小学校令 (明治33年勅令第344号)
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編集- 条文構成
- 第一章 総則(第一条~第五条)
- 第二章 設置(第六条~第十七条)
- 第三章 教科及編制(第十八条~第二十八条)
- 第四章 設備(第二十九条~第三十一条)
- 第五章 就学(第三十二条~第三十八条)
- 第六章 職員(第三十九条~第五十条)
- 第七章 費用負担及授業料(第五十一条~第五十九条)
- 第八章 管理及監督(第六十条~第六十六条)
- 第九章 附則(第六十七条~第七十三条)
朕枢密顧問ノ諮詢ヲ経テ小学校令ノ改正ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
明治三十三年八月十八日
文部大臣 伯爵樺山資紀
勅令第三百四十四号
小学校令
第一条 小学校ハ児童身体ノ発達ニ留意シテ道徳教育及国民教育ノ基礎並其ノ生活ニ必須ナル普通ノ知識技能ヲ授クルヲ以テ本旨トス
第二条 小学校ハ之ヲ分テ尋常小学校及高等小学校トス
尋常小学校ノ教科ト高等小学校ノ教科トヲ一校ニ併置スルモノヲ尋常高等小学校トス
市町村、町村学校組合又ハ其ノ区ノ負担ヲ以テ設置スルモノヲ市町村立小学校トシ私人ノ費用ヲ以テ設置スルモノヲ私立小学校トス
第三条 尋常高等小学校ニ於テ尋常小学校ノ教科ヲ授クヘキ部分ニ対シテハ尋常小学校ノ規定ヲ準用シ高等小学校ノ教科ヲ授クヘキ部分ニ対シテハ高等小学校ノ規定ヲ準用ス但シ文部大臣ニ於テ別段ノ規定ヲ設ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第四条 町村組合ニシテ其ノ町村一切ノ事務ヲ共同処分スルモノハ之ヲ一町村ト同視ス
第五条 幼稚園、盲唖学校其ノ他小学校ニ類スル各種学校ノ規程ニ関シテハ本令中別段ノ規定アルモノヲ除クノ外文部大臣之ヲ定ム
第六条 市町村ハ其ノ区域内ノ学齢児童ヲ就学セシムルニ足ルヘキ尋常小学校ヲ設置スヘシ
第七条 郡長ハ一町村ノ資力尋常小学校設置ニ関スル費用ノ負担ニ堪ヘスト認メタルトキハ其ノ町村ヲシテ尋常小学校設置ノ為他ノ町村ト学校組合ヲ設ケシムヘシ
第八条 郡長ハ一町村ニ於テ就学セシムヘキ児童ノ数一尋常小学校ヲ構成スルニ足ラスト認メタルトキ又ハ適度ノ通学路程内ニ於テ一尋常小学校ヲ構成スルニ足ルヘキ数ヲ得ルコト能ハスト認メタルトキハ左ノ例ニ依ルヘシ
一 其ノ町村ヲシテ尋常小学校設置ノ為他ノ町村ト学校組合ヲ設ケシムルコト
二 其ノ町村ヲシテ就学セシムヘキ児童ノ全部若ハ一部ノ教育事務ヲ他町村、町村学校組合又ハ其ノ区ニ委託セシムルコト
第九条 市立尋常小学校ノ校数並位置ハ府県知事ニ於テ市ノ意見ヲ聞キ之ヲ定ムヘシ
町村立尋常小学校ノ校数並位置ハ郡長ニ於テ町村又ハ町村学校組合ノ意見ヲ聞キ之ヲ定メ府県知事ノ認可ヲ受クヘシ
第十条 第七条又ハ第八条ニ依リ郡長ニ於テ町村学校組合ヲ設ケシメ若ハ其ノ組合ヲ解カシメムトスルトキハ関係町村ノ意見ヲ聞キ府県知事ノ認可ヲ受クヘシ
