北緯三十度以南の南西諸島に本籍を有する者の渡航制限に関する臨時措置令


 北緯三十度以南の南西諸島に本籍を有する者の渡航制限に関する臨時措置令をここに公布する。

御名御璽

昭和二十五年七月十一日


政令第二百二十七号

北緯三十度以南の南西諸島に本籍を有する者の渡航制限に関する臨時措置令

 内閣は、ポツダム宣言の受諾に伴い、発する命令に関する件(昭和二十年勅令第五百四十二号)に基き、この政令を制定する。

(渡航の制限)

第一條 北緯三十度以南の南西諸島(口之島を含む。)に本籍を有する者は、当分の間、連合国最高司令官の承認を受けなければ、別表に定める地域以外の地域から同表に定める地域に渡航してはならない。

(罰則)

第二條 前條の規定に違反した者は、一年以下の懲役若しくは禁こ又は三万円以下の罰金に処する。

第三條 前條の犯罪行為の用に供した船舶で犯人の所有又は占用に係るものは、没収する。犯人以外の者が犯罪の後その船舶を取得した場合において、その取得の当時善意であったと認められないときも、同様とする。

(刑事訴訟法の特例)

第四條 外国人登録令(昭和二十二年勅令第二百七号)第十五條の規定は、第二條の罪に係る事件について、準用する。

(退去強制)

第五條 法務総裁は、第一條の規定に違反した者に対し、退去を強制することができる。

2 前項の規定による退去の強制は、法務総裁の定めるところにより、都道府県知事に退去強制令書を発布させて行う。

(退去強制令書の執行)

第六條 前條の退去強制令書は、警察官、警察吏員、海上保安官そのほか法務総裁の定める官吏又は吏員が執行する。

1 この政令は、公布の日から施行する。

2 この政令施行前に第二條の罪に相当する行為をした者の処罰については、なお従前の例による。但し、同條に定める刑の範囲内において処断するものとする。

3 外国人登録令の一部を次のように改正する。

第十六條中「その定めるところにより、」を削り、同條に次の一項を加える。
前項の規定による退去の強制は、法務総裁の定めるところにより、都道府県知事に退去強制令書を発布させて行う。
第十七條第二項中「前項の規定により退去の強制をした場合」を「前項の退去強制令書を発布した場合」に改め、同條第一項の次に次の一項を加える。
前項の規定による退去の強制は、都道府県知事が退去強制令書を発布して行う。
第十七條の次に次の一條を加える。
第十八條 前二條の退去強制令書は、警察官、警察吏員、海上保安官その他法務総裁の定める官吏又は吏員が執行する。
別表
一 本州
二 北海道
三 四国
四 九州
五 前四号に掲げるものに附属する島であつて、日本の行政権の及ぶもの

内閣総理大臣 吉田  茂

法務総裁 大橋 武夫

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