鐵道震害調査書/第一編/第二章/第五節
第五節 高島横濱港󠄁間貨物支󠄂線(高島横濱港󠄁間2.8哩)
築堤 築堤は高島東橫濱間を除き第一,第二,第三橋梁前󠄁後の區間に於て著しく沈下し,最大10呎に及びたり。この外橫濱港󠄄驛構內に於ても陷落龜裂を生じたる箇所󠄁多し。
橋梁 本區間に於ける橋梁の被害󠄂は甚大にして,第一號󠄂橋梁(徑間30呎2連,100呎1連)の東橫濱方橋臺(徑間30呎用にして,井筒基礎2個の上部を穹拱にて連絡せるもの)は井筒上部水平󠄁に切斷して前󠄁進󠄁及び異動を生じ,第一號󠄂及び第二號󠄂橋脚(井筒基礎2個の上部を穹拱にて連絡せるもの)も亦井筒上部切斷傾斜󠄁せり。橫濱港󠄄方橋臺(徑間100呎用にして,井筒基礎4個の上部を穹拱にて連絡せるもの)は井筒上部切斷し,軀體に縱橫數條の大龜裂を生じて約2呎前󠄁進󠄁傾斜󠄁せり。第二號󠄂橋梁(徑間100呎1連)は兩橋臺(井筒基礎4個の上部を穹拱にて連絡せるもの)とも穹拱の下部に於て斜󠄁に切斷し,軀體に縱橫及び斜󠄁に數條の大龜裂を生じ,上部は切斷崩󠄁壞せり。第三號󠄂橋梁(徑間30呎2連)東橫濱方橋臺(井筒基礎3個を穹拱にて連絡せるもの)は橫及び斜󠄁に2條の大龜裂を生じて前󠄁進󠄁し,橋脚(井筒基礎3個を穹拱にて連絡せるもの)は井筒頂部にて切斷し且縱に1條の大龜裂を生ぜり。橫濱港󠄄方橋臺は地盤附近󠄁にて水平󠄁に切斷し隅の一部切斷脫出したり。
停車場 東橫濱並に橫濱港󠄄驛本屋及び貨物上家は何れも燒失し,尙東橫濱驛積卸場擁壁は不同に沈下して所󠄁々に罅裂を生じたり。
信號機 橫濱港󠄄驛構內に於ては場內及び出發信號󠄂機4基傾斜󠄁して火災に罹り,東橫濱驛構內にては遠󠄁方,場內及び出發信號󠄂機何れも傾斜󠄁せり。
軌道󠄁 軌道󠄁の被害󠄂は高島東橫濱間は輕微にして僅に沈下屈曲せるに過󠄁ぎざれども,第一號󠄂橋梁前󠄁後より第三號󠄂橋梁前󠄁後に至る(高島起󠄁點0哩65鎖󠄁より1哩18鎖󠄁に至る)區間は沈下屈曲甚しく,最大沈下10呎に達󠄁せり。尙東橫濱驛より橫濱港󠄄驛に至る間は火災のため枕木の燒失せるもの多し。