第八条ニ依リ郡長ニ於テ児童教育事務ヲ委託セシメ又ハ其ノ委託ヲ止メシメムトスルトキハ関係町村、町村学校組合及区ノ意見ヲ聞キ府県知事ノ認可ヲ受クヘシ
第十一条 府県知事ハ市ニ於テ設置スヘキ尋常小学校数校アルトキハ市内ノ一区若ハ数区ニ対シ又ハ市ヲ分画シテ数区ト為シ其ノ一区若ハ数区ニ対シ小学校設置ニ関スル費用ノ負担ノ為其ノ使用スヘキ小学校ヲ指定スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ関係市及区ノ意見ヲ聞クヘシ其ノ之ヲ止メムトスルトキ亦同シ
郡長ハ町村若ハ町村学校組合ニ於テ設置スヘキ尋常小学校数校アルトキ、児童教育事務ノ委託ヲ要スル場所数箇所アルトキ又ハ其ノ設置スヘキ尋常小学校ト児童教育事務ノ委託ヲ要スル場所トアルトキハ町村内若ハ町村学校組合内ノ一区若ハ数区ニ対シ又ハ町村若ハ町村学校組合ヲ分画シテ数区ト為シ其ノ一区若ハ数区ニ対シ小学校設置ニ関スル費用ノ負担又ハ児童教育事務委託ノ為其ノ使用スヘキ小学校ヲ指定スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ関係町村、町村学校組合及区ノ意見ヲ聞キ府県知事ノ認可ヲ受クヘシ其ノ之ヲ止メムトスルトキ亦同シ
第十三条 府県知事ハ特別ノ事情ニ依リ市立尋常小学校ノ設置又ハ其ノ一部ノ設備ヲ猶予シ市内ノ私立小学校ヲ以テ之ニ代用セシムルコトヲ得
郡長ハ特別ノ事情ニ依リ町村立尋常小学校ノ設置若ハ其ノ一部ノ設備又ハ児童教育事務ノ委託ヲ猶予シ町村若ハ町村学校組合内ノ私立小学校ヲ以テ之ニ代用セシムルコトヲ得
私立小学校代用ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第十四条 市町村ハ市町村又ハ其ノ区ノ負担ヲ以テ高等小学校ヲ設置スルコトヲ得
第十五条 市町村立高等小学校ノ設置及廃止ハ府県知事ノ認可ヲ受クヘシ
第十六条 私立小学校ノ設置ハ設立者ニ於テ府県知事ノ認可ヲ受ケ其ノ廃止ハ之ヲ府県知事ニ届出ツヘシ
第十七条 前三条ノ規定ハ幼稚園、盲唖学校其ノ他小学校ニ類スル各種学校ニ関シ之ヲ準用ス
幼稚園、盲唖学校其ノ他小学校ニ類スル各種学校ハ之ヲ小学校ニ附設スルコトヲ得
第十八条 尋常小学校ノ修業年限ハ四箇年トシ高等小学校ノ修業年限ハ二箇年、三箇年又ハ四箇年トス
第十九条 尋常小学校ノ教科目ハ修身、国語、算術、体操トス
土地ノ情況ニ依リ図画、唱歌、手工ノ一科目又ハ数科目ヲ加ヘ女児ノ為ニハ裁縫ヲ加フルコトヲ得
前項ニ依リ加フル教科目ハ之ヲ随意科目ト為スコトヲ得
第二十条 高等小学校ノ教科目ハ修身、国語、算術、日本歴史、地理、理科、図画、唱歌、体操トシ女児ノ為ニハ裁縫ヲ加フ
修業年限二箇年ノ高等小学校ニ於テハ理科、唱歌ノ一科目若ハ二科目ヲ闕キ又ハ手工ヲ加フルコトヲ得
修業年限三箇年以上ノ高等小学校ニ於テハ唱歌ヲ闕キ又ハ農業、商業、手工ノ一科目若ハ数科目ヲ加フルコトヲ得
