臺南市讀本/州廳

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• 1939年（昭和14年）11月24日印刷
• 1939年（昭和14年）11月29日発行
• 編集兼発行者：加藤光貴 臺南市大宮町四丁目四十七番地
• 発行所：臺灣教育研究會 臺南市大宮町四丁目四十七番地
• 印刷人：加藤光貴　臺南市大宮町四丁目四十七番地
• 印刷所：臺南時事印刷部　臺南市大宮町四丁目四十七番地

大正公園の綠（みどり ）の南に、大さな玄關（げんくわん）が見え、椰子（やし）の木を見下す高い建物（たてもの）がある。これが臺南州廳である。州廳は州全體を治めてゆく役所であつて、一番上にたつ人は州知事である。

州全體の仕事をする役所であるから、仕事の範圍（はんゐ）も廣（ひろ）く、それ等の仕事を手分けして行（おこな）つてゐるのである。

即ち、臺南州では知事官房、內務部（ないむぶ）、警務部（けいむぶ）の三つ大さく分けてゐるが、臺北、高雄の兩州にはその他に港務部といふのが置かれてある。市役所、郡役所、警察署（けいさつしょ）、稅務（ぜいむ）出張所、農事試驗場や支所（ししょ）、水產試驗場、種畜 （しゅちく）場、州立學校等もこれに屬（ぞく）してゐるわけである。

知事官房は文書課、會計課、稅務課、調停課の四課に分れ、それぞれの仕事をしてゐる。

內務部は地方課、教育課、勸業課、土木課、水利課の五課が置かれてゐる。このうち水利課は臺中州と臺南州だけにしかない。

警務部には高等警察課、警務課、保安（ほあん）課（經濟警察）、刑事（けいじ）課、衛生課、理蕃課の六課がある。州の各部には部長が居り、部に屬（ぞく）する課にはそれぞれ課長がゐる。課には幾つかの係があつて、めいめい係（かかり）の仕事をしてゐるのである。

臺南州の面積は三百五十餘方里で人口が百三十四萬餘もある。これを臺南、嘉義の二市と新豐（にいごよ）、新化（しんくわ）、曾文（そぶん）、北門（ほくもん）、新營（しんえい）、嘉義（かぎ）、斗六（ごろく）、虎尾（こび）、北港（ほくこう）、東石（とうせき）の十郡に分つてゐる。市には市役所があり、郡は郡役所がある。郡には又、街と庄が屬（ぞく）してゐて、その街庄の數が六十六もある。

かうして州全體を治め、州の發展を計つてゐる役所が臺南市にあるのだから、勿論（もちろん）臺南市は州の心臟であるといへるである。