第一章 総則 編集

(目的)

第一条
この法律は、民間にゆだねることが可能なものはできる限りこれにゆだねることが、より自由で活力ある経済社会の実現に資することにかんがみ、平成十六年九月十日に閣議において決定された郵政民営化の基本方針に則して行われる改革(以下「郵政民営化」という。)について、その基本的な理念及び方針並びに国等の責務を定めるとともに、郵政民営化推進本部及び郵政民営化委員会の設置、新たな株式会社の設立、当該株式会社に関して講ずる措置、日本郵政公社(以下「公社」という。)の業務等の承継等に関する事項その他郵政民営化の実施に必要となる事項を定めることにより、これを集中的かつ計画的に推進することを目的とする。

(基本理念)

第二条
郵政民営化は、内外の社会経済情勢の変化に即応し、公社に代わる新たな体制の確立等により、経営の自主性、創造性及び効率性を高めるとともに公正かつ自由な競争を促進し、多様で良質なサービスの提供を通じた国民の利便の向上及び資金のより自由な運用を通じた経済の活性化を図るため、地域社会の健全な発展及び市場に与える影響に配慮しつつ、公社が有する機能を分割し、それぞれの機能を引き継ぐ組織を株式会社とするとともに、当該株式会社の業務と同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保するための措置を講じ、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを基本として行われるものとする。

(国等の責務)

第三条
国は、前条の基本理念にのっとり、郵政民営化に関する施策を確実かつ円滑に実施する責務を有する。
2  公社及び公社を承継する組織は、前条の基本理念にのっとり、郵政民営化に関する施策が確実かつ円滑に実施されるよう必要な取組を行う責務を有する。

第二章 基本方針 編集

(基本方針)

第四条
郵政民営化に関する施策についての基本方針は、この章に定めるとおりとする。

(公社の解散及び新会社の設立)

第五条
公社は、平成十九年十月一日に解散するものとする。
2  公社の機能を引き継がせるため、次の各号に掲げる業務を営む株式会社として当該各号に定める株式会社を新たに設立するものとする。
一  郵便事業株式会社及び郵便局株式会社の発行済株式の総数を保有し、これらの株式会社の経営管理を行う業務 日本郵政株式会社
二  あまねく公平に、かつ、なるべく安い料金で行う郵便の業務 郵便事業株式会社
三  郵便窓口業務及び郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務 郵便局株式会社
四  銀行業 郵便貯金銀行(第九十四条に規定する郵便貯金銀行をいう。第八章を除き、以下同じ。)
五  生命保険業 郵便保険会社(第百二十六条に規定する郵便保険会社をいう。第九章を除き、以下同じ。)
3  平成十九年十月一日において、日本郵政株式会社の発行済株式の総数は政府が、前項第二号から第五号までに定める株式会社の発行済株式の総数は日本郵政株式会社が、それぞれ保有するものとする。

(公社の業務等の承継等)

第六条
前条第一項に規定する公社の解散の日以後、新たな郵便貯金及び簡易生命保険の取扱いは、行わないものとする。
2  従前の郵便貯金(通常郵便貯金を除く。)及び簡易生命保険の管理に関する業務は、新たに設立する独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構(以下「機構」という。)に承継させるものとする。
3  前項に規定するもののほか、公社の業務その他の機能並びに権利及び義務(以下「業務等」という。)は、前条第二項各号に定める株式会社(以下「承継会社」という。)又は機構(以下「承継会社等」という。)に承継させるものとする。
4  公社の職員の雇用は、承継会社において確保するものとする。

(新会社の株式)

第七条
政府が保有する日本郵政株式会社の株式がその発行済株式の総数に占める割合は、できる限り早期に減ずるものとする。ただし、その割合は、常時、三分の一を超えているものとする。
2  日本郵政株式会社が保有する郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式は、移行期間(平成十九年十月一日から平成二十九年九月三十日までの期間をいう。以下同じ。)中に、その全部を処分するものとする。

(新会社の業務についての同種の業務を営む事業者との対等な競争条件の確保)

第八条
承継会社の業務については、同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保するために必要な制限を加えるとともに、移行期間中に、郵政民営化に関する状況に応じ、これを緩和するものとする。

(郵政民営化の推進及び監視に関する組織の設置)

第九条
準備期間(附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日から平成十九年九月三十日までの期間をいう。以下同じ。)及び移行期間における郵政民営化を推進するとともに、その状況を監視するため、政府に、郵政民営化推進本部及び郵政民営化委員会を設置するものとする。

第三章 郵政民営化推進本部及び郵政民営化委員会 編集

第一節 郵政民営化推進本部 編集

(設置)

第十条
内閣に、郵政民営化推進本部(以下「本部」という。)を置く。

(所掌事務等)

第十一条
本部は、次に掲げる事務をつかさどる。
一  郵政民営化の推進に関する総合調整に関すること。
二  郵政民営化の推進のために必要な法律案及び政令案の立案に関すること。
三  前二号に掲げるもののほか、郵政民営化に関する施策で重要なものの企画に関する審議及びその施策の実施の推進に関すること。
2  本部は、郵政民営化委員会が第十九条第一項第一号又は第百六十三条第五項の規定による意見を述べたときは、その内容を国会に報告しなければならない。

(組織)

第十二条
本部は、郵政民営化推進本部長、郵政民営化推進副本部長及び郵政民営化推進本部員をもって組織する。

(郵政民営化推進本部長)

第十三条
本部の長は、郵政民営化推進本部長(以下「本部長」という。)とし、内閣総理大臣をもって充てる。
2  本部長は、本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。

(郵政民営化推進副本部長)

第十四条
本部に、郵政民営化推進副本部長(以下「副本部長」という。)を置き、内閣官房長官、郵政民営化担当大臣(内閣総理大臣の命を受けて、郵政民営化に関し内閣総理大臣を助けることをその職務とする国務大臣をいう。)、内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第十一条の特命担当大臣、総務大臣、財務大臣及び国土交通大臣をもって充てる。
2  副本部長は、本部長の職務を助ける。

(郵政民営化推進本部員)

第十五条
本部に、郵政民営化推進本部員(以下「本部員」という。)を置く。
2  本部員は、本部長及び副本部長以外のすべての国務大臣をもって充てる。

(幹事)

第十六条
本部に、幹事を置く。
2  幹事は、関係行政機関の職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。
3  幹事は、本部の所掌事務について、本部長、副本部長及び本部員を助ける。

(事務)

第十七条
本部の事務(郵政民営化委員会の事務を除く。)は、内閣官房において処理し、命を受けて内閣官房副長官補が掌理する。

第二節 郵政民営化委員会 編集

(設置)

第十八条
本部に、郵政民営化委員会(以下「民営化委員会」という。)を置く。

(所掌事務)

第十九条
民営化委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。
一  三年ごとに、承継会社の経営状況及び国際金融市場の動向その他内外の社会経済情勢の変化を勘案しつつ、郵政民営化の進捗状況について総合的な見直しを行い、その結果に基づき、本部長に意見を述べること。
二 第三十三条第二項、第五十条第二項、第六十二条第三項、第六十三条第二項、第七十八条第二項、第九十三条第二項、第百十二条第三項、第百十六条第四項、第百十九条第二項、第百二十条第二項、第百四十条第二項、第百四十四条第四項、第百四十七条第二項又は第百四十九条第二項の規定によりその権限に属させられた事項について、必要があると認めるときは、本部長を通じて関係各大臣に意見を述べること。
三  前二号に掲げるもののほか、郵政民営化に関する事項について調査審議し、その結果に基づき、本部長に意見を述べること。
四  前三号に掲げるもののほか、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理すること。
2  民営化委員会は、この法律の規定により意見を述べたときは、遅滞なく、その内容を公表しなければならない。
3  本部長又は関係各大臣は、第一項の規定による意見に基づき措置を講じたときは、その旨を民営化委員会に通知しなければならない。

(組織)

第二十条
民営化委員会は、委員五人をもって組織する。

(委員)

第二十一条
委員は、優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する。
2  委員は、非常勤とする。

(委員の任期)

第二十二条
委員の任期は、三年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2  委員は、再任されることができる。
3  委員の任期が満了したときは、当該委員は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。

(委員長)

第二十三条
民営化委員会に委員長を置き、委員の互選によってこれを定める。
2  委員長は、会務を総理し、民営化委員会を代表する。
3  委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。

(事務局)

第二十四条
民営化委員会の事務を処理させるため、民営化委員会に事務局を置く。
2  事務局に、事務局長のほか、所要の職員を置き、内閣総理大臣が任命する。
3  事務局長は、委員長の命を受けて、局務を掌理する。

(資料の提出その他の協力の要請)

第二十五条
民営化委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、国の行政機関、地方公共団体、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。)及び地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。)の長並びに特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)第四条第十五号の規定の適用を受けるものをいう。)、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の代表者に対して、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。
2  民営化委員会は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。

第三節 雑則 編集

(設置期限等)

第二十六条
本部(民営化委員会を含む。次条において同じ。)は、平成二十九年九月三十日まで置かれるものとする。
2  平成二十九年九月三十日において民営化委員会の委員である者の任期は、第二十二条第一項の規定にかかわらず、その日に満了する。

(主任の大臣)

第二十七条
本部に係る事項については、内閣法(昭和二十二年法律第五号)にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とする。

第四章 準備期間中の日本郵政公社の業務に関する特例等 編集

(通則)

第二十八条
公社については、準備期間中、この法律又は他の法律に別段の定めがあるもののほか、この章の定めるところによる。

(業務の特例)

第二十九条
公社は、日本郵政公社法(平成十四年法律第九十七号。以下「公社法」という。)第十九条第一項及び第二項並びに日本郵政公社による証券投資信託の受益証券の募集の取扱い等のための日本郵政公社の業務の特例等に関する法律(平成十六年法律第百六十五号)第三条に規定する業務のほか、これらの業務の遂行に支障のない範囲内で、国際貨物運送(本邦と外国との間において行う貨物の運送をいう。以下この章において同じ。)に関する事業を行うことを主たる目的とする公社子会社の委託を受けて、次に掲げる業務を行うことができる。
一  国際貨物運送に関する事業に係る国内貨物運送(本邦内の各地間において行う貨物の運送をいう。)
二  国際貨物運送に関する事業に附帯する業務
2  公社は、前項に規定する業務を行おうとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない。
3 第一項の「公社子会社」とは、公社がその総株主等の議決権(総株主、総社員又は総出資者の議決権(株式会社にあっては、株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除き、会社法(平成十七年法律第八十六号)第八百七十九条第三項の規定により議決権を有するものとみなされる株式についての議決権を含む。第六十一条第一号を除き、以下同じ。)をいう。以下この項において同じ。)の百分の五十を超える議決権を有する会社をいう。この場合において、公社及び一若しくは二以上の公社子会社又は一若しくは二以上の公社子会社がその総株主等の議決権の百分の五十を超える議決権を有する他の会社は、公社子会社とみなす。

(出資の特例)

第三十条
公社は、公社法第二十一条の規定による出資のほか、総務大臣の認可を受けて、国際貨物運送に関する事業を行うことを主たる目的とする会社に出資をすることができる。

(公社法の適用)

第三十一条
第二十九条第一項の規定により公社の業務が行われる場合、前条の規定により公社の出資が行われる場合又は同条の規定により公社が出資している会社の業務が行われる場合には、次の表の上欄に掲げる公社法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。

第二十四条第四項第二号 並びに同条第三項に規定する業務 、同条第三項に規定する業務並びに郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)第二十九条第一項に規定する業務 第三十八条第一項及び第四十一条第十一号 費用 費用(郵政民営化法第二十九条第一項に規定する業務に係るものを除く。) 第四十五条第一項第三号 三 第四十一条第四号から第十二号までに掲げる方法 三 第四十一条第四号から第十一号までに掲げる方法/四 郵便業務に係る資金繰りに充てるための資金(郵政民営化法第二十九条第一項に規定する業務に係るものを除く。)の融通 第五十八条第一項 日本郵政公社による原動機付自転車等責任保険募集の取扱いに関する法律 日本郵政公社による原動機付自転車等責任保険募集の取扱いに関する法律、郵政民営化法(第四章の規定に限る。) 債務の状況 債務の状況並びに郵政民営化法第三十条の規定により公社が出資している会社の業務の状況 第六十五条第一項第三号 又は第四十三条第一項(第四十五条第二項において準用する場合を含む。) 若しくは第四十三条第一項(第四十五条第二項において準用する場合を含む。)又は郵政民営化法第二十九条第二項若しくは第三十条 第六十七条第一号 又は第四十七条 若しくは第四十七条又は郵政民営化法第三十条 第七十二条第一号 又は承認を受けなければならない 若しくは承認を受け、又は郵政民営化法の規定により総務大臣の認可を受けなければならない 第七十二条第四号 第十九条第一項から第三項までに規定する業務 第十九条第一項から第三項まで及び郵政民営化法第二十九条第一項に規定する業務 第七十二条第十五号 又は第六十一条第一項 若しくは第六十一条第一項又は郵政民営化法第三十五条第二項 第七十二条第十六号 第六十五条第一項又は第二項 第六十五条第一項若しくは第二項又は郵政民営化法第三十五条第三項

(日本郵政株式会社の意見の聴取)

第三十二条
総務大臣は、第二十九条第二項又は第三十条の認可の申請があったときは、日本郵政株式会社の意見を聴かなければならない。

(民営化委員会の意見の聴取等)

第三十三条
総務大臣は、第二十九条第二項若しくは第三十条の認可の申請があったとき、又は次条第一項の規定により付した条件を変更しようとするときは、民営化委員会の意見を聴かなければならない。
2  総務大臣は、第三十五条第二項又は公社法第六十一条第一項の規定による命令をしたときは、速やかに、その旨を民営化委員会に通知しなければならない。

(認可の条件)

第三十四条
総務大臣は、第二十九条第二項又は第三十条の認可に条件を付し、及びこれを変更することができる。
2  前項の条件は、認可の趣旨に照らして、又は認可に係る事項の確実な実施を図るため必要最小限のものでなければならない。

(同種の業務を営む事業者への配慮等)

第三十五条
第二十九条第一項の規定により公社の業務が行われる場合、第三十条の規定により公社の出資が行われる場合又は同条の規定により公社が出資している会社の業務が行われる場合には、公社は、公社の当該業務又は当該出資に係る会社の業務と同種の業務を営む事業者の利益を不当に害することのないよう特に配慮しなければならない。
2  総務大臣は、前項に規定する場合において、公社の当該業務又は当該出資に係る会社の業務が、同種の業務を営む事業者の利益を不当に害し、又は害するおそれがあると認めるときは、公社に対し、必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
3  第二十九条第一項の規定により公社の業務が行われる場合又は第三十条の規定により公社の出資が行われる場合には、公社は、総務省令で定めるところにより、事業年度ごとに、当該業務に関する収支の状況又は当該出資の状況を公表しなければならない。

第五章 日本郵政株式会社 編集

第一節 設立等 編集

(設立)

第三十六条
総務大臣は、設立委員を命じ、日本郵政株式会社の設立に関して発起人の職務を行わせる。
2  設立委員は、定款を作成して、総務大臣の認可を受けなければならない。
3  総務大臣は、前項の認可をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。
4  日本郵政株式会社の設立に際して発行する株式に関する次に掲げる事項及び日本郵政株式会社が発行することができる株式の総数は、定款で定めなければならない。
一  株式の数(日本郵政株式会社を種類株式発行会社(会社法第二条第十三号に規定する種類株式発行会社をいう。以下同じ。)として設立しようとする場合にあっては、その種類及び種類ごとの数)
二  株式の払込金額(株式一株と引換えに払い込む金銭の額をいう。)
三  資本金及び資本準備金の額に関する事項
5  日本郵政株式会社の設立に際して発行する株式の総数は、公社が引き受けるものとし、設立委員は、これを公社に割り当てるものとする。
6  前項の規定により割り当てられた株式による日本郵政株式会社の設立に関する株式引受人としての権利は、政府が行使する。
7  公社は、日本郵政株式会社の設立に際し、日本郵政株式会社に対し、金銭を出資するものとする。
8 日本郵政株式会社の設立に係る会社法第六十五条第一項の規定の適用については、同項中「第五十八条第一項第三号の期日又は同号の期間の末日のうち最も遅い日以後」とあるのは、「郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)第三十六条第五項の規定による株式の割当後」とする。
9  第七項の規定により公社が行う出資に係る金銭の払込みは、附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日に行われるものとし、日本郵政株式会社は、会社法第四十九条の規定にかかわらず、その時に成立する。
10  日本郵政株式会社は、会社法第九百十一条第一項の規定にかかわらず、日本郵政株式会社の成立後遅滞なく、その設立の登記をしなければならない。
11  公社が第七項の規定による出資によって取得する日本郵政株式会社の株式は、日本郵政株式会社の成立の時に、政府に無償譲渡されるものとする。
12  会社法第三十条及び第二編第一章第三節の規定は、日本郵政株式会社の設立については、適用しない。

(準備期間中の追加出資)

第三十七条
日本郵政株式会社が平成十九年九月三十日までの間に発行する株式の総数は、公社が引き受けるものとし、日本郵政株式会社は、これを公社に割り当てるものとする。
2  公社は、前項の規定による株式の引受けに際し、日本郵政株式会社に対し、金銭を出資するものとする。
3  公社が前項の規定による出資によって取得する日本郵政株式会社の株式は、公社が行う出資に係る金銭の払込みの時に、政府に無償譲渡されるものとする。

(承継計画に基づく出資)

第三十八条
日本郵政株式会社が承継計画(第百六十六条第一項に規定する承継計画をいう。以下第十一章第一節までにおいて同じ。)において定めるところに従い発行する株式の総数は、公社が引き受けるものとし、日本郵政株式会社は、これを公社に割り当てるものとする。
2 前項の株式については、会社法第四百四十五条第二項の規定にかかわらず、その発行に際して次項の規定により公社が出資した財産の額の二分の一を超える額を資本金として計上しないことができる。この場合において、同条第一項中「この法律」とあるのは、「この法律又は郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)」とする。
3  公社は、第一項の規定による株式の引受けに際し、日本郵政株式会社に対し、承継計画において定めるところに従い、その財産を出資するものとする。この場合においては、公社法第四十七条の規定は、適用しない。
4  前項の規定により公社が行う出資に係る給付は、この法律の施行の時に行われるものとする。
5  公社が第三項の規定による出資によって取得する日本郵政株式会社の株式は、この法律の施行の時に、政府に無償譲渡されるものとする。
6  会社法第二百七条の規定は、日本郵政株式会社が第一項の株式を発行する場合については、適用しない。

(商号)

第三十九条
日本郵政株式会社法(平成十七年法律第九十八号)第三条の規定は、附則第一条第一号に掲げる規定の施行の際現にその商号中に日本郵政株式会社という文字を使用している者については、同号に掲げる規定の施行後六月間は、適用しない。

(初年度の事業計画)

第四十条
日本郵政株式会社の成立の日の属する事業年度の事業計画については、日本郵政株式会社法第十条中「毎事業年度の開始前に」とあるのは、「会社の成立後遅滞なく」とする。

第二節 経営委員会 編集

(設置)

第四十一条
日本郵政株式会社に、平成十九年九月三十日までの間、経営委員会を置く。

(権限)

第四十二条
経営委員会は、次に掲げる事項の決定を行う。
一  実施計画(第百六十三条第一項に規定する実施計画をいう。以下この章において同じ。)の作成(同条第四項の実施計画の変更を含む。以下この章において同じ。)に関する事項の決定
二  郵便事業株式会社、郵便局株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の設立に関する事項の決定
三  第三十二条の規定による意見の聴取に係る事項の決定
四  前三号に掲げるもののほか、会社法第三百六十二条第四項第一号及び第二号に掲げる事項のうち取締役会の決議により委任を受けた事項の決定
2  経営委員会は、前項第一号から第三号までに掲げる事項の決定について、取締役会から委任を受けたものとみなす。

(組織)

第四十三条
経営委員会は、取締役である委員三人以上七人以内で組織する。
2  委員の中には、代表取締役が一人以上含まれなければならない。
3  委員は、取締役会の決議により定める。
4  委員の選定及び解職の決議は、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
5  委員は、日本郵政株式会社の定款その他の定めにかかわらず、それぞれ独立してその職務を執行する。
6  経営委員会に委員長を置き、委員の互選によってこれを定める。
7  委員長は、経営委員会の会務を総理する。
8  経営委員会は、あらかじめ、委員のうちから、委員長に事故がある場合に委員長の職務を代理する者を定めておかなければならない。

(運営)

第四十四条
経営委員会は、委員長(委員長に事故があるときは、前条第八項に規定する委員長の職務を代理する者。以下この条において同じ。)が招集する。
2  経営委員会は、委員長が出席し、かつ、現に在任する委員の総数の三分の二以上の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。
3  経営委員会の議事は、出席した委員の過半数をもって決する。可否同数のときは、委員長が決する。
4  前項の規定による決議について特別の利害関係を有する委員は、議決に加わることができない。
5  前項の規定により議決に加わることができない委員の数は、第二項に規定する現に在任する委員の数に算入しない。
6  監査役は、経営委員会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。
7  経営委員会の委員であって経営委員会によって選定された者は、第三項の規定による決議後、遅滞なく、当該決議の内容を取締役会に報告しなければならない。
8  経営委員会の議事については、総務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した委員及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
9 前項の議事録が電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして総務省令で定めるものをいう。以下この節において同じ。)をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、総務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
10  前各項及び次条に規定するもののほか、議事の手続その他経営委員会の運営に関し必要な事項は、経営委員会が定める。

