊を經た財產稅法を裁可し、ここにこれを公󠄃布せしめる。
御名 御璽
昭和二十一年十一月十一日
法律第五十二號
財產稅法目次󠄄
財產稅法
第一章 總則
第二條 財產稅は、命令で定める外國人には、これを課さない。
第四條 調査時期において、この法律の施行地に住󠄃所󠄃を有し又󠄂は一年以上居所󠄃を有してゐた個人で、戶籍法の適󠄃用を受けるものについては、調査時期において有してゐた財產の全󠄃部に對し、財產稅を課する。
前󠄃項の規定に該當しない個人で、調査時期においてこの法律の施行地に財產を有してゐたものについては、調査時期においてこの法律の施行地に有してゐた財產に對し、財產稅を課する。
第一項の規定に該當しない個人で、戶籍法の適󠄃用を受けるものが、調査時期後二年以內に、この法律の施行地に住󠄃所󠄃を有し又󠄂は一年以上居所󠄃を有することとなつた場合においては、前󠄃項の規定にかかはらず、調査時期において有してゐた財產の全󠄃部に對し、財產稅を課する。
調査時期後この法律施行前󠄃に相續の開始があつた場合においては、被相續人が調査時期において有してゐた財產に對しては、相續人又󠄂は相續財團に、財產稅を課する。
前󠄃項の場合において、被相續人が調査時期において有してゐた財產に對する財產稅は、被相續人が第一項又󠄂は第三項の規定に該當する者であつたときは、調査時期において有してゐた財產の全󠄃部に對し、被相續人が第二項の規定に該當する者(第三項の規定に該當する者を除く。)であつたときは、調査時期においてこの法律の施行地に有してゐた財產に對し、これを課する。
第四項の規定により相續財團に財產稅を課する場合において必要󠄃な事項は、命令でこれを定める。
第五條 左の各號に揭げる財產の所󠄃在は、當該各號に規定する場所󠄃による。
一 動產若しくは不動產又󠄂は不動產の上に存する權利については、その動產又󠄂は不動產の所󠄃在 但し、船󠄄舶については、船󠄄籍の所󠄃在
二 鑛業權又󠄂に砂鑛權については、鑛區の所󠄃在
三 漁業權若しくは入漁權又󠄂は漁業權を目的とする權利については、漁場に最も近󠄃い沿󠄄岸の屬する市町村又󠄂はこれに相當する行政區劃
四 金融機關に對する預金、貯金、積金又󠄂は寄託金で命令で定めるものについては、その預金、貯金、積金又󠄂は寄託金をなした營業所󠄃又󠄂は事業所󠄃の所󠄃在
五 合同運󠄃用信託に關する權利については、その信託をなした營業所󠄃の所󠄃在
六 前󠄃各號の外、この法律の施行地に營業所󠄃又󠄂は事業所󠄃を有する個人の、その營業所󠄃又󠄂は事業所󠄃の營業上又󠄂は事業上の權利については、その營業所󠄃又󠄂は事業所󠄃の所󠄃在
前󠄃項に揭げる財產以外の財產の所󠄃在は、權利者の住󠄃所󠄃の所󠄃在による。
第六條 調査時期において現に存した信託については、その時における受益者が、信託財產を有してゐたものとみなして、この法律を適󠄃用する。但し、合同運󠄃用信託については、その時における受益者が、信託に關する權利を有してゐたものとみなす。
第七條 調査時期において現に存した郵便󠄃年金契󠄅約で、その時までにまだ年金支󠄂拂事由が發生してゐなかつたもの又󠄂は調査時期において現に存した生命保險契󠄅約で、その時までにまだ保險事故が發生してゐなかつたものについては、契󠄅約者が、その契󠄅約じ關する權利の全󠄃部を有してゐたものとみなして、この法律を適󠄃用する。但し、契󠄅約者が他人のために契󠄅約をなし、且つ、その他人が現實に掛金又󠄂は保險料の全󠄃部を負擔してゐた場合その他命令で定める場合については、命令で特別の定をなすことができる。
