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て​住​​ス​みたりき。


§17(01:10:04)白鳥庫吉訳『音訳蒙文元朝秘史』(東洋文庫,1943年) Open original book in Wikimedia


男なき​阿闌 媛​​アラン ビメ​より三子の生れ

 かく​住​​ス​める​程​​ホド​に、​朶奔 篾兒干​​ドブン メルゲン​ ​無​​ナ​くなれり。​朶奔 篾兒干​​ドブン メルゲン​を​無​​ナ​くなしたる​後​​ノチ​、​阿闌媛​​アランヒメ​〈[#「阿闌媛」はママ。他の節︀では「阿闌 媛」でルビは「アラン ビメ」]〉は、​男​​ヲトコ​ ​無​​ナ​きに​三人​​ミタリ​の​子​​コ​を​生​​ウ​めり。​不忽 合塔吉​​ブク カタギ​(元史 本紀、世系表、輟耕錄​博寒 葛荅黑​​ボカン カダキ​、蒙古 源流​布固 哈塔吉​​ブグ ハタギ​)、​不合禿 撒勒只​​ブカト サルヂ​(元史、輟耕錄​博合覩 撒里直​​ボカト サリヂ​、蒙古 源流​博克多 薩勒濟固​​ボクド サルヂグ​)、​孛端察兒 蒙合黑​​ボドンチヤル モンカク​(元史、輟耕錄、孛端叉兒、蒙古 源流、勃端察兒)と​云​​イ​へるなりき。


§18(01:10:09)白鳥庫吉訳『音訳蒙文元朝秘史』(東洋文庫,1943年) Open original book in Wikimedia


母の行ひを​前​​サキ​の二子の疑ひ

 ​前​​サキ​に​朶奔 篾兒干​​ドブン メルゲン​より​生​​ウマ​れたる​別勒古訥台​​ベルグヌタイ​、​不古訥台​​ブグヌタイ​、​二人​​フタリ​の​子​​コ​は、その​母​​ハヽ​ ​阿闌 媛​​アラン ビメ​の​背處​​カゲ​にて​言​​イ​ひ​合​​ア​へらく「この​我等​​ワレラ​の​母​​ハヽ​は、​兄弟​​アニオトヽ​なる​房親​​ボウシン​の​人​​ヒト​(夫の兄弟)​無​​ナ​く​男​​ヲトコ​(外夫)​無​​ナ​くありつゝ、この​三人​​ミタリ​の​子​​コ​を​生​​ウ​めり。​家​​イヘ​の​內​​ウチ​に​獨​​ヒトリ​ ​馬阿里黑 伯牙兀歹​​マアリク バヤウダイ​の​子​​コ​あり。(子は、原文に古溫とありて、語譯には人と譯し、文譯には家人と譯したれども、古溫は、子の蒙語なる可溫の誤りなるべし。)この​三人​​ミタリ​の​子​​コ​は、​彼​​カレ​のなるぞ」と​母​​ハヽ​の​背處​​カゲ​にて​噂​​ウハサ​し​合​​ア​へるを、その​母​​ハヽ​ ​阿闌 媛​​アラン ビメ​ ​覺​​サト​りて、


§19(01:11:07)白鳥庫吉訳『音訳蒙文元朝秘史』(東洋文庫,1943年) Open original book in Wikimedia


束ねたる​箭​​ヤ​の​譬​​タトヘ​

 ​春​​ハル​の​一日​​ヒトヒ​、​臘羊​​ラフヤウ​を​煮︀​​ニ​て、​別勒古訥台​​ベルグヌタイ​、​不古訥台​​ブグヌタイ​、​不忽 合塔吉​​ブク カタギ​、​不合禿 撒勒只​​ブカト サルヂ​、​孛端察兒 蒙合黑​​ボドンチヤル モンカク​、この​五人​​イツタリ​の​子​​コ​どもを​列​​ナラ​べ​坐​​ス​ゑて、​一條​​ヒトスヂ​づゝの​箭​​ヤ​を「折れ」と云ひて​與​​アタ​へたり。​一條​​ヒトスヂ​づゝをいかで​畱​​トヾ​めん、​折​​ヲ​りて​去​​ノ​けたり。​又​​マタ​ ​五條​​イツスヂ​の​箭​​ヤ​を​一​​ヒト​つに​束​​ツカ​ねて、「​折​​ヲ​れ」と​云​​イ​ひて​與​​アタ​へたり。​五人​​イツタリ​にて、​五條​​イツスヂ​ ​束​​ツカ​ねたる​箭​​ヤ​を​人​​ヒト​ごとに​取​​ト​りて​𢌞​​マハ​して​折​​ヲ​りかねたり。


§20(01:12:06)白鳥庫吉訳『音訳蒙文元朝秘史』(東洋文庫,1943年) Open original book in Wikimedia


​阿闌 媛​​アラン ビメ​の​辨解​​ベンカイ​

 そこに​阿闌 媛​​アラン ビメ​なる​彼等​​カレラ​の​母​​ハヽ​は​言​​イ​へり。「​汝等​​ナンヂラ​。