犯罪による収益の移転防止に関する法律

平成19年法律22号から転送)


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(目的)

第一条

この法律は、犯罪による収益が組織的な犯罪を助長するために使用されるとともに、これが移転して事業活動に用いられることにより健全な経済活動に重大な悪影響を与えるものであること、及び犯罪による収益の移転が没収、追徴その他の手続によりこれをはく奪し、又は犯罪による被害の回復に充てることを困難にするものであることから、犯罪による収益の移転を防止すること(以下「犯罪による収益の移転防止」という。)が極めて重要であることにかんがみ、特定事業者による顧客等の本人確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置を講ずることにより、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律 (平成十一年法律第百三十六号。以下「組織的犯罪処罰法」という。)及び国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律 (平成三年法律第九十四号。以下「麻薬特例法」という。)による措置と相まって、犯罪による収益の移転防止を図り、併せてテロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約等の的確な実施を確保し、もって国民生活の安全と平穏を確保するとともに、経済活動の健全な発展に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条

この法律において「犯罪による収益」とは、組織的犯罪処罰法第二条第四項 に規定する犯罪収益等又は麻薬特例法第二条第五項 に規定する薬物犯罪収益等をいう。
2  この法律において「特定事業者」とは、次に掲げる者をいう。
一  銀行
二  信用金庫
三  信用金庫連合会
四  労働金庫
五  労働金庫連合会
六  信用協同組合
七  信用協同組合連合会
八  農業協同組合
九  農業協同組合連合会
十  漁業協同組合
十一  漁業協同組合連合会
十二  水産加工業協同組合
十三  水産加工業協同組合連合会
十四  農林中央金庫
十五  株式会社商工組合中央金庫
十五の二  株式会社日本政策投資銀行
十六  保険会社
十七  保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第七項に規定する外国保険会社等
十八  保険業法第二条第十八項に規定する少額短期保険業者
十九  共済水産業協同組合連合会
二十  金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第九項に規定する金融商品取引業者
二十一  金融商品取引法第二条第三十項に規定する証券金融会社
二十二  金融商品取引法第六十三条第三項に規定する特例業務届出者
二十三  信託会社
二十四  信託業法(平成十六年法律第百五十四号)第五十条の二第一項の登録を受けた者
二十五  不動産特定共同事業法(平成六年法律第七十七号)第二条第五項に規定する不動産特定共同事業者(信託会社又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた金融機関であって、不動産特定共同事業法第二条第四項に規定する不動産特定共同事業を営むものを含む。)
二十六  無尽会社
二十七  貸金業法(昭和五十八年法律第三十二号)第二条第二項に規定する貸金業者
二十八  貸金業法第二条第一項第五号に規定する者のうち政令で定める者
二十八の二  資金決済に関する法律 (平成二十一年法律第五十九号)第二条第三項 に規定する資金移動業者
二十九  商品先物取引法 (昭和二十五年法律第二百三十九号)第二条第二十三項 に規定する商品先物取引業者
三十  社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第二条第二項に規定する振替機関(同法第四十八条の規定により振替機関とみなされる日本銀行を含む。)
三十一  社債、株式等の振替に関する法律第二条第四項に規定する口座管理機関
三十一の二  電子記録債権法 (平成十九年法律第百二号)第二条第二項 に規定する電子債権記録機関
三十二  独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構
三十三  本邦において両替業務(業として外国通貨(本邦通貨以外の通貨をいう。)又は旅行小切手の売買を行うことをいう。)を行う者
三十四  顧客に対し、その指定する機械類その他の物品を購入してその賃貸(政令で定めるものに限る。)をする業務を行う者
三十五  それを提示し又は通知して、特定の販売業者から商品若しくは権利を購入し、又は特定の役務提供事業者(役務の提供の事業を営む者をいう。以下この号において同じ。)から有償で役務の提供を受けることができるカードその他の物又は番号、記号その他の符号(以下「クレジットカード等」という。)をこれにより商品若しくは権利を購入しようとする者又は役務の提供を受けようとする者(以下「利用者たる顧客」という。)に交付し又は付与し、当該利用者たる顧客が当該クレジットカード等を提示し又は通知して特定の販売業者から商品若しくは権利を購入し、又は特定の役務提供事業者から有償で役務の提供を受けたときは、当該販売業者又は役務提供事業者に当該商品若しくは権利の代金又は当該役務の対価に相当する額の金銭を直接に又は第三者を経由して交付するとともに、当該利用者たる顧客から、あらかじめ定められた時期までに当該代金若しくは当該対価の合計額の金銭を受領し、又はあらかじめ定められた時期ごとに当該合計額を基礎としてあらかじめ定められた方法により算定して得た額の金銭を受領する業務を行う者
三十六  宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)第二条第三号に規定する宅地建物取引業者(信託会社又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第一条第一項の認可を受けた金融機関であって、宅地建物取引業法第二条第二号に規定する宅地建物取引業(第四条第一項において単に「宅地建物取引業」という。)を営むもの(第二十条第一項第十四号において「みなし宅地建物取引業者」という。)を含む。)
三十七  金、白金その他の政令で定める貴金属若しくはダイヤモンドその他の政令で定める宝石又はこれらの製品(以下「貴金属等」という。)の売買を業として行う者
三十八  顧客に対し、自己の居所若しくは事務所の所在地を当該顧客が郵便物(民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第三項に規定する信書便物並びに大きさ及び重量が郵便物に類似する貨物を含む。以下同じ。)を受け取る場所として用い、又は自己の電話番号を当該顧客が連絡先の電話番号として用いることを許諾し、当該自己の居所若しくは事務所において当該顧客あての郵便物を受け取ってこれを当該顧客に引き渡し、又は当該顧客あての当該電話番号に係る電話(ファクシミリ装置による通信を含む。第二十条第一項第十一号において同じ。)を受けてその内容を当該顧客に連絡する役務を提供する業務を行う者
三十九  弁護士(外国法事務弁護士を含む。)又は弁護士法人
四十  司法書士又は司法書士法人
四十一  行政書士又は行政書士法人
四十二  公認会計士(公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第五項に規定する外国公認会計士を含む。)又は監査法人
四十三  税理士又は税理士法人

