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し、二河 合流して、昌克圖布里圖 湖に入りて止まり、烏珠穆沁 右翼の界へは流れ往かず。成吉思 汗の勝ちて進みたる處は、その湖水の北なるべし。)​察罕 塔塔兒​​チヤガン タタル​(前の察阿安 塔塔兒)、​阿勒赤 塔塔兒​​アルチ タタル​、​都︀塔兀惕 塔塔兒​​ドタウト タタル​、​阿魯孩 塔塔兒​​アルカイ タタル​、​重要​​ジウエウ​なる​民​​タミ​をそこに​滅​​ホロボ​して、

​阿勒壇​​アルタン​ ​忽察兒​​クチヤル​ ​荅哩台​​ダリタイ​の軍法違犯

​軍法​​グンパフ​を​言​​イ​ひ​合​​ア​ひたる​言​​コトバ​に、​阿勒壇​​アルタン​、​忽察兒​​クチヤル​、​荅哩台​​ダリタイ​〈[#ルビの「ダリタイ」は底本では「タリタイ」。昭和18年復刻版に倣い修正]〉親征錄 元史​族人 案彈​​ゾクジン アンタン​、​火察兒​​ホチヤル​、​荅力台​​ダリタイ​)​三人​​ミタリ​、​言​​コトバ​に​遵​​シタガ​はず、​財​​タカラ​の​處​​トコロ​に​立​​タ​ちけり。「​言​​コトバ​に​遵​​シタガ​はざりき」とて、​者︀別​​ヂエベ​、​忽必來​​クビライ​(親征錄​虎必來​​フビライ​、​折別​​ヂエベ​) ​二人​​フタリ​を​遣​​ヤ​りて、​掠​​カス​めたる​馬羣​​バグン​、​何​​ナニ​にても​取​​ト​りたる​都︀​​スベ​てを​取​​ト​らしめたり。


§154(05:19:03)白鳥庫吉訳『音訳蒙文元朝秘史』(東洋文庫,1943年) Open original book in Wikimedia


​塔塔兒​​タタル​ ​屠戮​​トリク​の密議

 ​塔塔兒​​タタル​を​滅​​ホロボ​して​虜︀​​トラ​へ​了​​ヲ​へて​彼等​​カレラ​の​部落​​ブラク​ ​人民​​ジンミン​を​如何​​イカニ​せんとて、​成吉思 合罕​​チンギス カガン​は、​大評議​​ダイヒヤウギ​を​一族​​イチゾク​にて​一​​ヒトツ​の​房​​ヘヤ​に​入​​イ​りて​議​​ハカ​り​合​​ア​へり。​議​​ハカ​り​合​​ア​へらく「​先​​サキ​の​日​​ヒ​より​塔塔兒​​タタル​の​民​​タミ​は、​御祖︀​​ミオヤ​なる​父​​チヽ​を​失​​ウシナ​ひたるなりき。​御祖︀​​ミオヤ​なる​父​​チヽ​の​讎​​アタ​​復​​カヘ​して​怨​​ウラミ​ ​報​​ムク​いて、​車轄​​シヤカツ​に​比​​クラ​べて​屠​​ホフ​りて​殺︀​​コロ​して​與​​アタ​へん(明譯​可​​ベシ​​將​​ヲ​​他​​カレノ​​男子​​ダンシノ​​似​​ホド​​車轄​​シヤカツ​​大的​​オホキナルモノ​​盡​​コトゴトク​​誅了​​チウス​)。​絕​​タ​ゆるまで​屠​​ホフ​らん。​殘​​ノコ​れるを​奴婢​​ヌヒ​とせん。​各​​オノに​分​​ワカ​け​合​​ア​はん」とて、​評議​​ヒヤウギ​ ​定​​サダ​め​合​​ア​ひて、​房​​ヘヤ​より​出​​イ​づれば、​塔塔兒​​タタル​の​也客 扯嗹​​エケ チエレン​は、​別勒古台​​ベルグタイ​に「いかに​評議​​ヒヤウギ​を​議​​ハカ​り​合​​ア​へる」と​問​​ト​ひけり。​別勒古台​​ベルグタイ​ ​言​​イ​はく「​汝等​​ナンヂラ​を​都︀​​スベ​てを​車轄​​シヤカツ​に​比​​クラ​べて​屠​​ホフ​らんと​云​​イ​ひ​合​​ア​へり」と​云​​イ​ひき。

​別勒古台​​ベルグタイ​の密議漏し

​別勒古台​​ベルグタイ​のこの​言​​コトバ​にて、​也客 扯嗹​​エケ チエレン​は、​塔塔兒​​タタル​の​處​​トコロ​に​傳說​​デンセツ​を​放​​ハナ​ちて​寨​​トリデ​に​據​​ヨ​りき。​寨​​トリデ​に​據​​ヨ​りたる​塔塔兒​​タタル​の​處​​トコロ​に​我等​​ワレラ​の​軍士​​イクサビト​ども​攻​​セ​むるとなり、​甚​​イタ​だ​損失​​ソンシツ​しけり。​寨​​トリデ​に