議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律
本則
編集第一条
- 各議院から、議案その他の審査又は国政に関する調査のため、証人として出頭及び証言又は書類の提出を求められたときは、この法律に別段の定めのある場合を除いて、何人でも、これに応じなければならない。
第一条の二
- 各議院は、疾病その他の理由により証人として議院に出頭することが困難な場合であつて、議案その他の審査又は国政に関する調査のため証言を求めることが特に必要なときに限り、証人として議院外の指定する場所に出頭すべき旨の要求をし、又は証人としてその現在場所において証言すべき旨の要求をすることができる。
- 前項の場合には、各議院若しくは委員会又は両議院の合同審査会の決定に基づき、その指名する二人以上の議員又は委員(以下「派遣議員等」という。)を派遣し、証人に証言を求めるものとする。
第一条の三
- 各議院は、証人として出頭すべき旨の要求をするときは、出頭すべき日(証人としてその現在場所において証言すべき旨の要求をするときは、証言すべき日)の五日(外国にある者については、十日)前までに、証人に対してその旨を通知するものとする。ただし、特別の事情がある場合において証人の同意があるときは、この限りでない。
- 各議院は、前項の通知をする場合には、具体的に記載された証言を求める事項及び正当の理由がなくて出頭しないときは刑罰に処せられる旨(証人としてその現在場所において証言すべき旨の要求をする場合には、正当の理由がなくてその要求を拒んだときは刑罰に処せられる旨)を併せて通知するものとする。
- 各議院は、証人として書類の提出を求めるときは、次に掲げる事項を通知するものとする。
- 一 第四条第一項に規定する者が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのあるときは、書類の提出を拒むことができること。
- 二 第四条第二項本文に規定する者が業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについては、書類の提出を拒むことができること。
- 三 正当の理由がなくて書類を提出しないときは刑罰に処せられること。
第一条の四
- 証人は、各議院の議長若しくは委員長又は両議院の合同審査会の会長の許可を得て、補佐人を選任することができる。
- 補佐人は、弁護士のうちから選任するようにするものとする。
- 補佐人は、証人の求めに応じ、宣誓及び証言の拒絶に関する事項に関し、助言することができる。
第一条の五
- 証人には、宣誓前に、次に掲げる事項を告げなければならない。
- 一 第四条第一項に規定する者が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのあるときは、宣誓又は証言を拒むことができること。
- 二 第四条第二項本文に規定する者が業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについては、宣誓又は証言を拒むことができること。
- 三 正当の理由がなくて宣誓又は証言を拒んだときは刑罰に処せられること。
- 四 虚偽の陳述をしたときは刑罰に処せられること。
第二条
- 各議院若しくは委員会又は両議院の合同審査会が証人に証言を求めるとき(派遣議員等を派遣して証言を求めるときを含む。)は、この法律に別段の定めのある場合を除いて、その前に宣誓をさせなければならない。
第三条
- 宣誓を行う場合は、証人に宣誓書を朗読させ、且つこれに署名捺印させるものとする。
- 宣誓書には、良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓う旨が記載されていなければならない。
第四条
- 証人は、自己又は次に掲げる者が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのあるときは、宣誓、証言又は書類の提出を拒むことができる。
- 一 自己の配偶者、三親等内の血族若しくは二親等内の姻族又は自己とこれらの親族関係があつた者
- 二 自己の後見人、後見監督人又は保佐人
- 三 自己を後見人、後見監督人又は保佐人とする者
- 医師、歯科医師、薬剤師、助産師、看護師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、公証人、宗教の職にある者又はこれらの職にあつた者は、業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについては、宣誓、証言又は書類の提出を拒むことができる。ただし、本人が承諾した場合は、この限りでない。
- 証人は、宣誓、証言又は書類の提出を拒むときは、その事由を示さなければならない。
第五条
- 各議院若しくは委員会又は両議院の合同審査会は、証人が公務員(国務大臣、内閣官房副長官、内閣総理大臣補佐官、副大臣及び大臣政務官以外の国会議員を除く。以下同じ。)である場合又は公務員であつた場合その者が知り得た事実について、本人又は当該公務所から職務上の秘密に関するものであることを申し立てたときは、当該公務所又はその監督庁の承認がなければ、証言又は書類の提出を求めることができない。
- 当該公務所又はその監督庁が前項の承認を拒むときは、その理由を疏明しなければならない。その理由をその議院若しくは委員会又は合同審査会において受諾し得る場合には、証人は証言又は書類を提出する必要がない。
- 前項の理由を受諾することができない場合は、その議院若しくは委員会又は合同審査会は、更にその証言又は書類の提出が国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の内閣の声明を要求することができる。その声明があつた場合は、証人は証言又は書類を提出する必要がない。
- 前項の要求後十日以内に、内閣がその声明を出さないときは、証人は、先に要求された証言をし、又は書類を提出しなければならない。
第五条の二
- 各議院の議長若しくは委員長又は両議院の合同審査会の会長は、議員又は委員の証人に対する尋問が、証言を求める事項と無関係な尋問、威嚇的又は侮辱的な尋問その他適切でない尋問と認めるときは、これを制限することができる。
第五条の三
- 委員会又は両議院の合同審査会における証人の宣誓及び証言中の撮影及び録音については、委員長又は両議院の合同審査会の会長が、証人の意見を聴いた上で、委員会又は両議院の合同審査会に諮り、これを許可する。