(国家公安委員会の責務等)

第三条

国家公安委員会は、特定事業者による本人確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置が的確に行われることを確保するため、特定事業者に対し犯罪による収益の移転に係る手口に関する情報の提供その他の援助を行うとともに、犯罪による収益の移転防止の重要性について国民の理解を深めるよう努めるものとする。
2  国家公安委員会は、特定事業者により届け出られた疑わしい取引に関する情報その他の犯罪による収益に関する情報が、刑事事件の捜査及び犯則事件の調査並びに犯罪による収益の移転防止に関する国際的な情報交換その他の協力に有効に活用されるよう、迅速かつ的確にその集約、整理及び分析を行うものとする。
3  国家公安委員会その他の関係行政機関及び地方公共団体の関係機関は、犯罪による収益の移転防止について相互に協力するものとする。

(本人確認義務等)

第四条

特定事業者(第二条第二項第三十九号に掲げる特定事業者(第八条において「弁護士等」という。)を除く。以下同じ。)は、顧客(同項第三十五号に掲げる特定事業者にあっては、利用者たる顧客。以下同じ。)又はこれに準ずる者として政令で定める者(以下「顧客等」という。)との間で、次の表の上欄に掲げる特定事業者の区分に応じそれぞれ同表の中欄に定める業務(以下「特定業務」という。)のうち同表の下欄に定める取引(以下「特定取引」という。)を行うに際しては、運転免許証の提示を受ける方法その他の主務省令で定める方法により、当該顧客等について、本人特定事項(当該顧客等が自然人である場合にあっては氏名、住居(本邦内に住居を有しない外国人で政令で定めるものにあっては、主務省令で定める事項)及び生年月日をいい、当該顧客等が法人である場合にあっては名称及び本店又は主たる事務所の所在地をいう。以下同じ。)の確認(以下「本人確認」という。)を行わなければならない。
特定事業者 特定業務 特定取引
第二条第二項第一号から第三十三号までに掲げる者 金融に関する業務その他の政令で定める業務 預貯金契約(預金又は貯金の受入れを内容とする契約をいう。第二十六条第一項において同じ。)の締結、為替取引その他の政令で定める取引
第二条第二項第三十四号に掲げる者 同号に規定する業務 同号に規定する物品の賃貸借契約の締結その他の政令で定める取引
第二条第二項第三十五号に掲げる者 同号に規定する業務 クレジットカード等の交付又は付与を内容とする契約の締結その他の政令で定める取引
第二条第二項第三十六号に掲げる者 宅地建物取引業のうち、宅地(宅地建物取引業法第二条第一号に規定する宅地をいう。以下この表において同じ。)若しくは建物(建物の一部を含む。以下この表において同じ。)の売買又はその代理若しくは媒介に係るもの 宅地又は建物の売買契約の締結その他の政令で定める取引
第二条第二項第三十七号に掲げる者 貴金属等の売買の業務 貴金属等の売買契約の締結その他の政令で定める取引
第二条第二項第三十八号に掲げる者 同号に規定する業務 同号に規定する役務の提供を行うことを内容とする契約の締結その他の政令で定める取引
第二条第二項第四十号に掲げる者 司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号)第三条若しくは第二十九条に定める業務又はこれらに付随し、若しくは関連する業務のうち、顧客のためにする次に掲げる行為又は手続(政令で定めるものを除く。)についての代理又は代行(以下「特定受任行為の代理等」という。)に係るもの 特定受任行為の代理等を行うことを内容とする契約の締結その他の政令で定める取引
一 宅地又は建物の売買に関する行為又は手続
二 会社の設立又は合併に関する行為又は手続その他の政令で定める会社の組織、運営又は管理に関する行為又は手続(会社以外の法人、組合又は信託であって政令で定めるものに係るこれらに相当するものとして政令で定める行為又は手続を含む。)
三 現金、預金、有価証券その他の財産の管理又は処分(前二号に該当するものを除く。)
第二条第二項第四十一号に掲げる者 行政書士法(昭和二十六年法律第四号)第一条の二、第一条の三若しくは第十三条の六に定める業務又はこれらに付随し、若しくは関連する業務のうち、特定受任行為の代理等に係るもの 特定受任行為の代理等を行うことを内容とする契約の締結その他の政令で定める取引
第二条第二項第四十二号に掲げる者 公認会計士法第二条第二項若しくは第三十四条の五第一号に定める業務又はこれらに付随し、若しくは関連する業務のうち、特定受任行為の代理等に係るもの 特定受任行為の代理等を行うことを内容とする契約の締結その他の政令で定める取引
第二条第二項第四十三号に掲げる者 税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)第二条若しくは第四十八条の五に定める業務又はこれらに付随し、若しくは関連する業務のうち、特定受任行為の代理等に係るもの 特定受任行為の代理等を行うことを内容とする契約の締結その他の政令で定める取引
2  特定事業者は、顧客等の本人確認を行う場合において、会社の代表者が当該会社のために当該特定事業者との間で特定取引を行うときその他の当該特定事業者との間で現に特定取引の任に当たっている自然人が当該顧客等と異なるとき(次項に規定する場合を除く。)は、当該顧客等の本人確認に加え、当該特定取引の任に当たっている自然人(以下「代表者等」という。)についても、本人確認を行わなければならない。
3  顧客等が国、地方公共団体、人格のない社団又は財団その他の政令で定めるものである場合には、当該顧客等のために当該特定事業者との間で現に特定取引の任に当たっている自然人を顧客等とみなして、第一項の規定を適用する。
4  顧客等(前項の規定により顧客等とみなされる自然人を含む。以下同じ。)及び代表者等は、特定事業者が本人確認を行う場合において、当該特定事業者に対して、顧客等又は代表者等の本人特定事項を偽ってはならない。

