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拜喀爾 湖の西に在るべし。元史 兵志に、太僕寺の牧地「北踰火里 禿麻」とあるは、この地なり)​官人​​クワンニン​ ​豁哩剌兒台 篾兒干​​ゴリラルタイ メルゲン​(蒙古 源流​郭哩岱 默爾根​​ゴリダイ メルゲン​)に​與​​アタ​へられたりき。​豁哩 禿馬惕​​ゴリ トマト​の​地​​チ​にて​阿哩黑 兀孫​​アリク ウスン​にて(阿哩黑の水。蒙古 源流​阿哩克 烏遜​​アリク ウスン​。高寶銓の說に、今の伊爾庫租克 州の伊爾庫 河なりと云ふ。)​豁哩剌兒台 篾兒干​​ゴリラルタイ メルゲン​の[​妻​​ツマ​]​巴兒忽眞 媛​​バルクヂン ヒメ​より​生​​ウマ​れたる​阿闌 媛​​アラン ビメ​と​云​​イ​ふ​女子​​ヲトメ​ ​然​​シカ​り。


§9(01:06:01)白鳥庫吉訳『音訳蒙文元朝秘史』(東洋文庫,1943年) Open original book in Wikimedia


​豁哩剌兒​​ゴリラル​姓の起り

 ​豁哩剌兒台 篾兒干​​ゴリラルタイ メルゲン​は、​豁哩 禿馬惕​​ゴリ トマト​の​地​​チ​の​內​​ウチ​、​貂鼠​​テウソ​ ​靑鼠​​セイソ​ ​野獸​​ケダモノ​ある​地​​チ​を​差止​​サシト​め​合​​ア​ひて(仲間內にて互に禁約して)、​憂​​ウレ​へ​合​​ア​ひて(明譯​豁哩 禿馬敦​​ゴリ トマドン​ ​地面​​ジメン​​貂鼠​​テウソ​ ​靑鼠​​セイソ​ ​野物​​ヤブツヲ​、被ラレ​自火裏​​ナカマウチニ​ ​禁約​​キンヤクセ​、​不​​ザル​​得​​エ​​打捕​​ウチトルヲ​​的​​ノ​ ​上頭​​ユヱニ​、​煩惱了​​ウレヘテ​)、​豁哩剌兒​​ゴリラル​(禁約の蒙語。親征錄、元史、本紀、​火魯剌思​​ホルラス​)​姓​​ウヂ​となりて、「​不兒罕 嶽​​ブルカン ダケ​の、​野獸​​ケダモノ​を​捕​​ト​るに​好​​ヨ​くある​地​​トコロ​ ​好​​ヨ​し」とて、​不兒罕 嶽​​ブルカン ダケ​の​主人​​ウシ​ ​不兒罕​​ブルカン​ ​孛思合黑三​​ボスカクサン​ ​哂赤 伯顏​​シンチ バヤン​ ​兀哴孩​​ウリヤンカイ​ (譯すれば、不兒罕を起したる、名は哂赤 長者︀、姓は兀哴孩)の​處​​トコロ​に​起​​タ​ちて​來​​キ​たりき。​豁哩 禿馬惕​​ゴリ トマト​の​豁哩剌兒台 篾兒干​​ゴリラルタイ メルゲン​の​女​​ムスメ​にて​阿哩黑 兀孫​​アリク ウスン​に​生​​ウマ​れたる​阿闌 媛​​アラン ビメ​をそこに​求​​モト​めて​朶奔 篾兒干​​ドブン メルゲン​の​取​​ト​れる​緣故​​コトノモト​は、かくあり。


§10(01:07:02)白鳥庫吉訳『音訳蒙文元朝秘史』(東洋文庫,1943年) Open original book in Wikimedia


​朶奔 篾兒干​​ドブン メルゲン​の二子

 ​阿闌 媛​​アラン ビメ​は​朶奔 篾兒干​​ドブン メルゲン​の​處​​トコロ​に​來​​キ​て、​二人​​フタリ​の​子​​コ​を​生​​ウ​めり。​不古訥台​​ブグヌタイ​(蒙古 源流​伯衮徳依​​ベグンデイ​)、​別勒古訥台​​ベルグヌタイ​(蒙古 源流​伯勒格特依​​ベルグテイ​)と​云​​イ​へるなりき。(下文に依れば、不古訥台は弟、別勒古訥台は兄なり。


§11(01:07:05)白鳥庫吉訳『音訳蒙文元朝秘史』(東洋文庫,1943年) Open original book in Wikimedia


​都︀蛙 鎻豁兒​​ドワ ソゴル​の四子

 ​都︀蛙 鎻豁兒​​ドワ ソゴル​なる​其​​ソ​の(朶奔 篾兒干の)​兄​​アニ​は、​四人​​ヨタリ​の​子​​コ​ありき。​然​​シカ​ある​程​​ホド​に、​都︀蛙 鎻豁兒​​ドワ ソゴル​なるその​兄​​アニ​は、​無​​ナ​くなれり(死にたり)。