シリヤの聖イサアク全書/第二十九説教

第29説教

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有形ゆうけいなるものをまなび、あるい有形ゆうけいなるものよりつたへらるるを五官ごかんにてうく知識ちしきは、ぜんてきしきづけらるるなり。しかして思想しそうするものちからもっけいなる霊物れいぶつせいないおいまな知識ちしき霊的れいてき知識ちしきづけらるべし、なんとなれば精神せいしんもっ感受かんじゅして、五官ごかんもってせざればなり、しかしてこの二種類にしゅるいはその観察かんさつときさいし、そとより霊中れいちゅうきたるなり。これはんして神聖しんせいなるちからもっあたへらるる知識ちしき超自然的ちょうしぜんてきづけられ、こと不可思議ふかしぎなるものにして、知識ちしきよりは一層上いっそううえにあり。しかしてこの知識ちしき直覚ちょっかく霊魂れいこんうくるは、はじしきおけごと霊魂れいこんほかにある物体ぶったいよりこれうくるにあらず、かえっこの直覚ちょっかく自己じこないおい物体ぶったいかかはらず、忽然こつぜん迅速じゅんそくかつ望外ぼうがいにその内面ないめんよりあらはれきたるなり、なんとなればハリストスごとく『天国てんごくなんぢらのうちにあり』〔ルカ十七の二十一〕、前表ぜんひょうもっ希望きぼうやしなふによるにあらず、顕然けんぜんとしてきたるにあらず、神秘しんぴなる智力ちりょくいんせられたる形象けいしょう内部ないぶおいおもふことなくぜんあらはるるなり、なんとなればかれおい物体ぶったいたづぬるにあらざればなり。

第一だいいち知識ちしき不断ふだん研究けんきゅう勉焉べんえんたる学習がくしゅう結果けっかなり、第二だいに良善りょうぜんなる生涯しょうがい合理的ごうりてき信仰しんこう結果けっかなり、しかして第三だいさん唯一ゆいいつ信仰しんこうくじもっあたへらる、なんとなれば信仰しんこうもっ知識ちしきむなしうせられ、活動かつどうおわりげ、五感ごかん贅物ぜいぶつとなりて不用ふようぞくすればなり。ゆえにこの界限かいげんよりくだればくだほど知識ちしきたっとばるべくして、いよいよくだればいよいよたっとばるべし。しかしてぞくするものにたっするときは、知識ちしきことごとくを管理かんりし、知識ちしきなくんばすべての行為こういしくかつ不十分ふじゅうぶんなるべし。しかれども霊魂れいこんがその直覚ちょっかくたかげ、その概念がいねん上天じょうてんことおよぼして、有形ゆうけいえざるものと肉体にくたいけんにあらざるものとをかんがふるときは、すべては信仰しんこうにより組織そしきせらるべくして『世々よよ讃美さんびせらるる』〔ロマ九の五しゅイイスス ハリストスこの信仰しんこうわれらにたまふべし。「アミン」。