(特定事業者の免責)

第五条

特定事業者は、顧客等又は代表者等が特定取引を行う際に本人確認に応じないときは、当該顧客等又は代表者等がこれに応ずるまでの間、当該特定取引に係る義務の履行を拒むことができる。

(本人確認記録の作成義務等)

第六条

特定事業者は、本人確認を行った場合には、直ちに、主務省令で定める方法により、本人特定事項、本人確認のためにとった措置その他の主務省令で定める事項に関する記録(以下「本人確認記録」という。)を作成しなければならない。
2  特定事業者は、本人確認記録を、特定取引に係る契約が終了した日その他の主務省令で定める日から、七年間保存しなければならない。

(取引記録等の作成義務等)

第七条

特定事業者(次項に規定する特定事業者を除く。)は、特定業務に係る取引を行った場合には、少額の取引その他の政令で定める取引を除き、直ちに、主務省令で定める方法により、顧客等の本人確認記録を検索するための事項、当該取引の期日及び内容その他の主務省令で定める事項に関する記録を作成しなければならない。
2  第二条第二項第四十号から第四十三号までに掲げる特定事業者は、特定受任行為の代理等を行った場合には、その価額が少額である財産の処分の代理その他の政令で定める特定受任行為の代理等を除き、直ちに、主務省令で定める方法により、顧客等の本人確認記録を検索するための事項、当該特定受任行為の代理等を行った期日及び内容その他の主務省令で定める事項に関する記録を作成しなければならない。
3  特定事業者は、前二項に規定する記録(以下「取引記録等」という。)を、当該取引又は特定受任行為の代理等の行われた日から七年間保存しなければならない。

(弁護士等による本人確認等に相当する措置)

第八条

弁護士等による顧客等又は代表者等の本人確認、本人確認記録の作成及び保存並びに取引記録等の作成及び保存に相当する措置については、第二条第二項第四十号から第四十三号までに掲げる特定事業者の例に準じて日本弁護士連合会の会則で定めるところによる。
2  第五条の規定は、前項の規定により定められた日本弁護士連合会の会則の規定により弁護士等が行う本人確認に相当する措置について準用する。
3  政府及び日本弁護士連合会は、犯罪による収益の移転防止に関し、相互に協力するものとする。

(疑わしい取引の届出等)

第九条

特定事業者(第二条第二項第四十号から第四十三号までに掲げる特定事業者を除く。)は、特定業務において収受した財産が犯罪による収益である疑いがあり、又は顧客等が特定業務に関し組織的犯罪処罰法第十条の罪若しくは麻薬特例法第六条の罪に当たる行為を行っている疑いがあると認められる場合においては、速やかに、政令で定めるところにより、政令で定める事項を行政庁に届け出なければならない。
2  特定事業者(その役員及び使用人を含む。)は、前項の規定による届出(以下「疑わしい取引の届出」という。)を行おうとすること又は行ったことを当該疑わしい取引の届出に係る顧客等又はその者の関係者に漏らしてはならない。
3  行政庁(都道府県知事又は都道府県公安委員会に限る。)は、疑わしい取引の届出を受けたときは、速やかに、当該疑わしい取引の届出に係る事項を主務大臣に通知するものとする。
4  行政庁(都道府県知事及び都道府県公安委員会を除く。)又は前項の主務大臣(国家公安委員会を除く。)は、疑わしい取引の届出又は同項の通知を受けたときは、速やかに、当該疑わしい取引の届出又は通知に係る事項を国家公安委員会に通知するものとする。

(外国為替取引に係る通知義務)

第十条

特定事業者(第二条第二項第一号から第十五号まで及び第二十八号の二に掲げる特定事業者に限る。以下この条において同じ。)は、顧客と本邦から外国(本邦の域外にある国又は地域をいい、政令で定める国又は地域を除く。以下この条において同じ。)へ向けた支払に係る為替取引(小切手の振出しその他の政令で定める方法によるものを除く。)を行う場合において、当該支払を他の特定事業者又は外国所在為替取引業者(外国に所在して業として為替取引を行う者をいう。以下この条において同じ。)に委託するときは、当該顧客に係る本人特定事項その他の事項で主務省令で定めるものを通知して行わなければならない。
2  特定事業者は、他の特定事業者から前項又はこの項の規定による通知を受けて本邦から外国へ向けた支払の委託又は再委託を受けた場合において、当該支払を他の特定事業者又は外国所在為替取引業者に再委託するときは、当該通知に係る事項を通知して行わなければならない。
3  特定事業者は、外国所在為替取引業者からこの条の規定に相当する外国の法令の規定による通知を受けて外国から本邦へ向けた支払又は外国から他の外国へ向けた支払の委託又は再委託を受けた場合において、当該支払を他の特定事業者又は外国所在為替取引業者に再委託するときは、当該通知に係る事項(主務省令で定める事項に限る。)を通知して行わなければならない。
4  特定事業者は、他の特定事業者から前項又はこの項の規定による通知を受けて外国から本邦へ向けた支払又は外国から他の外国へ向けた支払の再委託を受けた場合において、当該支払を他の特定事業者又は外国所在為替取引業者に再委託するときは、当該通知に係る事項(主務省令で定める事項に限る。)を通知して行わなければならない。