(議事録)

第四十五条
日本郵政株式会社は、前条第八項の議事録を十年間その本店に備え置かなければならない。
2  株主は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、次に掲げる請求をすることができる。
一  前項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二  前項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を総務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
3  債権者は、委員の責任を追及するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第一項の議事録について前項各号に掲げる請求をすることができる。
4  裁判所は、前二項の請求に係る閲覧又は謄写をすることにより、日本郵政株式会社、その子会社(会社法第二条第三号に規定する子会社をいう。)又は公社に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、前二項の許可をすることができない。
5  会社法第八百六十八条第一項、第八百六十九条、第八百七十条(第一号に係る部分に限る。)、第八百七十一条本文、第八百七十二条(第四号に係る部分に限る。)、第八百七十三条本文、第八百七十五条及び第八百七十六条の規定は、第二項及び第三項の許可について準用する。
6  取締役は、第一項の議事録について第二項各号に掲げる請求をすることができる。

(登記)

第四十六条
日本郵政株式会社は、委員を選定したときは、二週間以内に、その本店の所在地において、委員の氏名を登記しなければならない。委員の氏名に変更を生じたときも、同様とする。
2  前項の規定による委員の選定の登記の申請書には、委員の選定及びその選定された委員が就任を承諾したことを証する書面を添付しなければならない。
3  委員の退任による変更の登記の申請書には、これを証する書面を添付しなければならない。
4  日本郵政株式会社は、この法律の施行後遅滞なく、第一項の規定により登記された事項の消滅の登記をしなければならない。

第三節 準備期間中の業務に関する特例等 編集

(通則)

第四十七条
日本郵政株式会社については、準備期間中、この法律又は他の法律に別段の定めがあるもののほか、この節の定めるところによる。

(業務の特例)

第四十八条
日本郵政株式会社は、平成十九年九月三十日までの間、日本郵政株式会社法第四条に規定する業務のほか、次に掲げる業務を行うものとする。
一  実施計画の作成
二  郵便貯金銀行及び郵便保険会社が発行する株式の引受け及び保有並びにこれらの株式会社の株主としての権利の行使
三  前二号に掲げる業務に附帯する業務

(定款)

第四十九条
日本郵政株式会社の定款には、平成十九年九月三十日までの間、会社法第二条第十二号に規定する委員会を置く旨を定めてはならない。

(日本郵政株式会社法の適用に関する特例等)

第五十条
平成十九年九月三十日までの間における日本郵政株式会社法の規定の適用については、同法第十四条第一項中「この法律」とあるのは「この法律並びに郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)第四十八条及び第四十九条」と、同条第二項及び同法第十五条第一項中「この法律」とあるのは「この法律並びに郵政民営化法第四十八条及び第四十九条の規定」とする。
2  総務大臣は、平成十九年九月三十日までの間において日本郵政株式会社法第十四条第二項の規定による命令をしたときは、速やかに、その旨を民営化委員会に通知しなければならない。

(国家公務員共済組合法の適用に関する特例)

第五十一条
平成十九年九月三十日までの間、日本郵政株式会社に使用される者(常勤の役員を含み、臨時に使用される者を除く。)のうち国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)第二条第一項第一号に規定する職員(以下この条において「職員」という。)に相当する者として公社に属する職員をもって組織された組合(同法第三条第一項に規定する組合をいう。第九十七条及び第百二十九条において同じ。)の運営規則で定める者は当該組合を組織する職員と、日本郵政株式会社の業務は公務とみなして同法の規定を適用する。この場合において、同法第九十九条第二項中「公社の負担金を」とあるのは「公社等(公社及び日本郵政株式会社をいう。以下同じ。)の負担金を」と、同項各号並びに同法第百二条第一項及び第四項中「公社」とあるのは「公社等」とする。

第四節 承継に関する日本郵政株式会社法等の特例 編集

(日本郵政株式会社法の特例)

第五十二条
日本郵政株式会社は、この法律の施行の時において、第六十一条又は日本郵政株式会社法第四条第一項若しくは附則第二条第一項に規定する業務に該当しない業務であって、日本郵政株式会社が行うものとして承継計画において定められたものについて、同法第四条第二項の認可を受けたものとみなす。

(銀行法の特例)

第五十三条
日本郵政株式会社は、この法律の施行の時において、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第五十二条の十七第一項の認可を受けたものとみなす。

(保険業法の特例)

第五十四条
日本郵政株式会社は、この法律の施行の時において、保険業法(平成七年法律第百五号)第二百七十一条の十八第一項の認可を受けたものとみなす。

(業務等の届出に関する特例)

第五十五条
日本郵政株式会社は、この法律の施行の時において、日本郵政株式会社が行う業務として承継計画において定められたもののうち、第六十一条第二号に掲げる業務及びこれに附帯する業務以外の業務について、第六十四条後段の規定による届出をしたものとみなす。
第五十六条
日本郵政株式会社は、この法律の施行の時において、郵便事業株式会社、郵便局株式会社その他その子会社(銀行法第二条第八項に規定する子会社をいう。次条及び第六十四条から第六十六条までにおいて同じ。)として承継計画において定められたものについて、第六十五条後段の規定による届出をしたものとみなす。
第五十七条
日本郵政株式会社は、この法律の施行の時において、日本郵政株式会社がその子会社と合算して基準議決権数(第六十六条第一項に規定する基準議決権数をいう。)を超えて保有する国内の会社として承継計画において定められたものについて、同項後段の規定による届出をしたものとみなす。
第五十八条
日本郵政株式会社は、この法律の施行の時において、日本郵政株式会社が行う業務として承継計画において定められたもののうち、第六十一条第二号に掲げる業務及びこれに附帯する業務以外の業務について、第六十七条後段の規定による届出をしたものとみなす。
第五十九条
日本郵政株式会社は、この法律の施行の時において、郵便事業株式会社、郵便局株式会社その他その子会社(保険業法第二条第十二項に規定する子会社をいう。第六十七条及び第六十八条において同じ。)として承継計画において定められたものについて、同条後段の規定による届出をしたものとみなす。

第五節 移行期間中の業務に関する特例等 編集

(通則)

第六十条
日本郵政株式会社については、移行期間中、この法律又は他の法律に別段の定めがあるもののほか、この節の定めるところによる。

(業務の特例)

第六十一条
日本郵政株式会社は、日本郵政株式会社法第四条及び附則第二条第一項に規定する業務のほか、次に掲げる業務を行うものとする。
一 郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式を除き、会社法第八百七十九条第三項の規定により議決権を有するものとみなされる株式を含む。次号、次条、第百四条第一号及び第百三十四条第一号において同じ。)の処分
二  郵便貯金銀行又は郵便保険会社の株式を処分するまでの間における当該株式の保有及びこれらの株式会社の株主としての権利の行使
三  前二号に掲げる業務に附帯する業務

(株式の処分)

第六十二条
日本郵政株式会社は、移行期間中に、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の全部を段階的に処分しなければならない。
2  日本郵政株式会社は、次の各号に掲げる場合には、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出るとともに、当該各号に定める者及び機構に通知しなければならない。
一  郵便貯金銀行の株式の全部を処分した場合 郵便貯金銀行
二  郵便保険会社の株式の全部を処分した場合 郵便保険会社
3  総務大臣は、前項の規定による届出を受けた場合には、速やかに、その旨を内閣総理大臣及び民営化委員会に通知しなければならない。

(日本郵政株式会社法の適用に関する特例等)

第六十三条
前二条の規定の適用がある場合における日本郵政株式会社法の規定の適用については、同法第十四条第一項中「この法律」とあるのは「この法律並びに郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)第六十一条及び第六十二条」と、同条第二項及び同法第十五条第一項中「この法律」とあるのは「この法律並びに郵政民営化法第六十一条及び第六十二条の規定」とする。
2  総務大臣は、日本郵政株式会社法第十四条第二項の規定による命令をしたときは、速やかに、その旨を民営化委員会に通知しなければならない。

(銀行法の特例)

第六十四条
日本郵政株式会社が郵便貯金銀行を子会社とする銀行持株会社(銀行法第二条第十三項に規定する銀行持株会社をいう。次条及び第六十六条において同じ。)である場合には、同法第五十二条の二十一第一項の規定は、日本郵政株式会社については、適用しない。この場合において、日本郵政株式会社は、第六十一条第二号に掲げる業務及びこれに附帯する業務以外の業務を行おうとするときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
第六十五条
日本郵政株式会社が郵便貯金銀行を子会社とする銀行持株会社である場合には、銀行法第五十二条の二十三の規定は、日本郵政株式会社については、適用しない。この場合において、日本郵政株式会社は、子会社を設立しようとするとき、又は他の会社を子会社としようとするときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
第六十六条
日本郵政株式会社が郵便貯金銀行を子会社とする銀行持株会社である場合には、銀行法第五十二条の二十四の規定は、日本郵政株式会社又はその子会社については、適用しない。この場合において、日本郵政株式会社は、国内の会社(銀行(同法第二条第一項に規定する銀行をいう。)並びに同法第五十二条の二十三第一項第一号から第五号まで、第十号及び第十二号に掲げる会社並びに前条後段の規定による届出に係る子会社を除く。以下この項において同じ。)の議決権については、その子会社と合算して、その基準議決権数(当該国内の会社の総株主又は総社員の議決権に百分の十五を乗じて得た議決権の数をいう。)を超える議決権を取得し、又は保有しようとするときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
2  銀行法第二条第十一項の規定は、前項の場合において日本郵政株式会社又はその子会社が取得し、又は保有する議決権について準用する。

(保険業法の特例)

第六十七条
日本郵政株式会社が郵便保険会社を子会社とする保険持株会社(保険業法第二条第十六項に規定する保険持株会社をいう。次条において同じ。)である場合には、同法第二百七十一条の二十一第一項の規定は、日本郵政株式会社については、適用しない。この場合において、日本郵政株式会社は、第六十一条第二号に掲げる業務及びこれに附帯する業務以外の業務を行おうとするときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
第六十八条 日本郵政株式会社が郵便保険会社を子会社とする保険持株会社である場合には、保険業法第二百七十一条の二十二の規定は、日本郵政株式会社については、適用しない。この場合において、日本郵政株式会社は、子会社を設立しようとするとき、又は他の会社を子会社としようとするときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

(内閣府令への委任)

第六十九条
第六十四条から前条までに規定するもののほか、これらの規定による届出に関する手続その他これらの規定を実施するため必要な事項は、内閣府令で定める。

第六章 郵便事業株式会 編集

第一節 設立等 編集

(設立)

第七十条
日本郵政株式会社は、郵便事業株式会社の設立の発起人となる。
2  発起人は、定款を作成して、総務大臣の認可を受けなければならない。
3  郵便事業株式会社の設立に際して発行する株式に関する次に掲げる事項及び郵便事業株式会社が発行することができる株式の総数は、定款で定めなければならない。
一  株式の数(郵便事業株式会社を種類株式発行会社として設立しようとする場合にあっては、その種類及び種類ごとの数)
二  株式の払込金額(株式一株と引換えに払い込む金銭又は給付する金銭以外の財産の額をいう。第七十九条第三項第二号において同じ。)
三  資本金及び資本準備金の額に関する事項
4 郵便事業株式会社の設立に際して発行する株式については、会社法第四百四十五条第二項の規定にかかわらず、その発行に際して第七項の規定により公社が出資した財産の額の二分の一を超える額を資本金として計上しないことができる。この場合において、同条第一項中「この法律」とあるのは、「この法律又は郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)」とする。
5  郵便事業株式会社の設立に際して発行する株式の総数は、公社が引き受けるものとし、発起人は、これを公社に割り当てるものとする。
6  前項の規定により割り当てられた株式による郵便事業株式会社の設立に関する株式引受人としての権利は、日本郵政株式会社が行使する。
7  公社は、郵便事業株式会社の設立に際し、郵便事業株式会社に対し、承継計画において定めるところに従い、その財産を出資するものとする。この場合においては、公社法第四十七条の規定は、適用しない。
8  郵便事業株式会社の設立に係る会社法第六十五条第一項の規定の適用については、同項中「第五十八条第一項第三号の期日又は同号の期間の末日のうち最も遅い日以後」とあるのは、「郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)第七十条第五項の規定による株式の割当後」とする。
9  第七項の規定により公社が行う出資に係る給付は、この法律の施行の時に行われるものとし、郵便事業株式会社は、会社法第四十九条の規定にかかわらず、その時に成立する。
10  郵便事業株式会社は、会社法第九百十一条第一項の規定にかかわらず、郵便事業株式会社の成立後遅滞なく、その設立の登記をしなければならない。
11  会社法第三十条及び第二編第一章第三節の規定は、郵便事業株式会社の設立については、適用しない。

(商号)

第七十一条
郵便事業株式会社法(平成十七年法律第九十九号)第二条の規定は、附則第一条第一号に掲げる規定の施行の際現にその商号中に郵便事業株式会社という文字を使用している者については、同号に掲げる規定の施行後六月間は、適用しない。

(最初の実施計画等)

第七十二条
郵便事業株式会社の成立の日の属する事業年度以後の三事業年度に係る実施計画(郵便事業株式会社法第四条第一項に規定する実施計画をいう。)については、同項中「開始前に」とあるのは、「開始後遅滞なく」とする。
2  郵便事業株式会社の成立の日の属する事業年度の事業計画については、郵便事業株式会社法第七条中「毎事業年度の開始前に」とあるのは、「会社の成立後遅滞なく」とする。

第二節 設立に関する郵便事業株式会社法等の特例 編集

(郵便事業株式会社法の特例)

第七十三条
郵便事業株式会社は、その成立の時において、郵便事業株式会社法第三条第一項又は第二項に規定する業務に該当しない業務であって、郵便事業株式会社が営むものとして承継計画において定められたものについて、同条第三項の認可を受けたものとみなす。

(貨物利用運送事業法等の登録等に関する特例)

第七十四条
郵便事業株式会社は、その成立の日以後六月を経過する日までの間(当該期間内に貨物利用運送事業法(平成元年法律第八十二号)第三条第一項の登録の申請について登録の拒否の処分があったとき、又は同法第二十条若しくは貨物自動車運送事業法(平成元年法律第八十三号)第三条の許可の申請について許可しない旨の処分があったときは、当該処分のあった日までの間)は、これらの規定及び同法第三十六条第一項の規定にかかわらず、郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十七年法律第百二号。以下「整備法」という。)第二条の規定による廃止前の公社法第十九条第一項第一号に掲げる業務を行うことができる。郵便事業株式会社が当該期間内に貨物利用運送事業法第三条第一項の登録又は同法第二十条若しくは貨物自動車運送事業法第三条の許可の申請をした場合において、当該期間を経過したときは、当該申請について登録若しくは登録の拒否の処分又は許可若しくは許可しない旨の処分があるまでの間も、同様とする。
2 郵便事業株式会社の成立の際現に公社が第二十九条第一項に規定する業務を行うため貨物利用運送事業法第三条第一項の登録若しくは同法第二十条、貨物自動車運送事業法第三条若しくは同法第三十五条第一項の許可を受け、又は同法第三十六条第一項の届出をしている場合においては、郵便事業株式会社は、その成立の時において、当該登録若しくは許可を受け、又は届出をしたものとみなす。この場合において、公社が貨物利用運送事業法第八条第一項若しくは第二十六条第一項若しくは貨物自動車運送事業法第十条第一項の認可を受けているとき(貨物利用運送事業法第八条第三項(同法第二十六条第二項において準用する場合を含む。)又は貨物自動車運送事業法第十条第三項の規定により認可を受けたものとみなされる場合を含む。)、又は貨物利用運送事業法第十一条(同法第三十四条第一項において準用する場合を含む。)若しくは貨物自動車運送事業法第十八条第三項(同法第三十五条第六項及び第三十七条第三項において準用する場合を含む。)の届出をしているときは、郵便事業株式会社は、その成立の時において、当該認可を受け、又は届出をしたものとみなす。
3  前項前段の場合における第一項の規定の適用については、同項中次の表の上欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。

第三条第一項 第七条第一項 登録 変更登録 第二十条 第二十五条第一項 第三条の 第九条第一項の 許可 認可

第三節 移行期間中の業務に関する特例等 編集

(通則)

第七十五条
郵便事業株式会社については、移行期間中、この法律又は他の法律に別段の定めがあるもののほか、この節の定めるところによる。

(民営化委員会の意見の聴取)

第七十六条
総務大臣は、郵便事業株式会社法第三条第三項の認可の申請があったときは、民営化委員会の意見を聴かなければならない。

(同種の業務を営む事業者への配慮)

第七十七条
郵便事業株式会社は、郵便事業株式会社法第三条第三項に規定する業務を営むに当たっては、郵便事業株式会社が公社の機能を引き継ぐものであることにかんがみ、当該業務と同種の業務を営む事業者の利益を不当に害することのないよう特に配慮しなければならない。

(郵便事業株式会社法の適用に関する特例等)

第七十八条
前条の規定の適用がある場合における郵便事業株式会社法の規定の適用については、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。
第十二条第一項 及び次に掲げる法律 、次に掲げる法律及び郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)第六章第三節
第十二条第二項 及び前項各号に掲げる法律 、前項各号に掲げる法律及び郵政民営化法第六章第三節の規定
第十三条第一項 及び前条第一項各号に掲げる法律 、前条第一項各号に掲げる法律及び郵政民営化法第六章第三節の規定
2  総務大臣は、郵便事業株式会社法第十二条第二項の規定による命令をしたときは、速やかに、その旨を民営化委員会に通知しなければならない。

第七章 郵便局株式会社 編集

第一節 設立等 編集

(設立)

第七十九条
日本郵政株式会社は、郵便局株式会社の設立の発起人となる。
2  発起人は、定款を作成して、総務大臣の認可を受けなければならない。
3  郵便局株式会社の設立に際して発行する株式に関する次に掲げる事項及び郵便局株式会社が発行することができる株式の総数は、定款で定めなければならない。
一  株式の数(郵便局株式会社を種類株式発行会社として設立しようとする場合にあっては、その種類及び種類ごとの数)
二  株式の払込金額
三  資本金及び資本準備金の額に関する事項
4 郵便局株式会社の設立に際して発行する株式については、会社法第四百四十五条第二項の規定にかかわらず、その発行に際して第七項の規定により公社が出資した財産の額の二分の一を超える額を資本金として計上しないことができる。この場合において、同条第一項中「この法律」とあるのは、「この法律又は郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)」とする。
5  郵便局株式会社の設立に際して発行する株式の総数は、公社が引き受けるものとし、発起人は、これを公社に割り当てるものとする。
6  前項の規定により割り当てられた株式による郵便局株式会社の設立に関する株式引受人としての権利は、日本郵政株式会社が行使する。
7  公社は、郵便局株式会社の設立に際し、郵便局株式会社に対し、承継計画において定めるところに従い、その財産を出資するものとする。この場合においては、公社法第四十七条の規定は、適用しない。
8  郵便局株式会社の設立に係る会社法第六十五条第一項の規定の適用については、同項中「第五十八条第一項第三号の期日又は同号の期間の末日のうち最も遅い日以後」とあるのは、「郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)第七十九条第五項の規定による株式の割当後」とする。
9  第七項の規定により公社が行う出資に係る給付は、この法律の施行の時に行われるものとし、郵便局株式会社は、会社法第四十九条の規定にかかわらず、その時に成立する。
10  郵便局株式会社は、会社法第九百十一条第一項の規定にかかわらず、郵便局株式会社の成立後遅滞なく、その設立の登記をしなければならない。
11  会社法第三十条及び第二編第一章第三節の規定は、郵便局株式会社の設立については、適用しない。

(商号)

第八十条
郵便局株式会社法(平成十七年法律第百号)第三条の規定は、附則第一条第一号に掲げる規定の施行の際現にその商号中に郵便局株式会社という文字を使用している者については、同号に掲げる規定の施行後六月間は、適用しない。

(最初の実施計画等)

第八十一条
郵便局株式会社の成立の日の属する事業年度以後の三事業年度に係る実施計画(郵便局株式会社法第六条第一項に規定する実施計画をいう。)については、同項中「開始前に」とあるのは、「開始後遅滞なく」とする。
2  郵便局株式会社の成立の日の属する事業年度の事業計画については、郵便局株式会社法第九条中「毎事業年度の開始前に」とあるのは、「会社の成立後遅滞なく」とする。

第二節 設立に関する郵便局株式会社法等の特例 編集

(郵便局株式会社法の特例)

第八十二条
郵便局株式会社は、その成立の時において、郵便局株式会社法第四条第一項に規定する業務又は同条第二項第一号に掲げる業務若しくはこれに附帯する業務に該当しない業務であって、郵便局株式会社が営むものとして承継計画において定められたものについて、同条第四項の規定による届出をしたものとみなす。

(損害保険代理店の登録に関する特例)

