<<敵の為に祷るべし>>
友の為に祷るは、敵の為に祷るほどの利益を我等にあたへざらん。ハリストスのいひ給ふをきくべし、曰く『汝等もし唯己を愛する者を愛せば、何の報賞かあらん、税吏も然するにあらずや』〔マトフェイ五の四十六〕。されば我等友の為に祷る時は、我等は未だ税吏よりまされりとせざるなり、然れども敵を愛して敵の為に祷るならば、人力によりて神に肖る者とならん、曰く『然らば汝等天にいます汝等の父の子とならん、彼は善人と悪人との上に其の日を昇し、義者と不義者との上に雨を降したまふなり』〔マトフェイ五の四十五〕。