一主よ、我爾を恃む、願はくは我世世に羞を得ざらん。
二爾の義に縁りて我を援け、我を免れしめ、爾の耳を我に傾けて我を救ひ給へ。
三我が爲に堅固なる避所となりて、我に常に隠るるを得しめ給へ、爾我を救はんことを命ぜり、蓋爾は我が防固、我が能力なり。
四我が神よ、我を悪者の手より、不法者及び迫害者の手より救ひ給へ、
五蓋主神よ、爾は我の望なり、我が幼きより我の恃なり。
六我娠まるる時より爾に護られ、爾我を母の腹より出せり、我爾を讃め揚げて息めざらん。
七多くの者の爲に我奇怪の如き者となれり、然れども爾は我の堅き望なり。
八願はくは我が口は讃美に満てられて、我爾の光榮を歌ひ、日日に爾の威厳を歌はん。
九我が老ゆる時我を棄つる毋れ、我が力衰ふる時我を遺す毋れ、
一〇蓋我が敵は我を論じ、我が霊を伺ふ者は相謀りて
一一云ふ、神は彼を棄てたり、追ひて彼を拘へよ、救ふ者なければなり。
一二神よ、我に遠ざかる毋れ、我が神よ、速に我を佑け給へ。
一三我が霊に仇する者は。願はくは辱しめられて消えん、我を害せんと謀る者は、願はくは辱と侮とを被らん。
一四唯我常に爾を恃み、倍爾を讃め揚げん。
一五我が口は爾の義を傳へ、日日に爾の恩を傳へん、蓋我其数を知らず。
一六我主神の能力を思ひ、爾の義、独爾の義を記憶せん。
一七神よ、爾は我が幼きより我を誨へ給へり、我今に至るまで爾の奇迹を傳ふ。
一八神よ、歳老い髪白きまで我を棄てずして、我が爾の能力を此の世に、爾の権能を凡そ将来の者に傳ふるに迨べ。
一九神よ、爾の義は極めて高し、爾大なる事を行へり、神よ、孰か爾に比ぶるを得ん。
二〇爾は多く且厲しき苦難を我に遣せり、然れども復我を生かし、復我を地の淵より引き出せり。
二一爾我を挙げ、我を慰め、我を地の淵より引き出せり。
二二我が神よ、我琴を以て爾と爾の真実とを讃榮せん、イズライリの聖なる者よ、我瑟を以て爾を讃頌せん。
二三我爾に歌ふ時我が口は喜び、爾が救ひし我が霊も喜ぶ。
二四我が舌は日日に爾の義を傳へん、蓋我を害せんと謀る者は恥を被り、辱を受けたり。
- ソロモンの事。(ダワィドの詠)
一神よ、爾の裁判を王に賜い、爾の義を王の子に賜え、
二裁判の時彼に義を以て爾の民と爾の貧しき者とを裁かしめよ。
三願わくは山は民に平安を施し、邱は義を施さん、
四願わくは彼は民の貧しき者を判き、乏しき者の子を救い、暴虐者を抑えん。
五日月の在る間、人々爾を世々に畏れん。
六彼は芟りたる草場に降る雨の如く、土を潤す雨滴の如く降らん。
七彼の日には義人榮え、多くの平安ありて月の畢るに至らん。
八彼は宰どること海より海に至り、河より地の極に至らん。
九曠野に居る者は彼の前に俯伏し、彼の敵は塵を舐めん。
一〇ファルシスと島々との諸王は貢ぎを彼に獻げ、アラワィヤとサワとの諸王は禮物を奉らん。
一一列王彼に伏拝し、萬民彼に奉事せん、
一二蓋彼は貧しき者と呼ぶ者と苦しめられて助けなき者とを援けん。
一三彼は貧しき者と乏しき者とを憐れみ、乏しき者の霊を救わん、
一四其の霊を詭詐と暴虐より援けん、其の血は彼の目の前に寶とならん。
一五彼は生活せん、人々アラワィヤの金を以て彼に饋り、恒に彼の爲に祈祷し、日々彼を崇め讃めん。
一六地には穀物豊かならん、山の頂には其の穂の揺くことリワンの林の如く、城邑には人の殖ゆること地の草の如くならん。
一七彼の名は崇め讃められて世々に至らん、日の在る間は彼の名伝わらん、地上の萬族は彼に縁りて福を獲、萬民は彼を称讃せん。
一八主神、イズライリの神、独り奇迹を行う者は崇め讃めらる、
