華族令 (明治二十七年宮内省達甲第二号)

• 明治十七年七月七日宮内省達無号
• 改正前:華族令 (明治十七年宮内省達無号)
• 改正:華族令中改正 → 本ページ
• 廃止:明治四十年六月一日
• 廃止法令:華族令
• 註: 內は内、戶は戸、者は者、署は署、祖は祖、俱は倶、懲は懲、增は増、視は視、揭は掲、產は産のJIS標準漢字 (JIS X 0208) 外の異体字である。Unicode表のBMP（基本多言語面、0面）が表示できるブラウザ環境でなければ、正しく表示されない。なお、U+FA30からU+FA60の文字は、JIS X 0213対応のフォントを指定してある。

構成

• 第1条
• 第2条
• 第3条
• 第4条
• 第5条
• 第6条
• 第7条
  • 第2項
• 第8条
• 第9条
• 第10条
• 第11条
• 第12条
• 第13条
• 第14条
  • 第2項
• 第15条
  • 第1号
  • 第2号
  • 第3号
  • 第4号
  • 第5号
• 第16条
• 第17条
• 第18条

華族令左ノ通被　仰出候ニ付此旨相達候事

奉勅

宮內卿伊藤博文

華族令

第一條　凡ソ爵ヲ授クルハ　勅旨ヲ以テシ宮內卿之ヲ奉行ス

第二條　爵ヲ分テ公侯伯子男ノ五等トス

第三條　爵ハ男子嫡長ノ順序ニ依リ之ヲ襲カシム女子ハ爵ヲ襲クコトヲ得ス但現在女戶主ノ華族ハ將來相續ノ男子ヲ定ムルトキニ於テ親戚中同族ノ者ノ連署ヲ以テ宮內卿ヲ經由シ授爵ヲ請願スヘシ

第四條　嗣今有爵者又ハ戶主死亡ノ後男子ノ相續スヘキ者ナキトキハ華族ノ榮典ヲ失フヘシ

第五條　有爵者ノ婦ハ其夫ニ均シキ禮遇及名稱ヲ享ク

第六條　華族戶主ノ戶籍ニ屬スル祖父母、父母及妻及嫡長子孫及其妻ハ俱ニ華族ノ禮遇ヲ享ク

第七條　本人生存中相續人ヲシテ爵ヲ襲カシムルコトヲ得ス

但刑法又ハ懲戒ノ處分ニ由リ爵ヲ奪ヒ又ハ族籍ヲ削ラレ更ニ特旨ヲ以テ相續人ニ授クル者ハ此例ニ在ラス

第八條　華族ノ戶籍及身分ハ宮內卿之ヲ管掌ス

第九條　華族及華族ノ子弟婚姻シ又ハ養子セントスル者ハ先ツ宮內卿ノ許可ヲ受クヘシ

第十條　華族ハ其子弟ヲシテ相當ノ敎育ヲ受ケシムルノ義務ヲ負フヘシ

第十一條　華族ハ相續及家政上ノ關係ヲ定ムル爲ニ法律命令及華族ニ關スル規定ノ範圍內ニ於テ家範ヲ定ムルコトヲ得

第十二條　家範ハ宮內大臣ノ認許ヲ經ヘシ其條項ヲ改正增補スルトキ亦同シ

第十三條　華族ノ戶主ニシテ監視ニ付セラルヘキ禁錮ノ刑ニ處セラレタル者ハ華族ノ稱ヲ除キ其爵位ヲ返上セシム

第十四條　第五條及第六條ノ禮遇ヲ享クル者ニシテ前條ニ當ルトキハ其禮遇ヲ禁止シ位記アル者ハ之ヲ返上セシム

華族ノ嫡長子孫ニシテ前條ニ當ルトキハ華族ノ榮典ヲ繼承スルコトヲ得ス

第十五條　華族ノ戶主及第五條第六條ノ禮遇ヲ享クル者ニシテ左ニ揭クル事項ノ一ニ當ルトキハ其禮遇ヲ停止ス

一	禁錮ノ刑ニ處セラレ其刑期間ノ者
二	刑事ノ訴ヲ受ケ勾留又ハ保釋若クハ責付中ノ者又ハ監視中ノ者
三	家資分散若クハ破產ノ宣吿ヲ受ケ復權セサル者又ハ身代限ノ處分ヲ受ケ負債ノ辨償ヲ終ヘサル者
四	第十條ノ義務ヲ充タサヽル者
五	華族ノ品位ヲ保ツ能ハサル者

第十六條　華族タルノ體面ヲ汚辱スル失行アル者ハ第十三條第十四條又ハ第十五條ニ依リ處分ス

第十七條　華族ノ品位ヲ保ツ能ハサル者ハ榮典ヲ辭スルコトヲ得

第十八條　第十三條乃至第十七條ノ處分ハ勅裁ヲ仰キ宮內大臣之ヲ行フ但第十五條第四第五第十六條及第十七條ノ處分ニ付テハ華族中ヨリ勅選セラレタル七名以上ノ委員ヲシテ評議セシメ勅裁ヲ仰クヘシ