賜金国庫債券規則


大蔵省令第七十四号

賜金国庫債券規則左の通定む

昭和十五年十月十五日

大蔵大臣  河田 烈


賜金国庫債券規則


第一章 総則

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第一条 昭和十五年法律第六十九号に依り発行する公債は之を賜金国庫債券とす。

第二条 賜金国庫債券の額面金額は二十円、二十五円、三十円、四十円、五十円、六十円、七十円、八十円、九十円、百円、二百円、三百円、四百円、五百円及千円の十五種とす。

第三条 賜金国庫債券の元金は昭和三十五年四月一日迄に額面金額を以て之を償還す。

第四条 賜金国庫債券の利率は年三分六厘五毛とす。

第五条 賜金国庫債券の利子は賜金給与の発令の日より之を附す。但し昭和十五年四月二十八日以前賜金給与の発令のものに在りては昭和十五年四月二十九日より之を附す。

第六条 賜金国庫債券の利子支払期日は毎年四月一日とす。

第七条 賜金国庫債券の交付価格は額面金額百円に付百円とす。

第八条 賜金国庫債券に付ては国債登録の除却、甲種国債登録簿若は乙種国債登録簿に移記又は額面金額の分割若は併合を請求することを得ず。

第二章 賜金国庫債券の発行及交付

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第九条 陸軍省又は海軍省賜金給与の発令ありたるときは賜金国庫債券発行請求書を大蔵省に提出すべし。

 前項の発行請求書には賜金受給者の官職氏名及賜金給与額を記載したる内訳書を添付すべし。

 陸軍省又は海軍省は賜金国庫債券に関する取扱官吏を定め予め其の官職氏名を大蔵省に通知すべし。

 前項の通知には取扱官吏の印鑑を添付すべし。

第十条 大蔵省前条の規定に依り賜金国庫債券発行の請求を受けたるときは賜金国庫債券交付通知書を請求官庁に交付す。

第十一条 前条の規定に依り賜金国庫債券交付通知書の交付を取けたる官庁は該交付通知書の領収証欄に所定の記入を為し日本銀行に提出し之と引換に証券を受領すべし。

第十二条 前条の規定に依り証券を受領したる官庁賜金受給者に該証券を交付するときは第一号書式の賜金国庫債券領収証書及元金支払場所指定票を徴すべし。

 前項の元金支払場所指定票には元金の支払いを受くべき日本銀行本店、支店、代理店又は郵便局所名其の他所定の事項を記載することを要す。

第十三条 前条の規定に依り取扱官庁賜金受給者より賜金国庫債券領収証書及元金支払場所指定票を徴したるときは之を大蔵省に送付すべし。

 大蔵省前項の賜金国庫債券領収証書及元金支払場所指定票の送付を受けたるときは之を日本銀行に送付す。

第三章 賜金国庫債券の登録

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第十四条 賜金国庫債券は之を賜金国庫債券登録簿に登録す。

 本国債登録簿は之を日本銀行本店に置く。

第十五条 本国債登録簿の様式は第二号書式に依る。

 第十三条第二項の規定に依り日本銀行の受入れたる賜金国庫債券領収証書は之を本国債券登録簿の一部と見做す。

第十六条 明治三十九年法律第三十四号[1]第五条第二項の規程に依り代本券を交付するときは代本券及本国債登録簿に其の旨を附記す。

第四章 賜金国庫債券の買上

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第十七条 賜金国庫債券の記名者又は其の相続人左の各号の一に該当する場合に於ては日本銀行本店、支店、代理店又は逓信大臣若は所管長官の定むる郵便局所に証券を提出し賜金国庫債券の買上を請求することを得。

一 不具廃疾、疾病、傷痍其の他精神若は身体の障碍、老衰若は幼少又は出産の為労務を行うに故障ある者にして生活困難なるとき
二 家族の扶養、教育、出産又は療養の為資金を必要とする者にして生活困難なる為賜金国庫債券を売却するに非ざれば他に適当なる方法なきとき
三 生業、負債整理又は災害復旧の為資金を必要とし賜金国庫債券を売却するに非ざれば他に適当なる方法なきとき
四 其の他前各号に準ずる已むを得ざる事情あるとき

 前項の規定に依り買上の請求を為さんとするときは現役軍人、軍属又は諸官庁に在る者なるときは所属部隊長又は所属長の、其の他の者なるときは居住地市区長村長又は之に準ずべき者の第三号書式に依る証明書を買上請求書に添付することを要す。

第十八条 外国に居住する者前条第二項の規定に依り難きときは在外公館の長又は之に準ずべき者の証明書を買上請求書に添付し日本銀行本店に買上を請求することを得。

第十九条 成規の手続を経て賜金国庫債券を買上たるときは正当の買上を為したるものと見做す。

第二十条 国債規則第五十九条の規程は賜金国庫債券の買上に付之を準用す。

第五章 賜金国庫債券の償還

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第二十一条 賜金国庫債券の元金は予め届出たる日本銀行本店、支店、代理店又は郵便局所に於て証券及附属の元金領収証と引換に記名者又は其の相続人に之を支払う。

第二十二条 賜金国庫債券の元金を償還する場合に於て其の証券に附属する利札中欠缺せるものあるときは之に相当する金額を元金の内より控除す。但し利子支払期の開始したる利札に付ては此の限に在らず。

 前項の利札の所持人は何時と雖も其の利札を提出して控除金額の支払を請求することを得。

附則

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本令は交付の日より之を施行す。


注釈

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  1. 国債に関する件(明治39年法律第34条)、内閣総理大臣西園寺公望他。
 

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  1. 法律命令及官公󠄁文󠄁書
  2. 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
  3. 公󠄁開セル裁判󠄁所󠄁、議會竝政談集會ニ於󠄁テ爲シタル演述󠄁

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