漁区及製魚区貸下令/公布時


薩軍令第三號

漁區及󠄃製魚區貸下令左ノ通󠄃定ム

大正十年三月十八日

薩哈嗹州派󠄄遣󠄃軍司令官 兒島惣次󠄄

漁區及󠄃製魚區貸下令

第一條 本令ニ於テ漁區ト稱󠄄スルハ鮭、鱒、鰊、鱈󠄃又󠄂ハ蟹ノ採󠄃捕製造󠄃ノ爲貸下タル特定ノ地域及󠄃水域ヲ謂ヒ製魚區ト稱󠄄スルハ鮭、鱒、鰊、鱈󠄃又󠄂ハ蟹ノ製造󠄃ノ爲貸下クル特定ノ地域ヲ謂フ

第二條 漁區又󠄂ハ製魚區ノ貸下ヲ受ケタル者ハ其ノ區域內ニ於テ貸下條件ニ定ムル範圍內ニ於テ採󠄃捕製造󠄃ヲ爲スコトヲ得但シ製魚區ニ於テハ採󠄃捕ヲ爲スコトヲ得ス

第三條 漁區又󠄂ハ製魚區ノ貸下期間ハ當分一年以內トス

第四條 漁區又󠄂ハ製魚區ノ貸下ハ本令ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外軍政部長ノ定メタル價格以上最高額ニ糶上又󠄂ハ入札ヲ爲シタル者ニ軍政部長之ヲ許可ス但シ同額ノ者二人以上アルトキハ抽籤ニ依リ落札者ヲ定ム

第五條 漁區又󠄂ハ製魚區ノ貸下ニ關スル手續及󠄃條件ハ軍政部長之ヲ定ム

第六條 本令ニ依リ漁區又󠄂ハ製魚區ノ貸下ヲ受ケタル者引續キ當該漁區又󠄂ハ製魚區ノ貸下許可ヲ願出ツルトキハ左ニ揭クル條件ヲ具󠄄備スル場合ニ限リ競爭ニ依ラス軍政部長之ヲ許可ス

一 出願ノ漁區又󠄂ハ製魚區ニシテ競爭ニ依リ貸下許可アリタル日ヨリ起󠄃算シ四年ヲ經過󠄃セサルコト

二 當該漁區又󠄂ハ製魚區ニ付其ノ貸下ヲ受ケタル者カ漁業取締󠄂令又󠄂ハ本令ノ規定ニ依リ處罰ヲ受ケサリシコト

第七條 軍政部長漁區又󠄂ハ製魚區ノ貸下ヲ許可シタルトキハ許可證ヲ交付ス

前󠄃項ノ許可證ハ之ヲ漁區又󠄂ハ製魚區ニ保持スヘシ

官憲󠄆ヨリ許可證ノ提示ヲ命セラレタルトキハ之ヲ拒ムコトヲ得ス

第八條 前󠄃條ノ許可證ヲ亡󠄃失毀滅シ又󠄂ハ其ノ記載事項ニ異動ヲ生シタルトキハ亡󠄃失ノ場合ヲ除クノ外許可證ヲ添󠄃ヘ事由ヲ具󠄄シ速󠄃ニ再下付又󠄂ハ書換ヲ請󠄃求スヘシ

第九條 漁區又󠄂ハ製魚區ノ貸下ヲ受ケタル者ハ當該漁區又󠄂ハ製魚區ノ貸下料金ヲ納󠄃付スヘシ

第六條ノ規定ニ依リ貸下ノ繼續許可ヲ受ケタル者ハ前󠄃年ニ於ケル漁區又󠄂ハ製魚區貸下料金ト同額ノ料金ヲ納󠄃付スヘシ

前󠄃二項ノ貸下料金ノ納󠄃付期日及󠄃納󠄃付ノ方法ハ軍政部長之ヲ定ム

第十條 漁區又󠄂ハ製魚區ノ貸下ヲ受ケタル者ノ責ニ歸スヘカラサル事由ニ依リ其ノ權利ノ制限、停止又󠄂ハ許可ノ取消󠄃アリタル場合ニ於テハ軍政部長ハ貸下料金ヲ減免スルコトヲ得

既納󠄃ノ貸下料金ハ如何ナル場合ト雖之ヲ還󠄃付セス

第十一條 漁區又󠄂ハ製魚區ノ貸下許可證ハ之ヲ讓渡シ又󠄂ハ貸付スルコトヲ得ス

第十二條 漁區又󠄂ハ製魚區ノ貸下ヲ受ケタル者ハ軍政部長ノ許可ヲ受クルニアラサレハ其ノ權利ヲ讓渡シ又󠄂ハ貸付スルコトヲ得ス

第十三條 軍政部長ハ軍事、水產動植物ノ蕃殖保護又󠄂ハ採󠄃捕製造󠄃ノ取締󠄂其ノ他公󠄃益上必要󠄃アリト認󠄃ムルトキハ權利ヲ制限シ又󠄂ハ許可ヲ取消󠄃スコトヲ得

本令ノ規定又󠄂ハ本令ニ基ク命令若ハ貸下條件ニ違󠄄反シタルトキ又󠄂ハ貸下料金ヲ完納󠄃セサルトキハ軍政部長ハ許可ヲ取消󠄃スコトヲ得

第十四條 左ニ揭クル者ハ千圓以下ノ過󠄃料ニ處ス

一 貸下ノ許可ヲ受ケス又󠄂ハ詐僞ノ行爲ヲ以テ許可ヲ受ケ採󠄃捕又󠄂ハ製造󠄃ヲ爲シタル者

二 貸下條件ニ違󠄄反シタル者

三 第十一條及󠄃第十二條ノ規定ニ違󠄄反シタル者

四 第十三條ノ規定ニ依ル制限ニ違󠄄反シタル者

第十五條 前󠄃條ノ犯罪ニ係ル船󠄄舶、漁具󠄄、製造󠄃用具󠄄、漁獲物及󠄃製品ハ之ヲ沒收スルコトヲ得

前󠄃項ノ場合ニ於テ物ヲ沒收スルコト能ハサルトキハ其ノ價額ニ相當スル金額ヲ追徵ス

第十六條 第七條第二項第三項及󠄃第八條ノ規定ニ違󠄄反シタル者ハ五十圓以下ノ過󠄃料ニ處ス

第十七條 漁區又󠄂ハ製魚區ノ貸下ヲ受ケタル者ハ其ノ代理人、雇人其ノ他ノ從業者ニシテ業務ニ關シ本令ノ規定又󠄂ハ本令ニ基ク命令若ハ貸下條件ニ違󠄄反シタルトキハ自己ノ指圖ニ出テサルノ故ヲ以テ其ノ處罰ヲ免カルルコトヲ得ス

第十八條 漁區及󠄃製魚區ニ關シテハ本令又󠄂ハ本令ニ基ク命令ニ於テ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外日露漁業協約及󠄃協約附屬議定書竝從來ノ法令慣行ノ主旨ヲ參酌󠄃シ軍政部長之ヲ處理ス

附則

本令ハ公󠄃布ノ日ヨリ之ヲ施行ス

本令施行前󠄃成󠄃規ノ手續ニ依リ貸下ヲ受ケタル漁區又󠄂ハ製魚區ニシテ貸下期間中ニ在ルモノニ關スル取扱󠄃方法ハ軍政部長之ヲ定ム

この著作物は、日本国の著作権法第10条1項ないし3項により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。(なお、この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により、発行当時においても、著作権の目的となっていませんでした。)


この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。