医学校通則
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編集○第四号(五月二十七日 輪廓附)
府県
医学校通則別冊之通相定候条此旨相達候事
(別冊)
医学校通則
第一章 総則
第一条 医学校ハ此通則ニ遵ヒ医学ヲ教授スル所トス
第二条 医学校ハ之ヲ分テ甲乙二種トス甲種ハ尋常ノ医学科ヲ教授シ以テ医師ノ具成ヲ図リ上款ニ遵ヒ之ヲ設置スルモノトス乙種ハ簡易ノ医学科ヲ教授シ以テ医師ノ速成ヲ図ルトキ若クハ甲種ヲ設置スル能ハサルトキニ於テ下款ニ遵ヒ之ヲ設置スルモノトス
第三条 医学校ニ於テハ臨床実験ノ用ニ供スルニ足ルヘキ病院ノ準備アルヲ要ス
上款
第二章 学科目
第四条 甲種医学校ノ学科ハ少クトモ左ニ掲クル諸目トス
物理学 | 化学 | 動物学 | 植物学 | 解剖学 | 組織学 | 生理学 | 病理学 | 薬物学 | 内科 | 外科 |
眼科 | 産科 | 内科臨床講義 | 外科臨床講義 | 衛生学 | 裁判医学 |
第三章 修業年限、日数及時数
第五条 甲種医学校ノ修業年限ハ四箇年以上トス
第六条 甲種医学校ノ授業日数ハ少クトモ毎年三十二週ヲ下ルヘカラス
第七条 甲種医学校ノ授業時間ハ一週二十四時ヲ以テ度トス
第四章 入学生徒ノ資格
第八条 甲種医学校ニ入学スル生徒ハ品行端正体質強健ニシテ年齢十八年以上トス
第九条 甲種医学校ニ入学スル生徒ハ初等中学科卒業以上ノ学力ヲ有スル者若クハ少クトモ左ニ掲クル科目ニ就テ初等中学科以上ノ学力ヲ有スル者タルヘシ
和漢文 | 算術 | 代数 | 幾何 | 物理学 | 化学 | 動物学 | 植物学 |
第五章 教員ノ資格、員数
第十条 甲種医学校ノ教員中少クトモ三名ハ東京大学ニ於テ医学士ノ学位ヲ得タル者ヲ以テ之ニ充テ主トシテ重要ノ学科ヲ分担セシムヘシ
但他ニ相応ノ学力ヲ有スル者アルトキハ文部卿ノ認可ヲ経テ本文医学士ニ代フルコトヲ得
下款
第六章 学科目
第十一条 乙種医学校ノ学科ハ左ニ掲クル諸目トス
物理学 | 化学 | 解剖学 | 生理学 | 薬物学 | 内科 | 外科 | 眼科 | 産科 | 内科臨床講義 |
外科臨床講義 |
第七章 修業年限、日数及時数
第八章 入学生徒ノ資格
第十四条 乙種医学校ニ入学スル生徒ハ其品行、体質、年齢総テ第八条ニ準ス
第十五条 乙種医学校ニ入学スル生徒ハ左ニ掲クル科目ニ就キ概ネ初等中学科ノ学力ヲ有スル者タルヘシ
和漢文 | 算術 | 物理学 |
但此他第九条ニ掲クル諸科目中一科若クハ数科ニ就キ本文ノ学力ヲ要スルコトアルヘシ
第九章 教員ノ資格、員数
第十六条 乙種医学校ノ教員中少クトモ一名ハ総テ第十条ニ準スヘキモノトス
- 底本中の旧字を新字に改めた。
関連項目
編集- 教育令 (明治13年太政官布告第59号)
- 府県立町村立専門学校農学校商業学校職工学校等職員名称準官等定方 (明治14年文部省達第23号)
- 医学校卒業生試験ヲ要セス医術開業免状下付方 (明治15年太政官布達第4号)
- 府県立医学校設置伺出又ハ開申ノ節具申スヘキ事項増加 (明治15年文部省達第5号)
- 医学校薬学校教員ノ医学士製薬士ニ代フヘキ者認可伺出並履歴書式 (明治15年文部省達第14号)
- 公立小中学校公立専門学校ヘ無代価下渡地所及農学校用官有地地名坪数地価概額取調届出方 (明治17年文部省達第16号)
- 府県立医学校費用ノ件 (明治20年勅令第48号)
外部リンク
編集- 「医学校通則ヲ定ム」(国立公文書館所蔵「公文類聚第六編 第四十八巻」)
- 『文部省達全書』[明治15年]
- 『文部省第十年報附録』1884年7月
- 教育史編纂会編修『明治以降 教育制度発達史 第二巻』竜吟社、1938年7月