(捜査機関等への情報提供等)

第十一条

国家公安委員会は、疑わしい取引の届出に係る事項、第九条、この条及び次条に規定する国家公安委員会の職務に相当する職務を行う外国の機関から提供された情報並びにこれらを整理し又は分析した結果(以下「疑わしい取引に関する情報」という。)が検察官、検察事務官若しくは司法警察職員又は収税官吏、税関職員、徴税吏員若しくは証券取引等監視委員会の職員(以下この条において「検察官等」という。)による組織的犯罪処罰法第二条第二項第一号 イ若しくはロ若しくは同項第二号 ニに掲げる罪、組織的犯罪処罰法第十条第三項 若しくは第十一条 の罪、麻薬特例法第二条第二項 各号に掲げる罪又は麻薬特例法第六条 若しくは第七条 の罪に係る刑事事件の捜査又は犯則事件の調査に資すると認めるときは、これを検察官等に提供するものとする。
2  検察官等は、前項に規定する罪に係る刑事事件の捜査又は犯則事件の調査のため必要があると認めるときは、国家公安委員会に対し、疑わしい取引に関する情報の記録の閲覧若しくは謄写又はその写しの送付を求めることができる。

(外国の機関への情報提供)

第十二条

国家公安委員会は、前条第一項に規定する外国の機関に対し、その職務(第九条、前条及びこの条に規定する国家公安委員会の職務に相当するものに限る。次項において同じ。)の遂行に資すると認める疑わしい取引に関する情報を提供することができる。
2  前項の規定による疑わしい取引に関する情報の提供については、当該疑わしい取引に関する情報が前条第一項に規定する外国の機関の職務の遂行以外に使用されず、かつ、次項の規定による同意がなければ外国の刑事事件の捜査(その対象たる犯罪事実が特定された後のものに限る。)又は審判(以下この条において「捜査等」という。)に使用されないよう適切な措置がとられなければならない。
3  国家公安委員会は、外国からの要請があったときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、第一項の規定により提供した疑わしい取引に関する情報を当該要請に係る刑事事件の捜査等に使用することについて同意をすることができる。
一  当該要請に係る刑事事件の捜査等の対象とされている犯罪が政治犯罪であるとき、又は当該要請が政治犯罪について捜査等を行う目的で行われたものと認められるとき。
二  国際約束(第一項の規定による疑わしい取引に関する情報の提供に関する国際約束をいう。第五項において同じ。)に別段の定めがある場合を除き、当該要請に係る刑事事件の捜査等の対象とされている犯罪に係る行為が日本国内において行われたとした場合において、その行為が日本国の法令によれば罪に当たるものでないとき。
三  日本国が行う同種の要請に応ずる旨の要請国の保証がないとき。
4  国家公安委員会は、前項の同意をする場合においては、あらかじめ、同項第一号及び第二号に該当しないことについて法務大臣の確認を、同項第三号に該当しないことについて外務大臣の確認を、それぞれ受けなければならない。
5  第一項の規定による疑わしい取引に関する情報の提供が、疑わしい取引に関する情報を使用することができる外国の刑事事件の捜査等(政治犯罪についての捜査等以外の捜査等に限る。)の範囲を定めた国際約束に基づいて行われたときは、その範囲内における当該疑わしい取引に関する情報の使用については、第三項の同意があるものとみなす。

(報告)

第十三条

行政庁は、この法律の施行に必要な限度において、特定事業者に対しその業務に関して報告又は資料の提出を求めることができる。

(立入検査)

第十四条

行政庁は、この法律の施行に必要な限度において、当該職員に特定事業者の営業所その他の施設に立ち入らせ、帳簿書類その他の物件を検査させ、又はその業務に関し関係人に質問させることができる。
2  前項の規定により立入検査をする当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
3  第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
4  第一項の規定は、特定事業者である日本銀行については、適用しない。

(指導等)

第十五条

行政庁は、この法律に定める特定事業者による措置の適正かつ円滑な実施を確保するため必要があると認めるときは、特定事業者に対し、必要な指導、助言及び勧告をすることができる。

(是正命令)

第十六条

行政庁は、特定事業者がその業務に関して第四条第一項から第三項まで、第六条、第七条、第九条第一項若しくは第二項又は第十条の規定に違反していると認めるときは、当該特定事業者に対し、当該違反を是正するため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

(国家公安委員会の意見の陳述)