第八十三条
郵便局株式会社の成立の際現に公社が整備法第二条の規定による廃止前の日本郵政公社による原動機付自転車等責任保険募集の取扱いに関する法律(平成十二年法律第六十九号)第五条第一項の規定による届出(以下この項において「登録に代わる届出」という。)をしている場合(当該登録に代わる届出に係る同条第三項の規定による届出をした場合を除く。)においては、郵便局株式会社は、その成立の時において、当該登録に代わる届出に係る損害保険会社等(同法第二条第一項に規定する損害保険会社等をいう。)を所属保険会社等(保険業法第二条第二十四項に規定する所属保険会社等をいう。以下同じ。)として保険業法第二百七十六条の登録を受けたものとみなす。この場合においては、郵便局株式会社は、同法第二百八十一条の手数料を納めなければならない。
2 前項の場合における保険業法の規定の適用については、同法第二条第二十六項中「行うこと」とあるのは、「行うこと(郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十七年法律第百二号)第二条の規定による廃止前の日本郵政公社による原動機付自転車等責任保険募集の取扱いに関する法律(平成十二年法律第六十九号)第二条第二項に規定する原動機付自転車等責任保険募集に限る。)」とする。

(銀行代理業の許可に関する特例)

第八十四条
郵便局株式会社が営む業務として承継計画において定められたもののうちに郵便貯金銀行の委託を受けて営む銀行法第二条第十四項に規定する銀行代理業が含まれている場合においては、郵便局株式会社は、その成立の時において、郵便貯金銀行を所属銀行(同条第十六項に規定する所属銀行をいう。以下同じ。)として同法第五十二条の三十六第一項の許可を受けたものとみなす。
2 前項の場合における銀行法の規定の適用については、同法第二条第十四項中「次に掲げる行為」とあるのは「次に掲げる行為(第一号に掲げる行為にあつては郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)の施行の際における同法第百十条第一項第一号の政令で定める業務に係るものを除き、第二号に掲げる行為にあっては同項第二号イからハまでに掲げる業務に係るものに限る。)」と、同法第五十二条の四十二第四項中「第五十二条の三十六第一項の許可の申請書に申請者が銀行代理業及び銀行代理業に付随する業務以外の業務を営む旨の記載がある場合において、当該申請者が当該許可を受けたときには」とあるのは「郵便局株式会社が営む業務として郵政民営化法第百六十六条第一項に規定する承継計画において定められたもののうちに銀行代理業及び銀行代理業に付随する業務以外の業務がある場合においては」とする。

(証券仲介業の登録等に関する特例)

第八十五条
郵便局株式会社が営む業務として承継計画において定められたもののうちに郵便貯金銀行の委託を受けて営む証券取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第十一項に規定する証券仲介業が含まれている場合においては、郵便局株式会社は、その成立の時において、郵便貯金銀行を同法第六十六条の三第一項第四号に規定する所属証券会社等として同法第六十六条の二の登録を受けたものとみなす。
2 前項の場合における証券取引法の規定の適用については、同法第二条第十一項中「次に掲げる行為のいずれか」とあるのは、「第一号又は第三号に掲げる行為のいずれか(郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)の施行の際における同法第百十条第一項第四号ロ及びハに掲げる業務に係るものに限る。)」とする。
第八十六条 前条第一項に規定する場合において、第百六十七条の規定により郵便局株式会社の職員となる者のうちに郵便局株式会社のために第九十九条第五項に規定する国債証券等に係る証券取引法第六十六条の二十三において準用する同法第六十四条第二項に規定する外務員の職務を行う者(以下この項において「国債証券等募集員」という。)が承継計画において定められているときは、郵便局株式会社は、その成立の時において、国債証券等募集員について同条第一項の登録を受けたものとみなす。この場合においては、郵便局株式会社は、同法第六十六条の二十三において準用する同法第六十四条の八第一項の手数料を納めなければならない。
2 前項の場合における証券取引法の規定の適用については、同法第六十六条の二十三において準用する同法第六十四条第二項中「外務員の職務」とあるのは、「外務員の職務(郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)第九十九条第五項に規定する国債証券等に係るものに限る。)」とする。

(生命保険募集人の登録に関する特例)

第八十七条
郵便局株式会社が営む業務として承継計画において定められたもののうちに郵便保険会社を所属保険会社等として行う保険募集(保険業法第二条第二十六項に規定する保険募集をいう。以下同じ。)が含まれている場合においては、郵便局株式会社は、その成立の時において、郵便保険会社を所属保険会社等として同法第二百七十六条の登録を受けたものとみなす。この場合においては、郵便局株式会社は、同法第二百八十一条の手数料を納めなければならない。
2  前項の場合における保険業法の規定の適用については、同法第二条第二十六項中「保険契約」とあるのは、「保険契約(郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)の施行の際における同法第百三十八条第一項の政令で定める保険の種類に係るものに限る。)」とする。
第八十八条 前条第一項に規定する場合において、第百六十七条の規定により郵便局株式会社の職員となる者のうちに郵便保険会社を所属保険会社等として保険募集を行う者(以下この条において「保険募集員」という。)が承継計画において定められているときは、保険募集員は、郵便局株式会社の成立の時において、郵便保険会社を所属保険会社等として保険業法第二百七十六条の登録を受けたものとみなす。この場合においては、保険募集員は、同法第二百八十一条の手数料を納めなければならない。
2  前条第二項の規定は、保険募集員について準用する。この場合において、同項中「前項」とあるのは、「次条第一項」と読み替えるものとする。

(確定拠出年金運営管理業の登録に関する特例)

第八十九条
郵便局株式会社が営む業務として承継計画において定められたもののうちに郵便貯金銀行の再委託を受けて営む確定拠出年金法(平成十三年法律第八十八号)第二条第七項第二号に規定する運用関連業務が含まれている場合においては、郵便局株式会社は、その成立の時において、同法第八十八条第一項の登録を受けたものとみなす。
2  前項の場合においては、郵便局株式会社は、その成立の日から二月以内に、確定拠出年金法第八十九条第一項各号に掲げる事項を記載した書類及び同条第二項の書類を内閣総理大臣及び厚生労働大臣に提出しなければならない。
3  内閣総理大臣及び厚生労働大臣は、前項に規定する書類の提出があったときは、当該書類に記載された確定拠出年金法第八十九条第一項各号に掲げる事項及び同法第九十条第一項第二号に掲げる事項を確定拠出年金運営管理機関登録簿に登録するものとする。

第三節 移行期間中の業務に関する特例等 編集

(通則)

第九十条
郵便局株式会社については、移行期間中、この法律又は他の法律に別段の定めがあるもののほか、この節の定めるところによる。

(民営化委員会の意見の聴取)

第九十一条
総務大臣は、郵便局株式会社法第五条の総務省令を制定し、又は改廃しようとするときは、民営化委員会の意見を聴かなければならない。

(同種の業務を営む事業者への配慮)

第九十二条
郵便局株式会社は、郵便局株式会社法第四条第二項第二号に掲げる業務及びこれに附帯する業務並びに同条第三項に規定する業務(以下この条において「届出業務」という。)を営むに当たっては、郵便局株式会社が公社の機能を引き継ぐものであることにかんがみ、届出業務(当該届出業務が他の事業者の委託を受けて行うものである場合には、当該委託に係る業務を含む。)と同種の業務を営む事業者の利益を不当に害することのないよう特に配慮しなければならない。

(郵便局株式会社法の適用に関する特例等)

第九十三条
前条の規定の適用がある場合における郵便局株式会社法の規定の適用については、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。
第十三条第一項 及び次に掲げる法律 、次に掲げる法律及び郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)第七章第三節
第十三条第二項 及び前項各号に掲げる法律 、前項各号に掲げる法律及び郵政民営化法第七章第三節の規定
第十四条第一項 及び前条第一項各号に掲げる法律 、前条第一項各号に掲げる法律及び郵政民営化法第七章第三節の規定
2  総務大臣は、郵便局株式会社法第四条第四項の規定による届出を受けたとき、又は同法第十三条第二項の規定による命令をしたときは、速やかに、その旨を民営化委員会に通知しなければならない。

第八章 郵便貯金銀行 編集

第一節 設立等 編集

(定義)

第九十四条
この章において「郵便貯金銀行」とは、銀行業を営ませるために次条の定めるところに従い日本郵政株式会社が設立する株式会社をいう。

(設立)

第九十五条
日本郵政株式会社は、郵便貯金銀行の設立の発起人となる。
2  郵便貯金銀行の設立に際して発行する株式の総数は、日本郵政株式会社が引き受けるものとする。

(承継計画に基づく出資)

第九十六条
郵便貯金銀行が承継計画において定めるところに従い発行する株式の総数は、公社が引き受けるものとし、郵便貯金銀行は、これを公社に割り当てるものとする。
2 前項の株式については、会社法第四百四十五条第二項の規定にかかわらず、その発行に際して次項の規定により公社が出資した財産の額の二分の一を超える額を資本金として計上しないことができる。この場合において、同条第一項中「この法律」とあるのは、「この法律又は郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)」とする。
3  公社は、第一項の規定による株式の引受けに際し、郵便貯金銀行に対し、承継計画において定めるところに従い、その財産を出資するものとする。この場合においては、公社法第四十七条の規定は、適用しない。
4  前項の規定により公社が行う出資に係る給付は、この法律の施行の時に行われるものとする。
5  会社法第二百七条の規定は、郵便貯金銀行が第一項の株式を発行する場合については、適用しない。

(国家公務員共済組合法の適用に関する特例)

第九十七条
平成十九年九月三十日までの間、郵便貯金銀行に使用される者(常勤の役員を含み、臨時に使用される者を除く。)のうち国家公務員共済組合法第二条第一項第一号に規定する職員(以下この条において「職員」という。)に相当する者として公社に属する職員をもって組織された組合の運営規則で定める者は当該組合を組織する職員と、郵便貯金銀行の業務は公務とみなして同法の規定を適用する。この場合において、同法第九十九条第二項中「公社の負担金を」とあるのは「公社等(公社及び郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)第九十四条に規定する郵便貯金銀行をいう。以下同じ。)の負担金を」と、同項各号並びに同法第百二条第一項及び第四項中「公社」とあるのは「公社等」とする。

第二節 承継に関する銀行法等の特例等 編集

(銀行業の免許の付与)

第九十八条
郵便貯金銀行は、この法律の施行の時において、銀行法第四条第一項の免許を受けたものとみなす。
2  前項の免許は、次に掲げる条件が付されたものとする。
一  第百十条第一項各号に掲げる業務を行おうとするときは、内閣総理大臣の承認を受けなければならないこと。
二  次節の規定の適用を受ける間、業務の健全、適切かつ安定的な運営を維持するための基盤となる銀行代理業者(銀行法第二条第十五項に規定する銀行代理業者をいう。以下同じ。)への継続的な業務の委託がされていること。
3  前項の条件は、銀行法第四条第四項の規定により付された条件とみなす。

(証券業務の登録等に関する特例)

第九十九条
郵便貯金銀行は、この法律の施行の時において、証券取引法第六十五条の二第一項の登録を受けたものとみなす。
2  郵便貯金銀行は、この法律の施行の時において、証券取引法第六十五条の二第三項の認可を受けたものとみなす。
3  前項の認可は、国債等元引受け業務(国債証券等につき証券取引法第二十九条第一項第二号の有価証券の元引受けを営業として行うことをいう。)以外の行為を行おうとするときは内閣総理大臣の承認を受けなければならない旨の条件が付されたものとする。
4  前項の条件は、証券取引法第六十五条の二第四項において準用する同法第二十九条の二第一項の規定により付された条件とみなす。
5  第三項の「国債証券等」とは、証券取引法第二条第一項第一号及び第二号に掲げる有価証券並びに同項第三号及び第四号に掲げる有価証券(政府が元本の償還及び利息の支払について保証しているものに限る。)をいう。
6  前項に規定する有価証券に表示されるべき権利は、これについて当該有価証券が発行されていない場合においても、これを当該有価証券とみなして同項の規定を適用する。

(確定拠出年金運営管理業の登録に関する特例)

第百条
この法律の施行の際現に公社が確定拠出年金法第八十八条第一項の登録を受けている場合においては、郵便貯金銀行は、この法律の施行の時において、同項の登録を受けたものとみなす。
2  前項の場合においては、郵便貯金銀行は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)から二月以内に、確定拠出年金法第八十九条第一項各号に掲げる事項を記載した書類及び同条第二項の書類を内閣総理大臣及び厚生労働大臣に提出しなければならない。
3  内閣総理大臣及び厚生労働大臣は、前項に規定する書類の提出があったときは、当該書類に記載された確定拠出年金法第八十九条第一項各号に掲げる事項及び同法第九十条第一項第二号に掲げる事項を確定拠出年金運営管理機関登録簿に登録するものとする。

(営業所の設置等の届出に関する特例)

第百一条
郵便貯金銀行は、この法律の施行の時において、その支店その他の営業所として承継計画において定められたものについて、第百十二条第一項及び銀行法第八条第一項の規定による届出をしたものとみなす。
2  郵便貯金銀行は、この法律の施行の時において、郵便貯金銀行を所属銀行とする銀行代理業者として承継計画において定められたものについて、第百十二条第二項の規定による届出をしたものとみなす。

(初年度の預金保険料)

第百二条
郵便貯金銀行が、預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)第五十条第一項の規定により施行日を含む事業年度に納付する次の各号に掲げる保険料については同項ただし書の規定は適用しないものとし、その額については同法第五十一条第一項及び第五十一条の二第一項の規定にかかわらず、当該各号に定める金額とする。
一 一般預金等(預金保険法第五十一条第一項に規定する一般預金等をいう。以下この号において同じ。)に係る保険料 施行日以後二月を経過する日までの間の各日(銀行法第十五条第一項に規定する休日を除く。次号において同じ。)における一般預金等の額の合計額を平均した額を十二で除し、これに当該保険料を納付すべき日を含む事業年度の月数を乗じて計算した金額に、保険料率(預金保険法第五十一条第一項に規定する保険料率をいう。)を乗じて得た金額
二 決済用預金(預金保険法第五十一条の二第一項に規定する決済用預金をいう。以下この号において同じ。)に係る保険料 施行日以後二月を経過する日までの間の各日における決済用預金の額の合計額を平均した額を十二で除し、これに当該保険料を納付すべき日を含む事業年度の月数を乗じて計算した金額に、同項に規定する率を乗じて得た金額

第三節 移行期間中の銀行法等の特例等 編集

(通則)

第百三条
郵便貯金銀行については、移行期間中、この法律又は他の法律に別段の定めがあるもののほか、この節の定めるところによる。
第百四条
郵便貯金銀行については、次に掲げる日のいずれか早い日(以下「郵便貯金銀行に係る特定日」という。)以後は、前条の規定にかかわらず、この節(第百六条及び第百二十二条第三項から第五項までを除く。次条第一項において同じ。)の規定を適用しない。
一  第六十二条第一項の規定により日本郵政株式会社が郵便貯金銀行の株式の全部を処分した日
二  次条第一項の決定があった日
第百五条
内閣総理大臣及び総務大臣は、郵便貯金銀行について、内外の金融情勢を踏まえ、次に掲げる事情を考慮し、この節の規定を適用しなくても、郵便貯金銀行と他の金融機関等(預金保険法第二条第一項各号に掲げる者及び農水産業協同組合貯金保険法(昭和四十八年法律第五十三号)第二条第一項に規定する農水産業協同組合をいう。以下この節において同じ。)との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認めるときは、その旨の決定をしなければならない。
一  日本郵政株式会社が保有する郵便貯金銀行の議決権がその総株主の議決権に占める割合その他他の金融機関等との間の競争関係に影響を及ぼす事情
二  郵便局株式会社、郵便貯金銀行、郵便保険会社その他日本郵政株式会社が設立した株式会社の経営状況及びこれらの株式会社(郵便貯金銀行を除く。)と郵便貯金銀行との関係
2  内閣総理大臣及び総務大臣は、前項の決定をしようとするときは、民営化委員会の意見を聴かなければならない。
3  第一項の決定は、取り消すことができない。
4  内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項の決定をしたときは、遅滞なく、その旨を郵便貯金銀行及び機構に通知しなければならない。

(定款)

第百六条
郵便貯金銀行の定款には、少なくとも株主総会における議決権の行使に関する事項として内閣府令・総務省令で定める事項を定めなければならない。

(預入限度額)

第百七条
郵便貯金銀行は、一の預金者等(銀行法第二条第五項に規定する預金者等をいう。以下この節において同じ。)から、次の各号に掲げる額が、当該各号に定める額を超えることとなる預金等(同法第十二条の二第一項に規定する預金等をいう。以下この節において同じ。)の受入れをしてはならない。
一  預金等(次号に規定する契約に係る預金等及び第三号に規定する契約に係る預金等その他政令で定める預金等を除く。)の額の合計額 イに掲げる額からロに掲げる額を控除した額
イ 他の金融機関等との間の競争関係に影響を及ぼす事情、郵便貯金銀行の経営状況その他の事情を勘案して政令で定める額
ロ 当該預金者等の機構への郵便貯金(整備法附則第五条第一項の規定によりなおその効力を有するものとされる整備法第二条の規定による廃止前の郵便貯金法(昭和二十二年法律第百四十四号。以下「旧郵便貯金法」という。)第七条第一項第五号に規定する住宅積立郵便貯金並びにこの法律の施行前に締結された勤労者財産形成促進法(昭和四十六年法律第九十二号)第六条第一項第一号、第二項第一号及び第四項第一号に規定する契約に係る郵便貯金を除く。)の額の合計額(その合計額が千万円又はイに掲げる額のいずれか少ない額を超えるときは、当該額)
二  この法律の施行前に締結された勤労者財産形成促進法第六条第二項第一号に規定する契約に係る預金等の額 イに掲げる額からロに掲げる額を控除した額
イ 三百八十五万円
ロ 当該預金者等の機構への当該契約に係る郵便貯金の額(その額が三百八十五万円を超えるときは、三百八十五万円)
三  この法律の施行後に締結された勤労者財産形成促進法第六条第一項第一号、第二項第一号及び第四項第一号に規定する契約に係る預金等の額並びにこの法律の施行前に締結された勤労者財産形成促進法第六条第一項第一号及び第四項第一号に規定する契約に係る預金等の額の合計額 イに掲げる額からロ及びハに掲げる額の合計額(その合計額が五百五十万円を超えるときは、五百五十万円)を控除した額に、ニに掲げる額からホに掲げる額を控除した額を加算した額
イ 五百五十万円
ロ 当該預金者等の郵便貯金銀行への前号に規定する契約に係る預金等の額
ハ 当該預金者等の機構への郵便貯金(この法律の施行前に締結された勤労者財産形成促進法第六条第一項第一号、第二項第一号及び第四項第一号に規定する契約に係る郵便貯金に限る。)の額の合計額
ニ 第一号イに掲げる額から同号ロに掲げる額を控除した額
ホ 当該預金者等の郵便貯金銀行への第一号に規定する預金等の額の合計額(その合計額がニに掲げる額を超えるときは、ニに掲げる額)

(預入限度額の適用除外)

第百八条
前条の規定は、次に掲げる者が預金者等である場合については、適用しない。
一  次に掲げる者であって、その主たる事務所が他の一般の金融機関(旧郵便貯金法第十条第一項ただし書に規定する一般の金融機関をいう。)がない市町村の区域として内閣総理大臣及び総務大臣が告示する区域に所在するもの
イ 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)別表第一第一号の表に掲げる法人
ロ 労働組合、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百八条の二第一項に規定する職員団体及び地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第五十二条第一項に規定する職員団体(イに該当するものを除く。)
ハ 社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第二条第一項に規定する社会福祉事業を経営する営利を目的としない団体(イ又はロに該当するものを除く。)
二  機構

(資産管理機関等の預金等についての預入限度額の特例)

第百九条
確定拠出年金法第二条第七項第一号ロに規定する資産管理機関又は同条第五項に規定する連合会若しくは同法第六十一条第一項第三号に掲げる事務の受託者(信託会社(信託業法(平成十六年法律第百五十四号)第二条第二項に規定する信託会社をいう。)及び信託業務を営む金融機関(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた同項に規定する金融機関をいう。)に限る。次項において「資産管理機関等」という。)が確定拠出年金法第二十五条第一項(同法第七十三条において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定による運用の指図に係る同法第二十五条第四項(同法第七十三条において準用する場合を含む。次項において同じ。)に規定する措置としてする預金等については、当該預金等のうち当該運用の指図により指図された額に相当する部分を当該運用の指図をした者の預金等とみなして前二条の規定を適用する。
2 資産管理機関等が確定拠出年金法第二十五条第一項の規定による運用の指図に係る同条第四項に規定する措置としてした郵便貯金については、当該郵便貯金のうち当該運用の指図により指図された額に相当する部分を当該運用の指図をした者の郵便貯金とみなして前二条の規定を適用する。

(業務の制限)