修業年限四箇年ノ高等小学校ニ於テハ英語ヲ加フルコトヲ得
前三項ニ依リ加フル教科目ハ之ヲ随意科目ト為スコトヲ得
第二十一条 小学校ニ補習科ヲ置クコトヲ得
補習科ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第二十二条 小学校ノ教科目中児童身体ノ情況ニ依リ学習スルコト能ハサル教科目ハ之ヲ其ノ児童ニ課セサルコトヲ得
第二十三条 小学校ノ教科目ヲ加除シ又ハ随意科目ト為サムトスルトキハ市町村立小学校ニ在リテハ管理者、私立小学校ニ在リテハ設立者ニ於テ府県知事ノ認可ヲ受クヘシ
補習科ヲ設置シ若ハ之ヲ廃止シ又ハ高等小学校ノ修業年限ヲ定メムトスルトキハ市町村立小学校ニ在リテハ市町村若ハ町村学校組合、私立小学校ニ在リテハ設立者ニ於テ府県知事ノ認可ヲ受クヘシ
第二十四条 小学校ノ教科用図書ハ文部省ニ於テ編纂シタルモノ及文部大臣ノ検定シタルモノニ就キ小学校図書審査委員会ノ審査ヲ経テ府県知事之ヲ採定ス
補習科ノ教科用図書ニ関シテハ文部大臣ノ定ムル所ニ依ル
第二十五条 府県知事ノ採定シタル教科用図書ニシテ其ノ一部ヲ修正シ文部大臣ノ検定ヲ受ケタルモノハ更ニ審査委員会ノ審査ヲ経ス府県知事ニ於テ仍採定ノ効力ヲ継続スルコトヲ得
第二十六条 小学校図書審査委員会ハ府県ニ置キ左ニ掲クル者ヲ以テ之ヲ組織ス
一 府県書記官
二 府県視学官
三 専任府県視学
四 師範学校長
五 師範学校教諭二名
六 府県立中学校長一名
七 府県立高等女学校長一名
八 郡視学二名
小学校図書審査委員会及審査ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第二十七条 小学校ノ休業日ハ日曜日ヲ除クノ外毎年九十日ヲ超ユルコトヲ得ス但シ補習科ハ此ノ限ニ在ラス
特別ノ事情アルトキハ府県知事ニ於テ文部大臣ノ認可ヲ受ケ前項ノ日数ヲ増加スルコトヲ得
伝染病予防ノ為必要アルトキ其ノ他非常変災アルトキハ監督官庁ニ於テ臨時小学校ノ閉鎖ヲ命スヘシ其ノ急迫ノ事情アル場合ニ於テハ市町村立小学校ニ在リテハ管理者、私立小学校ニ在リテハ設立者ニ於テ之ヲ閉鎖スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ直ニ監督官庁ニ届出ツヘシ
第二十八条 小学校教則及小学校編制ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第二十九条 小学校ニ於テハ校舎、校地、校具及体操場ヲ備フヘシ
第三十条 校舎、校地、校具及体操場ハ非常変災ノ場合ヲ除クノ外小学校ノ目的以外ニ之ヲ使用スルコトヲ得ス但シ已ムヲ得サル事情ニ依リ監督官庁ノ認可ヲ受ケタル場合ハ此ノ限ニ在ラス
第三十一条 小学校ノ設備ニ関スル規程ハ文部大臣ニ於テ定ムル準則ニ基キ府県知事之ヲ定ム
第三十二条 児童満六歳ニ達シタル翌月ヨリ満十四歳ニ至ル八箇年ヲ以テ学齢トス
学齢児童ノ学齢ニ達シタル月以後ニ於ケル最初ノ学年ノ始ヲ以テ就学ノ始期トシ尋常小学校ノ教科ヲ修了シタルトキヲ以テ就学ノ終期トス