第十七条

国家公安委員会は、特定事業者がその業務に関して前条に規定する規定に違反していると認めるときは、行政庁(都道府県公安委員会を除く。以下この条において同じ。)に対し、当該特定事業者に対し前条の規定による命令を行うべき旨又は他の法令の規定により当該違反を理由として業務の停止その他の処分を行うことができる場合にあっては、当該特定事業者に対し当該処分を行うべき旨の意見を述べることができる。
2  国家公安委員会は、前項の規定により意見を述べるため必要な限度において、特定事業者に対しその業務に関して報告若しくは資料の提出を求め、又は相当と認める都道府県警察に必要な調査を行うことを指示することができる。
3  前項の指示を受けた都道府県警察の警視総監又は道府県警察本部長は、同項の調査を行うため特に必要があると認められるときは、あらかじめ国家公安委員会の承認を得て、当該職員に、特定事業者の営業所その他の施設に立ち入らせ、帳簿書類その他の物件を検査させ、又はその業務に関し関係人に質問させることができる。この場合においては、第十四条第二項から第四項までの規定を準用する。
4  国家公安委員会は、前項の承認をしようとするときは、あらかじめ、行政庁(行政庁が都道府県知事である場合にあっては、主務大臣を経由して当該都道府県知事)にその旨を通知しなければならない。
5  前項の通知を受けた行政庁は、政令で定めるところにより、国家公安委員会に対し、第十四条第一項の規定による権限の行使と第三項の規定による都道府県警察の権限の行使との調整を図るため必要な協議を求めることができる。この場合において、国家公安委員会は、その求めに応じなければならない。

(主務省令への委任)

第十八条

この法律に定めるもののほか、この法律を実施するため必要な事項は、主務省令で定める。

(経過措置)

第十九条

この法律の規定に基づき政令又は主務省令を制定し、又は改廃する場合においては、その政令又は主務省令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

(行政庁等) 第二十条  この法律における行政庁は、次の各号に掲げる特定事業者の区分に応じ、当該特定事業者に係る事項に関して、それぞれ当該各号に定める者とする。

一  第二条第二項第一号から第三号まで、第六号、第七号、第十六号から第十八号まで、第二十号から第二十四号まで、第二十六号から第二十八号の二まで及び第四十二号に掲げる特定事業者 内閣総理大臣
二  第二条第二項第四号及び第五号に掲げる特定事業者 内閣総理大臣及び厚生労働大臣
三  第二条第二項第八号及び第九号に掲げる特定事業者 農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第九十八条第一項に規定する行政庁
四  第二条第二項第十号から第十三号まで及び第十九号に掲げる特定事業者 水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第百二十七条第一項に規定する行政庁
五  第二条第二項第十四号に掲げる特定事業者 農林水産大臣及び内閣総理大臣
六  第二条第二項第十五号に掲げる特定事業者 株式会社商工組合中央金庫法 (平成十九年法律第七十四号)第五十六条第二項 に規定する主務大臣

六の二  第二条第二項第十五号の二に掲げる特定事業者 株式会社日本政策投資銀行法 (平成十九年法律第八十五号)第二十九条第一項 に規定する主務大臣

七  第二条第二項第二十五号に掲げる特定事業者 不動産特定共同事業法第四十九条第一項に規定する主務大臣
八  第二条第二項第二十九号に掲げる特定事業者 商品先物取引法第三百五十四条第一項 に規定する主務大臣
九  第二条第二項第三十号から第三十一号の二までに掲げる特定事業者(次号に掲げる者を除く。) 内閣総理大臣及び法務大臣
十  第二条第二項第三十号及び第三十一号に掲げる特定事業者のうち国債を取り扱う者 内閣総理大臣、法務大臣及び財務大臣
十一  第二条第二項第三十二号に掲げる特定事業者及び同項第三十八号に掲げる特定事業者のうち顧客あての電話を受けてその内容を当該顧客に連絡する役務を提供する業務を行う者 総務大臣
十二  第二条第二項第三十三号及び第四十三号に掲げる特定事業者 財務大臣
十三  第二条第二項第三十四号、第三十五号及び第三十七号に掲げる特定事業者並びに同項第三十八号に掲げる特定事業者のうち顧客あての郵便物を受け取ってこれを当該顧客に引き渡す役務を提供する業務を行う者 経済産業大臣
十四  第二条第二項第三十六号に掲げる特定事業者 宅地建物取引業法第三条第一項の免許をした国土交通大臣又は都道府県知事(みなし宅地建物取引業者である特定事業者にあっては、国土交通大臣)
十五  第二条第二項第四十号に掲げる特定事業者 法務大臣
十六  第二条第二項第四十一号に掲げる特定事業者 都道府県知事
2  前項の規定にかかわらず、第十条第一項に規定する特定事業者(第二条第二項第十五号に掲げる特定事業者を除く。)に係る第十条に定める事項に関する行政庁は、前項に定める行政庁及び財務大臣とする。
3  第一項の規定にかかわらず、特定事業者のうち金融商品取引法第三十三条の二に規定する登録を受けた者が登録金融機関業務(同法第三十三条の五第一項第三号に規定する登録金融機関業務をいう。第六項第二号において同じ。)を行う場合には、当該登録金融機関業務に係る事項に関する行政庁は、内閣総理大臣とする。
4  第一項の規定にかかわらず、第二条第二項第三十七号に掲げる特定事業者のうち古物営業法(昭和二十四年法律第百八号)第三条第一項の許可を受けた者が同法第二条第一項の古物である貴金属等の売買の業務を行う場合には、当該業務に係る事項に関する行政庁は、都道府県公安委員会とする。この場合において、道公安委員会の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、方面公安委員会に行わせることができる。
5  内閣総理大臣は、この法律による権限(金融庁の所掌に係るものに限り、政令で定めるものを除く。)を金融庁長官に委任する。
6  金融庁長官は、前項の規定により委任された権限(第九条、第十五条及び第十六条に関するものを除く。次項において「金融庁長官権限」という。)のうち、次に掲げる行為に係るものを証券取引等監視委員会に委任する。ただし、報告又は資料の提出を命ずる権限は、金融庁長官が自ら行うことを妨げない。
一  第二条第二項第二十号及び第二十二号に掲げる特定事業者による行為
二  登録金融機関業務に係る行為
7  金融庁長官は、政令で定めるところにより、金融庁長官権限のうち、第二条第二項第二十一号、第三十号及び第三十一号に掲げる特定事業者による行為(前項各号に掲げる行為を除く。)に係るものを証券取引等監視委員会に委任することができる。
8  前二項の場合において、証券取引等監視委員会が行う報告又は資料の提出の命令についての行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による不服申立ては、証券取引等監視委員会に対してのみ行うことができる。
9  この法律に規定する行政庁の権限に属する事務(この法律の規定により都道府県知事又は都道府県公安委員会の権限に属することとされている事務を除く。)の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。
10  前各項に規定するもののほか、第九条及び第十三条から第十七条までの規定による行政庁の権限の行使に関して必要な事項は、政令で定める。

