成吉思 汗 實錄チンギス カン ジツロク 卷マキの三サン。
§104(03:01:02)白鳥庫吉訳『音訳蒙文元朝秘史』(東洋文庫,1943年)
王罕ワンカンの救を求めに帖木眞テムヂン 等の合喇屯カラトン 往き
かく陳ノべて、帖木眞テムヂン、合撒兒カツサル、別勒古台ベルグタイ 三人ミタリは、客咧亦惕ケレイトの脫斡哩勒トオリル(親征錄脫憐トーリン、元史 太祖︀紀、脫里、哈剌哈孫の傳、脫斡璘〈[#「脫斡璘」の三文字目「璘」は底本では「王+鄰」。「王+鄰」に該当するUnicodeが見当たらないのでzh.wikisource.orgの元史 卷136を参考に「璘」とした]〉)王罕ワンカンの處トコロに、土兀剌 木嗹トウラ ムレン(土兀剌 河)の合喇屯カラトン(黑林)に居ヲる處トコロに往ユきて言イはく「三ミつの篾兒乞惕メルキトに、意オモはず居ヲる處トコロに來キて、妻子ツマコを虜︀トラへて取トられたり。我ワが罕 額赤格カン エチゲ(罕なる父)、妻子ツマコを救スクひて與アタへよとて來キぬ、我等ワレラ」と云イへり。
その言コトバの返辭カヘリゴトに、脫斡哩勒 王罕トオリル ワンカン 言イはく「我ワレ 去年コゾ 汝ナンヂに言イはざりしか。貂鼠テウソの裘カハコロモを我ワレに持モち來キつるに、「父チヽの時トキに安荅アンダと云イひ合アひたるは、父チヽの如ゴトくあるぞ」とて被キせられたれば、そこに我ワレ 言イはく「貂鼠テウソ不魯罕の裘カハコロモの返禮ヘンレイに、