正教要理問答/昼の祈祷文

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昼の祈祷文

稽古前の祈祷

至（し）善（ぜん）の主や　爾が聖神の恩寵（おんちょう）を遣（つか）はし我等に霊（たましひ）の力を賜（たま）ふて之を固（かた）め給へ　我等が授（さづ）けらるるの教（おしへ）に心を用（もち）ひ益々（ますます）成長して爾（なんぢ）我（わが）造物（ざうぶつ）主（しゅ）の光栄（さかえ）我（わが）親の慰（なぐさ）み教（けう）會（くわい）と生国（しゃうこく）の利（り）益（えき）となるを得（え）せしめ給へ

問　我等は此祈祷を以て如何なることを神に願ひ求むるや

答　我等が益々（ますます）学業（がくげふ）に進みて神の光栄（さかえ）を願はす者となり両（ふた）親（おや）を慰（なぐさ）むる者となり及び教（けう）會（くわい）と生国（しゃうこく）の利益を為す者とならんことを願ひ求むるなり

問　如何にして我等は神の光栄（さかえ）を願はすことを得るや

答　善を行（おこな）ふてなり

問　如何にして両（ふた）親（おや）を慰（なぐさ）むることを得るや

答　益々（ますます）学業（がくげふ）は進み温柔（おんじう）なる行為（おこなひ）と従（じう）順（じゅん）なる孝養（こうよう）とを以てなり

問　如何にして教（けう）會（くわい）と生国（しゃうこく）の利益となるを得るや

答　教（けう）會（くわい）の利益となるは我等が怠（おこた）らず聖堂（せいだう）に詣（まう）で能（よ）く教會の規（き）則（そく）を守り聖堂（せいだう）の為に金（かね）を献ずる等（など）の行（おこなひ）を以てなり又生国（しゃうこく）の利益となるは皇（くわう）帝（てい）に忠（ちう）を尽（つく）し皇帝の為に祈り皇帝の命（おほせ）に背（そむ）かず同胞と相（あひ）愛（あい）し相（あひ）扶（たす）くる等（など）の行（おこなひ）を以てなり

○　稽古前の祈祷の代（かは）りに『天の王慰むる者や云々…』の祈祷を唱ふるも亦可なり

稽（けい）古（こ）後（ご）の祈祷

造物主（ざうぶつしゅ）や爾の恩寵（おんちょう）を我等に賜ふて学業（がくげふ）に心を用ひさせ給ひしを爾に感謝（かんしゃ）す我等の首（しゅ）長（ちゃう）父母（ふぼ）教（けう）師（し）等（ら）我等を導（みちび）きて善を知らしむる者に福（さいはひ）を降（くだ）し及び我等に此学業（がくげふ）を継（つ）ぐが為に能力（ちから）を與（あた）へ給へ

問　我等は此祈祷を以て如何なることを神に願ひ求むるや

答　先（ま）づ初（はじめ）に神が我等の学業（がくげふ）を扶（たす）け給ふことを感謝（かんしゃ）し次に我等に善事を教ふる首長父母教師等に惠（めぐみ）を降し又我等に学業（がくげふ）を継ぐが為に能力（ちから）と壮健（さうけん）を與（あた）へ給ふことを願ひ求むるなり

食（しょく）前（ぜん）の祈祷

主や衆人（しゅうじん）の目は爾を望（のぞ）む爾は時に随（したがつ）て彼等に糧（かて）を賜ふ爾の豊（ゆたか）なる手を開きて諸（もろもろ）の生（いけ）る者を爾の惠（めぐみ）に飽（あ）かしむ

問　我等は此祈祷を以て如何なることを神に願ひ求むるや

答　神は我等の飲食物に福を降して我等に壮健（さうけん）を與ふることを願ひ求むるなり

問　主の『手』とは如何なる意（こころ）なるや

答　主の手とは我等を惠（めぐ）み給ふ神の慮（おもんばかり）を示すなり（太（マトフェイ）六の二十七）

問　『諸（もろもろ）の生（いけ）る者を爾の惠（めぐみ）に飽（あ）かしむ』とは如何なる意（こころ）なるや

答　神は我等人間のみならず禽（とり）獣（けもの）蟲（むし）魚（うを）に至るまで一切（いつさい）の生物（いきもの）に惠（めぐみ）を與（あた）へ給ふことを示すなり

○　此食前の祈祷の代りに『主経』を唱ふるも亦（また）可なり

ハリストス我（わが）神や爾（なんぢ）が地（ち）上（じゃう）の福（さいはひ）を我等に飽（あ）かしめ給ひしを爾に感謝（かんしゃ）す求む爾の天国（てんごく）をも我等に得（え）せしめ給へ

問　我等は此祈祷を以て如何なることを神に願ひ求むるや

答　神が我等に飲食（いんしょく）物（ぶつ）を飽（あ）かしめ給ひしことを感謝（かんしゃ）し次に天国（てんごく）を得（え）せしめ給ふことを願ひ求むるなり