第百十条
郵便貯金銀行は、次に掲げる業務を行おうとするときは、その内容を定めて、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならない。
一  銀行法第十条第一項第一号に掲げる業務(外貨預金の受入れその他の政令で定める業務に限る。)
二  銀行法第十条第一項第二号に掲げる業務(次に掲げる業務を除く。)
イ 預金者等に対する当該預金者等の預金等を担保とする資金の貸付け
ロ 第九十九条第五項に規定する国債証券等を担保とする資金の貸付け
ハ 地方公共団体に対する資金の貸付け
ニ コール資金の貸付け
ホ 日本郵政株式会社、郵便事業株式会社、郵便局株式会社又は郵便保険会社に対する資金の貸付け
ヘ 機構に対する資金の貸付け
三  銀行法第十条第二項第一号、第五号の二、第六号、第七号、第十二号、第十三号及び第十五号から第十七号までに掲げる業務
四  証券取引法第六十五条第二項各号に掲げる有価証券又は取引について、当該各号に定める行為を行う業務(次に掲げる業務を除く。)
イ 証券取引法第六十五条第一項ただし書に該当するものを行う業務
ロ 第九十九条第五項に規定する国債証券等に係る有価証券の募集(証券取引法第二条第三項に規定する有価証券の募集をいう。ハにおいて同じ。)の取扱いその他の内閣府令・総務省令で定める行為を行う業務
ハ 証券投資信託受益証券に係る有価証券の募集の取扱いその他の内閣府令・総務省令で定める行為を行う業務
五  担保付社債信託法(明治三十八年法律第五十二号)その他の法律(銀行法及び証券取引法を除く。)の規定により銀行(銀行法第二条第一項に規定する銀行をいう。)が営むことができる業務(政令で定めるものを除く。)
六  前各号に掲げるもののほか、内閣府令・総務省令で定める業務
2  前項第四号ハの「証券投資信託受益証券」とは、証券取引法第二条第一項第七号に掲げる有価証券のうち証券投資信託(投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第四項に規定する証券投資信託をいう。)に係るものをいう。
3  第一項第四号及び前項に規定する有価証券に表示されるべき権利は、これについて当該有価証券が発行されていない場合においても、これを当該有価証券とみなしてこれらの規定を適用する。
4  内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項の認可の申請があった場合において、次に掲げる事情を考慮し、郵便貯金銀行と他の金融機関等との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認めるときは、同項の認可をしなければならない。
一  日本郵政株式会社が保有する郵便貯金銀行の議決権がその総株主の議決権に占める割合その他他の金融機関等との間の競争関係に影響を及ぼす事情
二  郵便貯金銀行の経営状況
5  内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項の認可の申請があったときは、民営化委員会の意見を聴かなければならない。

(子会社保有の制限)

第百十一条
郵便貯金銀行は、子会社対象金融機関等を子会社(銀行法第二条第八項に規定する子会社をいう。以下この節において同じ。)としようとするときは、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならない。
2 前項の規定は、子会社対象金融機関等が、銀行法第十六条の二第五項に規定する内閣府令で定める事由により郵便貯金銀行の子会社となる場合については、適用しない。ただし、郵便貯金銀行は、その子会社となった子会社対象金融機関等を引き続き子会社とすることについて内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けた場合を除き、当該子会社対象金融機関等が当該事由の生じた日から一年を経過する日までに子会社でなくなるよう、所要の措置を講じなければならない。
3  第一項の規定は、郵便貯金銀行が、その子会社としている銀行法第十六条の二第一項各号に掲げる会社を当該各号のうち他の号に掲げる会社(子会社対象金融機関等に限る。)に該当する子会社としようとする場合について準用する。
4 内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項(前項において準用する場合を含む。次項において同じ。)又は第二項の認可の申請があった場合において、次に掲げる事情を考慮し、郵便貯金銀行と他の金融機関等との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認めるときは、当該認可をしなければならない。
一  日本郵政株式会社が保有する郵便貯金銀行の議決権がその総株主の議決権に占める割合その他他の金融機関等との間の競争関係に影響を及ぼす事情
二  郵便貯金銀行の経営状況
5  内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項又は第二項の認可の申請があったときは、民営化委員会の意見を聴かなければならない。
6  郵便貯金銀行は、銀行(銀行法第十六条の二第一項第一号、第二号又は第七号に掲げる会社をいう。次項において同じ。)を子会社としてはならない。
7 前項の規定は、銀行が、銀行法第十六条の二第三項に規定する内閣府令で定める事由により郵便貯金銀行の子会社となる場合については、適用しない。ただし、郵便貯金銀行は、その子会社となった銀行が当該事由の生じた日から一年を経過する日までに子会社でなくなるよう、所要の措置を講じなければならない。
8 第一項から第三項までの「子会社対象金融機関等」とは、銀行法第十六条の二第一項第三号から第六号まで、第八号から第十一号まで又は第十三号に掲げる会社(従属業務(同条第二項第一号に掲げる従属業務をいう。)を専ら営む会社(主として郵便貯金銀行の営む業務のためにその業務を営んでいるものに限る。)及び同条第四項に規定する内閣府令で定めるもの(内閣府令・総務省令で定めるものに限る。)を専ら営む会社を除く。)をいう。

(営業所の設置等)

第百十二条
郵便貯金銀行は、支店その他の営業所の設置、種類の変更若しくは廃止又は本邦における支店その他の営業所の位置の変更(本店の位置の変更を含む。)をしようとするときは、内閣府令・総務省令で定める場合を除き、その旨を内閣総理大臣及び総務大臣に届け出なければならない。
2  郵便貯金銀行は、銀行法第二条第十四項各号に掲げる行為を委託する旨の契約を締結しようとするとき、又は当該契約を終了しようとするときは、その旨を内閣総理大臣及び総務大臣に届け出なければならない。
3  内閣総理大臣及び総務大臣は、前二項の規定による届出を受けたときは、速やかに、その旨を民営化委員会に通知しなければならない。

(合併、会社分割又は事業の譲渡若しくは譲受けの認可等)

第百十三条
郵便貯金銀行を当事者とする合併は、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2  内閣総理大臣及び総務大臣は、前項の合併が、次の各号のいずれかに該当するときは、同項の認可をしてはならない。
一  合併により郵便貯金銀行が消滅すること。
二  合併の相手方が金融機関(預金保険法第二条第一項各号に掲げる者をいう。)であること。
3  郵便貯金銀行を当事者とする会社分割は、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
4 内閣総理大臣及び総務大臣は、前項の会社分割が、吸収分割承継会社(会社法第七百五十七条に規定する吸収分割承継会社をいう。以下同じ。)又は新設分割設立会社(同法第七百六十三条に規定する新設分割設立会社をいう。以下同じ。)に銀行法第十条第一項各号に掲げる業務に係る権利義務を承継させるものであり、かつ、日本郵政株式会社又は郵便貯金銀行が当該吸収分割承継会社又は新設分割設立会社を子会社とすることとなるときは、前項の認可をしてはならない。
5  郵便貯金銀行を当事者とする事業の全部又は一部の譲渡又は譲受けは、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
6  内閣総理大臣及び総務大臣は、前項の事業の全部又は一部の譲渡又は譲受けが、次の各号のいずれかに該当するものであるときは、同項の認可をしてはならない。
一  郵便貯金銀行の事業(銀行法第十条第一項各号に掲げる業務に係るものに限る。)の全部の譲渡であること。
二 銀行法第十条第一項第一号、長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)第六条第一項第三号、信用金庫法(昭和二十六年法律第二百三十八号)第五十三条第一項第一号、中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の八第一項第三号又は労働金庫法(昭和二十八年法律第二百二十七号)第五十八条第一項第一号に掲げる業務に係る事業の譲受けであること。
7  内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項、第三項又は第五項の認可の申請があった場合において、第二項、第四項又は前項の場合に該当せず、かつ、この節の規定の規制の実効性を阻害するおそれがないと認めるときは、当該認可をしなければならない。
8  内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項、第三項又は第五項の認可の申請があったときは、民営化委員会の意見を聴かなければならない。

(転換の制限)

第百十四条
郵便貯金銀行は、金融機関の合併及び転換に関する法律(昭和四十三年法律第八十六号)第四条第二号の規定による同法第二条第七項に規定する転換をすることができない。

(廃業及び解散の認可)

第百十五条
郵便貯金銀行の次に掲げる事項は、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
一  銀行業(銀行法第二条第二項に規定する銀行業をいう。)の廃止に係る定款の変更についての株主総会の決議
二  解散についての株主総会の決議
2  内閣総理大臣及び総務大臣は、前項の認可の申請があった場合において、郵便貯金銀行の業務及び財産の状況に照らしてやむを得ないと認めるとき、又は利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認めるときは、同項の認可をしなければならない。
3  内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項の認可の申請があったときは、民営化委員会の意見を聴かなければならない。

(業務報告書等)

第百十六条
郵便貯金銀行は、事業年度ごとに、業務及び財産の状況(郵便貯金銀行を所属銀行とする銀行代理業者の営業所又は事務所(郵便貯金銀行に係る業務を取り扱うものに限る。)の設置状況を含む。)を記載した中間業務報告書及び業務報告書を作成し、内閣総理大臣及び総務大臣に提出しなければならない。
2 郵便貯金銀行が銀行法第十四条の二第二号に規定する子会社等を有する場合には、郵便貯金銀行は、事業年度ごとに、前項の報告書のほか、郵便貯金銀行及び当該子会社等の業務及び財産の状況を連結して記載した中間業務報告書及び業務報告書を作成し、内閣総理大臣及び総務大臣に提出しなければならない。
3  前二項の報告書の記載事項、提出期日その他これらの報告書に関し必要な事項は、内閣府令・総務省令で定める。
4  内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項又は第二項の報告書の提出を受けたときは、速やかに、その旨を民営化委員会に通知しなければならない。

(報告又は資料の提出)

第百十七条
内閣総理大臣又は総務大臣は、この節の規定の施行に必要な限度において、郵便貯金銀行(郵便貯金銀行を所属銀行とする銀行代理業者を含む。)に対し、その業務又は財産の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができる。
2 内閣総理大臣又は総務大臣は、この節の規定の施行に必要な限度において、郵便貯金銀行の子法人等(銀行法第二十四条第二項に規定する子法人等をいう。次項並びに次条第二項及び第五項において同じ。)又は郵便貯金銀行から業務の委託を受けた者(前項の銀行代理業者を除く。次項並びに次条第二項及び第五項において同じ。)に対し、郵便貯金銀行の業務又は財産の状況に関し参考となるべき報告又は資料の提出を求めることができる。
3  郵便貯金銀行の子法人等又は郵便貯金銀行から業務の委託を受けた者は、正当な理由があるときは、前項の規定による報告又は資料の提出を拒むことができる。
4  次の各号に掲げる大臣は、第一項又は第二項の規定による権限を単独で行使したときは、速やかに、その結果を当該各号に定める大臣に通知するものとする。
一  内閣総理大臣 総務大臣
二  総務大臣 内閣総理大臣

(立入検査)

第百十八条
内閣総理大臣又は総務大臣は、この節の規定の施行に必要な限度において、当該職員に郵便貯金銀行(郵便貯金銀行を所属銀行とする銀行代理業者を含む。)の営業所その他の施設に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 内閣総理大臣又は総務大臣は、前項の規定による立入り、質問又は検査を行う場合において特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該職員に郵便貯金銀行の子法人等若しくは郵便貯金銀行から業務の委託を受けた者の施設に立ち入らせ、郵便貯金銀行に対する質問若しくは検査に必要な事項に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
3  前二項の場合において、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
4  第一項及び第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
5  前条第三項の規定は、第二項の規定による郵便貯金銀行の子法人等又は郵便貯金銀行から業務の委託を受けた者に対する質問及び検査について準用する。
6  次の各号に掲げる大臣は、第一項又は第二項の規定による権限を単独で行使したときは、速やかに、その結果を当該各号に定める大臣に通知するものとする。
一  内閣総理大臣 総務大臣
二  総務大臣 内閣総理大臣

(監督上の措置)

第百十九条
内閣総理大臣及び総務大臣は、郵便貯金銀行の業務がこの節の規定若しくはこの節の規定に基づく処分に違反し、又は違反するおそれがあると認めるときは、郵便貯金銀行に対し、この節の規定の施行に必要な限度において、期限を付して郵便貯金銀行の業務の全部又は一部の停止を命じ、その他監督上必要な措置を命ずることができる。
2  内閣総理大臣及び総務大臣は、前項の規定による命令をしたときは、速やかに、その旨を民営化委員会に通知しなければならない。
3  内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項の規定により業務の全部又は一部の停止を命じたときは、その旨を官報で告示するものとする。
4  内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項の規定により業務の全部又は一部の停止を命ずることが信用秩序の維持に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、あらかじめ、信用秩序の維持を図るために必要な措置に関し、財務大臣に協議しなければならない。
5  内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項の規定により業務の全部又は一部の停止を命じたときは、速やかに、その旨を財務大臣に通知するものとする。

(届出事項)

第百二十条
郵便貯金銀行は、次の各号のいずれかに該当するときは、その旨を内閣総理大臣及び総務大臣に届け出なければならない。
一  商号を変更したとき。
二  銀行法第十六条の二第一項第十一号又は第十二号に掲げる会社(子会社対象金融機関等(第百十一条第八項に規定する子会社対象金融機関等をいう。次号において同じ。)に該当するものを除く。)を子会社としようとするとき。
三  その子会社が子会社でなくなったとき(第百十三条第三項又は第五項の認可を受けて会社分割又は事業の譲渡をした場合を除く。)、又は子会社対象金融機関等に該当する子会社が当該子会社対象金融機関等に該当しない子会社になったとき。
四  資本金の額を増加し、又は減少しようとするとき。
五  この節の規定による認可を受けた事項を実行したとき。
六  外国において駐在員事務所を設置しようとするとき。
七  銀行法第二十六条第一項の規定による命令、預金保険法第七十四条第一項に規定する管理を命ずる処分その他内閣府令・総務省令で定める処分を受けたとき。
八  前各号に掲げるもののほか、内閣府令・総務省令で定める場合に該当するとき。
2  内閣総理大臣及び総務大臣は、前項の規定による届出を受けたときは、速やかに、その旨を民営化委員会に通知しなければならない。

(認可の条件)

第百二十一条
内閣総理大臣及び総務大臣は、この節の規定による認可に条件を付し、及びこれを変更することができる。
2  前項の条件は、認可の趣旨に照らして、又は認可に係る事項の確実な実施を図るため必要最小限のものでなければならない。
3  内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項の規定により付した条件を変更しようとするときは、民営化委員会の意見を聴かなければならない。

(日本郵政株式会社に対する金銭の交付)

第百二十二条
郵便貯金銀行は、事業年度ごとに、当該事業年度の開始後三月以内に、日本郵政株式会社に対し、第一号に掲げる額に第二号に掲げる率を乗じて計算した額の金銭を交付しなければならない。ただし、当該交付すべき金銭の額の二分の一に相当する金額については、当該事業年度開始の日以後六月を経過した日から三月以内に交付することができる。
一  当該金銭の交付をすべき日を含む事業年度の直前の事業年度の各日(銀行法第十五条第一項に規定する休日を除く。)におけるイ及びロに掲げる預金の額の合計額を平均した額を十二で除し、これに当該金銭の交付をすべき日を含む事業年度の月数を乗じて計算した金額
イ 第百六十二条第一項第二号ニの預金に係る契約に基づく同条第三項第一号の預金
ロ 第百六十二条第一項第二号ニの預金に係る契約に基づく同条第三項第三号の預金
二  預金保険法第五十一条第一項に規定する保険料率
2 施行日を含む事業年度に郵便貯金銀行が日本郵政株式会社に対し交付すべき金銭についての前項の規定の適用については、同項第一号中「当該金銭の交付をすべき日を含む事業年度の直前の事業年度」とあるのは「施行日以後二月を経過するまでの間」とし、同項ただし書の規定は、適用しない。
3  郵便貯金銀行に係る特定日を含む事業年度については、第百四条の規定にかかわらず、前二項の規定を適用する。ただし、郵便貯金銀行に係る特定日が四月一日である場合は、この限りでない。
4 前項の場合における郵便貯金銀行に係る特定日を含む事業年度に郵便貯金銀行が日本郵政株式会社に対し交付すべき金銭の額についての第一項の規定の適用については、同項第一号中「当該金銭の交付をすべき日を含む事業年度の月数」とあるのは、「郵便貯金銀行に係る特定日を含む事業年度の郵便貯金銀行に係る特定日の前日までの月数」とする。
5  附則第二条第二号に定める日を含む事業年度に郵便貯金銀行が日本郵政株式会社に対し交付すべき金銭については、第一項ただし書の規定は、適用しない。

(命令の制定等についての民営化委員会の意見の聴取)

第百二十三条
内閣総理大臣及び総務大臣は、次に掲げる場合には、民営化委員会の意見を聴かなければならない。
一  第百七条第一号、同号イ、第百十条第一項第一号若しくは第五号又は次条第二項の政令の制定又は改廃の立案をしようとするとき。
二  第百十条第一項第四号ロ若しくはハ若しくは第六号、第百十一条第八項、第百十二条第一項、第百十六条第三項又は第百二十条第一項第七号若しくは第八号の内閣府令・総務省令を制定し、又は改廃しようとするとき。

(当せん金付証票法等の適用関係)

第百二十四条
郵便貯金銀行についての次に掲げる法律の規定の適用については、これらの規定中「他の法律」とあるのは、「他の法律(郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)を除く。)」とする。
一  当せん金付証票法(昭和二十三年法律第百四十四号)第六条第二項
二  国民生活金融公庫法(昭和二十四年法律第四十九号)第十八条の二第三項(同法附則第二十四項後段において準用する場合を含む。)
三  預金保険法第三十五条第二項
四  沖縄振興開発金融公庫法(昭和四十七年法律第三十一号)第二十条第二項
五  保険業法第二百七十五条第二項
六  確定拠出年金法第八十八条第二項
2  前項に規定するもののほか、郵便貯金銀行についての銀行(銀行法第二条第一項に規定する銀行をいう。)が営むことができる業務に関する金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第一条第一項その他の政令で定める法律の規定の適用については、政令で定める。

(内閣府令・総務省令への委任)

第百二十五条
この節に規定するもののほか、この節の規定による認可に関する申請の手続、書類の提出の手続その他この節の規定を実施するため必要な事項は、内閣府令・総務省令で定める。

第九章 郵便保険会社 編集

第一節 設立等 編集

(定義)

第百二十六条
この章において「郵便保険会社」とは、生命保険業を営ませるために次条の定めるところに従い日本郵政株式会社が設立する株式会社をいう。

(設立)

第百二十七条
日本郵政株式会社は、郵便保険会社の設立の発起人となる。
2  郵便保険会社の設立に際して発行する株式の総数は、日本郵政株式会社が引き受けるものとする。

(承継計画に基づく出資)

第百二十八条
郵便保険会社が承継計画において定めるところに従い発行する株式の総数は、公社が引き受けるものとし、郵便保険会社は、これを公社に割り当てるものとする。
2 前項の株式については、会社法第四百四十五条第二項の規定にかかわらず、その発行に際して次項の規定により公社が出資した財産の額の二分の一を超える額を資本金として計上しないことができる。この場合において、同条第一項中「この法律」とあるのは、「この法律又は郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)」とする。
3  公社は、第一項の規定による株式の引受けに際し、郵便保険会社に対し、承継計画において定めるところに従い、その財産を出資するものとする。この場合においては、公社法第四十七条の規定は、適用しない。
4  前項の規定により公社が行う出資に係る給付は、この法律の施行の時に行われるものとする。
5  会社法第二百七条の規定は、郵便保険会社が第一項の株式を発行する場合については、適用しない。

(国家公務員共済組合法の適用に関する特例)

第百二十九条
平成十九年九月三十日までの間、郵便保険会社に使用される者(常勤の役員を含み、臨時に使用される者を除く。)のうち国家公務員共済組合法第二条第一項第一号に規定する職員(以下この条において「職員」という。)に相当する者として公社に属する職員をもって組織された組合の運営規則で定める者は当該組合を組織する職員と、郵便保険会社の業務は公務とみなして同法の規定を適用する。この場合において、同法第九十九条第二項中「公社の負担金を」とあるのは「公社等(公社及び郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)第百二十六条に規定する郵便保険会社をいう。以下同じ。)の負担金を」と、同項各号並びに同法第百二条第一項及び第四項中「公社」とあるのは「公社等」とする。

第二節 承継に関する保険業法等の特例 編集

(生命保険業免許の付与)

第百三十条
郵便保険会社は、この法律の施行の時において、保険業法第三条第四項の生命保険業免許を受けたものとみなす。
2 前項の生命保険業免許は、次節の規定の適用を受ける間、業務の健全、適切かつ安定的な運営を維持するための基盤となる生命保険募集人(保険業法第二条第十九項に規定する生命保険募集人をいう。以下同じ。)への継続的な業務の委託がされている旨の条件が付されたものとする。
3  前項の条件は、保険業法第五条第二項の規定により付された条件とみなす。

(生命保険募集人の登録に関する特例)

第百三十一条
第百六十七条の規定により郵便保険会社の職員となる者のうちに郵便保険会社を所属保険会社等として保険募集を行う者(以下この条において「社内保険募集員」という。)が承継計画において定められている場合においては、社内保険募集員は、この法律の施行の時において、郵便保険会社を所属保険会社等として保険業法第二百七十六条の登録を受けたものとみなす。この場合においては、社内保険募集員は、同法第二百八十一条の手数料を納めなければならない。
2  第八十七条第二項の規定は、社内保険募集員について準用する。この場合において、同項中「前項」とあるのは、「第百三十一条第一項」と読み替えるものとする。

