§119(03:32:05)白鳥庫吉訳『音訳蒙文元朝秘史』(東洋文庫,1943年)
別速惕ベストの家に遺ノコれる闊闊出ココチユ
孛兒帖 兀眞ボルテ ウヂンの言コトバにて、善ヨしとして下馬ゲバせず、夜通ヨドオし動ウゴきて來キつる閒アヒダに、途ミチに泰赤兀惕タイチウトを過スぎたり。泰赤兀惕タイチウトも驚オドロきて、本夜ソノヨ 便スナハち指サし向ムきて札木合ヂヤムカの處トコロに動ウゴきたり。泰赤兀惕タイチウトの[伴トモなる]別速惕 氏ベスト ウヂの營盤イヘヰに一人ヒトリの小チイサき闊闊出ココチユと云イふ子コを營盤イヘヰに遺ノコしたるを、我ワが眾シウ 取トりて來キて、訶額侖 額客ホエルン エケに與アタへたり。[それを]訶額侖 額客ホエルン エケ 養ヤシナへり。
§120(03:33:06)白鳥庫吉訳『音訳蒙文元朝秘史』(東洋文庫,1943年)
その夜ヨ 夜通ヨドオしして、日明ヒアくれば見ミれば、札剌亦兒ヂヤライル(親征錄 元史札剌兒部ヂヤラルブ、元史また押剌伊而 部ヤライル ブ)の合赤溫 脫忽喇溫カチウン トクラウン、合喇孩 脫忽喇溫カラカイ トクラウン、合喇勒歹 脫忽喇溫カラルダイ トクラウン、この三人ミタリの脫忽喇溫トクラウン 兄弟アニオトヽ、夜通ヨドホしし合アひて來キたりき。又マタ 塔兒忽惕タルクトの(所出 詳かならず。)合荅安 荅勒都︀兒罕カダアン ダルドルカン、兄弟アニオトヽ 五人イツタリの塔兒忽惕タククトも來キたりき。又マタ 蒙格禿 乞顏モンゲト キヤンの子コ 翁古兒オングル 等ラも、敞失兀惕シヤンシウト(所出 詳かならず。)巴牙兀惕バヤウト(卷一なる 馬阿里黑 伯牙兀歹の裔、輟耕錄 蒙古 七十二種の中の伯要歹 氏、元史の伯岳吾 氏 又 伯牙吾 氏)と共トモに來キたりき。巴嚕剌思バルラスより忽必來クビライ(親征錄 元史虎必來クビライ)、忽都︀思クドス、兄弟アニオトヽども來キぬ。忙忽惕モンクトより哲台ヂエタイ、多豁勒忽 徹兒必ドゴルク チエルビ(徹兒必は、官名なり。後に任ぜられたる官の名を以て追稱せり。次の斡歌連 雪亦客禿も同じ。)兄弟オトヽ 二人フタリ 來キぬ。孛斡兒出ボオルチユの弟オトヽ 斡歌連 徹兒必オゲレン チエルビ(元史 食貨志の斡闊烈 闍里必オコライ ヂエリビ)も、阿嚕剌惕アルラト(元史 博爾朮の傳阿兒剌 氏アルラ ウヂ)より離ハナれて、その兄アニ 孛斡兒出ボオルチユに合アひに來キぬ。者︀勒篾ヂエルメの弟オトヽ(蒙語 迭兀、單稱の弟にて、察兀兒罕のみに係り、速別額台には係らず。)察兀兒罕チヤウルカン、速別額台 巴阿禿兒スベエタイ バアトル(親征錄速不台 拔都︀スブタイ バード元史 速不台 また 雪不台)は、兀哴罕ウリヤンカン(元史 兀良合、又 兀良罕 氏)より離ハナれて、者︀勒篾ヂエルメに合アひに來キぬ。別速惕ベストよ