行政裁判所處務規程


朕行政裁判所處務規程ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム

   

明治二十三年八月二十九日

內閣總理大臣 伯爵山縣有朋

勅令第百九十二號

行政裁判所處務規程

第一條  行政裁判所部長故障アルトキハ其部ノ評定官行政裁判法第七條第二項ノ順序ニ從ヒ之ヲ代理ス

行政裁判所評定官故障アルトキハ代理順序ハ行政裁判所長官之ヲ定ム

第二條  部長ハ一事件每ニ審判準備ボ爲メ其部ノ評定官中ノ一名若ハ二名ニ專理員ヲ指命スルコトヲ得

專理員ハ合議ノ際先ツ事實、證憑及爭點ニ付說明ヲ爲スヘシ

第三條  判決ハ審問終結シタル期日又ハ其期日ヨリ十四日以內ニ之ヲ言渡スヘシ

第四條  裁判長行政裁判法第三十八條第二項ノ場合ニ於テ科罰ヲ言渡シタルトキハ書記ヲシテ訴訟ノ記錄ニ之ヲ記入セシム

第五條  每年七月十一日ヨリ九月十日マテノ問ハ行政裁判所ニ於テ緊急ノ事項ト認ムルモノヽ外既ニ著手シタル訴訟ヲ中止シ竝ニ新ナル訴訟ニ著手セス

第六條  行政裁判所ノ總會議ハ評定官總員三分ノ二以上列席スルニ非サレハ議決ヲ爲スコトヲ得ス

第七條  總會議ノ議事ハ長官之ヲ整理ス若シ長官故障アルトキハ評定官中官等最モ高キ者之ヲ代理ス

第七條ノ二  法規ノ解釋ニ付判例ヲ變更セムトスルトキハ又ハ法規ノ解釋ヲ一定スルノ必要アルトキハ長官ハ之ヲ總會議ノ議ニ付ス

第八條  行政裁判所ハ訴訟ノ呼出狀及其他ノ書類ヲ使丁若ハ郵便ヲ以テ送達シ又ハ通常裁判所ニ囑託シテ送達セシムルコトヲ得

第九條  行政裁判所ハ法律命令ノ範圍內ニ於テ其職權ニ屬スル事件ニ付吿示ヲ發スルコトヲ得

第十條  行政裁判所長官ハ法律命令ノ範圍內ニ於テ事務取扱ノ順序方法ニ關スル規定ヲ設クルコトヲ得

書記ノ職務ニ關スル規程ハ行政裁判所之ヲ定ム

この作品は1929年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。