第八條 昭和二十年十一月十五日以後調査時期前󠄃に、贈與の契󠄅約とその履行とがあつた場合又󠄂は財產を留保する家督相續があつた場合においては、その贈與財產(その贈與財產に係る債務及び公󠄃租公󠄃課を含む。以下同じ。)又󠄂は相續財產(その相續に係る債務及び公󠄃租公󠄃課を含む。以下同じ。)は、命令の定めるとこるにより、調査時期において贈與者又󠄂は被相續人が、これを有してゐたものとみなして、この法律を適󠄃用する。
第九條 前󠄃條第一項の期間內に他人をして信託の利益を受くべき權利を有せしめ、且つ、同項の期間內にその受益者をして元本若しくは收益の全󠄃部又󠄂は一部を受けしめたときは、信託の委託者を贈與者、受益者を受贈者とみなし、その信託の利益の價額に相當する金額の贈與があつたものとみなして、前󠄃條第一項及び同條第二項の規定を適󠄃用する。
前󠄃條第一項の期間內に契󠄅約期間の滿了する生命保險契󠄅約について、同項の期間內に契󠄅約者が保險金受取人を變更󠄃したとき(調査時期前󠄃にその契󠄅約の解除があつたときを除く。)は、生命保險契󠄅約の契󠄅約者を贈與者、變更󠄃後の保險金受取人を受贈者とみなし、その保險金額に相當する金額の贈與があつたものとみなして、前󠄃條第一項及び同條第二項の規定を適󠄃用する。
第十一條 この法律において合同運󠄃用信託とは、信託會社(信託業務を兼󠄄營する銀行を含む。以下同じ。)が引き受けた金錢信託で、共同しない多數の委託者の信託財產を合同して運󠄃用するものをいふ。
この法律において同居家族とは、戶主及びこれと同居する家族又󠄂は戶主と別居して同居する二人以上の家族をいふ。
前󠄃項の場合において同居の事實の有無は、調査時期の現況による。但し、特別の事情󠄃がある場合については、命令で特別の定をなすことができる。
第二章 課稅價格、免󠄃稅點及び稅率󠄃
第十三條 第四條第二項の規定に該當する者(同條第三項の規定に該當する者を除く。以下制限納󠄃稅義務者といふ。)については、調査時期においてこの法律の施行地に有してゐた財產の價額から、左の債務で調査時期において現に存したものの金額を控󠄃除した金額を、課稅價格とする。
制限納󠄃稅義務者で、調査時期において、この法律の施行地に住󠄃所󠄃を有し又󠄂は一年以上居所󠄃を有してゐたものについては、前󠄃項の規定にかかはらず、調査時期においてこの法律の施行地に有してゐた財產の價額から、前󠄃項に揭げる債務の金額及び左の債務で調査時期において現に存したものの金額の合計額を控󠄃除した金額を、課稅價格とする。
一 前󠄃項第一號に揭げるもの以外の公󠄃租公󠄃課で、この法律の施行地で納󠄃付すべきもの
二 調査時期において、この法律の施行地に住󠄃所󠄃を有し又󠄂は一年以上居所󠄃を有してゐた個人に對する債務
三 調査時期において、この法律の施行地に營業所󠄃又󠄂は事業所󠄃を有してゐた法人に對する債務で、これらの營業所󠄃又󠄂は事業所󠄃との間に生じたもの
第十四條 前󠄃二條の規定により、その金額を控󠄃除すべき債務は、確實と認󠄃められるものに限る。
第十五條 左に揭げる金額は、課稅價格の算定上、これを調査時期における財產の價額とみなす。
一 戰時補償特別措置法第四十一條、第四十二條又󠄂は第五十三條の規定により求償をなし得べき金額
二 調査時期前󠄃に納󠄃付した相續稅につき、戰時補償特別措置法第五十七條又󠄂は第五十八條の規定により免󠄃除がなされる場合におけるその免󠄃除稅額