一九彼の光榮の名も世々に崇め讃めらる、全地は彼の光榮に満てられん。「アミン」、「アミン。」
- 光榮讃詞
- イエセイの子ダワィドの祈祷畢れり。
- アサフの詠。
一神は何ぞイズライリ人に、心の浄き者に仁慈なる。
二唯我は我が足幾んど躓き、我が歩み殆ど失えり、
三我悪者の安楽を見て、狂妄の者を嫉めり、
四蓋彼等は死に至るまで苦しみなく、其の力も健やかなり、
五彼等は人の苦労に与らず、人と偕に撃たれず。
六故に驕慢は彼等を環ること首飾りの如く、強暴は彼等を纏うこと衣の如し、
七其の目は其の肥えたるに因りて出で、其の思いは心の中に彷徨う、
八嘲りて息めず、悪を懐きて讒言を敷き、高ぶりて言う、
九其の口を天に騰げ、其の舌は地に往来す。
一〇故に主の民も彼処に向かい、満ちたる器より水を飲みて
一一云う、神は如何にして知らん、至上者に知ることあるか。
一二視よ、此の悪者は斯の世に安楽して、其の財を増す。
一三我は謂えり、我豈に徒に我が心を浄め、我が手を無罪の中に盥い、
一四毎日傷を受け、毎朝責めを被りしに非ずや。
一五然れども我若し此くの如く計らんと云はば、我爾の諸子の族の前に罪を得ん。
一六我思えり、如何にして之を悟らん、唯是れ我が目の前に難くして、
一七我が神の聖所に入りて、彼等の終わりを悟るに及べり。
一八然り、爾彼等を滑らかなる途に立てて、彼等を淵に陥し入る。
一九何ぞ彼等は俄に壞れ、消え、懼れに依りて滅びたる。
二〇夢の覚むるが如く、主よ、爾彼等を覚まして、其の想像を消さん。
二一我が心の沸き、我が中情の裂くる時、
二二我無知にして悟るなく、畜の如く爾の前に在りき。
二三然れども我は常に爾と偕にし、爾は我が右の手を執る、
二四爾の訓諭にて我を導き、後我を光榮に納れん。
二五天には我に誰かある、地にも爾と偕にせば願う所なし。
二六我が身と我が心とは弱れり、神は我が心の固めなり、世々に我の分なり。
二七蓋視よ、爾に遠ざかる者は亡び、凡そ爾に離るる者は爾之を滅ぼす。
二八我に在りては神に近づくは善し。我主神に我が恃みを負わせたり、爾悉くの行爲をシオンの女の門の内に伝へん爲なり。
- アサフの教訓。
一神よ、何爲れぞ永く我等を棄て、爾の怒りは爾が草苑の羊に燃えたる。
二爾が古より獲たる會、贖ひて爾が嗣業の柄となしし者、即爾が居る所の此のシオン山を記憶せよ。
三爾の足を歴代の廃址に動かせ、敵は聖所に於て悉く毀てり。
四爾の敵は爾の會の中に吼え、我が幟に代へて己の記號を樹てたり。
五己を顕はすこと、高く斧を挙げて交はりたる樹の枝を伐らんとする者の如くせり。
六今彼等は斧を以て鉞を以て、一時に其の悉くの彫刻を毀てり。
七爾の聖所を火に付し、全く爾の名の住所を汚せり。
八其心に謂へり、全く彼等を壞らんと、遂に地上にある神の會の處を盡く焚けり。
九我等は我が幟を見ず、預言者已になし、我等の中誰も此くの如きことの何れの時に至らんとするを知る者なし。
一〇神よ、敵の謗ること何の時に至らんか、豈に仇は永く爾の名を侮らんや。
一一爾胡爲れぞ爾の手、爾の右の手を避くる、爾が懐の中より彼等を撃ち給へ。
一二神、我が古世よりの王、救を地の中に作す者よ、
一三爾は己の力を以て海を裂き、爾は蛇の首を水の中に砕けり。
一四爾は鰐の首を砕き、之を曠野の人に予へて食となせり。
一五爾は泉と流とを截り出し、爾は大なる河を涸らせり。
一六昼は爾に属し、夜も爾に属す、爾は諸の光と日とを備へたり。
一七爾は地の悉くの界を立て、夏と冬とを設けたり。
一八記憶せよ、敵は主を謗り、無智の民は爾の名を侮る。