(主務大臣等)

第二十一条

この法律における主務大臣は、次のとおりとする。
一  次のイからホまでに掲げる特定事業者の区分に応じ、当該特定事業者に係る事項(次号から第四号までに掲げる事項を除く。)に関して、それぞれ当該イからホまでに定める大臣
イ ロからホまでに掲げる特定事業者以外の特定事業者 前条第一項に定める行政庁である大臣
ロ 第二条第二項第八号及び第九号に掲げる特定事業者 農業協同組合法第九十八条第二項に規定する主務大臣
ハ 第二条第二項第十号から第十三号まで及び第十九号に掲げる特定事業者 水産業協同組合法第百二十七条第二項に規定する主務大臣
ニ 第二条第二項第三十六号に掲げる特定事業者 国土交通大臣
ホ 第二条第二項第四十一号に掲げる特定事業者 総務大臣
二  前条第二項に規定する特定事業者に係る同項に規定する事項 前号イからハまでに定める大臣及び財務大臣
三  前条第三項に規定する特定事業者に係る同項に規定する事項 内閣総理大臣
四  前条第四項に規定する特定事業者に係る同項に規定する事項 国家公安委員会
2  この法律における主務省令は、内閣総理大臣、総務大臣、法務大臣、財務大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、経済産業大臣及び国土交通大臣が共同で発する命令とする。

(事務の区分)

第二十二条

この法律の規定により都道府県が処理することとされている事務のうち次に掲げる者に係るものは、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。
一  農業協同組合法第十条第一項第三号の事業を行う農業協同組合及び農業協同組合連合会
二  水産業協同組合法第十一条第一項第四号の事業を行う漁業協同組合
三  水産業協同組合法第八十七条第一項第四号の事業を行う漁業協同組合連合会
四  水産業協同組合法第九十三条第一項第二号の事業を行う水産加工業協同組合
五  水産業協同組合法第九十七条第一項第二号の事業を行う水産加工業協同組合連合会

(罰則)

第二十三条

第十六条の規定による命令に違反した者は、二年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第二十四条  次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一  第十三条若しくは第十七条第二項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした者
二  第十四条第一項若しくは第十七条第三項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

第二十五条

本人特定事項を隠ぺいする目的で、第四条第四項の規定に違反した者は、五十万円以下の罰金に処する。

第二十六条

他人になりすまして特定事業者(第二条第二項第一号から第十五号まで及び第三十二号に掲げる特定事業者に限る。以下この条において同じ。)との間における預貯金契約に係る役務の提供を受けること又はこれを第三者にさせることを目的として、当該預貯金契約に係る預貯金通帳、預貯金の引出用のカード、預貯金の引出し又は振込みに必要な情報その他特定事業者との間における預貯金契約に係る役務の提供を受けるために必要なものとして政令で定めるもの(以下「預貯金通帳等」という。)を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者は、五十万円以下の罰金に処する。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者も、同様とする。
2  相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同様とする。
3  業として前二項の罪に当たる行為をした者は、二年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
4  第一項又は第二項の罪に当たる行為をするよう、人を勧誘し、又は広告その他これに類似する方法により人を誘引した者も、第一項と同様とする。

第二十七条

他人になりすまして第二条第二項第二十八号の二に掲げる特定事業者(以下この条において「資金移動業者」という。)との間における為替取引により送金をし若しくは送金を受け取ること又はこれらを第三者にさせることを目的として、当該為替取引に係る送金の受取用のカード、送金又はその受取に必要な情報その他資金移動業者との間における為替取引による送金又はその受取に必要なものとして政令で定めるもの(以下「為替取引カード等」という。)を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者は、五十万円以下の罰金に処する。通常の商取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、為替取引カード等を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者も、同様とする。
2  相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に為替取引カード等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。通常の商取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、為替取引カード等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同様とする。
3  業として前二項の罪に当たる行為をした者は、二年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
4  第一項又は第二項の罪に当たる行為をするよう、人を勧誘し、又は広告その他これに類似する方法により人を誘引した者も、第一項と同様とする。

第二十八条

法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一  第二十三条 三億円以下の罰金刑
二  第二十四条 二億円以下の罰金刑
三  第二十五条 同条の罰金刑

(金融商品取引法 の準用)

第二十九条

金融商品取引法第九章 の規定は、第二十条第六項各号に掲げる行為に係る第二十五条及び前条第三号に規定する罪の事件について準用する。

附 則 抄

編集

(施行期日)