第十六條 左に揭げる金額は、課稅價格の算定上、これを調査時期における債務の金額とみなす。
一 不動產所󠄃得、乙種の配當利子所󠄃得、甲種若しくは乙種の事業所󠄃得、乙種の勤勞所󠄃得、山林の所󠄃得、乙種の退󠄃職所󠄃得又󠄂は淸算取引所󠄃得に對する昭和二十一年分󠄃の分󠄃類所󠄃得稅額、同年分󠄃の綜合所󠄃得稅額及び同年分󠄃の臨時利得稅額
二 戰時補償特別稅額(戰時補償特別措置法第六十條の規定の適󠄃用を受ける場合については、命令で定める稅額を除く。)
三 戰時補償持別措置法第四十一條、第四十二條又󠄂は第五十三條の規定により求償に應じて履行をなすべき債務の金額
調査時期において相續稅納󠄃付の義務があつた場合において、戰時補償特別措置法第五十七條又󠄂は第五十八條の規定により相續稅を免󠄃除されるときは、調査時期における財產の價額から控󠄃除さるべき相續稅額は、課稅價格の算定上、その免󠄃除後の稅額による。
第十七條 昭和二十年十一月十五日以後に贈與の契󠄅約がなされて、調査時期までにその履行がなかつた場合においては、贈與の義務の金額及び受贈の權利の價額は、課稅價格の算定上、命令の定めるところにより、調査時期における贈與者又󠄂は受贈者の債務の金額又󠄂は財產の價額には、これを算入しない。
第十八條 戰爭又󠄂は災害󠄆に起󠄃因して死亡󠄃し又󠄂は傷痍を受け若しくは疾病に罹り、これに因り、調査時期前󠄃五年以內に、一時金たる恩給、扶助金、救恤金その他の給付で命令で定めるものの支󠄂給を受けることとなつた場合においては、命令の定めるところにより、その給付金額に相當する金額を、調査時期前󠄃にその給付を受けた者又󠄂は調査時期において現にその給付を受ける權利を有してゐた者について、課稅價格から控󠄃除する。但し、その控󠄃除金額は、一萬圓を超えるこどができない。
第二十條 前󠄃二條の規定は、制限納󠄃稅義務者(調査時期において、この法律の施行地に住󠄃所󠄃を有し又󠄂は一年以上居所󠄃を有してゐた者を除く。)には、これを適󠄃用しない。
第二十三條 財產稅は、課稅價格を左の各級に區分󠄃し、遞次󠄄に各稅率󠄃を適󠄃用して、これを賦課する。
十萬圓を超える金額
百分󠄃の二十五
十一萬圓を超える金額
百分󠄃の三十
十二萬圓を超える金額
百分󠄃の三十五
十三萬圓を超える金額
百分󠄃の四十
十五萬圓を超える金額
百分󠄃の四十五
十七萬圓を超える金額
百分󠄃の五十
二十萬圓を超える金額
百分󠄃の五十五
三十萬圓を超える金額
百分󠄃の六十
五十萬圓を超える金額
百分󠄃の六十五
百萬圓を超える金額
百分󠄃の七十
百五十萬圓を超える金額
百分󠄃の七十五
三百萬圓を超える金額
百分󠄃の八十
五百萬圓を超える全󠄃額
百分󠄃の八十五
千五百萬圓を超える金額
百分󠄃の九十
第二十六條 前󠄃條第一項の一定の倍數は、命令で定める區域ごとに、その區域內において標準となるべき土地又󠄂は家屋について、取引價額を參酌して、政府において算定する價額の、その調査時期における賃貸價格に對する倍數に比準して、これを定める。
第二十八條 地上權(借地權たるものを除く。)及び永小作權の價額は、その目的となつてゐる土地の價額に命令で定める割󠄅合を乘じて算出した金額による。
第二十九條 命令で定める金融機關に對する預金、貯金及び債金その他これに準ずるものの價額は、調査時期における預金額、貯金額、債金の掛金額等による。
第三十條 公󠄃債(外貨債及び借入金を除く。)の價額は、その發行價格による。但し、利率󠄃四分󠄃以上の國債及び國債以外の公󠄃債で利率󠄃四分󠄃五厘以上のものの價額は、その發行價格、利率󠄃、償還󠄃期限等を參酌して定めたものによる。