一九爾が班鳩の霊を野獣に投ずる毋れ、永く爾が貧しき者の會を忘るる毋れ。
二〇爾の約を顧みよ、蓋凡そ地の暗き處は強暴の住所に充てられたり。
二一迫害せられし者に羞を得て帰らしむる毋れ、願はくは貧しき者と乏しき者とは爾の名を讃め揚げん。
二二神よ、起きて爾の事を衛れ、無智の者が日日に爾を謗るを記憶せよ、
二三爾が敵の聲を忘るる毋れ、爾に逆ふ者の譁騒は起りて息まず。
- 光榮讃詞
- 一伶長に歌はしむ。滅す毋れ。アサフの詠。歌。
二神よ、我等爾を讃榮し、爾を讃榮す、蓋爾の名は近し、爾の奇迹は之を示す。
三我時を択びて、義を以て審判を行はん。
四地と此に居る者と皆撼く、我其柱を堅固にせん。
五我無智の者に謂ふ、無智を行ふ毋れ、悪者に謂ふ、角を挙ぐる毋れ、
六高く爾の角を挙ぐる毋れ、頑に神の事を言ふ毋れ、
七蓋高くするは東に由るに非ず、西に由るに非ず、曠野に由るに非ず、
八乃神は審判者にして、彼を卑くし、此を升す。
九蓋爵は主の手に在り、混ある酒は其内に沸き、彼は之より酌む、地の悉くの悪者は其滓をも搾りて之を飲まん。
一〇唯我永く傳へて、イアコフの神を歌ひ頌めん、
一一悪者の角は我悉く之を折らん、義者の角は挙げられん。
- 一伶長に琴を弾きて歌わしむ。アサフの詠。歌。
二神はイウデヤに知られ、其の名はイズライリに大いなり。
三一其の住所はサリムに在り、其の居所はシオンに在りき。
四彼は彼處に於いて弓の矢と盾と剱と戦いとを壞れり。
五爾は光榮なり、爾の能力は掠め者の山に勝る。
六心の剛き者は獲物となり、其の寝るを以て寝ねたり、力の壮んなる人は皆其の手を尋ねて得ざりき。
七イアコフの神よ、爾の恐嚇に由りて車も馬も眠りに就けり。
八爾は畏るべし、爾が怒りの時孰か爾が顔の前に立たん。
九爾は天より審判を告げしに、地は懼れて鎮まれり、
一〇此れ神が審判の爲に起きて、凡そ地に迫害せらるる者を救わん時に在り。
一一人の怒りも爾の光榮に帰せん、怒りの余りは爾之を止めん。
一二主爾等の神に誓いを作して償えよ、凡そ彼を繞る人は畏るべき者に禮物を獻ぐべし。
一三彼は牧伯の気を抑う、彼は地の諸王の爲に畏るべし。
- 一イディフムの伶長に歌わしむ。アサフの詠。
二我が聲神に向かう、我彼に呼ばん、我が聲神に向かう、彼我に聆かん。
三我憂いの日に主を尋ぬ、我が手は夜中伸びて下らず、我が霊は慰めを辭む。
四我神を記憶して戦き、之を想いて我が霊弱る。
五爾我に目を閉ずるを許さず、我顫いて、言う能わず。
六我古の日、過ぎ去りし世の年を思い、
七我が夜間の歌を記憶し、我が心と謀り、我が霊は尋ぬ、
八豈に主は永く棄てて、復恩を加えざるか、
九豈に其の憐れみは永く息みて、其の言葉世々に絶えしか、
一〇豈に神は憐れむことを忘れしか、豈に怒りを以て其の仁慈を塞ぎしか。
一一我謂えり、是れ我の憂いなり、至上者の右の手の変易なり。
一二我主の作爲を記憶し、爾が古の奇迹を記憶せん、
一三我爾が悉くの作爲を思い、爾の大いなる行いを考えん。
一四神よ、爾の途は聖なり。何の神か我が神の如く大いなる、
一五爾は奇迹を行う神なり、爾は己の能力を諸民の中に顕わせり、
一六爾は臂を以て爾の民イアコフ及びイオシフの諸子を援け給えり。
一七神よ、水は爾を見、水は爾を見て懼れ、淵は戦けり。
一八雲は水を注ぎ、黒雲は雷を出し、爾の矢は飛べり。
一九爾の雷の聲は穹蒼にあり、稲妻は世界に閃き、地は動きて震えり。
二〇爾の途は海にあり、爾の小径は大水にあり、爾の蹟は測り難し。
二一爾はモイセイとアアロンとの手を以て、爾の民を羊の群の如く導き給えり。
- 光榮讃詞