成吉思 汗 實錄チンギス カン ジツロク 卷マキの四シ。
§127(04:01:02)白鳥庫吉訳『音訳蒙文元朝秘史』(東洋文庫,1943年)
阿勒壇アルタン 忽察兒クチヤルに言イはしむる札木合ヂヤムカのいやみ
阿兒孩 合撒兒アルカイ カツサル、察兀兒罕チヤウルカン 二人フタリを札木合ヂヤムカの處トコロに使ツカヒに遣ヤりたれば、札木合ヂヤムカ 言イはく「阿勒壇アルタン、忽察兒クチヤル 二人フタリに言イへ」とて、言イひて遣ヤるには「阿勒壇アルタン 忽察兒クチヤル、汝等ナンヂラ 二人フタリは、帖木眞 安荅テムヂン アンダと我ワレと二人フタリの閒アヒダに、安荅アンダの腰窩コシノクビレ速別額を截サ薛赤して、肋骨アバラボネ合必兒合を攫ツカ合惕忽みて、何ナンぞ離ハナれしめたる、汝等ナンヂラ。安荅アンダ 我ワレ 二人フタリを離ハナれしめず一處ヒトトコロに居ヲる時トキ、帖木眞 安荅テムヂン アンダを罕カンに何ナンぞ爲ナさざりし、汝等ナンヂラ。今イマ 何ナニを只タヾ 心コヽロに思オモひてか罕カンとなしたる、汝等ナンヂラ。阿勒壇アルタン、忽察兒クチヤル 汝等ナンヂラ 二人フタリは、言イへる言コトバに從シタガひ、安荅アンダの心コヽロを安ヤスからしめて、我ワが安荅アンダに善ヨくも伴トモとなりて與アタへよ」と云イひて遣ヤり