第三十一條 調査時期において現に存した左に揭げる定期金の給付の契󠄅約で、その時までに定期金の給付事由が發生してゐたものに關する權利の價額は、左に揭げる金額による。
一 有期定期金については、殘存期間に受くべき給付金額に、その殘存期間に應じ、命令で定める割󠄅合を乘じて算出した金額 但し、一年間に受くべき金額の二十倍を超えることができない。
二 無期定期金については、一年間に受くべき金額の二十倍に相當する金額
三 終󠄃身定期金については、一年間に受くべき金額に、目的とされた人の年齡に應じ、命令で定める倍數を乘じて算出した金額 但し、一年間に受くべき金額の二十倍を超えることができない。
第三十二條 調査時期において現に存した郵便󠄃年金契󠄅約で、その時までにまだ年金支󠄂拂事由が發生してゐなかつたもの及び調査時期において現に存した生命保險契󠄅約で、その時までにまだ保險事故が發生してゐなかつたものに關する權利の價額は、調査時期までに拂ひ込まれた掛金又󠄂は保險料の合計額に、命令で定める割󠄅合を乘じて算出した金額による。
第三十四條 調査時期においてこの法律の施行地外にあつた財產その他命令で定める財產の價額及び命令で定める債務の金額については、諸般の狀況を勘案し、その算定をなすことができることとなつた際に、命令でその算定方法を定める。
第四章 申吿
第三十九條 第三十七條第一項又󠄂は前󠄃條第一項の規定による申吿書を提出した者について、第三十七條の申吿期限後又󠄂は第三十八條の申吿期限後、前󠄃條第一項に揭げる事由に因り課稅價格が增加することとなつた場合においては、その者は、命令で定める日(以下第三十九條第一項の修正期限といふ。)までに、命令の定めるところにより、政府に申し出て、その申吿書を修正しなければならない。
第五章 納󠄃付
第四十條 左の各號に揭げる財產稅は、當該各號に定める期眼內に納󠄃付しなければならない。
第四十二條 第六條第一項の規定の適󠄃用があつた場合においては、委託者は、命令の定めるところにより、受益者が納󠄃付すべき財產稅額のうち、その課稅價格中當該信託財產又󠄂は當該信託に關する權利の價額が占める割󠄅合に應じて按分󠄃した金額に相當する財產稅について、連󠄃帶納󠄃付の責に任ずる。
第四十三條 第八條第一項の場合において、受贈者又󠄂に相續人に、命令の定めるところにより、贈與者又󠄂は被相續人の納󠄃付すべき財產稅額のうち、その課稅價格中同項に規定する贈與財產又󠄂は相續財產の價額が占める割󠄅合に應じて按分󠄃した金額に相當する財產稅について、連󠄃帶納󠄃付の責に任ずる。
第八條第一項の場合において、贈與者又󠄂に被相續人が財產稅を納󠄃付したときは、贈與者又󠄂は被相續人は、命令の定めるところにより、その納󠄃付した財產稅額のうち、その課稅價格中同項に規定する贈與財產又󠄂は相續財產の價額が占める割󠄅合に應じて按分󠄃した金額を、受贈者又󠄂は相續人に對して請󠄃求することができる。
昭和二十年十一月十五日以後調査時期前󠄃に贈與の契󠄅約がなされて、調査時期後その履行があつた場合において、贈與者が財產稅を納󠄃付したときは、贈與者は、命令の定めるところにより、その納󠄃付した財產稅額のうち、その課稅價格中贈與財產の價額が占める割󠄅合に應じて按分󠄃した金額を、受贈者に對して請󠄃求することができる。
第六章 課稅價格の更󠄃正及び決定
