<<此の生涯に於る徳行の途>>
狭き路を行く者の窮困を忍ばざるべからざるは少しも珍しきことに非ず、又奇とするに足らざるなり。徳行の本来の性質もかくの如し、其の路は勤労と、苦しき骨折と、刑罰と、危難とを以て播き蔽はるゝなり。さりながら路は此の如くなるも、其の後には栄冠と、報酬と、いひつくされぬ無限の幸福とあり。かゝれば此を以て己を慰めよ。况やながれゆく生命の喜びも、哀みも、生命と共にながれ去りて生命と共に終らん。故に喜びも誇るに足らず、哀みの為にも落胆して嘆くに及ばざるなり。善き舵師は平穏の時にも欠伸せず、さりながら暴風に於ても驚かざるなり。此のすべてを知りて己をなぐさめよ、又其の最良なる救援を此に於て尋ねよ。