農学校通則
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編集○第五号(四月十一日 輪廓附)
府県
農学校通則別冊之通相定候条此旨相達候事
(別冊)
農学校通則
第一章 総則
第一条 農学校ハ此通則ニ遵ヒ農ノ学業ヲ教授スル所トス
第二条 農学校ハ之ヲ分テ第一第二ノ二種トス第一種ハ主トシテ躬ヲ善ク農業ヲ操ルヘキ者ヲ養成スル為メ上款ニ遵ヒ之ヲ設置スルモノトス第二種ハ主トシテ善ク農業ヲ処理スヘキ者ヲ養成スル為メ下款ニ遵ヒ之ヲ設置スルモノトス
第三条 農学校ニ於テハ殊ニ本邦ノ農事ニ就キ第一種ハ主トシテ実業ヲ授ケ第二種ハ学理ト実業トヲ並ヒ授クルヲ要ス且実験ノ用ニ供スルニ足ルヘキ田圃等ノ準備アルヲ要ス
上款
第二章 学科目
第四条 第一種農学校ノ学科ハ左ニ掲クル諸目トス
修身 | 算術幾何 | 物理
|
化学 | 動植物 | 耕種 |
養畜 | 農業経済 | 農業簿記 |
但土地ノ情況ニ由リ本文某科目ノ程度ヲ斟酌シ若クハ斟酌セスシテ特ニ園芸、森林、開墾、養蚕、養魚、桑、茶、綿、麻、楮、藍、㯃、櫨、甘蔗、芦粟、葡萄、烟草等ノ耕種法、製茶法、製糖法、農産物貯法、肥料製造法等ノ某科目ヲ置クコトヲ得
第三章 修業年限、日数及時数
第五条 第一種農学校ノ修業年限ハ二箇年トス
但此年限ヲ一年以内増加スルコトヲ得
第六条 第一種農学校ノ授業日数ハ少クトモ毎年三十二週ヲ下ルヘカラス
第七条 第一種農学校ノ授業時間ハ毎週講学十二時実習三十時ヲ以テ度トス
但毎週講学及実習時間ハ修業年限ニ通シ相斟酌シテ之ヲ定ムルコトアルヘシ
第四章 入学生徒ノ資格
第八条 第一種農学校ニ入学スル生徒ハ品行善良体質強健ニシテ年齢十五年以上トス
第九条 第一種農学校ニ入学スル生徒ハ小学中等科卒業ノ学力ヲ有スル者若クハ少クトモ左ニ掲クル科目ニ就テ小学中等科ノ学力ヲ有スル者タルヘシ
読書 | 算術 |
第五章 教員ノ資格、員数
第十条 第一種農学校ノ教員中少クトモ一名ハ文部卿ノ認可ヲ経タル者ヲ以テ之ニ充テ主トシテ重要ノ学科目ヲ担任セシムヘシ
下款
第六章 学科目
第十一条 第二種農学校ノ学科ハ左ニ掲クル諸目トス
修身 | 代数、幾何、三角法 | 図画 |
物理学 | 化学 | 動物学 |
植物学 | 地質学 | 農用化学 |
農用工学 | 耕種 | 養畜 |
農業経済 | 農業簿記 | 農事法規 |
但土地ノ情況ニ由リ本文某科目ノ程度ヲ斟酌シ若クハ斟酌セスシテ特ニ園芸、森林、開墾、獣医、昆虫学等ノ某科目ヲ置キ又養蚕、養魚、桑、茶、綿、麻、楮、藍、㯃、櫨、甘蔗、芦粟、葡萄、烟草等ノ耕種法、製茶法、製糖法、農産物貯法、肥料製造法等ノ某科目ヲ置クコトヲ得
第七章 修業年限、日数及時数
第十二条 第二種農学校ノ修業年限ハ三箇年トス
但此年限ヲ一年以内増加スルコトヲ得
第十三条 第二種農学校ノ授業日数ハ第六条ニ準ス
第十四条 第二種農学校ノ授業時間ハ毎週講学及実習各十八時ヲ以テ度トス
但毎週講学及実習時間ハ修業年限ニ通シ相斟酌シテ之ヲ定ムルコトアルヘシ
第八章 入学生徒ノ資格
第十五条 第二種農学校ニ入学スル生徒ハ品行善良体質強健ニシテ年齢十六年以上トス
第十六条 第二種農学校ニ入学スル生徒ハ初等中学科卒業ノ学力ヲ有スル者若クハ少クトモ左ニ掲クル科目ニ就テ初等中学科ノ学力ヲ有スル者タルヘシ
和漢文 | 算術、幾何 | 地理 | 物理 |
第九章 教員ノ資格、員数
第十七条 第二種農学校ノ教員中少クトモ二名ハ第十条ニ準ス
- 底本中の旧字を新字に改めた。
関連項目
編集- 教育令 (明治13年太政官布告第59号)
- 公立農学校商業学校職工学校設置ノ地所無代価下渡 (明治14年太政官達第10号)
- 府県立町村立専門学校農学校商業学校職工学校等職員名称準官等定方 (明治14年文部省達第23号)
- 公立農学校実験用田圃ニ供スル官有地無借地料使用差許 (明治16年太政官達第45号)
- 公立農学校実験用ニ供スル地所ハ地租地方税免除方 (明治16年太政官布告第44号)
- 農学校ノ件ニ付照会ノ旨意
- 公立農学校実験用地所ノ地名坪数地価等取調届出方 (明治17年文部省達第15号)
- 公立小中学校公立専門学校ヘ無代価下渡地所及農学校用官有地地名坪数地価概額取調届出方 (明治17年文部省達第16号)
外部リンク
編集- 「農学校通則ヲ定ム」(国立公文書館所蔵「公文類聚第七編 第五十四巻」)
- 『文部省達全書』[明治16年]、文部省、1884年2月
- 『文部省第十一年報附録』1885年10月
- 教育史編纂会編修『明治以降 教育制度発達史 第二巻』竜吟社、1938年7月