新体詩抄/ロングフェルロー氏人生の詩(丶山仙士)
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ロングフェルロー氏人生の詩
編集丶山仙士
そも靈魂の眠るのは | 死ぬといふへきものぞかし |
人の一生夢なりと | あはれなふしでうたふなよ |
眠らにや夢は見ぬものぞ | 此世の事は何事も |
夢とおもへどさはあらず | |
人の一生夢ならず | 最とたしかずる事ぞかし |
人の終は墓なくも | 墓にうづまるものならず |
土より来り又土に | 歸ると云ふは肉體ぞ |
そりや靈魂の事ならず | |
此世に在りて樂むも | 又苦しむも固と人の |
世にある趣意にあらざらん | 生るは役に立つ為ぞ |
日毎〳〵に怠らず | 今日は今日丈け一日の |
功を立てねばならぬぞよ | |
光陰實に箭の如く | 藝道 |
心は如何に猛く共 | 墓なく進む葬禮の |
音止めされたる大皷の音 | |
最ともあはれにひゞくらん | |
此世の中は戰爭ぞ | 其戰爭の中に居て |
人に生れた甲斐もなく | 人に使はれ追はれつゝ |
あゆむ羊や牛たるな | 人に劣らず憤發し |
功名手柄なすべきぞ | |
如何に樂しくおもふ共 | 未來はあてにすべからず |
如何にうれしくありつとも | 過去はむかしに過し事 |
働くべきは現在ぞ | 其働を見る者は |
胸の心と天の神 | |
豪傑輩の一生を | 熟ら思ひめぐらせば |
生きて甲斐なきものならず | 人に勝れし手柄して |
稀なる譽得るならば | 名は香しく後の世に |
永く傳へて殘るらん | |
其香しき名を聞かば | 社會の海に乘り出して |
艱苦辛苦の浪風に | 吹き廻はされて破舩して |
助け舩さへあらぬ身も | 氣を取り直し憤發し |
功名遂ぐる者あらん | |
されば人〻怠たるな | |
運命如何につたなきも | 心を落すことなかれ |
たゆまず止まず自若とし | 功名手柄なしつゝも |
勤め働くことをせよ |
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原文: |
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翻訳文: |
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