辯護士試驗規則


司法省令第九號

辯護士試驗規則左ノ通相定ム

明治二十六年五月十二日

司法大臣芳川顕正

辯護士試驗規則

第一條 辯護士試驗ハ每年一回之ヲ行フ但其期日ハ司法大臣之ヲ定メ三箇月前官報ヲ以テ之ヲ公吿ス

第二條 試驗委員長及委員ハ判事檢事司法省高等官ノ中ヨリ試驗擧行每ニ司法大臣之ヲ命ス

第三條 試驗委員長ハ委員ヲ監督シ試驗ニ關スル一切ノ事務ヲ總理ス

第四條 試驗委員附屬ノ書記ハ司法屬又ハ裁判所書記ノ中ヨリ試驗擧行每ニ司法大臣之ヲ命ス

第五條 辯護士法第五條ニ該當スル者ハ試驗ヲ受クルコトヲ得ス

第六條 試驗志願者ハ其願書ニ左ノ證書ヲ添ヘ試驗ヲ受クヘキ裁判所ノ檢事局ヲ經由シテ之ヲ試驗委員長ニ差出ス可シ

一 履歴書
一 辯護士法第五條第一號但書及ヒ第四號ニ該ル者ハ其復權又ハ債務ノ辨償ヲ終ヘタル證明書

第七條 試驗志願者ハ試驗手數料トシテ金拾圓ヲ納ム可シ但其手數料ハ登記印紙ヲ用ヰ之ヲ願書ニ貼付ス可シ

手數料ハ願書ヲ取下ケ又ハ試驗ヲ受ケサルトキト雖モ之ヲ還付セス

第八條 試驗ハ筆記口述ノ二様トス

筆記試驗ハ民法、商法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法ノ各科目ニ就キ之ヲ施行ス

口述試驗ハ民法、商法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法ノ中少クトモ三科目ニ就キ之ヲ施行ス

第九條 筆記試驗ハ各控訴院ニ於テ之ヲ行フ但事宜ニ依リ地方裁判所ニ於テ之ヲ行フコトアル可シ

口述試驗ハ司法省ニ於テ之ヲ行フ

第十條 筆記試驗ニ合格シタル者ニ非サレハ口述試驗ヲ行ハス

第十一條 試驗ニ關スル細則ハ試驗擧行每ニ試驗委員ニ於テ之ヲ定ム可シ

第十二條 試驗委員長ハ試驗ノ成績及ヒ及第者ノ氏名ヲ司法大臣ニ報吿スヘシ

第十三條 試驗及第者ノ氏名ハ官報ヲ以テ之ヲ公吿ス

第十四條 試驗及第者ニハ及第證書ヲ授與ス

第十五條 試驗願書及ヒ履歴書ノ書式ハ左ノ如シ

書式

試驗願書  用紙美濃紙

族籍

氏     名

何年何ヶ月

私儀辯護士志願ニ付試驗相受度別紙履歴書及證明書相添此段奉願候也

現住所

氏     名 (印)

年  月  日

辯護士試驗委員長氏名殿



履歴書  用紙美濃紙

族籍

氏     名

出生年月日

學事

一 何年何月ヨリ何地何某ニ就キ又ハ何學校ニ入リ何年何月迄何學ヲ修メ又ハ何學科ヲ卒業スルノ類

一 何年何月ヨリ何官私立學校ニ入リ何學科ヲ修業シ何年何月卒業ス其證書冩別紙ノ如シノ類

一 何年何月何學校若クハ其他ニ於テ何々ノ試驗ヲ受ケ及第ス其證書冩別紙ノ如シノ類

賞罰

一 何年何月ヨリ何地ニ於テ何々ノ事由ノ爲メ何廳ヨリ賞ヲ受ケ何年何月何々ノ事由ノ爲メ何地ニ於テ罰又ハ刑ヲ受ク其辭令書又ハ宣告書冩別紙ノ如シノ類

右ノ各項中記載ス可キ廉ナキ者ハ其旨ヲ記載ス可シ

現住所

氏     名 (印)

この作品は1929年1月1日より前に発行され、かつ著作者の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)100年以上経過しているため、全ての国や地域でパブリックドメインの状態にあります。