学齢児童保護者ハ就学ノ始期ヨリ其ノ終期ニ至ル迄学齢児童ヲ就学セシムルノ義務ヲ負フ
学齢児童保護者ト称スルハ学齢児童ニ対シ親権ヲ行フ者又ハ親権ヲ行フ者ナキトキハ其ノ後見人ヲ謂フ
第三十三条 学齢児童瘋癲白痴又ハ不具癈疾ノ為就学スルコト能ハスト認メタルトキハ市町村長ハ監督官庁ノ認可ヲ受ケ学齢児童保護者ノ義務ヲ免除スルコトヲ得
学齢児童病弱又ハ発育不完全ノ為就学セシムヘキ時期ニ於テ就学スルコト能ハスト認メタルトキハ市町村長ハ監督官庁ノ認可ヲ受ケ其ノ就学ヲ猶予スルコトヲ得
市町村長ニ於テ学齢児童保護者貧窮ノ為其ノ児童ヲ就学セシムルコト能ハスト認メタルトキ亦前二項ニ準ス
第三十四条 第十二条ニ依リ尋常小学校ノ設置又ハ児童教育事務ノ委託ニ関スル義務ヲ免セラレタル区域内ノ学齢児童保護者ハ其ノ義務ヲ免除セラレタルモノトス
第三十五条 尋常小学校ノ教科ヲ修了セサル学齢児童ヲ雇傭スル者ハ其ノ雇傭ニ依リテ児童ノ就学ヲ妨クルコトヲ得ス
第三十六条 学齢児童保護者ハ就学セシムヘキ児童ヲ市町村立尋常小学校又ハ之ニ代用スル私立小学校ニ入学セシムヘシ但シ市町村長ノ認可ヲ受ケ家庭又ハ其ノ他ニ於テ尋常小学校ノ教科ヲ修メシムルコトヲ得
官立又ハ府県立学校ニ於テ尋常小学校ノ教科ヲ授クヘキ部分ハ児童就学ニ関シテハ市町村立尋常小学校ト同視ス
第三十七条 児童ノ年齢就学ノ始期ニ達セサル者ハ之ヲ小学校ニ入学セシムルコトヲ得ス
第三十八条 小学校長ハ伝染病ニ罹リ若ハ其ノ虞アル児童又ハ性行不良ニシテ他ノ児童ノ教育ニ妨アリト認メタル児童ノ小学校ニ出席スルヲ停止スルコトヲ得
第三十九条 小学校ノ教科ヲ教授スル者ヲ本科正教員トシ其ノ教科目中図画、唱歌、体操、裁縫、英語、農業、商業又ハ手工ノ一科目若ハ数科目ヲ限リ教授スル者ヲ専科正教員トス
本科正教員ヲ補助スル者ヲ准教員トス
第四十条 小学校教員タルヘキ者ハ免許状ヲ受クヘシ
免許状ハ普通免許状及府県免許状ノ二種トス
普通免許状ハ文部大臣之ヲ授与シ全国ニ通シテ有効トス
府県免許状ハ府県知事之ヲ授与シ其ノ府県限リ有効トス
第四十一条 府県免許状ヲ受クルニハ師範学校若ハ文部大臣ノ指定シタル学校ヲ卒業シ又ハ小学校教員ノ検定ニ合格スルコトヲ要ス
前項ノ検定ヲ施行スルカ為府県ニ小学校教員検定委員会ヲ置ク
免許状及小学校教員検定委員会ノ組織権限其ノ他検定ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第四十二条 特別ノ事情アルトキハ免許状ヲ有セサル者ヲ以テ小学校准教員ニ代用スルコトヲ得
第四十三条 市町村立小学校長ハ其ノ学校ノ本科正教員ヲシテ之ヲ兼ネシムヘシ
第四十四条 市立小学校長及教員ノ任用ハ市長ノ申請ニ依リ町村立小学校長及教員ノ任用ハ郡長ノ申請ニ依リ府県知事之ヲ行フ
第四十五条 市町村立小学校教員ノ俸給旅費其ノ他諸給与並其ノ支給方法ハ文部大臣ニ於テ定ムル準則ニ基キ府県知事之ヲ定ム