第四十六條 第三十七條第一項若しくは第三十八條第一項の規定による申吿書が提出された場合又󠄂は第三十九條第一項若しくは同條第三項の規定による申吿書の修正があつた場合において、申吿又󠄂は修正に係る課稅價格が、政府において調査した課稅價格と異るときは、政府は、その調査により、その課稅價格を更󠄃正する。第三十九條第四項又󠄂は同條第五項の規定による課稅價格の修正があつた場合において、修正に係る課稅價格が、政府において調査した課稅價格と異るときもまた同じ。
政府は、前三項の規定による課稅價格の更󠄃正又󠄂は決定後、その更󠄃正し又󠄂は決定した課稅價格について脫漏があることを發見したときは、政府の調査により、その課稅價格を更󠄃正することができる。
前四項の規定による課稅價格の更󠄃正又󠄂は決定は、この法律施行後五年間(第三十八條第一項第一号又󠄂は第三十九條第一項の規定により提出すべき申吿書に係る課税価格の更󠄃正又󠄂は決定については、第三十四條に規定する財産の価額又󠄂は債務の金額を算定することができることとなつた日後三年間)に限り、これを行ふことができる。
第四十八條 第三十七條第一項若しくは第三十八條第一項の規定による申吿書を提出した者、第三十九條第一項若しくは同條第三項の規定により申吿書を修正した者又󠄂に同條第四項若しくは同條第五項の規定により課稅價格を修正した者が、その課稅價格が過󠄃大であつたことを發見したときは、第三十七條の申吿期限後若しくは第三十八條の申吿期限後、第三十九條第一項の修正期限後若しくは同條第三項の規定による申吿書の修正後又󠄂は同條第四項若しくは同條第五項の規定による課稅價格の修正後一箇月間を限り、政府に對し、その課稅價格の更󠄃正を請󠄃求することができる。
前󠄃項の請󠄃求があつた場合においても、政府は、稅金の徵收を猶󠄅豫しない。
第七章 審査、訴願及び行政訴訟󠄃
第五十一條乃至第五十四條 削除
第八章 物納󠄃及び延納󠄃
第五十五條 調査時期における財產のうちに、金融機關經理應急󠄃措置法により、金融機關の舊勘定に屬することとなつた預金、貯金その他の債權で命令で定めるもの(以下舊勘定預金等といふ。)に相當すると認󠄃められる財產(以下舊勘定財產といふ。)があるときは、納󠄃稅義務者は、その納󠄃付すべき財產稅額と、課稅價格から舊勘定財產の價額を控󠄃除した金額により計算した財產稅の額との差額に相當する稅額について、舊勘定預金等による納󠄃付を申請󠄃することができる。
第五十八條 政府は、前󠄃三條の規定により、財產稅の舊勘定預金等による納󠄃付、物納󠄃又󠄂は延納󠄃の申請󠄃があつた場合において、必要󠄃があると認󠄃めるときは、稅金の納󠄃付を猶󠄅豫することができる。
第九章 雜則
第六十一條 納󠄃稅義務者の舊勘定財產に相當する舊勘定預金等について、金融機關再建󠄄整備法による舊勘定の最終󠄃處理の結果、その債權の全󠄃部又󠄂は一部が消󠄃滅した場合における財產稅の課稅に關し必要󠄃な措置は、政令の定めるところによる。
第六十三條 削除
第六十四條 納󠄃稅義務があると認󠄃められる者が申吿書を提出しなかつた事實又󠄂は課稅價格に脫漏があると認󠄃められる事實を、政府に報吿した者がある場合において、政府がその報吿に因つて課稅價格を決定し又󠄂は更󠄃正したときは、政府は、命令の定めるところにより、その報吿者に對し、課稅價格の決定又󠄂は更󠄃正に因り徵收することができた稅額の百分󠄃の二す五以下に相當する金額を、報償金として交󠄄付することができる。但し、報償金の金額は十萬圓を超えることができない。