第一条

この法律は、平成十九年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一  第二条第二項(第二十二号及び第二十四号を除く。)、第四条から第十条まで及び第十三条から第二十八条までの規定並びに次条、附則第五条から第七条まで、附則第九条から第十二条まで及び附則第十四条から第十八条までの規定、附則第十九条中証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十八年法律第六十六号)第百八十九条及び第百九十条の改正規定並びに同法第百九十六条の改正規定(株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律(平成十六年法律第八十八号)附則第百二十七条の改正規定を削る部分に限る。)、附則第二十条の規定、附則第二十三条中金融庁設置法(平成十年法律第百三十号)第八条の改正規定及び同法第二十条第一項の改正規定並びに附則第二十七条の規定 公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日
二  第二条第二項第二十二号の規定 前号に定める日(以下「一部施行日」という。)又は証券取引法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第六十五号)の施行の日のいずれか遅い日
三  第二条第二項第二十四号の規定 一部施行日又は信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十八年法律第百九号)の施行の日のいずれか遅い日
四  附則第八条の規定 一部施行日又は証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行の日のいずれか遅い日
五  附則第二十一条の規定 この法律の施行の日(附則第三条において「施行日」という。)又は犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律(平成十九年法律第   号)の施行の日のいずれか遅い日

(金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律の廃止)

第二条

金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律(平成十四年法律第三十二号)は、廃止する。

(経過措置)

第三条

犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律の施行の日が施行日後となる場合には、同法の施行の日の前日までの間における第十一条第一項の規定の適用については、同項中「収税官吏、税関職員、徴税吏員」とあるのは「税関職員」と、「第二条第二項第一号イ若しくはロ若しくは同項第二号ニに掲げる罪、組織的犯罪処罰法第十条第三項」とあるのは「別表若しくは第二条第二項第二号イからニまでに掲げる罪、同項第三号若しくは第四号に規定する罪、組織的犯罪処罰法第九条第一項から第三項まで、第十条」とする。

第四条

一部施行日の前日までの間における次の表の上欄に掲げるこの法律の規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。
第十一条第一項 疑わしい取引の届出 組織的犯罪処罰法第五十四条第一項の規定による届出
第九条 同条並びに
第十二条第一項 第九条 組織的犯罪処罰法第五十四条並びに

第五条

株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律の施行の日が一部施行日後となる場合には、同法の施行の日の前日までの間における第二条第二項の規定の適用については、同項第三十号中「社債、株式等の振替に関する法律」とあるのは「株券等の保管及び振替に関する法律(昭和五十九年法律第三十号)第二条第二項に規定する保管振替機関及び社債等の振替に関する法律」と、同項第三十一号中「社債、株式等の振替に関する法律」とあるのは「株券等の保管及び振替に関する法律第二条第三項に規定する参加者及び社債等の振替に関する法律」とする。

第六条

郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)の施行の日が一部施行日後となる場合には、同法の施行の日の前日までの間における第二条第二項第三十二号及び第十条第一項の規定の適用については、同号中「独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構」とあるのは「日本郵政公社」と、同項中「第十五号まで」とあるのは「第十五号まで及び第三十二号」とする。
2  前項に規定する場合においては、郵政民営化法の施行の日前に、日本郵政公社の業務(同法、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法(平成十七年法律第百一号)又は郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十七年法律第百二号)の規定により郵政民営化法第九十四条に規定する郵便貯金銀行(以下この条において単に「郵便貯金銀行」という。)の業務とされるもの(郵政民営化法の施行の日において行われたとしたならば郵便貯金銀行の業務とされるものを含む。以下この条において「郵便貯金銀行移行業務」という。)に限る。)に関し、この法律の規定により、日本郵政公社に対して行い、又は日本郵政公社が行った処分、手続その他の行為は、この法律の規定により郵便貯金銀行に対して行い、又は郵便貯金銀行が行った処分、手続その他の行為とみなす。
3  第一項に規定する場合においては、郵政民営化法の施行の日前に、日本郵政公社の業務(郵便貯金銀行移行業務を除く。)に関し、この法律の規定により、日本郵政公社に対して行い、又は日本郵政公社が行った処分、手続その他の行為は、この法律の規定により独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構に対して行い、又は独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構が行った処分、手続その他の行為とみなす。
4  第一項に規定する場合においては、郵政民営化法の施行の日前に日本郵政公社が行った特定業務に関する同日以後の第九条の規定の適用については、郵便貯金銀行移行業務は郵便貯金銀行が、郵便貯金銀行移行業務以外の日本郵政公社の業務は独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構がそれぞれ行ったものとみなす。

第七条

証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行の日が一部施行日後となる場合には、同法の施行の日の前日までの間における次の表の上欄に掲げるこの法律の規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。
第二条第二項第二十号 金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第九項に規定する金融商品取引業者 証券会社、外国証券業者に関する法律(昭和四十六年法律第五号)第二条第二号に規定する外国証券会社(第二十条第六項第一号において単に「外国証券会社」という。)、投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第十八項に規定する投資信託委託業者(第二十条第六項第一号において単に「投資信託委託業者」という。)、信託業法(平成十六年法律第百五十四号)第二条第十一項に規定する信託受益権販売業者、抵当証券業の規制等に関する法律(昭和六十二年法律第百十四号)第二条第二項に規定する抵当証券業者、商品投資に係る事業の規制に関する法律(平成三年法律第六十六号)第二条第五項に規定する商品投資販売業者(第二十条第一項第一号において単に「商品投資販売業者」という。)及び金融先物取引法(昭和六十三年法律第七十七号)第二条第十二項に規定する金融先物取引業者(第二十条第六項第一号において単に「金融先物取引業者」という。)
第二条第二項第二十一号 金融商品取引法第二条第三十項 証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第三十二項
第二十条第一項第一号 から第二十四号まで 、第二十一号、第二十三号、第二十四号
内閣総理大臣 内閣総理大臣(同項第二十号に掲げる特定事業者(商品投資販売業者に限る。)にあっては、商品投資に係る事業の規制に関する法律第四十九条第一項に規定する主務大臣)
第二十条第三項 金融商品取引法第三十三条の二 証券取引法第六十五条の二第一項
登録金融機関業務(同法第三十三条の五第一項第三号に規定する登録金融機関業務をいう。第六項第二号において同じ。) 同法第六十五条第二項各号に掲げる有価証券又は取引に係る同項各号に定める行為(同条第一項ただし書に該当するものを除く。)
当該登録金融機関業務 当該行為
第二十条第六項第一号 第二条第二項第二十号及び第二十二号に掲げる特定事業者 第二条第二項第二十号に掲げる特定事業者(証券会社、外国証券会社、投資信託委託業者及び金融先物取引業者に限る。)
第二十条第六項第二号 登録金融機関業務に係る 第三項に規定する
第二十八条(見出しを含む。) 金融商品取引法 証券取引法