第四十六条 小学校長及教員ノ進退、職務及服務ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第四十七条 小学校長及教員ハ教育上必要ト認メタルトキハ児童ニ懲戒ヲ加フルコトヲ得但シ体罰ヲ加フルコトヲ得ス
第四十八条 市町村立小学校長及教員職務上ノ義務ニ違背シ若ハ職務ヲ怠リタルトキ又ハ職務ノ内外ヲ問ハス体面ヲ汚辱スルノ所為アリタルトキハ府県知事ニ於テ懲戒処分ヲ行フ其ノ処分ハ譴責、減俸及免職トス
私立小学校長及教員ニシテ前項ニ準スヘキ所為アリタルトキハ府県知事ハ其ノ業務ヲ停止ス
第四十九条 小学校教員免許状ヲ有スル者左ノ各号ノ一ニ該当シタルトキハ免許状ハ其ノ効力ヲ失フ
一 禁錮以上ノ刑ニ処セラレタルトキ
二 信用若ハ風俗ヲ害スルノ罪ヲ犯シテ罰金ノ刑ニ処セラレ又ハ監視ニ付セラレタルトキ
三 破産若ハ家資分散ノ宣告ヲ受ケタルトキ
小学校教員免許状ヲ有スル者不正ノ所為其ノ他教員タルヘキ体面ヲ汚辱スルノ所為アリテ其ノ情状重シト認メタルトキハ文部大臣又ハ府県知事ニ於テ其ノ免許状ヲ褫奪ス
第五十条 府県知事ニ於テ行ヒタル免職若ハ業務停止又ハ免許状褫奪ノ処分ニ不服アル者ハ文部大臣ニ訴願スルコトヲ得
第五十一条 市町村立小学校ノ設置ニ関スル費用ハ市町村、町村学校組合又ハ其ノ区ノ負担トス其ノ概目左ノ如シ
一 設備及其ノ維持ノ費用
二 職員ノ俸給、旅費、其ノ他諸給与
三 校費
児童教育事務委託ニ関スル費用ハ町村、町村学校組合又ハ其ノ区ノ負担トス
第五十二条 郡長ハ町村学校組合ニ於テ設置スヘキ尋常小学校数校アルトキ又ハ児童教育事務ノ委託ヲ要スル場所アルトキハ其ノ学校組合内ノ某町村ヲシテ其ノ数校中ノ一校若ハ数校ノ設置又ハ児童教育事務委託ニ関スル費用ヲ一町村限リ負担セシムルコトヲ得
前項ノ処分ヲ為シ又ハ之ヲ止メムトスルトキハ関係町村及町村学校組合ノ意見ヲ聞キ府県知事ノ認可ヲ受クヘシ
第五十三条 郡長ニ於テ左ノ各号ノ一ニ該当スルモノアリト認メタルトキハ郡ハ町村又ハ町村学校組合ニ相当ノ補助ヲ与フヘシ
二 町村学校組合ノ資力尋常小学校設置ニ関スル費用ノ負担ニ堪ヘサルトキ又ハ町村学校組合ノ一部タル町村ノ資力其ノ学校組合費ノ分担ニ堪ヘサルトキ
三 町村又ハ町村学校組合ノ資力児童教育事務委託ニ関スル費用ノ負担ニ堪ヘサルトキ
前項ノ認定ニ付テハ郡長ハ郡参事会ノ意見ヲ聞キ府県知事ノ指揮ヲ受クヘシ
第五十四条 府県知事ニ於テ左ノ各号ノ一ニ該当スルモノアリト認メタルトキハ府県ハ郡又ハ市ニ相当ノ補助ヲ与フヘシ
一 郡ノ資力第五十三条ノ補助ノ負担ニ堪ヘサルトキ
二 市ノ資力尋常小学校設置ニ関スル費用ノ負担ニ堪ヘサルトキ
前項ノ認定ニ付テハ府県知事ハ府県参事会ノ意見ヲ聞キ文部大臣ノ指揮ヲ受クヘシ
第五十五条 区長及其ノ代理者並学務委員ニ於テ国ノ教育事務ヲ執行スルカ為ニ要スル費用ハ市町村又ハ町村学校組合ノ負担トス但シ区長及其ノ代理者並区ノ学務委員ニ関スル費用ハ市町村会又ハ町村学校組合会ノ決議ヲ以テ之ヲ区ノ負担ト為スコトヲ得