前󠄃項の規定は、その報吿をなした者が官吏󠄄又󠄂は待遇󠄄官吏󠄄であるときは、これを適󠄃用しない。その報吿が管理若しくは待遇󠄄官吏󠄄の知得した事實、公󠄃務員(官吏󠄄及び待遇󠄄官吏󠄄を除く。)の職務上知得した事實、又󠄂は不法の行爲に因り知得した事實に基くものである場合もまた同じ。
第六十六條 第四十條第一項第二號若しくは同項第五號に揭げる財產稅の納󠄃付があつた場合又󠄂は第五十條の規定による追󠄃徵稅額に相當する財產稅を徵收することとなつた場合においては、第三十七條の申吿期限內若しくは第三十八條の申吿期限內に申吿書の提出がなかつたこと、第三十九條第一項の修正期限內に申吿書の修正若しくは課稅價格の修正がなかつたこと又󠄂は納󠄃稅義務者の申吿若しくは修正した課稅價格が政府の調査した課稅價格と異ることについて已むを得ない事由があると認󠄃められる場合を除く外、政府は、命令の定めるところにより、命令で定める期間に應じ、當該稅額に一箇月を經過󠄃するごとに百分󠄃の五の割󠄅合を乘じて算出した金額に相當する稅額の財產稅を追󠄃徵する。但し、この金額は、當該稅額に百分󠄃の五十を乘じて算出した金額を超えることができない。
第六十八條 株式會社以外の法人で出資󠄄證券󠄃を發行しないものは、命令の定めるところにより、調査時期における出資󠄄について、出資󠄄者別の調書を政府に提出しなければならない。
年金たる恩給又󠄂はこれに準ずる給付の支󠄂拂をなす者は、命令の定めるところにより、調査時期におけるその給付の債務について、受給者別の調書を政府に提出しなければならない。
信託會社は、命令の定めるところにより、調査時期における金錢信託及び有價證券󠄃信託以外の信託について、受益者別の調書を政府に提出しなければならない。
保險會社は、命令の定めるところにより、昭和二十年三月三日から調査時期までの間に契󠄅約をなした動產を目的とする損害󠄆保險契󠄅約について、契󠄅約者別の調書を政府に提出しなければならない。
前󠄃三項に規定するものを除く外、法人は、命令の定めるところにより、調査時期における命令で定める債務について、債權者別の調書を政府に提出しなければならない。
第六十九條 法人稅又󠄂は特別法人稅を課せられる法人は、命令の定めるところにより、命令で定める日における資󠄄產及び負債に關する明細書その他株式その他の出資󠄄の價額の算定上必要󠄃な事項を記載した書類を、政府に提出しなければならない。。
第七十條 收稅官吏󠄄は、財產稅に關する調査又󠄂は財產稅の徵收について必要󠄃があるときは、左に揭げる者に質問し又󠄂はその財產若しくはその財產に關する帳簿󠄃書類その他の物件を檢査することができる。
一 納󠄃稅義務者又󠄂は納󠄃稅義務があると認󠄃められる者
三 納󠄃稅義務者又󠄂は納󠄃稅義務があると認󠄃められる者に對し、債權若しくは債務を有してゐたと認󠄃められる者又󠄂は債權若しくは債務を有すると認󠄃められる者
四 納󠄃稅義務者又󠄂は納󠄃稅義務があると認󠄃められる者が、出資󠄄者であつたと認󠄃められる法人又󠄂は出資󠄄者であると認󠄃められる法人
五 納󠄃稅義務者又󠄂は納󠄃稅義務があると認󠄃められる者に對し、財產を讓渡したと認󠄃められる者又󠄂は財產を讓渡する義務があると認󠄃められる者
六 納󠄃稅義務者又󠄂は納󠄃稅義務があると認󠄃められる者から、財產を取得したと認󠄃められる者又󠄂は財產を取得する權利があると認󠄃められる者
七 納󠄃稅義務者又󠄂は納󠄃稅義務があると認󠄃められる者の財產を、保管したと認󠄃められる者又󠄂は保管すると認󠄃められる者