(事務所の設置等の届出に関する特例)

第百三十二条
郵便保険会社は、この法律の施行の時において、郵便保険会社を所属保険会社等とする生命保険募集人として承継計画において定められたものに係る次に掲げる事項について、第百四十条第一項の規定による届出をしたものとみなす。
一  第百四十条第一項に規定する社内生命保険募集人の所属する支店その他の事務所の設置
二  第百四十条第一項に規定する社内生命保険募集人以外の生命保険募集人に対する業務の委託に係る契約

第三節 移行期間中の保険業法等の特例等 編集

(通則)

第百三十三条
郵便保険会社については、移行期間中、この法律又は他の法律に別段の定めがあるもののほか、この節の定めるところによる。
第百三十四条
郵便保険会社については、次に掲げる日のいずれか早い日(以下「郵便保険会社に係る特定日」という。)以後は、前条の規定にかかわらず、この節(第百三十六条を除く。次条第一項において同じ。)の規定を適用しない。
一  第六十二条第一項の規定により日本郵政株式会社が郵便保険会社の株式の全部を処分した日
二  次条第一項の決定があった日
第百三十五条
内閣総理大臣及び総務大臣は、郵便保険会社について、内外の金融情勢を踏まえ、次に掲げる事情を考慮し、この節の規定を適用しなくても、郵便保険会社と他の生命保険会社(保険業法第二条第三項に規定する生命保険会社及び同条第八項に規定する外国生命保険会社等をいう。以下この節において同じ。)との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認めるときは、その旨の決定をしなければならない。
一  日本郵政株式会社が保有する郵便保険会社の議決権がその総株主の議決権に占める割合その他他の生命保険会社との間の競争関係に影響を及ぼす事情
二  郵便局株式会社、郵便貯金銀行、郵便保険会社その他日本郵政株式会社が設立した株式会社の経営状況及びこれらの株式会社(郵便保険会社を除く。)と郵便保険会社との関係
2  内閣総理大臣及び総務大臣は、前項の決定をしようとするときは、民営化委員会の意見を聴かなければならない。
3  第一項の決定は、取り消すことができない。
4  内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項の決定をしたときは、遅滞なく、その旨を郵便保険会社及び機構に通知しなければならない。

(定款)

第百三十六条
郵便保険会社の定款には、少なくとも株主総会における議決権の行使に関する事項として内閣府令・総務省令で定める事項を定めなければならない。

(保険金額等の限度額)

第百三十七条
郵便保険会社は、被保険者一人につき、次の各号に掲げる額が、当該各号に定める額を超えることとなる保険の引受けを行ってはならない。
一  保険業法第三条第四項第一号に掲げる保険(次号及び第三号に規定する保険を除く。)の保険契約に係る保険金額(政令で定める保険契約にあっては、政令で定めるところにより算定した額)の合計額 イに掲げる額からロに掲げる額を控除した額
イ 他の生命保険会社との間の競争関係に影響を及ぼす事情、郵便保険会社の経営状況その他の事情を勘案して政令で定める被保険者の区分に応じ、政令で定める額
ロ 当該被保険者を被保険者とする整備法第二条の規定による廃止前の簡易生命保険法(昭和二十四年法律第六十八号。以下「旧簡易生命保険法」という。)第八条に規定する簡易生命保険の種類のうち旧簡易生命保険法第九条から第十二条までに規定するもの(旧簡易生命保険法第十七条の規定により一体として提供される簡易生命保険を含む。)の旧簡易生命保険法第三条に規定する簡易生命保険契約(以下「旧簡易生命保険契約」という。)に係る保険金額(政令で定める旧簡易生命保険契約にあっては、政令で定めるところにより算定した額)の合計額
二  勤労者財産形成促進法第六条第一項第二号及び第四項第二号に規定する契約に係る保険業法第三条第四項第一号に掲げる保険の保険契約に係る保険料を払い込むべき期間内に払い込むべき保険料の額の合計額 イに掲げる額からロに掲げる額を控除した額
イ 五百五十万円
ロ 当該被保険者を被保険者とする旧簡易生命保険法第十三条に規定する財形貯蓄保険の旧簡易生命保険契約の保険料を払い込むべき期間内に払い込むべき保険料の額の合計額
三  保険業法第三条第四項第一号に掲げる保険(被保険者の生存に関し年金を支払うことを約したものとして政令で定めるものに限る。第百五十八条第一項第三号ロにおいて同じ。)の保険契約に係る年金の年額(政令で定める保険契約にあっては、政令で定めるところにより算定した額)の合計額 イに掲げる額からロに掲げる額を控除した額
イ 他の生命保険会社との間の競争関係に影響を及ぼす事情、郵便保険会社の経営状況その他の事情を勘案して政令で定める被保険者の区分に応じ、政令で定める額
ロ 当該被保険者を被保険者とする旧簡易生命保険法第八条に規定する簡易生命保険の種類のうち旧簡易生命保険法第十四条から第十六条までに規定するもの(旧簡易生命保険法第十七条の規定により一体として提供される簡易生命保険を含む。)の旧簡易生命保険契約に係る年金の年額(政令で定める旧簡易生命保険契約にあっては、政令で定めるところにより算定した額)の合計額
四  政令で定める保険業法第三条第四項第二号に掲げる保険の区分(以下この号において「保険区分」という。)ごとの保険契約に係る保険金額の合計額 イに掲げる額からロに掲げる額を控除した額
イ 他の生命保険会社との間の競争関係に影響を及ぼす事情、郵便保険会社の経営状況その他の事情を勘案して保険区分ごとに政令で定める額
ロ 保険区分に対応する政令で定める旧簡易生命保険法第六条に規定する簡易生命保険特約(簡易生命保険法の一部を改正する法律(平成四年法律第五十四号)による改正前の旧簡易生命保険法第六条に規定する傷害特約及び疾病傷害特約を含む。以下このロにおいて「旧特約」という。)の区分ごとの当該被保険者を被保険者とする旧特約に係る保険金額(政令で定める旧特約にあっては、政令で定めるところにより算定した額)の合計額

(業務の制限)

第百三十八条
郵便保険会社は、保険の種類(保険金の支払の事由が複数あるときの当該保険金の支払の事由の組合せその他政令で定める保険の種類の細目を含む。以下この項において同じ。)のうち政令で定めるもの以外の保険の種類の保険の引受けを行おうとするときは、その内容を定めて、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならない。ただし、機構を相手方とする保険業法第三条第四項第三号に掲げる保険の引受けについては、この限りでない。
2  郵便保険会社は、保険料として収受した金銭その他の資産を次に掲げる方法以外の方法により運用しようとするときは、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならない。
一  保険契約者に対する資金の貸付け
二  地方公共団体に対する資金の貸付け
三  コール資金の貸付け
四  日本郵政株式会社、郵便事業株式会社又は郵便局株式会社に対する資金の貸付け
五  機構に対する資金の貸付け
六  前各号に掲げる方法のほか、内閣府令・総務省令で定める方法
3  郵便保険会社は、保険業法第九十七条の規定により行う業務以外の業務を行おうとするときは、その内容を定めて、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならない。
4  内閣総理大臣及び総務大臣は、前三項の認可の申請があった場合において、次に掲げる事情を考慮し、郵便保険会社と他の生命保険会社との適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認めるときは、当該認可をしなければならない。
一  日本郵政株式会社が保有する郵便保険会社の議決権がその総株主の議決権に占める割合その他他の生命保険会社との間の競争関係に影響を及ぼす事情
二  郵便保険会社の経営状況
5  内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項から第三項までの認可の申請があったときは、民営化委員会の意見を聴かなければならない。

(子会社保有の制限)

第百三十九条
郵便保険会社は、子会社対象会社を子会社(保険業法第二条第十二項に規定する子会社をいう。以下この節において同じ。)としようとするときは、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならない。
2 前項の規定は、子会社対象会社が、保険業法第百六条第五項に規定する内閣府令で定める事由により郵便保険会社の子会社となる場合については、適用しない。この場合において、郵便保険会社は、その子会社となった子会社対象会社を引き続き子会社とすることについて内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けた場合を除き、当該子会社対象会社が当該事由の生じた日から一年を経過する日までに子会社でなくなるよう、所要の措置を講じなければならない。
3  第一項の規定は、郵便保険会社が、その子会社としている保険業法第百六条第一項各号に掲げる会社を当該各号のうち他の号に掲げる会社(子会社対象会社に限る。)に該当する子会社としようとする場合について準用する。
4 内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項(前項において準用する場合を含む。次項において同じ。)又は第二項の認可の申請があった場合において、次に掲げる事情を考慮し、郵便保険会社と他の生命保険会社との適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認めるときは、当該認可をしなければならない。
一  日本郵政株式会社が保有する郵便保険会社の議決権がその総株主の議決権に占める割合その他他の生命保険会社との間の競争関係に影響を及ぼす事情
二  郵便保険会社の経営状況
5  内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項又は第二項の認可の申請があったときは、民営化委員会の意見を聴かなければならない。
6  郵便保険会社は、保険会社等(保険業法第百六条第一項第一号から第二号の二まで又は第八号に掲げる会社をいう。次項において同じ。)を子会社としてはならない。
7 前項の規定は、保険会社等が、保険業法第百六条第三項に規定する内閣府令で定める事由により郵便保険会社の子会社となる場合については、適用しない。この場合において、郵便保険会社は、その子会社となった保険会社等が当該事由の生じた日から一年を経過する日までに子会社でなくなるよう、所要の措置を講じなければならない。
8 第一項から第三項までの「子会社対象会社」とは、保険業法第百六条第一項第三号から第七号まで、第九号から第十二号まで又は第十四号に掲げる会社(従属業務(同条第二項第一号に掲げる従属業務をいう。)を専ら営む会社(主として郵便保険会社の営む業務のためにその業務を営んでいるものに限る。)及び同条第四項に規定する内閣府令で定める業務(内閣府令・総務省令で定めるものに限る。)を専ら営む会社を除く。)をいう。

(事務所の設置等)

第百四十条
郵便保険会社は、郵便保険会社を所属保険会社等とする生命保険募集人のうち、郵便保険会社の取締役、会計参与若しくは執行役若しくは支配人その他の使用人又はこれらの者の使用人(以下「社内生命保険募集人」という。)の所属する支店その他の事務所の設置、位置の変更又は廃止をしようとするときは、内閣府令・総務省令で定める場合を除き、その旨を内閣総理大臣及び総務大臣に届け出なければならない。社内生命保険募集人以外の生命保険募集人に対して業務を委託する旨の契約を締結しようとするとき、又は当該契約を終了しようとするときも、同様とする。
2  内閣総理大臣及び総務大臣は、前項の規定による届出を受けたときは、速やかに、その旨を民営化委員会に通知しなければならない。

(保険契約の包括移転、事業の譲渡若しくは譲受け、合併又は会社分割の認可等)

第百四十一条
郵便保険会社がする保険業法第百三十五条第一項に規定する保険契約の移転は、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2  内閣総理大臣及び総務大臣は、前項の保険契約の移転に係る保険業法第百三十五条第一項に規定する移転先会社が日本郵政株式会社又は郵便保険会社の子会社であるときは、前項の認可をしてはならない。
3  郵便保険会社を当事者とする事業の全部又は一部の譲渡又は譲受けは、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
4  内閣総理大臣及び総務大臣は、前項の事業の全部又は一部の譲渡又は譲受けが、次の各号のいずれかに該当するときは、同項の認可をしてはならない。
一  郵便保険会社の事業のうち、保険業法第九十七条第一項に規定する保険の引受けに係るものの全部の譲渡であること。
二  保険業法第九十七条第一項に規定する保険の引受けに係るものの譲受けであること。
5  郵便保険会社を当事者とする合併は、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
6  内閣総理大臣及び総務大臣は、前項の合併が、次の各号のいずれかに該当するときは、同項の認可をしてはならない。
一  合併により郵便保険会社が消滅すること。
二  合併の相手方が保険会社(保険業法第二条第二項に規定する保険会社をいう。以下この節において同じ。)であること。
7  郵便保険会社を当事者とする会社分割は、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
8  内閣総理大臣及び総務大臣は、前項の会社分割が吸収分割承継会社又は新設分割設立会社に保険契約を承継させるものであり、かつ、日本郵政株式会社又は郵便保険会社が当該吸収分割承継会社又は新設分割設立会社を子会社とすることとなるときは、同項の認可をしてはならない。
9  内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項、第三項、第五項又は第七項の認可の申請があった場合において、第二項、第四項、第六項又は前項の場合に該当せず、かつ、この節の規定の規制の実効性を阻害するおそれがないと認めるときは、当該認可をしなければならない。
10  内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項、第三項、第五項又は第七項の認可の申請があったときは、民営化委員会の意見を聴かなければならない。

(廃業及び解散の認可)

第百四十二条
郵便保険会社の次に掲げる事項は、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
一  保険業(保険業法第二条第一項に規定する保険業をいう。以下この節において同じ。)の廃止に係る定款の変更についての株主総会の決議
二  解散についての株主総会の決議
2  内閣総理大臣及び総務大臣は、前項の認可の申請があった場合において、郵便保険会社の業務及び財産の状況に照らしてやむを得ないと認めるとき、又は利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認めるときは、同項の認可をしなければならない。
3  内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項の認可の申請があったときは、民営化委員会の意見を聴かなければならない。

(組織変更)

第百四十三条
郵便保険会社は、その組織を変更して保険会社である相互会社(保険業法第二条第五項に規定する相互会社をいう。)とすることができない。

(業務報告書等)

第百四十四条
郵便保険会社は、事業年度ごとに、業務及び財産の状況(郵便保険会社を所属保険会社等とする社内生命保険募集人以外の生命保険募集人の事務所(郵便保険会社に係る業務を取り扱うものに限る。)の設置状況を含む。)を記載した中間業務報告書及び業務報告書を作成し、内閣総理大臣及び総務大臣に提出しなければならない。
2 郵便保険会社が保険業法第百十条第二項に規定する子会社等を有する場合には、郵便保険会社は、事業年度ごとに、前項の報告書のほか、郵便保険会社及び当該子会社等の業務及び財産の状況を連結して記載した中間業務報告書及び業務報告書を作成し、内閣総理大臣及び総務大臣に提出しなければならない。
3  前二項の報告書の記載事項、提出期日その他これらの報告書に関し必要な事項は、内閣府令・総務省令で定める。
4  内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項又は第二項の報告書の提出を受けたときは、速やかに、その旨を民営化委員会に通知しなければならない。

(報告又は資料の提出)

第百四十五条
内閣総理大臣又は総務大臣は、この節の規定の施行に必要な限度において、郵便保険会社に対し、その業務又は財産の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができる。
2 内閣総理大臣又は総務大臣は、この節の規定の施行に必要な限度において、郵便保険会社の子法人等(保険業法第百二十八条第二項に規定する子法人等をいう。以下この節において同じ。)又は郵便保険会社から業務の委託を受けた者に対し、郵便保険会社の業務又は財産の状況に関し参考となるべき報告又は資料の提出を求めることができる。
3  郵便保険会社の子法人等又は郵便保険会社から業務の委託を受けた者は、正当な理由があるときは、前項の規定による報告又は資料の提出を拒むことができる。
4  次の各号に掲げる大臣は、第一項又は第二項の規定による権限を単独で行使したときは、速やかに、その結果を当該各号に定める大臣に通知するものとする。
一  内閣総理大臣 総務大臣
二  総務大臣 内閣総理大臣

(立入検査)

第百四十六条
内閣総理大臣又は総務大臣は、この節の規定の施行に必要な限度において、当該職員に、郵便保険会社の営業所その他の施設に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 内閣総理大臣又は総務大臣は、前項の規定による立入り、質問又は検査を行う場合において特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該職員に郵便保険会社の子法人等若しくは郵便保険会社から業務の委託を受けた者の施設に立ち入らせ、郵便保険会社に対する質問若しくは検査に必要な事項に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
3  前二項の場合において、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
4  第一項及び第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
5  前条第三項の規定は、第二項の規定による郵便保険会社の子法人等又は郵便保険会社から業務の委託を受けた者に対する質問及び検査について準用する。
6  次の各号に掲げる大臣は、第一項又は第二項の規定による権限を単独で行使したときは、速やかに、その結果を当該各号に定める大臣に通知するものとする。
一  内閣総理大臣 総務大臣
二  総務大臣 内閣総理大臣

(監督上の措置)

第百四十七条
内閣総理大臣及び総務大臣は、郵便保険会社の業務がこの節の規定若しくはこの節の規定に基づく処分に違反し、又は違反するおそれがあると認めるときは、郵便保険会社に対し、この節の規定の施行に必要な限度において、期限を付して郵便保険会社の業務の全部又は一部の停止を命じ、その他監督上必要な措置を命ずることができる。
2  内閣総理大臣及び総務大臣は、前項の規定による命令をしたときは、速やかに、その旨を民営化委員会に通知しなければならない。
3  内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項の規定により業務の全部又は一部の停止を命じたときは、その旨を官報で告示するものとする。
4 内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項の規定により業務の全部又は一部の停止を命ずることが保険業に対する信頼性の維持に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、あらかじめ、保険業に対する信頼性の維持を図るために必要な措置に関し、財務大臣に協議しなければならない。
5  内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項の規定により業務の全部又は一部の停止を命じたときは、速やかに、その旨を財務大臣に通知するものとする。

(機構への情報の提供)

第百四十八条
郵便保険会社は、機構に対し、郵便保険会社が締結した保険契約に係る次に掲げる情報をその求めに応じいつでも提供しなければならない。
一  当該保険契約に係る被保険者の住所及び氏名その他被保険者を特定するために必要な情報
二  当該保険契約が第百五十八条第一項第一号ロ、第二号ロ、第三号ロ、第四号ロ又は第五号ロに規定する保険契約に該当するかどうかを知るために必要な情報
三  前二号に掲げるもののほか、当該保険契約の保険金額、保険期間の始期及び終期その他機構が第百五十八条の規定を遵守するために必要な情報

(届出事項)

第百四十九条
郵便保険会社は、次の各号のいずれかに該当するときは、その旨を内閣総理大臣及び総務大臣に届け出なければならない。
一  商号を変更したとき。
二  保険業法第百六条第一項第十二号又は第十三号に掲げる会社(子会社対象会社(第百三十九条第八項に規定する子会社対象会社をいう。次号において同じ。)に該当するものを除く。)を子会社としようとするとき。
三  その子会社が子会社でなくなったとき(第百四十一条第三項又は第七項の規定による認可を受けて事業の譲渡又は会社分割をしたときを除く。)、又は子会社対象会社に該当する子会社が当該子会社対象会社に該当しない子会社になったとき。
四  資本金の額を増加し、又は減少しようとするとき。
五  この節の規定による認可を受けた事項を実行したとき。
六  外国において支店若しくは従たる事務所又は駐在員事務所を設置しようとするとき。
七  保険業法第百三十二条第一項の規定による命令、同法第二百四十二条第一項に規定する管理を命ずる処分その他内閣府令・総務省令で定める処分を受けたとき。
八  前各号に掲げるもののほか、内閣府令・総務省令で定める場合に該当するとき。
2  内閣総理大臣及び総務大臣は、前項の規定による届出を受けたときは、速やかに、その旨を民営化委員会に通知しなければならない。

(認可の条件)

第百五十条
内閣総理大臣及び総務大臣は、この節の規定による認可に条件を付し、及びこれを変更することができる。
2  前項の条件は、認可の趣旨に照らして、又は認可に係る事項の確実な実施を図るため必要最小限のものでなければならない。
3  内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項の規定により付した条件を変更しようとするときは、民営化委員会の意見を聴かなければならない。

(命令の制定等についての民営化委員会の意見の聴取)

第百五十一条
内閣総理大臣及び総務大臣は、次に掲げる場合には、民営化委員会の意見を聴かなければならない。
一  第百三十七条第一号イ、第三号イ若しくは第四号イ、第百三十八条第一項又は次条第二項の政令の制定又は改廃の立案をしようとするとき。
二  第百三十八条第二項第六号、第百三十九条第八項、第百四十条第一項、第百四十四条第三項又は第百四十九条第一項第七号若しくは第八号の内閣府令・総務省令を制定し、又は改廃しようとするとき。

(当せん金付証票法等の適用関係)

第百五十二条
郵便保険会社についての次に掲げる法律の規定の適用については、これらの規定中「他の法律」とあるのは、「他の法律(郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)を除く。)」とする。
一  当せん金付証票法第六条第二項
二  国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第百二十八条第六項
三  沖縄振興開発金融公庫法第二十条第二項
四  スポーツ振興投票の実施等に関する法律(平成十年法律第六十三号)第十八条第二項
2  前項に規定するもののほか、郵便保険会社についての保険会社が営むことができる業務に関する確定拠出年金法第六十一条第二項及び第八十八条第二項その他の政令で定める法律の規定の適用については、政令で定める。

(内閣府令・総務省令への委任)

