拜喀爾 湖の西に在るべし。元史 兵志に、太僕寺の牧地「北踰㆓火里 禿麻㆒」とあるは、この地なり)官人クワンニン 豁哩剌兒台 篾兒干ゴリラルタイ メルゲン(蒙古 源流郭哩岱 默爾根ゴリダイ メルゲン)に與アタへられたりき。豁哩 禿馬惕ゴリ トマトの地チにて阿哩黑 兀孫アリク ウスンにて(阿哩黑の水。蒙古 源流阿哩克 烏遜アリク ウスン。高寶銓の說に、今の伊爾庫租克 州の伊爾庫 河なりと云ふ。)豁哩剌兒台 篾兒干ゴリラルタイ メルゲンの[妻ツマ]巴兒忽眞 媛バルクヂン ヒメより生ウマれたる阿闌 媛アラン ビメと云イふ女子ヲトメ 然シカり。
§9(01:06:01)白鳥庫吉訳『音訳蒙文元朝秘史』(東洋文庫,1943年)
豁哩剌兒台 篾兒干ゴリラルタイ メルゲンは、豁哩 禿馬惕ゴリ トマトの地チの內ウチ、貂鼠テウソ 靑鼠セイソ 野獸ケダモノある地チを差止サシトめ合アひて(仲間內にて互に禁約して)、憂ウレへ合アひて(明譯豁哩 禿馬敦ゴリ トマドン 地面ジメン
§10(01:07:02)白鳥庫吉訳『音訳蒙文元朝秘史』(東洋文庫,1943年)
阿闌 媛アラン ビメは朶奔 篾兒干ドブン メルゲンの處トコロに來キて、二人フタリの子コを生ウめり。不古訥台ブグヌタイ(蒙古 源流伯衮徳依ベグンデイ)、別勒古訥台ベルグヌタイ(蒙古 源流伯勒格特依ベルグテイ)と云イへるなりき。(下文に依れば、不古訥台は弟、別勒古訥台は兄なり。)
§11(01:07:05)白鳥庫吉訳『音訳蒙文元朝秘史』(東洋文庫,1943年)
都︀蛙 鎻豁兒ドワ ソゴルなる其ソの(朶奔 篾兒干の)兄アニは、四人ヨタリの子コありき。然シカある程ホドに、都︀蛙 鎻豁兒ドワ ソゴルなるその兄アニは、無ナくなれり(死にたり)。