八 納󠄃稅義務者又󠄂は納󠄃稅義務があると認󠄃められる者が、その營業又󠄂は事業に關し加入してゐたと認󠄃められる團體又󠄂は加入してゐると認󠄃められる團體
第七十一條 收稅官吏󠄄は、財產稅に關する調査又󠄂は財產稅の徵收について必要󠄃があるときに、公󠄃證人の作成󠄃した證書の原本及びその附屬書類竝びに法令により公󠄃證人の調製した帳簿󠄃を閱覽し、又󠄂はその內容について公󠄃證人に質問することができる。
第七十二條 財產稅は、納󠄃稅義務者の住󠄃所󠄃地、この法律の施行地に住󠄃所󠄃のないときは居所󠄃地をその納󠄃稅地とする。但し、納󠄃稅義務者は、政府に申吿して、居所󠄃地を納󠄃稅地とすることができる。
この法律の施行地に住󠄃所󠄃及び居所󠄃のない納󠄃稅義務者は、命令の定めるところにより、納󠄃稅地を定めて政府に申吿しなければならない。その申吿のないときは、政府が、その納󠄃稅地を指定する。
第七十三條 納󠄃稅義務者が、納󠄃稅地に現住󠄃しないときは、この法律による申吿書の提出その他財產稅に關する一切の事項を處理させるため、納󠄃稅地に居住󠄃する者のうちから納󠄃稅管理人を定め、政府に申吿しなければならない。納󠄃稅義務者が、この法律の施行地に住󠄃所󠄃及び居所󠄃を有しないこととなるときもまた同じ。
第七十四條 同族會社の昭和二十年十一月十五日以後の行爲又󠄂は計算で、その株主若しくは社員又󠄂はこれと親族、使用人等特殊の關係がある者について、課稅價格を減少せしめると認󠄃められるものがあつた場合においては、政府は、課稅價格の更󠄃正又󠄂は決定に際し、その行爲又󠄂は計算にかかはらず、その認󠄃めるところにより、課稅價格を算定することができる。
前󠄃項の同族會社とは、旧法人税法(昭和十五年法律第二十五号)第十七條第三項に規定する法人をいふ。
第七十五條 都道󠄃府縣、市町村その他の公󠄃共團體は、財產稅の附加稅を課することができない。
第十章 罰則
第七十八條 財產稅に關する調査、評󠄃價若しくは審査の事務に從事してゐる者又󠄂はこれに從事してゐた者が、その調査、評󠄃價又󠄂は審査に關して知得した祕密を漏泄し、又󠄂は竊用したときは、これを二年以下の懲役又󠄂は二萬圓以下の罰金に處する。
第八十條 他人の財產稅について、政府に對し、第六十四條に揭げる事實に關する虛僞の報吿をなした者は、これを三年以下の懲役又󠄂は一萬圓以下の罰金に處する。
第十一章 補則
第八十二條 皇室の財產に對する財產稅に關し必要󠄃な事項は、この法律の定めるところに準じ、皇室令を以て、これを定める。
附則
この法律施行の期日は、政令でこれを定める。
この法律は、本州、北海道󠄃、四國、九州及びその附屬島嶼(政令で定める地域を除く。)にこれを施行する。
金融緊急󠄃措置令の一部を次󠄄のやうに改正する。
第三條第一項に次󠄄の但書を加へる。
但シ財產稅法第五十五條ノ規定ニ依リ同條第一項ニ規定スル舊勘定預金等ヲ以テ財產稅ヲ納󠄃付スル場合其ノ他命令ヲ以テ定ムル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。
- 法律命令及官公󠄁文󠄁書
- 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
- 公󠄁開セル裁判󠄁所󠄁、議會竝政談集會ニ於󠄁テ爲シタル演述󠄁
この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。