鐵道震害調査書/第一編/第二章/第十七節
< 鐵道震害調査書
第十七節 久留里線(木更津久留里間14.1哩)
築堤 築堤の被害󠄂は小櫃俵田間木更󠄁津起󠄁點11哩62鎖󠄁附近󠄁に於て延󠄂長460呎に亘り最大5.5呎の沈下崩󠄁壞をなしたるを最も大なるものとし,その他全󠄁線に亘り20餘箇所󠄁の沈下及び龜裂を生じたり。而して龜裂の大なるものは幅1呎,深3呎,長130餘呎に及べり。
土留壁 土留石垣は袖石垣の外殆ど被害󠄂なし。
橋梁 橋梁の被害󠄂の最も大なるは上總淸川橫田間小櫃川橋梁(徑間20呎鈑桁1連,60呎鈑桁3連)にして,久留里方橋臺傾斜󠄁し,且バラス止に罅裂を生じ,第一號󠄂橋脚は水平󠄁に切斷し,第二號󠄂橋脚は下流に9吋移動傾斜󠄁し,第三號󠄂橋脚は4吋上流に移動傾斜󠄁せり。
その他の橋梁もバラス止に罅裂を生じ,或は橋臺の傾斜󠄁せるもの多く,又󠄂袖石垣は殆ど全󠄁潰又󠄂は罅裂を生じたり。
停車場 橫田驛は本屋(官舍共)倒潰,線路物置傾斜󠄁破損し,馬來田驛は本屋及び貨物上家(官舍共)傾斜󠄁大破し,小櫃並に久留里驛は本屋及び貨物上家(官舍共)共に傾斜󠄁し,尙小櫃驛の貨物積卸場も破損せり。
給水器 橫田驛に於ける給水器傾斜󠄁破損し,久留里驛のものは倒潰せり。
軌道󠄁 軌道󠄁の被害󠄂は小櫃俵田間木更󠄁津起󠄁點11哩62鎖󠄁附近󠄁の沈下5呎を最も大なるものとし,その他3呎以下の沈下20餘箇所󠄁あり。