第百五十三条
この節に規定するもののほか、この節の規定による認可に関する申請の手続、書類の提出の手続その他この節の規定を実施するため必要な事項は、内閣府令・総務省令で定める。

第十章 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構 編集

第一節 設立等 編集

第百五十四条
機構は、独立行政法人通則法第十七条の規定にかかわらず、この法律の施行の時に成立する。
2  機構は、独立行政法人通則法第十六条の規定にかかわらず、機構の成立後遅滞なく、政令で定めるところにより、その設立の登記をしなければならない。
3  第百六十六条第一項の規定により機構が公社の業務等を承継したときは、その承継の際、承継計画において定めるところに従い機構が承継する資産の価額から負債の金額を差し引いた額は、政府から機構に対し出資されたものとする。

第二節 設立に関する独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法の特例 編集

(機構法の認可に関する特例)

第百五十五条
機構は、この法律の施行の時において、次の各号に掲げる契約について、当該各号に定める認可を受けたものとみなす。
一  承継計画において定める第百六十二条第一項第二号イの契約 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構法(平成十七年法律第百一号。以下「機構法」という。)第十五条第二項の認可
二  承継計画において定める第百六十二条第一項第二号ロの再保険の契約 機構法第十六条第二項の認可
三  承継計画において定める第百六十二条第一項第二号ハの契約 機構法第十八条第二項の認可

(設立時の簡易生命保険責任準備金の算出方法書)

第百五十六条
機構に係る独立行政法人通則法第十五条第一項の設立委員は、この法律の施行前に、機構法第二十二条第一項に規定する簡易生命保険責任準備金の算出方法書を作成し、総務大臣の認可を受けなければならない。
2  前項の規定によりした総務大臣の認可は、この法律の施行の時において、機構法第二十二条第一項の規定によりした総務大臣の認可とみなす。

第三節 移行期間中の業務に関する特例等 編集

(通則)

第百五十七条
機構については、移行期間中、この法律又は他の法律に別段の定めがあるもののほか、この節の定めるところによる。

(保険金額等の限度額)

第百五十八条
機構は、被保険者一人につき、次の各号に掲げる額が、当該各号に定める額を超えることとなる旧簡易生命保険契約の復活の申込み又は旧簡易生命保険契約の変更の申込みを承諾してはならない。
一 旧簡易生命保険法第八条に規定する簡易生命保険の種類のうち旧簡易生命保険法第九条から第十二条までに規定するもの(旧簡易生命保険法第十七条の規定により一体として提供される簡易生命保険を含む。)の旧簡易生命保険契約に係る保険金額(政令で定める旧簡易生命保険契約にあっては、政令で定めるところにより算定した額)の合計額 イに掲げる額からロに掲げる額を控除した額
イ 第百三十七条第一号イに掲げる額
ロ 当該被保険者を被保険者とし、郵便保険会社を保険者とする保険業法第三条第四項第一号に掲げる保険(次号ロ及び第三号ロに規定する保険を除く。)の保険契約に係る保険金額(政令で定める保険契約にあっては、政令で定めるところにより算定した額)の合計額
二  旧簡易生命保険法第十三条に規定する財形貯蓄保険の旧簡易生命保険契約に係る保険料を払い込むべき期間内に払い込むべき保険料の額の合計額 イに掲げる額からロに掲げる額を控除した額
イ 五百五十万円
ロ 当該被保険者を被保険者とし、郵便保険会社を保険者とする勤労者財産形成促進法第六条第一項第二号及び第四項第二号に規定する契約に係る保険業法第三条第四項第一号に掲げる保険の保険契約に係る保険料を払い込むべき期間内に払い込むべき保険料の額の合計額
三  旧簡易生命保険法第八条に規定する簡易生命保険の種類のうち旧簡易生命保険法第十四条から第十六条までに規定するもの(旧簡易生命保険法第十七条の規定により一体として提供される簡易生命保険を含む。)の旧簡易生命保険契約に係る年金の年額(政令で定める旧簡易生命保険契約にあっては、政令で定めるところにより算定した額)の合計額 イに掲げる額からロに掲げる額を控除した額
イ 第百三十七条第三号イに掲げる額
ロ 当該被保険者を被保険者とし、郵便保険会社を保険者とする保険業法第三条第四項第一号に掲げる保険の保険契約に係る年金の年額(政令で定める保険契約にあっては、政令で定めるところにより算定した額)の合計額
四  旧簡易生命保険法第十八条第一号又は第二号に掲げる事由(同条に規定する保険期間又は簡易生命保険約款の定める期間が満了したことを含む。)により保険金の支払をする簡易生命保険特約(旧簡易生命保険法第六条に規定する簡易生命保険特約をいう。次号において同じ。)に係る保険金額の合計額 イに掲げる額からロに掲げる額を控除した額
イ 千万円
ロ 当該被保険者を被保険者とし、郵便保険会社を保険者とする保険業法第三条第四項第二号イからニまでに掲げる事由により保険金の支払をする保険の保険契約に係る保険金額(政令で定める保険契約にあっては、政令で定めるところにより算定した額)の合計額
五  旧簡易生命保険法第十八条第三号又は第四号に掲げる事由(同条に規定する保険期間又は簡易生命保険約款の定める期間が満了したことを含む。)により保険金の支払をする簡易生命保険特約に係る保険金額の合計額 イに掲げる額からロに掲げる額を控除した額
イ 千万円
ロ 当該被保険者を被保険者とし、郵便保険会社を保険者とする保険業法第三条第四項第二号ホに掲げる事由により保険金の支払をする保険の保険契約に係る保険金額(政令で定める保険契約にあっては、政令で定めるところにより算定した額)の合計額
2  簡易生命保険法の一部を改正する法律(平成四年法律第五十四号)による改正前の旧簡易生命保険法第六条に規定する傷害特約又は疾病傷害特約についての前項第四号及び第五号の規定の適用については、当該傷害特約又は疾病傷害特約は、同項第四号に規定する簡易生命保険特約及び同項第五号に規定する簡易生命保険特約のいずれにも該当するものとみなす。
3  前二項の規定は、郵便保険会社に係る特定日以後は、適用しない。

(郵便貯金銀行及び郵便保険会社への情報の提供)

第百五十九条
機構は、郵便貯金銀行に対し、機構が受け入れている郵便貯金に係る次に掲げる情報をその求めに応じいつでも提供しなければならない。
一  当該郵便貯金に係る預金者の住所及び氏名その他預金者を特定するために必要な情報
二  当該郵便貯金が第百七条第一号ロに規定する郵便貯金、同条第二号ロに規定する郵便貯金又は同条第三号ハに規定する郵便貯金に該当するかどうかを知るために必要な情報
三  当該郵便貯金の額
2  前項の規定は、郵便貯金銀行に係る特定日以後は、適用しない。
3  機構は、郵便保険会社に対し、旧簡易生命保険契約に係る次に掲げる情報をその求めに応じいつでも提供しなければならない。
一  当該旧簡易生命保険契約に係る被保険者の住所及び氏名その他被保険者を特定するために必要な情報
二  当該旧簡易生命保険契約が第百三十七条第一号ロ、第二号ロ、第三号ロ又は第四号ロに規定する旧簡易生命保険契約に該当するかどうかを知るために必要な情報
三  前二号に掲げるもののほか、当該旧簡易生命保険契約の保険金額、保険期間の始期及び終期その他郵便保険会社が第百三十七条の規定を遵守するために必要な情報
4  前項の規定は、郵便保険会社に係る特定日以後は、適用しない。

(郵便貯金銀行及び郵便保険会社からの報告に係る事項の公表)

第百六十条
機構は、第百六十二条第一項第二号ロの再保険の契約に基づき同条第二項第四号の報告を受けたとき、又は同条第一項第二号ニの預金に係る契約に基づき同条第三項第五号の報告を受けたときは、遅滞なく、当該報告に係る事項を公表しなければならない。

第十一章 日本郵政公社の業務等の承継等 編集

第一節 承継に関する計画 編集

(基本計画)

第百六十一条
内閣総理大臣及び総務大臣は、公社の業務等の承継会社等への適正かつ円滑な承継を図るため、本部の決定を経て、公社の業務等の承継に関する基本計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。
2  基本計画は、次に掲げる事項に関する基本的な事項について定めるものとする。
一  承継会社等に引き継がせる業務その他の機能の種類及び範囲
二  承継会社等に承継させる資産、債務その他の権利及び義務
三  承継会社に引き継がせる職員
四  その他承継会社等への業務等の適正かつ円滑な承継に関する事項
3  内閣総理大臣及び総務大臣は、第一項の規定により基本計画を定めようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。
第百六十二条
基本計画は、次に掲げる要件を満たすものでなければならない。
一  承継会社等の目的及び業務に照らして、公社の財産その他の業務等を各承継会社等に適切に承継させることにより、承継会社等の業務が適切に遂行されることとするものであること。
二  この法律の施行の時において、次のイからニまでに掲げる契約を機構が当該イからニまでに定める者を相手方として締結していることとするものであること。
イ 機構法第十五条第一項の契約 郵便貯金銀行
ロ 機構法第十六条第一項の再保険の契約 郵便保険会社
ハ 機構法第十八条第一項の契約 郵便保険会社
ニ 機構法第二十八条第一項の規定による郵便貯金資産(機構法第十条に規定する郵便貯金資産をいう。)の運用のための預金に係る契約 郵便貯金銀行
2  前項第二号ロの再保険の契約は、次に掲げる事項を含むものでなければならない。
一  この法律の施行の時において、公社から承継する旧簡易生命保険契約に基づき機構が負う保険責任のすべてについて、機構と郵便保険会社との間に再保険関係が成立しているものであること。
二  郵便保険会社が承継計画において定めるところに従い承継する資産をもって、当該契約の再保険料の支払に充てるものであること。
三  郵便保険会社が、その資産のうち第百三十八条第二項第二号及び第五号並びに機構法第二十九条第三号から第十号までに掲げる方法により運用されるものの合計金額が当該契約に基づき郵便保険会社が機構のために積み立てる金額を下回らない義務を負うものであること。
四  郵便保険会社が、第九章第三節の規定の適用を受ける間、事業年度ごとに、当該事業年度及び当該事業年度の翌事業年度の末日における前号の資産の額の見通し及びその根拠について、機構に報告する義務を負うものであること。
五  機構が、前号の報告に係る事項について、公表することができるものであること。
3  第一項第二号ニの預金に係る契約は、次に掲げる事項を含むものでなければならない。
一  この法律の施行の時において、機構が公社から承継する整備法附則第五条第一項各号に掲げる郵便貯金の総額に相当する額について、機構が郵便貯金銀行に対する預金に係る債権を取得するものであること。
二  郵便貯金銀行が承継計画において定めるところに従い承継する資産をもって、当該預金の預入に充てるものであること。
三  機構が、郵便貯金の預金者からの預入があったときは、当該預入に係る金銭を郵便貯金銀行に預金として預け入れる義務を負うものであること。
四 郵便貯金銀行が、その資産のうち第百十条第一項第二号ハ及びヘ並びに機構法第二十八条第一項第二号に掲げる方法により運用されるもの並びにこれらに準ずるものの合計金額が第一号及び前号の預金に係る郵便貯金銀行の預り金の額の合計金額を下回らない義務を負うものであること。
五  郵便貯金銀行が、第八章第三節の規定の適用を受ける間、事業年度ごとに、当該事業年度及び当該事業年度の翌事業年度の末日における前号の資産の額の見通し及びその根拠について、機構に報告する義務を負うものであること。
六  機構が、前号の報告に係る事項について、公表することができるものであること。

(実施計画)

第百六十三条
内閣総理大臣及び総務大臣は、基本計画を定めたときは、日本郵政株式会社に対し、公社の業務等の承継に関する実施計画(以下「実施計画」という。)を内閣府令・総務省令で定めるところにより作成すべきことを指示しなければならない。
2  実施計画には、第百六十一条第二項各号に掲げる事項を記載するものとする。
3  日本郵政株式会社は、第一項の規定による指示があったときは、内閣総理大臣及び総務大臣が定める期間内に基本計画に従い実施計画を作成し、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならない。
4  日本郵政株式会社は、実施計画を変更しようとするときは、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けなければならない。
5  内閣総理大臣及び総務大臣は、前二項の認可をしようとするときは、民営化委員会の意見を聴かなければならない。
6  内閣総理大臣及び総務大臣は、第三項又は第四項の認可をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。

(公社の協力)

第百六十四条
前条の規定により日本郵政株式会社が実施計画を作成し、又は変更し、内閣総理大臣及び総務大臣の認可を受けようとするときは、公社は、これに協力しなければならない。

(承継される財産の価額)

第百六十五条
承継会社等が公社から承継する資産及び負債(次項において「承継財産」という。)の価額は、評価委員が評価した価額とする。
2  評価委員は、前項の規定による評価をしようとするときは、施行日現在における承継財産の時価を基準とするものとする。ただし、承継財産の種類、用途その他の事項を勘案して時価によることが適当でないと認めるときは、承継財産の時価によらないことができる。

3  前二項に規定するもののほか、評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。

第二節 業務等の承継等 編集

(公社の解散及び業務等の承継)

第百六十六条
公社は、この法律の施行の時において解散するものとし、承継会社等は、その時において、第百六十三条第三項の認可を受けた実施計画(同条第四項の認可があったときは、変更後の実施計画。以下「承継計画」という。)において定めるところに従い、承継計画において定められた業務等を公社から承継する。
2  前項の規定により公社が解散した場合における解散の登記については、政令で定める。

(職員の引継ぎ)

第百六十七条
公社の解散の際現に公社の職員である者は、別に辞令を発せられない限り、この法律の施行の時において、承継計画において定めるところに従い、承継会社のいずれかの職員となるものとする。

(国家公務員法の適用に関する特例)

第百六十八条
前条の規定により日本郵政株式会社、郵便事業株式会社又は郵便局株式会社の職員となった者に対する国家公務員法第八十二条第二項の規定の適用については、これらの株式会社の職員を同項に規定する特別職国家公務員等と、前条の規定により国家公務員としての身分を失ったことを任命権者の要請に応じ同項に規定する特別職国家公務員等となるため退職したこととみなす。

(国家公務員退職手当法の適用に関する特例等)

第百六十九条
第百六十七条の規定により承継会社の職員となる者(以下「承継職員」という。)に対しては、国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)に基づく退職手当は、支給しない。
2 承継会社は、前項の規定の適用を受けた承継会社の職員の退職に際し、退職手当を支給しようとするときは、その者の国家公務員退職手当法第二条第一項に規定する職員(同条第二項の規定により職員とみなされる者を含む。)としての引き続いた在職期間を承継会社の職員としての在職期間とみなして取り扱うべきものとする。
3 施行日の前日に公社の職員として在職する者が、第百六十七条の規定により引き続いて前条に規定する株式会社のいずれかの職員となり、かつ、引き続き当該株式会社の職員として在職した後引き続いて国家公務員退職手当法第二条第一項に規定する職員となった場合におけるその者の同法に基づいて支給する退職手当の算定の基礎となる勤続期間の計算については、その者の当該株式会社の職員としての在職期間を同項に規定する職員としての引き続いた在職期間とみなす。ただし、その者が当該株式会社を退職したことにより退職手当(これに相当する給付を含む。)の支給を受けているときは、この限りでない。

(承継職員への通知等)

第百七十条
日本郵政株式会社は、承継職員に対し、施行日の二週間前までに、承継会社のいずれの職員となるかを通知しなければならない。
2  日本郵政株式会社は、承継職員に対し、前項の規定による通知後遅滞なく、賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。

(承継労働協約)

第百七十一条
公社の職員が結成し、又は加入する労働組合(以下「公社職員労働組合」という。)と日本郵政株式会社は、承継職員の労働条件その他に関する労働協約(以下「承継労働協約」という。)を締結するための交渉をし、及び承継労働協約を締結することができる。
2  承継労働協約は、この法律の施行の時において、承継会社の職員が結成し、又は加入する労働組合と承継会社との間において締結された労働協約とみなす。

(労働組合法との関係等)

第百七十二条
前条第一項の規定による交渉をし、及び承継労働協約を締結する場合における公社職員労働組合と日本郵政株式会社との関係については、労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号。第五条第二項第八号、第八条、第二十四条の二第一項及び第二項並びに第二十五条第一項を除く。)の定めるところによる。この場合において、同法第七条第二号中「使用者が雇用する労働者」とあるのは「労働者」と、同条第四号中「労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)による労働争議の調整」とあるのは「特定独立行政法人等の労働関係に関する法律(昭和二十三年法律第二百五十七号)による紛争の調整」とする。
2  前条第一項の規定による交渉に関し公社職員労働組合と日本郵政株式会社との間に発生した紛争については、日本郵政株式会社を公社とみなして特定独立行政法人等の労働関係に関する法律(昭和二十三年法律第二百五十七号)第六章及び第三十六条の規定を適用する。
3 中央労働委員会は、第一項の関係に係る事件のあっせん、調停、仲裁及び処分について、専属的に管轄する。この場合において、同項の関係に係る事件の処分については、当該処分に係る事件の処理を特定独立行政法人等の労働関係に関する法律第三条第二項の事件の処理とみなして同項及び同条第三項の規定を適用する。

(日本郵政株式会社の配慮)

第百七十三条
日本郵政株式会社は、第百七十一条第一項の規定による交渉をし、及び承継職員の賃金、労働時間その他の労働条件を定めようとするときは、公社の職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に配慮するものとする。

(通常郵便貯金等の引継ぎ)

第百七十四条
この法律の施行の際現に存する旧郵便貯金法第七条第一項第一号に規定する通常郵便貯金(整備法附則第五条第一項第一号に掲げる郵便貯金を除く。)は、この法律の施行の時において、承継計画において定めるところに従い、郵便貯金銀行が受け入れた預金となるものとする。
2 この法律の施行の際現に存する整備法第二条の規定による廃止前の郵便振替法(昭和二十三年法律第六十号。次項において「旧郵便振替法」という。)の規定による郵便振替の口座(軍事郵便貯金等特別処理法(昭和二十九年法律第百八号)第二条第五号に規定する外地郵便振替貯金に係るものを除く。)の預り金は、この法律の施行の時において、承継計画において定めるところに従い、郵便貯金銀行が受け入れた預金となるものとする。
3 この法律の施行の際現に旧郵便振替法第三十七条の二に規定する定期継続振替の取扱いを受けている同条に規定する料金の支払をする加入者は、この法律の施行の時において、承継計画において定めるところに従い、郵便貯金銀行との間で、同条に規定する定期継続振替の取扱いに準ずる契約を締結したものとみなす。

(勤労者財産形成促進法の適用に関する特例)

第百七十五条
公社を相手方として締結された勤労者財産形成貯蓄契約等(勤労者財産形成促進法第六条第一項第一号に規定する勤労者財産形成貯蓄契約、同条第二項第一号に規定する勤労者財産形成年金貯蓄契約又は同条第四項第一号に規定する勤労者財産形成住宅貯蓄契約をいう。以下この条において同じ。)は、この法律の施行の時において、承継計画において定めるところに従い、郵便貯金銀行を相手方として締結された勤労者財産形成貯蓄契約等となるものとする。
2 勤労者財産形成促進法の適用については、財産形成郵便貯金(公社を相手方として締結された勤労者財産形成貯蓄契約等に基づき預入が行われた郵便貯金をいう。以下この項において同じ。)は、郵便貯金銀行を相手方として締結された勤労者財産形成貯蓄契約等に基づき預入が行われたものとみなし、当該みなされた財産形成郵便貯金又はこれに係る利子に係る金銭により当該財産形成郵便貯金についての旧郵便貯金法第五十七条第一項に規定する期間若しくは旧郵便貯金法第五十八条第一項に規定する預入期間が経過した日又は当該利子の支払の日に郵便貯金銀行に預入を行う場合における当該預入は、勤労者財産形成促進法第六条第一項第一号イ(1)に規定する継続預入等とみなす。

(預金保険法の特例)

第百七十六条
第百六十二条第一項第二号ニの預金に係る契約に基づく次に掲げる機構の預金は、預金保険法第二条第二項に規定する預金等に該当しないものとする。
一  第百六十二条第三項第一号の預金
二  第百六十二条第三項第三号の預金

第十二章 課税の特例 編集

(登録免許税に係る課税の特例)

第百七十七条
第三十六条第十項の規定により日本郵政株式会社が受ける設立の登記並びに第三十七条第二項及び第三十八条第三項の規定により公社が行う出資に係る財産の給付に伴い日本郵政株式会社が受ける登記又は登録については、登録免許税を課さない。
2  第七十条第十項の規定により郵便事業株式会社が受ける設立の登記及び同条第七項の規定により公社が行う出資に係る財産の給付に伴い郵便事業株式会社が受ける登記又は登録については、登録免許税を課さない。
3  第七十九条第十項の規定により郵便局株式会社が受ける設立の登記及び同条第七項の規定により公社が行う出資に係る財産の給付に伴い郵便局株式会社が受ける登記又は登録については、登録免許税を課さない。
4  第九十六条第三項の規定により公社が行う出資に係る財産の給付に伴い郵便貯金銀行が受ける登記又は登録については、登録免許税を課さない。
5  第百二十八条第三項の規定により公社が行う出資に係る財産の給付に伴い郵便保険会社が受ける登記又は登録については、登録免許税を課さない。