第八条

証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行の日から起算して六年を経過する日までの間における第二条第二項第二十号及び第二十条第六項第一号の規定の適用については、第二条第二項第二十号中「金融商品取引業者」とあるのは「金融商品取引業者(第二十条第六項第一号において単に「金融商品取引業者」という。)及び証券取引法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十八年法律第六十六号)第五十七条第一項に規定する旧抵当証券業者」と、第二十条第六項第一号中「第二条第二項第二十号及び第二十二号」とあるのは「第二条第二項第二十号に掲げる特定事業者(金融商品取引業者に限る。)及び同項第二十二号」とする。

第九条

信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行の日が一部施行日後となる場合には、同法の施行の日の前日までの間における第二十条第一項第一号の規定の適用については、同号中「第二十四号」とあるのは、「第二十三号」とする。

第十条

貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律(平成十八年法律第百十五号)の施行の日が一部施行日後となる場合には、同法の施行の日の前日までの間における第二条第二項第二十七号及び第二十八号の規定の適用については、これらの規定中「貸金業法」とあるのは、「貸金業の規制等に関する法律」とする。

(処分、手続等に関する経過措置)

第二十四条

この法律の規定による廃止又は改正前のそれぞれの法律の規定によってした処分、手続その他の行為であって、この法律又はこの法律の規定による改正後のそれぞれの法律の規定に相当の規定があるものは、この附則に別段の定めがあるものを除き、この法律又はこの法律の規定による改正後のそれぞれの法律の相当の規定によってしたものとみなす。

(罰則に関する経過措置)

第二十五条

この法律(附則第一条各号に掲げる規定にあっては、当該規定)の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(政令への委任)

第二十六条

この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

(検討)

第二十七条

犯罪による収益の移転防止のための制度については、この法律の施行状況、犯罪による収益の移転防止に関する国際的動向等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。

附 則 (平成一九年六月一日法律第七四号) 抄

編集

(施行期日)

第一条

この法律は、平成二十年十月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一  附則第三条から第二十二条まで、第二十五条から第三十条まで、第百一条及び第百二条の規定 公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日

(処分等に関する経過措置)

第百条

この法律の施行前に改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。以下この条において同じ。)の規定によってした処分、手続その他の行為であって、改正後のそれぞれの法律の規定に相当の規定があるものは、この附則に別段の定めがあるものを除き、改正後のそれぞれの法律の相当の規定によってしたものとみなす。

(罰則の適用に関する経過措置)

第百一条

この法律(附則第一条各号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この条において同じ。)の施行前にした行為並びにこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合及びこの附則の規定によりなおその効力を有することとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(その他の経過措置の政令への委任)

第百二条

この附則に定めるもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。

附 則 (平成一九年六月一三日法律第八五号) 抄

編集

(施行期日)

第一条

この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
三  附則第二十六条から第六十条まで及び第六十二条から第六十五条までの規定 平成二十年十月一日

(検討)

第六十六条

政府は、附則第一条第三号に定める日までに、電気事業会社の日本政策投資銀行からの借入金の担保に関する法律、石油の備蓄の確保等に関する法律、石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律、民間都市開発の推進に関する特別措置法、エネルギー等の使用の合理化及び資源の有効な利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律その他の法律(法律に基づく命令を含む。)の規定により政投銀の投融資機能が活用されている制度について、当該制度の利用者の利便にも配慮しつつ、他の事業者との対等な競争条件を確保するための措置を検討し、その検討の結果を踏まえ、所要の措置を講ずるものとする。

(会社の長期の事業資金に係る投融資機能の活用)

第六十七条

政府は、会社の長期の事業資金に係る投融資機能を附則第一条第三号に定める日以後において活用する場合には、他の事業者との間の適正な競争関係に留意しつつ、対等な競争条件を確保するための措置その他当該投融資機能の活用に必要な措置を講ずるものとする。

附 則 (平成一九年六月二七日法律第一〇二号) 抄

編集

(施行期日)

第一条

この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(検討)

第十二条

政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、電子債権記録機関に係る制度について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

附 則 (平成二一年六月二四日法律第五九号) 抄

編集

(施行期日)

第一条

この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(罰則の適用に関する経過措置)

第三十四条

この法律の施行前にした行為及びこの法律の附則においてなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(政令への委任)

第三十五条

この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

(検討)

第三十六条

政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、資金決済に関する制度について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

附 則 (平成二一年七月一〇日法律第七四号) 抄

編集

(施行期日)

第一条

この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。



 

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