- 証人は、前項の意見を述べるに当たつては、その理由について説明することを要しない。
第五条の四
- 国は、証人として出頭し、証言し、若しくは書類を提出し、又は証人として出頭しようとし、証言しようとし、若しくは書類を提出しようとしたことにより、当該証人又はその配偶者(婚姻の届出をしないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、直系血族若しくは同居の親族が、他人からその身体又は生命に害を加えられた場合における被害者その他の者に対し、証人等の被害についての給付に関する法律 (昭和三十三年法律第百九号)の規定の例により、給付を行う。この場合において、同法第六条 中「政令で定める」とあるのは「両議院の議長が協議して定めるところによる」と、同法第九条第一項 中「法務大臣」とあるのは「各議院の議長」とする。
第六条
- この法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処する。
- 前項の罪を犯した者が当該議院若しくは委員会又は両議院の合同審査会の審査又は調査の終る前であつて、且つ犯罪の発覚する前に自白したときは、その刑を減軽又は免除することができる。
第七条
- 正当の理由がなくて、証人が出頭せず、現在場所において証言すべきことの要求を拒み、若しくは要求された書類を提出しないとき、又は証人が宣誓若しくは証言を拒んだときは、一年以下の禁錮又は十万円以下の罰金に処する。
- 前項の罪を犯した者には、情状により、禁錮及び罰金を併科することができる。
第八条
- 各議院若しくは委員会又は両議院の合同審査会は、証人が前二条の罪を犯したものと認めたときは、告発しなければならない。但し、虚偽の証言をした者が当該議院若しくは委員会又は合同審査会の審査又は調査の終る前であつて、且つ犯罪の発覚する前に自白したときは、当該議院は、告発しないことを議決することができる。合同審査会における事件は、両議院の議決を要する。
- 委員会又は両議院の合同審査会が前項の規定により告発するには、出席委員の三分の二以上の多数による議決を要する。
第九条
- 証人又はその親族に対し、当該証人の出頭、証言又は書類の提出に関し、正当の理由がなくて、面会を強要し、又は威迫する言動をした者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
附則
編集- この法律は、公布の日から、これを施行する。
- 国会法(昭和二十二年法律第七十九号)附則第六項の規定により国会に東京電力福島原子力発電所事故に係る両議院の議院運営委員会の合同協議会が置かれている間における第一条から第一条の三までの規定の適用については、第一条中「各議院」とあるのは「各議院又は両院合同協議会(国会法(昭和二十二年法律第七十九号)附則第六項に規定する東京電力福島原子力発電所事故に係る両議院の議院運営委員会の合同協議会をいう。以下同じ。)」と、第一条の二第一項中「各議院」とあるのは「各議院又は両院合同協議会」と、同条第二項中「合同審査会」とあるのは「合同審査会(両院合同協議会を含む。以下同じ。)」と、第一条の三中「各議院」とあるのは「各議院又は両院合同協議会」とする。
(施行期日)
- 1 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
(経過措置)
- 2 この法律による改正後の議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に出頭及び証言又は書類の提出を求められた証人に係る議案その他の審査又は国政に関する調査について適用し、施行日前に出頭又は書類の提出を求められた証人に係る議案その他の審査又は国政に関する調査については、なお従前の例による。
- 3 施行日前にした行為及び前項の規定により従前の例によることとされる場合における施行日以後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(施行期日)
- この法律は、公布の日から施行する。
- この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
(施行期日)
- 第一条
- この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、それぞれ当該各号に定める日から施行する。
- 三 第四条並びに附則第四条及び第六条の規定 内閣法の一部を改正する法律(平成十一年法律第八十八号)の施行の日
(施行期日)
- 第一条
- この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(処分、手続等に関する経過措置)
- 第四十二条
- この法律の施行前に改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。以下この条において同じ。)の規定によってした処分、手続その他の行為であって、改正後のそれぞれの法律の規定に相当の規定があるものは、この附則に別段の定めがあるものを除き、改正後のそれぞれの法律の相当の規定によってしたものとみなす。
(罰則に関する経過措置)
- 第四十三条
- この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(経過措置の政令への委任)
- 第四十四条
- この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(施行期日)
- 第一条
- この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第三十二条第二項の規定は、公布の日から施行する。
(施行期日)
- 第一条
- この法律は、公布の日から起算して十日を経過した日(その日において国会が閉会中の場合又は衆議院が解散されている場合にあっては、その日後初めて召集される国会の召集の日から起算して十日を経過した日)から施行する。
脚注
編集参考資料
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- 上記いずれかのものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの
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