(印紙税納付計器の使用による納付の特例等の適用)

第百七十八条
日本郵政株式会社は、郵便事業株式会社、郵便局株式会社、郵便貯金銀行又は郵便保険会社(次項において「郵便事業株式会社等」という。)がその成立の時において印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)第十条から第十二条までの規定の適用を受けるために必要な承認の申請その他政令で定める行為をすることができる。
2 日本郵政株式会社から前項に規定する印紙税法の規定に係る承認の申請を受けた税務署長は、当該規定の例により、その承認をすることができる。この場合において、日本郵政株式会社が当該規定の例により承認を受けたときは、郵便事業株式会社等の成立の時において、郵便事業株式会社等が当該規定により承認を受けたものとみなす。
3 郵便貯金銀行は、平成十九年十月一日から平成二十年三月三十一日までの期間内に作成する印紙税法第十二条第一項に規定する預貯金通帳等につき同条の規定の適用を受けることができる。この場合において、同項中「当該承認の日以後最初に到来する四月一日から翌年三月三十一日まで」とあるのは、「平成十九年十月一日から平成二十年三月三十一日まで」とする。
4  前三項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

(法人税に係る課税の特例)

第百七十九条
公社が、承継会社に対し、承継計画において定めるところに従って行う第三十八条第三項、第七十条第七項、第七十九条第七項、第九十六条第三項又は第百二十八条第三項の規定による出資(以下この条において「特定現物出資」という。)は、それぞれ法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第二条第十二号の十四に規定する適格現物出資とみなして、同法その他法人税に関する法令の規定を適用する。
2 前項の規定により法人税法その他法人税に関する法令の規定の適用を受ける場合の特定現物出資により移転する公社の資産及び負債については、第百六十五条第一項の規定により評価委員が評価した価額を帳簿価額とみなす。ただし、貸倒引当金については第四項の規定により承継会社に引き継ぐものとされる金額の合計額を帳簿価額とみなし、賞与引当金、退職給付引当金及び損害賠償損失引当金についてはこれらの帳簿価額を零とする。
3  公社が行う特定現物出資については、法人税法第三十二条第五項その他の政令で定める規定は、適用しない。
4 公社が施行日の前日を含む事業年度(以下この条において「最後事業年度」という。)において公社法第三十条第二項に規定する郵便業務、郵便貯金業務又は簡易生命保険業務の区分ごとに法人税法第五十二条の規定を適用することとした場合に同条第一項の規定により計算される同項に規定する個別貸倒引当金繰入限度額に達するまでの金額及び同条第二項の規定により計算される同項に規定する政令で定めるところにより計算した金額に達するまでの金額の合計額のうち、それぞれの承継会社が承継計画において定めるところに従い承継した同条第一項に規定する個別評価金銭債権及び同条第二項に規定する一括評価金銭債権に係る部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額は、同条第七項の規定にかかわらず、それぞれの承継会社に引き継ぐものとする。この場合において、承継会社が引継ぎを受けた金額は、承継会社の特定現物出資の日を含む事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
5 承継会社は、特定現物出資の日から起算して三月以内に旧公社(第百六十六条第一項の規定による解散前の公社をいう。以下この章において同じ。)の最後事業年度の旧公社法(整備法第二条の規定による廃止前の公社法をいう。以下この章において同じ。)第三十条第一項に規定する財務諸表を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
6  郵便貯金銀行が各事業年度において第百二十二条の規定に基づき交付する金銭の額は、法人税法第三十七条第七項に規定する寄附金の額に含まれないものとする。
7 旧公社が最後事業年度の決算において旧簡易生命保険法第七十八条第一項に規定する契約者配当(以下この項及び第十七項において「契約者配当」という。)に充てるための準備金として積み立てていた金額のうち積立配当(同条の規定に基づき保険契約者又は年金受取人に分配された契約者配当で利息を付して積み立てているものをいう。第十七項において同じ。)の額に相当する金額は、郵便保険会社が承継計画において定める第百六十二条第一項第二号ロの再保険の契約(以下この条において「再保険契約」という。)を締結する日に機構に分配したものとして、法人税法第六十条第一項の規定を適用する。
8 郵便保険会社が、再保険契約を締結する日を含む事業年度について青色申告書を提出する法人である場合において、当該事業年度において、保険業法第百十五条第一項の規定による価格変動準備金の積立てに当たり、承継計画において定めるところに従い承継した資産のうち再保険契約に係る再保険料の支払に充てられたものの価格の低落による損失に備えるため、旧公社が最後事業年度の決算において旧公社法第三十二条第一項の規定により積み立てていた簡易生命保険価格変動準備金の金額(以下この項及び次項において「簡易生命保険価格変動準備金の金額」という。)から当該簡易生命保険価格変動準備金の金額に当該事業年度の月数を乗じてこれを三百六十で除して計算した金額を控除した金額に相当する金額以下の金額を法人税法第二条第二十五号に規定する損金経理(同法第七十二条第一項第一号に掲げる金額を計算する場合にあっては、同項に規定する期間に係る決算において費用又は損失として経理することをいう。第十項において同じ。)の方法(確定した決算において利益の処分により積立金として積み立てる方法を含む。)により承継資産価格変動準備金として積み立てたときは、当該積み立てた金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
9 前項の承継資産価格変動準備金(連結事業年度において積み立てた第十八項の承継資産価格変動準備金を含む。)を積み立てている郵便保険会社の各事業年度終了の日において、前事業年度(当該事業年度開始の日の前日を含む事業年度が連結事業年度に該当する場合には、その前日を含む連結事業年度。以下この項及び第十一項において「前事業年度等」という。)から繰り越された承継資産価格変動準備金の金額(その日において第十八項の承継資産価格変動準備金の金額(以下この項において「連結承継資産価格変動準備金の金額」という。)がある場合には当該連結承継資産価格変動準備金の金額を含むものとし、その日までに第十二項の規定により益金の額に算入された、若しくは算入されるべきこととなった金額(第二十二項の規定により益金の額に算入された金額を含む。)又は前事業年度等の終了の日までにこの項の規定により益金の額に算入された金額(第十九項の規定により益金の額に算入された金額を含む。)がある場合にはこれらの金額を控除した金額とする。以下この項及び第十二項において同じ。)がある場合には、簡易生命保険価格変動準備金の金額に当該事業年度の月数を乗じてこれを三百六十で除して計算した金額(当該計算した金額が前事業年度等から繰り越された承継資産価格変動準備金の金額を超える場合には、当該承継資産価格変動準備金の金額)に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
10 郵便保険会社が、再保険契約を締結する日を含む事業年度について青色申告書を提出する法人である場合において、当該事業年度において、保険業法第百十六条第一項の規定による責任準備金の積立てに当たり、再保険契約に基づく債務の履行に備えるため、旧公社が最後事業年度の決算において旧公社法第三十四条の規定により積み立てていた簡易生命保険責任準備金の金額のうち将来発生が見込まれる危険等を勘案して政令で定める金額以下の金額を損金経理の方法(確定した決算において利益の処分により積立金として積み立てる方法を含む。)により特定再保険責任準備金として積み立てたときは、当該積み立てた金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
11 前項の特定再保険責任準備金(連結事業年度において積み立てた第二十項の特定再保険責任準備金を含む。)を積み立てている郵便保険会社の各事業年度終了の日において、前事業年度等から繰り越された特定再保険責任準備金の金額(その日において第二十項の特定再保険責任準備金の金額(以下この項において「連結特定再保険責任準備金の金額」という。)がある場合には当該連結特定再保険責任準備金の金額を含むものとし、その日までに次項の規定により益金の額に算入された、若しくは算入されるべきこととなった金額(第二十二項の規定により益金の額に算入された金額を含む。)又は前事業年度等の終了の日までにこの項の規定により益金の額に算入された金額(第二十一項の規定により益金の額に算入された金額を含む。)がある場合にはこれらの金額を控除した金額とする。次項において同じ。)のうち再保険契約に基づく将来の債務で当該事業年度において減少したものに係る金額として政令で定めるところにより計算した金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
12 第八項の承継資産価格変動準備金(連結事業年度において積み立てた第十八項の承継資産価格変動準備金を含む。)又は第十項の特定再保険責任準備金(連結事業年度において積み立てた第二十項の特定再保険責任準備金を含む。)を積み立てている郵便保険会社が次の各号に掲げる場合に該当することとなった場合には、当該各号に定める金額に相当する金額は、その該当することとなった日を含む事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
一  保険業(保険業法第二条第一項に規定する保険業をいう。第二十二項第一号において同じ。)の廃止をした場合 当該廃止の日における承継資産価格変動準備金の金額及び特定再保険責任準備金の金額
二  当該承継資産価格変動準備金及び特定再保険責任準備金に係る再保険契約の解除をした場合 その解除をした日における承継資産価格変動準備金の金額及び特定再保険責任準備金の金額
三 当該承継資産価格変動準備金及び特定再保険責任準備金に係る再保険契約の全部又は一部を再保険(以下この号において「再再保険」という。)に付した場合 その再再保険に付した日における承継資産価格変動準備金の金額及び特定再保険責任準備金の金額のうち再再保険に付された再保険契約に係るものとして政令で定めるところにより計算した金額(当該再保険契約の全部を再再保険に付した場合には、その再再保険に付した日における承継資産価格変動準備金の金額及び特定再保険責任準備金の金額)
四  解散した場合(合併により解散した場合を除く。) その解散の日における承継資産価格変動準備金の金額及び特定再保険責任準備金の金額
五 第九項、前項及び前各号の場合以外の場合において再保険契約に係る承継資産価格変動準備金の金額又は特定再保険責任準備金の金額を取り崩した場合 その取り崩した日における当該再保険契約に係る承継資産価格変動準備金の金額又は特定再保険責任準備金の金額のうち、それぞれその取り崩した金額に相当する金額
13 第八項又は第十項の規定は、これらの規定の適用を受けようとする事業年度の確定申告書等(租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第二条第二項第二十七号に規定する確定申告書等をいう。以下この項において同じ。)に承継資産価格変動準備金又は特定再保険責任準備金として積み立てた金額の損金算入に関する申告の記載があり、かつ、当該確定申告書等にその積み立てた金額の計算に関する明細書の添付がある場合に限り、適用する。
14 承継会社が施行日を含む事業年度を法人税法第四条の二の承認を受けて各連結事業年度の連結所得に対する法人税を納める最初の連結事業年度としようとする場合における次の表の上欄に掲げる同法第四条の三の規定の適用については、同条の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。

第一項 その承認を受けて各連結事業年度の連結所得に対する法人税を納める最初の連結事業年度としようとする期間の開始の日の六月前の日までに 郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)の施行の日から一月を経過する日までに 当該期間の開始の日その他財務省令で 財務省令で 第三項 同項に規定する期間の開始の時 郵政民営化法の施行の時 第四項 第一項に規定する期間の開始の日の前日までに 当該申請書を提出した日から五月を経過する日までに 同項 第一項 その開始の日において 当該五月を経過する日において 第五項 のすべてにつき、同項に規定する期間の開始の日 につき、それぞれ郵政民営化法の施行の日を含む事業年度開始の日

15  承継会社が前項の規定の適用を受けて法人税法第四条の二の承認を受けた場合における特定現物出資の日を含む連結事業年度の次の表の上欄に掲げる第二項から第五項までの規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。

第二項 第四項の規定 第十五項の規定により読み替えて適用される第四項の規定 第三項 第三十二条第五項 第八十一条の三第一項の規定により同項に規定する個別損金額を計算する場合における同法第三十二条第五項 第四項 同条第七項 同法第八十一条の三第一項の規定により同項に規定する個別損金額を計算する場合における同法第五十二条第七項 事業年度の所得 連結事業年度の連結所得 第五項 承継会社 法人税法第二条第十二号の七の二に規定する連結親法人である日本郵政株式会社

16  連結子法人(法人税法第二条第十二号の七の三に規定する連結子法人をいう。以下この条において同じ。)である郵便貯金銀行が各連結事業年度において第百二十二条の規定に基づき交付する金銭の額は、同法第八十一条の六第六項において準用する同法第三十七条第七項に規定する寄附金の額に含まれないものとする。
17 旧公社が最後事業年度の決算において契約者配当に充てるための準備金として積み立てていた金額のうち積立配当の額に相当する金額は、連結子法人である郵便保険会社が承継計画において定める再保険契約を締結する日に機構に分配したものとして、法人税法第八十一条の三第一項の規定により同項に規定する個別損金額を計算する場合における同法第六十条第一項の規定を適用する。

18 連結子法人である郵便保険会社が、再保険契約を締結する日を含む連結事業年度において、保険業法第百十五条第一項の規定による価格変動準備金の積立てに当たり、承継計画において定めるところに従い承継した資産のうち再保険契約に係る再保険料の支払に充てられたものの価格の低落による損失に備えるため、旧公社が最後事業年度の決算において旧公社法第三十二条第一項の規定により積み立てていた簡易生命保険価格変動準備金の金額(以下この項及び次項において「簡易生命保険価格変動準備金の金額」という。)から当該簡易生命保険価格変動準備金の金額に当該連結事業年度の月数を乗じてこれを三百六十で除して計算した金額を控除した金額に相当する金額以下の金額を法人税法第二条第二十五号に規定する損金経理(同法第八十一条の二十第一項第一号に掲げる金額を計算する場合にあっては、同項に規定する期間に係る郵便保険会社の決算において費用又は損失として経理することをいう。第二十項において同じ。)の方法(郵便保険会社の確定した決算において利益の処分により積立金として積み立てる方法を含む。)により承継資産価格変動準備金として積み立てたときは、当該積み立てた金額は、当該連結事業年度の連結所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

19 前項の承継資産価格変動準備金(連結事業年度に該当しない事業年度において積み立てた第八項の承継資産価格変動準備金を含む。)を積み立てている郵便保険会社の各連結事業年度終了の日において、前連結事業年度(当該連結事業年度開始の日の前日を含む事業年度が連結事業年度に該当しない場合には、その前日を含む事業年度。以下この項及び第二十一項において「前連結事業年度等」という。)から繰り越された承継資産価格変動準備金の金額(その日において第八項の承継資産価格変動準備金の金額(以下この項において「単体承継資産価格変動準備金の金額」という。)がある場合には当該単体承継資産価格変動準備金の金額を含むものとし、その日までに第二十二項の規定により益金の額に算入された、若しくは算入されるべきこととなった金額(第十二項の規定により益金の額に算入された金額を含む。)又は前連結事業年度等の終了の日までにこの項の規定により益金の額に算入された金額(第九項の規定により益金の額に算入された金額を含む。)がある場合にはこれらの金額を控除した金額とする。以下この項及び第二十二項において同じ。)がある場合には、簡易生命保険価格変動準備金の金額に当該連結事業年度の月数を乗じてこれを三百六十で除して計算した金額(当該計算した金額が前連結事業年度等から繰り越された承継資産価格変動準備金の金額を超える場合には、当該承継資産価格変動準備金の金額)に相当する金額は、当該連結事業年度の連結所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
20 連結子法人である郵便保険会社が、再保険契約を締結する日を含む連結事業年度において、保険業法第百十六条第一項の規定による責任準備金の積立てに当たり、再保険契約に基づく債務の履行に備えるため、旧公社が最後事業年度の決算において旧公社法第三十四条の規定により積み立てていた簡易生命保険責任準備金の金額のうち将来発生が見込まれる危険等を勘案して政令で定める金額以下の金額を損金経理の方法(郵便保険会社の確定した決算において利益の処分により積立金として積み立てる方法を含む。)により特定再保険責任準備金として積み立てたときは、当該積み立てた金額は、当該連結事業年度の連結所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
21 前項の特定再保険責任準備金(連結事業年度に該当しない事業年度において積み立てた第十項の特定再保険責任準備金を含む。)を積み立てている郵便保険会社の各連結事業年度終了の日において、前連結事業年度等から繰り越された特定再保険責任準備金の金額(その日において第十項の特定再保険責任準備金の金額(以下この項において「単体特定再保険責任準備金の金額」という。)がある場合には当該単体特定再保険責任準備金の金額を含むものとし、その日までに次項の規定により益金の額に算入された、若しくは算入されるべきこととなった金額(第十二項の規定により益金の額に算入された金額を含む。)又は前連結事業年度等の終了の日までにこの項の規定により益金の額に算入された金額(第十一項の規定により益金の額に算入された金額を含む。)がある場合にはこれらの金額を控除した金額とする。次項において同じ。)のうち再保険契約に基づく将来の債務で当該連結事業年度において減少したものに係る金額として政令で定めるところにより計算した金額は、当該連結事業年度の連結所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
22 第十八項の承継資産価格変動準備金(連結事業年度に該当しない事業年度において積み立てた第八項の承継資産価格変動準備金を含む。)又は第二十項の特定再保険責任準備金(連結事業年度に該当しない事業年度において積み立てた第十項の特定再保険責任準備金を含む。)を積み立てている郵便保険会社が次の各号に掲げる場合に該当することとなった場合には、当該各号に定める金額に相当する金額は、その該当することとなった日を含む連結事業年度の連結所得の金額の計算上、益金の額に算入する。
一  保険業の廃止をした場合 当該廃止の日における承継資産価格変動準備金の金額及び特定再保険責任準備金の金額
二  当該承継資産価格変動準備金及び特定再保険責任準備金に係る再保険契約の解除をした場合 その解除をした日における承継資産価格変動準備金の金額及び特定再保険責任準備金の金額

三 当該承継資産価格変動準備金及び特定再保険責任準備金に係る再保険契約の全部又は一部を再保険(以下この号にお::いて「再再保険」という。)に付した場合 その再再保険に付した日における承継資産価格変動準備金の金額及び特定再保険責任準備金の金額のうち再再保険に付された再保険契約に係るものとして政令で定めるところにより計算した金額(当該再保険契約の全部を再再保険に付した場合には、その再再保険に付した日における承継資産価格変動準備金の金額及び特定再保険責任準備金の金額)

四  解散した場合(合併により解散した場合を除く。) その解散の日における承継資産価格変動準備金の金額及び特定再保険責任準備金の金額
五 第十九項、前項及び前各号の場合以外の場合において再保険契約に係る承継資産価格変動準備金の金額又は特定再保険責任準備金の金額を取り崩した場合 その取り崩した日における当該再保険契約に係る承継資産価格変動準備金の金額又は特定再保険責任準備金の金額のうち、それぞれその取り崩した金額に相当する金額
23 第十八項又は第二十項の規定は、これらの規定の適用を受けようとする連結事業年度の連結確定申告書等(租税特別措置法第二条第二項第二十七号の二に規定する連結確定申告書等をいう。以下この項において同じ。)に承継資産価格変動準備金又は特定再保険責任準備金として積み立てた金額の損金算入に関する申告の記載があり、かつ、当該連結確定申告書等にその積み立てた金額の計算に関する明細書の添付がある場合に限り、適用する。
24  承継会社が承継する資産及び負債について第一項から前項までその他法人税に関する法令の規定を適用する場合には、第百六十五条第一項の規定により評価委員が評価した価額をこの法律の施行の時における価額とみなす。
25  この条において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一  事業年度 法人税法第十三条及び第十四条に規定する事業年度をいう。
二  青色申告書 法人税法第二条第四十号に規定する青色申告書をいう。
三  連結事業年度 法人税法第十五条の二に規定する連結事業年度をいう。
四  連結所得 法人税法第二条第十八号の四に規定する連結所得をいう。
26 第二項ただし書(第十五項の規定により読み替えて適用される場合を含む。)の規定により公社の帳簿価額とみなされた金額以外の貸倒引当金勘定の金額及び第二項ただし書の規定により公社の帳簿価額を零とされた金額の承継会社における処理、第八項の承継資産価格変動準備金(連結事業年度において積み立てた第十八項の承継資産価格変動準備金を含む。)又は第十項の特定再保険責任準備金(連結事業年度において積み立てた第二十項の特定再保険責任準備金を含む。)を積み立てている郵便保険会社を法人税法第二条第十一号に規定する被合併法人とする合併があった場合における当該合併に係る同条第十二号に規定する合併法人へのこれらの準備金の引継ぎ、第八項、第九項、第十八項及び第十九項の月数の計算方法その他承継会社に対する法人税に関する法令の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

(相続税に係る課税の特例)

第百八十条
個人が相続又は遺贈(贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下この項において同じ。)により取得をした財産のうちに、次に掲げる要件のすべてを満たす土地又は土地の上に存する権利で政令で定めるもの(以下この項において「特定宅地等」という。)がある場合には、当該特定宅地等を租税特別措置法第六十九条の四第三項第一号に規定する特定事業用宅地等に該当する同条第一項に規定する特例対象宅地等とみなして、同条及び同法第六十九条の五の規定を適用する。
一 施行日前に当該相続若しくは遺贈に係る被相続人又は当該被相続人の相続人と旧公社との間の賃貸借契約に基づき旧公社法第二十条第一項に規定する郵便局の用に供するため旧公社に対し貸し付けられていた建物で政令で定めるものの敷地の用に供されていた土地又は土地の上に存する権利のうち、施行日から当該被相続人に係る相続の開始の直前までの間において当該賃貸借契約(施行日の直前に効力を有するものに限る。)の契約事項に政令で定める事項以外の事項の変更がない賃貸借契約に基づき引き続き郵便局株式会社法第二条第二項に規定する郵便局の用に供するため郵便局株式会社に対し貸し付けられていた建物で政令で定めるもの(次号において「郵便局舎」という。)の敷地の用に供されていたもの(以下この項において「宅地等」という。)であること。
二 当該相続又は遺贈により当該宅地等の取得をした相続人から当該相続の開始の日以後五年以上当該郵便局舎を郵便局株式会社が引き続き借り受けることにより、当該宅地等を同日以後五年以上当該郵便局舎の敷地の用に供する見込みであることにつき、財務省令で定めるところにより証明がされたものであること。
三  当該宅地等について、既にこの項の規定の適用を受けたことがないものであること。
2  前項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