第五十六条 小学校教員検定並小学校教科用図書審査及府県免許状ニ関スル費用ハ府県ノ負担トス
第五十七条 市町村立尋常小学校ニ於テハ授業料ヲ徴収スルコトヲ得ス但シ補習科ハ此ノ限ニ在ラス
特別ノ事情アルトキハ府県知事ノ認可ヲ受ケ市町村立尋常小学校ニ於テ授業料ヲ徴収スルコトヲ得
第五十八条 市町村立小学校ノ授業料ハ市町村、町村学校組合又ハ其ノ区ノ収入トス
第五十九条 授業料ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第六十条 市町村長又ハ町村学校組合長ハ市町村又ハ町村学校組合ニ属スル国ノ教育事務ヲ管掌シ市町村立小学校ヲ管理ス
第六十一条 府県知事ハ市町村又ハ町村学校組合ノ区長及其ノ代理者ヲシテ市町村長又ハ町村学校組合長ノ指揮命令ヲ受ケテ区ニ属スル国ノ教育事務ヲ補助執行セシムルコトヲ得
第六十二条 市町村ハ教育事務ノ為市制第六十一条町村制第六十五条ニ依リ学務委員ヲ置クヘシ但シ市会町村会ノ決議ニ依ルノ限ニ在ラス
町村学校組合ハ教育事務ノ為条例ノ規定ニ依リ学務委員ヲ置クヘシ
市町村又ハ町村学校組合ハ教育事務ノ為条例ノ規定ニ依リ其ノ区ニ学務委員ヲ置クコトヲ得
学務委員ニハ市町村立小学校男教員ヲ加フヘシ
委員中教員ヨリ出ツル者ハ市町村長又ハ町村学校組合長之ヲ任免ス
第六十三条 学務委員ノ職務其ノ他学務委員ニ関スル規程ハ文部大臣之ヲ定ム
第六十五条 市立小学校長及教員ノ執行スル国ノ教育事務ハ府県知事之ヲ監督シ町村立小学校長及教員ノ執行スル国ノ教育事務ハ郡長之ヲ監督ス
第六十六条 私立小学校ニシテ市内ニ在ルモノハ府県知事之ヲ監督シ町村内ニ在ルモノハ郡長之ヲ監督ス
第六十七条 本令ハ明治三十三年九月一日ヨリ之ヲ施行ス但シ小学校ノ教科目並教則及授業料ノ徴収ニ関シテハ明治三十四年三月三十一日ニ至ル迄仍従前ノ例ニ依ル
第六十八条 本令ハ市制町村制ヲ施行シタル地ニ之ヲ施行ス
第六十九条 明治二十三年勅令第二百十五号小学校令第三十三条ニ依リ設ケタル町村学校組合ハ明治三十八年三月三十一日ニ至ル迄之ヲ存続スルコトヲ得
第七十条 明治二十三年勅令第二百十五号小学校令第三条及第四条ニ依リ小学校ニ於テ加設シタル教科目中本令ノ規定ニ牴触スルモノ又ハ同令第六条ニ依リ高等小学校ニ於テ専修科ヲ置キタルモノハ明治三十三年九月一日ニ於テ現ニ学習スル児童ノ卒業スルニ至ル迄仍従前ノ例ニ依ルコトヲ得
明治二十三年勅令第二百十五号小学校令第三条ニ依リ体操科ヲ闕ケル尋常小学校ニ於テハ明治三十六年三月三十一日迄仍従前ノ例ニ依ルコトヲ得
第七十一条 既設ノ尋常小学校ニシテ体操場ノ設備ナキモノハ明治三十八年三月三十一日迄其ノ設備ヲ猶予ス
第七十二条 本令施行前ニ授与シタル小学校教員免許状ハ本令施行後仍其ノ効力ヲ有ス但シ小学校専科准教員ノ免許状ハ此ノ限ニ在ラス
第七十三条 明治二十六年勅令第百四号及明治三十年勅令第三百十六号ハ之ヲ廃止ス
明治二十六年勅令第三十四号及明治三十年勅令第四百七号ハ明治三十四年四月一日ヨリ之ヲ廃止ス
