『土佐日記』(とさにっき)は、紀貫之が土佐国から京に帰る最中に起きた出来事を、虚構を交えて綴った日記文学。延長8年(930年)から承平4年(934年)にかけての時期、貫之は土佐国に国司として赴任していた。その任期を終えて土佐から京へ帰る貫之ら一行の55日間の旅路とおぼしき話を、書き手を女性に仮託し、ほとんどを仮名で日記風に綴った作品である。57首の和歌を含む内容は様々だが、中心となるのは土佐国で亡くなった愛娘を思う心情、そして行程の遅れによる帰京をはやる思いである。諧謔表現(ジョーク、駄洒落などといったユーモア)を多く用いていることも特筆される。その後の仮名による表現、特に女流文学の発達に大きな影響を与えた。『
蜻蛉日記』、『
和泉式部日記』、『
紫式部日記』、『
更級日記』などの作品にも影響を及ぼした可能性は高い。—
ウィキペディア日本語版「
土佐日記」より。