(地方税に係る課税の特例)

第百八十一条
第三十八条第三項、第七十条第七項、第七十九条第七項、第九十六条第三項及び第百二十八条第三項の規定により公社が行う出資に係る不動産又は自動車の取得に対しては、不動産取得税又は自動車取得税を課することができない。
2  第百六十六条第一項の規定により機構が公社の業務等を承継する場合における当該承継に係る不動産又は自動車の取得に対しては、不動産取得税又は自動車取得税を課することができない。

第十三章 雑則 編集

(地方公共団体への配慮)

第百八十二条
国は、郵政民営化に伴い借入れ又は地方債の発行による地方公共団体の資金の調達に支障を生ずることのないよう適切な配慮をするものとする。

(日本郵政株式会社の役員及び職員の秘密保持義務)

第百八十三条
日本郵政株式会社の役員及び職員は、第四十八条第一号に掲げる業務及びこれに附帯する業務に係る職務に関して知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

(設立及び承継等に関する日本郵政株式会社等に対する命令)

第百八十四条
次の各号に掲げる規定を施行するため特に必要があると認めるときは、当該各号に定める大臣は、公社又は日本郵政株式会社に対し、その必要の限度において命令をすることができる。
一  第五章第一節、第六章第一節、第七章第一節、第八章第一節及び第九章第一節 総務大臣
二  第十一章第一節 内閣総理大臣及び総務大臣
2  第百八十八条の規定を施行するため特に必要があると認めるときは、内閣総理大臣は、郵便保険会社に対し、その必要の限度において命令をすることができる。

(権限の委任)

第百八十五条
内閣総理大臣は、この法律(第三章を除く。)の規定による権限(政令で定めるものを除く。)を金融庁長官に委任する。
2  金融庁長官は、政令で定めるところにより、前項の規定により委任された権限の一部を財務局長又は財務支局長に委任することができる。

(準備行為)

第百八十六条
公社は、第四章の規定の施行前においても、第二十九条第二項又は第三十条の認可の申請その他第二十九条第一項に規定する業務又は第三十条の規定による出資の実施に必要な準備行為をすることができる。
第百八十七
日本郵政株式会社の設立委員、機構に係る独立行政法人通則法第十五条第一項の設立委員又は日本郵政株式会社(次項において「設立委員等」という。)は、この法律及び整備法に定めるもののほか、政令で定めるところにより、承継会社等がその成立の時において業務を円滑に開始するために必要な契約の締結その他の準備行為をすることができる。
2  前項の規定により設立委員等が締結した契約は、各承継会社等の成立の時において、当該承継会社等が締結した契約とみなす。
第百八十八条
郵便保険会社は、その成立後遅滞なく、生命保険契約者保護機構(保険業法第二百六十五条の三十七第一項に規定する生命保険契約者保護機構をいう。)の一に加入する手続をとらなければならない。この場合においては、郵便保険会社は、同法第二百六十五条の三第二項の規定による手続をとったものとみなす。

(政令への委任)

第百八十九条
この法律に規定するもののほか、本部及び民営化委員会に関し必要な事項、この法律の適用がある場合における公社法その他の法令の規定に関する必要な技術的読替え、承継会社等の設立並びに公社の解散及び業務等の承継に関し必要な事項その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

第十四章 罰則 編集

第百九十条  第百十九条第一項又は第百四十七条第一項の規定による業務の全部又は一部の停止の命令に違反した者は、二年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第百九十一条  次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
一  第百十六条第一項若しくは第二項若しくは第百四十四条第一項若しくは第二項の規定による中間業務報告書若しくは業務報告書の提出をせず、又はこれらの書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をしてこれらの書類の提出をした者
二  第百十七条第一項若しくは第二項又は第百四十五条第一項若しくは第二項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした者
三  第百十八条第一項若しくは第二項若しくは第百四十六条第一項若しくは第二項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第百九十二条  第百八十三条の規定に違反して秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第百九十三条  第八十九条第二項若しくは第百条第二項に規定する書類を提出せず、又はこれらの書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をしてこれらの書類を提出した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第百九十四条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一  第百九十条 三億円以下の罰金刑
二  第百九十一条 二億円以下の罰金刑
三  前条 同条の罰金刑
2  前項の規定により法人でない団体を処罰する場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につきその団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
第百九十五条  次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした日本郵政株式会社の取締役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員、監査役又は執行役は、百万円以下の過料に処する。
一  第四十六条第一項又は第四項の規定に違反して、登記することを怠ったとき。
二  第六十四条後段、第六十五条後段、第六十六条第一項後段、第六十七条後段又は第六十八条後段の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
三  第百八十四条第一項の規定による命令に違反したとき。
第百九十六条  次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした郵便貯金銀行又は郵便保険会社の取締役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員、監査役、執行役又は支配人は、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
一  第百十条第一項の規定による認可を受けないで同項各号に掲げる業務を行ったとき。
二 第百十一条第一項の規定による認可を受けないで子会社対象金融機関等(同条第八項に規定する子会社対象金融機関等をいう。以下この号において同じ。)を子会社(同条第一項に規定する子会社をいう。以下この号及び次号において同じ。)としたとき、又は同条第三項において準用する同条第一項の規定による認可を受けないで銀行法第十六条の二第一項各号に掲げる会社を当該各号のうち他の号に掲げる会社(子会社対象金融機関等に限る。)に該当する子会社としたとき。
三  第百十一条第六項の規定に違反して、銀行(同項に規定する銀行をいう。)を子会社としたとき。
四  第百十二条第一項若しくは第二項、第百二十条第一項、第百四十条第一項又は第百四十九条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
五  第百十九条第一項又は第百四十七条第一項の規定による命令(業務の全部又は一部の停止の命令を除く。)に違反したとき。
六  第百二十一条第一項又は第百五十条第一項の規定により付した条件に違反したとき。
七  第百三十八条第一項の規定に違反して、認可を受けないで同項に規定する保険の種類以外の種類の保険の引受けを行ったとき。
八  第百三十八条第二項の規定に違反して、認可を受けないで同項に規定する方法以外の方法により資産の運用を行ったとき。
九  第百三十八条第三項の規定に違反して、認可を受けないで業務を行ったとき。
十 第百三十九条第一項の規定による認可を受けないで子会社対象会社(同条第八項に規定する子会社対象会社をいう。以下この号において同じ。)を子会社(同条第一項に規定する子会社をいう。以下この号及び次号において同じ。)としたとき、又は同条第三項において準用する同条第一項の規定による認可を受けないで保険業法第百六条第一項各号に掲げる会社を当該各号のうち他の号に掲げる会社(子会社対象会社に限る。)に該当する子会社としたとき。
十一  第百三十九条第六項の規定に違反して、保険会社等(同項に規定する保険会社等をいう。)を子会社としたとき。
十二  第百八十四条第二項の規定による命令に違反したとき。
第百九十七条  第百八十四条第一項の規定による命令に違反した場合には、その違反行為をした公社の役員は、二十万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。

附 則 編集

(施行期日)

第一条
この法律は、平成十九年十月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第一章、第二章、第三十二条、第五章第一節から第三節まで、第六章第一節、第七章第一節、第八十四条、第九十一条、第八章第一節、第百二十三条、第九章第一節、第百五十一条、第十章第一節、第百五十六条、第十一章第一節、第百七十条から第百七十三条まで、第百七十七条、第百七十八条、第十三章(第百八十二条を除く。)、第百九十二条、第百九十五条(第二号に係る部分を除く。)、第百九十六条(第十二号に係る部分に限る。)及び第百九十七条並びに附則第二条から第七条まで、第十一条及び第十二条の規定 公布の日
二  第三章第一節及び第三節の規定 公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日
三 第三章第二節及び第四章(第三十二条を除く。)の規定 平成十八年四月一日

(失効)

第二条
次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日限り、その効力を失う。
一  第四章の規定 平成十九年九月三十日
二  第五章第五節、第六章第三節、第七章第三節、第八章第三節、第九章第三節及び第十章第三節の規定 平成二十九年九月三十日

(施行の延期)

第三条
日本郵政株式会社は、郵政民営化のための情報システムの開発が大幅に遅延するおそれがあると認める場合においては、平成十九年三月一日までに、内閣総理大臣及び総務大臣を経由して、本部に対し、その旨を報告するものとする。
2  日本郵政株式会社が前項の報告をするには、経営委員会の決定を経なければならない。
第四条
本部は、前条第一項の報告があった場合において、郵政民営化のための情報システムの開発が大幅に遅延するおそれがあり、かつ、そのために郵政民営化の円滑な実施に著しい支障を生ずるおそれがあると認めるときは、この法律の施行の日を平成二十年四月一日とする決定をするとともに、閣議の決定を求めなければならない。
2  本部は、前条第一項の報告があったときは、情報システムに関し優れた識見を有する者の意見を聴かなければならない。
3  前条第一項の報告があった場合において、第一項の閣議の決定をするときは、平成十九年三月三十一日までにしなければならない。
4  本部は、第一項の閣議の決定があったときは、速やかに、その旨を官報で公示しなければならない。前条第一項の報告があった場合において、第一項の閣議の決定を求めないこととしたときも、同様とする。
第五条
前条第一項の閣議の決定があった場合における次の表の上欄に掲げるこの法律の規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。

第五条第一項及び第三項 平成十九年十月一日 平成二十年四月一日 第七条第二項 平成十九年十月一日 平成二十年四月一日 平成二十九年九月三十日 平成三十年三月三十一日 第九条 平成十九年九月三十日 平成二十年三月三十一日 第二十六条 平成二十九年九月三十日 平成三十年三月三十一日 第三十七条第一項、第四十一条、第四十八条から第五十一条まで、第九十七条及び第百二十九条 平成十九年九月三十日 平成二十年三月三十一日 第百七十九条第十四項の表第五項の項 のすべてにつき、同項に規定する期間の開始の日 同項に規定する期間の開始の日 につき、それぞれ郵政民営化法の施行の日を含む事業年度開始の日 郵政民営化法の施行の日 附則第一条 平成十九年十月一日 平成二十年四月一日 附則第二条第一号 平成十九年九月三十日 平成二十年三月三十一日 附則第二条第二号 平成二十九年九月三十日 平成三十年三月三十一日

2  前条第一項の閣議の決定があった場合における日本郵政株式会社法附則第二条第一項の規定の適用については、同項中「平成二十四年九月三十日」とあるのは、「平成二十五年三月三十一日」とする。
3  前条第一項の閣議の決定があった場合における次の表の上欄に掲げる整備法の規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。

第四十一条のうち地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)附則第十五条に一項を加える改正規定 平成二十年度から平成二十四年度まで 平成二十一年度から平成二十五年度まで 第百四十四条のうち総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)附則第二条第二項の表の改正規定 平成二十九年九月三十日 平成三十年三月三十一日 附則第二条第一項 平成二十九年九月三十日 平成三十年三月三十一日 附則第二十一条第二項 平成二十年三月三十日 平成二十一年三月三十日 附則第五十六条 平成十九年十月 平成二十年四月 附則第六十二条 平成二十年度 平成二十一年度 平成十九年度 平成二十年度 附則第七十八条 平成十九年度分 平成二十年度分 附則第八十二条第一項 平成二十年度 平成二十一年度 附則第八十二条第二項 平成十九年度分 平成二十年度分 附則第九十条第一項 平成二十年度 平成二十一年度 附則第九十条第二項から第四項まで 平成十九年度分 平成二十年度分 附則第百三条 平成十八年一月一日 平成十九年一月一日 平成十九年 平成二十年

4  前三項に規定するもののほか、前条第一項の閣議の決定があった場合におけるこの法律、日本郵政株式会社法、郵便事業株式会社法、郵便局株式会社法、機構法及び整備法の規定に関する必要な技術的読替えその他これらの法律の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

(会社法の施行の日の前日までの間の読替え)

第六条  会社法の施行の日が附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日後となる場合には、同法の施行の日の前日までの間における次の表の上欄に掲げるこの法律の規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。

第二十九条第三項 株式会社にあっては、株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除き、会社法(平成十七年法律第八十六号)第八百七十九条第三項の規定により議決権を有するものとみなされる株式 株式会社又は有限会社にあっては、商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百十一条ノ二第四項に規定する種類の株式又は持分についての議決権を除き、同条第五項の規定により議決権を有するものとみなされる株式又は持分 第三十六条第四項 次に掲げる事項及び日本郵政株式会社が発行することができる株式の総数 商法第百六十八条ノ二各号に掲げる事項 第三十六条第八項 会社法第六十五条第一項 商法第百八十条第一項 第五十八条第一項第三号の期日又は同号の期間の末日のうち最も遅い日以後 第百七十七条ノ規定ニ依ル払込 第三十六条第五項の規定による株式の割当後 第三十六条第五項ノ規定ニ依ル株式ノ割当 第三十六条第九項 会社法第四十九条 商法第五十七条 第三十六条第十項 会社法第九百十一条第一項 商法第百八十八条第一項 第三十六条第十二項 会社法第三十条及び第二編第一章第三節 商法第百六十六条第四項、第百六十七条及び第百八十一条 第三十八条第二項 会社法第四百四十五条第二項 商法第二百八十四条ノ二第二項 その発行に際して次項の規定により公社が出資した財産の額 その発行価額 資本金として計上しない 資本に組み入れない この法律」 本法」 この法律又は 本法又ハ 第三十八条第六項 会社法第二百七条 商法第二百八十条ノ八 第四十条 事業年度 営業年度 第十条 附則第四条の規定により読み替えて適用する同法第十条 第四十二条第一項第四号 会社法第三百六十二条第四項第一号及び第二号 商法第二百六十条第二項第一号及び第二号 第四十四条第四項 前項の規定による決議について特別の利害関係を有する委員は、議決に加わることができない 商法第二百六十条ノ二第二項及び第三項、第二百六十条ノ三第一項並びに第二百六十条ノ四並びに株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(昭和四十九年法律第二十二号)第一条の四第一項及び第二項の規定は、経営委員会の運営について準用する。この場合において、商法第二百六十条ノ二第三項中「第一項ノ取締役」とあるのは「郵政民営化法第四十四条第二項ノ現ニ在任スル委員」と、同法第二百六十条ノ四第四項において準用する同法第三十三条ノ二、同法第二百六十条ノ四第六項第二号及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律第一条の四第二項第二号中「法務省令」とあるのは「総務省令」と、同号中「謄写」とあるのは「謄写。この場合において、同項中「法務省令」とあるのは、「総務省令」とする。」と読み替えるものとする 第四十四条第十項 前各項及び次条 第一項から第四項まで 第四十六条第一項 二週間以内に、その本店の所在地において 本店の所在地においては二週間以内に、支店の所在地においては三週間以内に 第四十六条第二項 委員の選定及びその選定された委員 委員 第四十九条 会社法第二条第十二号に規定する委員会を置く旨 株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律第二章第四節に規定する委員会等設置会社に関する特例の適用を受ける旨 第七十条第三項 次に掲げる事項及び郵便事業株式会社が発行することができる株式の総数 商法第百六十八条ノ二各号に掲げる事項 第七十条第四項 会社法第四百四十五条第二項 商法第二百八十四条ノ二第二項 その発行に際して第七項の規定により公社が出資した財産の額 その発行価額 資本金として計上しない 資本に組み入れない この法律」 本法」 この法律又は 本法又ハ 第七十条第八項 会社法第六十五条第一項 商法第百八十条第一項 第五十八条第一項第三号の期日又は同号の期間の末日のうち最も遅い日以後 第百七十七条ノ規定ニ依ル払込及現物出資ノ給付 第七十条第五項の規定による株式の割当後 第七十条第五項ノ規定ニ依ル株式ノ割当 第七十条第十一項 会社法第三十条及び第二編第一章第三節 商法第百六十七条、第百六十八条第二項及び第百八十一条 第七十九条第三項 次に掲げる事項及び郵便局株式会社が発行することができる株式の総数 商法第百六十八条ノ二各号に掲げる事項 第七十九条第四項 会社法第四百四十五条第二項 商法第二百八十四条ノ二第二項 その発行に際して第七項の規定により公社が出資した財産の額 その発行価額 資本金として計上しない 資本に組み入れない この法律」 本法」 この法律又は 本法又ハ 第七十九条第八項 会社法第六十五条第一項 商法第百八十条第一項 第五十八条第一項第三号の期日又は同号の期間の末日のうち最も遅い日以後 第百七十七条ノ規定ニ依ル払込及現物出資ノ給付 第七十九条第五項の規定による株式の割当後 第七十九条第五項ノ規定ニ依ル株式ノ割当 第七十九条第十一項 会社法第三十条及び第二編第一章第三節 商法第百六十七条、第百六十八条第二項及び第百八十一条 第九十六条第二項 会社法第四百四十五条第二項 商法第二百八十四条ノ二第二項 その発行に際して次項の規定により公社が出資した財産の額 その発行価額 資本金として計上しない 資本に組み入れない この法律」 本法」 この法律又は 本法又ハ 第九十六条第五項 会社法第二百七条 商法第二百八十条ノ八 第百二十八条第二項 会社法第四百四十五条第二項 商法第二百八十四条ノ二第二項 その発行に際して次項の規定により公社が出資した財産の額 その発行価額 資本金として計上しない 資本に組み入れない この法律」 本法」 この法律又は 本法又ハ 第百二十八条第五項 会社法第二百七条 商法第二百八十条ノ八 第百九十五条及び第百九十六条 取締役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員 取締役

2  前項に規定する場合には、会社法の施行の日の前日までの間は、第四十四条第五項から第九項まで及び第四十五条の規定は、適用しない。

(第四章の規定の失効後の読替え)

第七条
附則第二条の規定による第四章の規定の失効後におけるこの法律の規定の適用については、第三十八条第三項中「公社法」とあるのは「日本郵政公社法(平成十四年法律第九十七号。以下「公社法」という。)」と、第六十六条第一項中「議決権については」とあるのは「議決権(株式会社にあっては、株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除き、会社法第八百七十九条第三項の規定により議決権を有するものとみなされる株式についての議決権を含む。以下同じ。)については」とする。

(公社の国際貨物運送に係る業務に関する収支の状況等の公表)

第八条
第二十九条第一項の規定により公社の業務が行われる場合又は第三十条の規定により公社の出資が行われる場合には、日本郵政株式会社は、総務省令で定めるところにより、公社の平成十九年四月一日に始まる事業年度に係る同項に規定する業務に関する収支の状況又は同条の規定による出資の状況を公表しなければならない。

(過料)

第九条
前条の規定による公表をせず、又は虚偽の公表をした場合には、その違反行為をした日本郵政株式会社の取締役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員、監査役又は執行役は、百万円以下の過料に処する。

(相続税に係る課税の特例に関する経過措置)

第十条
第百八十条の規定は、施行日以後に相続又は遺贈(贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。)により取得をする同条第一項に規定する特定宅地等に係る相続税について適用する。

(罰則に関する経過措置)

第十一条
第四章の規定の施行前にした行為及び附則第二条各号に掲げる規定の失効前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(その他の経過措置の政令への委任)

第十二条
附則第三条から前条まで、日本郵政株式会社法附則及び整備法附則に規定するもののほか、この法律、日本郵政株式会社法、郵便事業株式会社法、郵便局株式会社法、機構法及び整備法の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

附 則 (平成一七年一一月二日法律第一〇六号) 抄 編集

(施行期日)

第一条
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。

(処分等の効力)

第三十八条
この法律の施行前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。以下この条において同じ。)の規定によってした処分、手続その他の行為であって、改正後のそれぞれの法律の規定に相当の規定があるものは、この附則に別段の定めがあるものを除き、改正後のそれぞれの法律の相当の規定によってしたものとみなす。

(罰則の適用に関する経過措置)

第三十九条
この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(権限の委任)

第四十条
内閣総理大臣は、この附則の規定による権限(政令で定めるものを除く。)を金融庁長官に委任する。
2 前項の規定により金融庁長官に委任された権限並びにこの附則の規定による農林水産大臣及び厚生労働大臣の権限については、政令で定めるところにより、その一部を財務局長又は財務支局長(農林水産大臣及び厚生労働大臣にあっては、地方支分部局の長)に委任することができる。

(その他の経過措置の政令への委任)

第四十一条
この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。

(検討)

第四十二条
政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律による改正後の規定の実施状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、この法律による改正後の金融諸制度について検討を行い、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

附 則 (平成一七年一一月七日法律第一一五号) 抄 編集

(施行期日)

第一条
この法律は、平成十八年四月一日から施行する。
 

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