- 底本: 『官報』第5140号、1900年(明治33年)8月20日
- 底本中の旧字を新字に改めた。
関連項目
編集- 教科用図書検定規則 (明治20年文部省令第2号)
- 地方学事通則 (明治23年法律第89号)
- 市町村立小学校教員退隠料及遺族扶助料法 (明治23年法律第90号)
- 市町村立小学校長及教員名称及待遇 (明治24年勅令第218号)
- 尋常師範学校附属小学校規程 (明治24年文部省令第26号)
- 市制町村制ヲ施行セサル地方ノ小学教育規程 (明治25年勅令第40号)
- 市制町村制ヲ施行セサル地方ノ学務委員ニ関スル件 (明治27年勅令第11号)
- 市町村立小学校授業料ニ関スル件 (明治29年勅令第5号)
- 市町村立小学校教員俸給ニ関スル件 (明治30年勅令第2号)
- 教育基金特別会計法 (明治32年法律第80号)
- 市町村立小学校教育費国庫補助法 (明治33年法律第63号)
- 小学校令施行規則 (明治33年文部省令第14号)
- 小学校令改正並小学校令施行規則発布ニ関スル件 (明治33年文部省訓令第10号)
- 市町村ノ廃置分合等ニ因リ消滅スヘキ学校幼稚園及児童教育事務委託ノ存続ニ関スル件 (明治34年勅令第197号)
- 小学校教科用図書翻刻発行規則 (明治36年文部省令第23号)
- 小学校教育効績状規程 (明治38年文部省令第11号)
- 小学校令及小学校令施行規則改正ニ関シ其要旨並ニ施行上特ニ注意ヲ要スル事項 (明治40年文部省訓令第1号)
- 樺太ニ於ケル小学校ニ関スル件 (明治41年勅令第45号)
- 教科用図書調査委員会官制 (明治41年勅令第208号)
- 市町村立幼稚園長及保母ノ待遇ニ関スル件 (明治42年勅令第335号)
- 小学校令及小学校令施行規則中改正ノ要旨 (明治44年文部省訓令第13号)
- 市町村義務教育費国庫負担法 (大正7年法律第18号)
- 市町村立小学校教員ノ俸給旅費其ノ他ノ諸給与ニ関スル件 (大正8年勅令第241号)
- 一年現役小学校教員俸給費国庫負担法 (大正10年法律第17号)
- 盲学校及聾唖学校令 (大正12年勅令第375号)
- 小学校令及同令施行規則中改正ノ要旨並施行上ノ注意事項 (大正15年文部省訓令第10号)
- 幼稚園令 (大正15年勅令第74号)
- 学齢児童就学奨励規程 (昭和3年文部省訓令第18号)
- 市町村立尋常小学校費臨時国庫補助法 (昭和7年法律第23号)
外部リンク
編集この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。
- 法律命令及官公󠄁文󠄁書
- 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
- 公󠄁開セル裁判󠄁所󠄁、議會竝政談集會ニ於󠄁テ爲シタル演述󠄁
この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。