自衛隊の原子力災害派遣に関する訓令
- 目次
- 第1章 総則(第1条-第4条)
- 第2章 指揮系統の特例等(第5条・第6条)
- 第3章 原子力災害派遣の準備に関する措置(第7条-第9条)
- 第4章 部隊等の派遣及び撤収(第10条・第11条)
- 第5章 原子力災害派遣時の措置及び権限(第12条-第14条)
- 第6章 報告(第15条・第16条)
- 第7章 雑則(第17条)
- 附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この訓令は、原子力災害派遣に関し必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2条 この訓令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
- (1) 法 自衛隊法をいう。
- (2) 部隊等 自衛隊の部隊又は機関をいう。
- (3) 原子力災害 原子力災害対策特別措置法(平成11年法律第156号。以下「原災法」という。)第2条第1号に規定する原子力災害をいう。
- (4) 原子力災害派遣 法第83条の3の規定に基づき部隊等を支援のため派遣することをいう。
- (5) 原子力災害派遣実施部隊の長 方面総監、中央即応集団司令官、自衛艦隊司令官、地方総監又は航空総隊司令官をいう。
- (6) 緊急事態応急対策実施区域 原災法第15条第2項第1号に掲げる区域(同法第20条第5項の規定により当該区域が変更された場合にあつては、当該変更後の区域)をいう。
- (7) 緊急事態応急対策 原災法第2条第5号に規定する緊急事態応急対策をいう。
- (8) 原子力緊急事態 原災法第2条第2号に規定する原子力緊急事態をいう。
- (9) 派遣部隊等 法第83条の3の規定により緊急事態応急対策の実施を支援するため派遣を命ぜられた部隊等をいう。
(原子力災害派遣実施部隊の長)
第3条 法第83条の3の規定に基づき、緊急事態応急対策実施区域における緊急事態応急対策の実施を支援するため、原子力災害派遣を実施する部隊の長は、原子力災害派遣
実施部隊の長とする。
(防衛省防災業務計画)
第4条 原子力災害派遣に関しては、この訓令によるもののほか、防衛省防災業務計画(災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第36条第1項及び第37条第1項の規定に基づき、防衛大臣が防災に関してとるべき措置を定めた計画をいう。)によるものとする。
第2章 指揮系統の特例等
(指揮系統の特例)
第5条 自衛隊の災害派遣に関する訓令(昭和55年防衛庁訓令第28号)第5条第1項から第6項までの規定については、原子力災害派遣に関して準用する。この場合において、同条中「災害派遣」とあるのは、「原子力災害派遣」と読み替えるものとする。
2 航空総隊司令官は、原子力災害派遣に関し、特に必要がある場合には、防衛大臣の命令により指揮系統外の航空自衛隊(航空幕僚長の監督を受ける自衛隊地区病院を含む。以下第7条において同じ。)の部隊等の長を指揮することができる。
3 原子力災害派遣に関する指揮系統の特例については、前2項に規定するもののほか、必要に応じ、防衛大臣が別に命じる。
(指揮系統を異にする場合)
第6条 自衛隊の災害派遣に関する訓令第7条の規定は、原子力災害派遣の場合に準用する。この場合において、同条中「救援活動」とあるのは「支援活動」と読み替えるもの
とする。
第3章 原子力災害派遣の準備に関する措置
(原子力災害派遣計画等)
第7条 統合幕僚長は、原子力災害派遣実施部隊の長が原子力災害派遣を命ぜられた場合において迅速かつ適切に活動することができるように各自衛隊等(統合幕僚監部並びに
陸上自衛隊(自衛隊体育学校、自衛隊中央病院、陸上幕僚長の監督を受ける自衛隊地区病院及び自衛隊地方協力本部を含む。)、海上自衛隊(海上幕僚長の監督を受ける自衛隊
地区病院を含む。)及び航空自衛隊の部隊等をいう。以下この条において同じ。)の原子力災害派遣に関する計画の作成又は見直しを行うものとする。
2 原子力災害派遣実施部隊の長は、前項の規定により作成し、又は見直された各自衛隊等の原子力災害派遣に関する計画に基づき原子力災害派遣に関する細部計画を整備するほか、常に原子力災害に関する情報を収集し、原子力災害派遣に関する準備を整えておかなければならない。
3 原子力災害派遣実施部隊の長は、前項の情報の収集及び計画の整備等に当たっては、都道府県知事その他関係機関と密接に連絡調整を行うものとする。
(防災訓練等)
第8条 原子力災害派遣実施部隊の長は、即応態勢の維持向上等を図るため、所要の訓練を行うとともに、国、地方公共団体又は災害対策基本法第2条第5号に規定する指定公共機関その他の公共機関の行う防災訓練等に参加し、相互の能力の理解に努め、協同要領等に関し訓練を行うものとする。
(関係機関との連絡)
第9条 原子力災害派遣実施部隊の長は、原子力緊急事態の発生が予想される場合には必要に応じ関係機関と迅速に連絡をとることができるように措置するものとする。
2 原子力災害派遣実施部隊の長は、関係ある地方防衛局長に対し、前項の連絡に当たり、これを円滑かつ効果的に実施するために必要な事項について協力を求めることができる。
3 前項の規定により協力を求められた地方防衛局長は、積極的に協力しなければならない。
第4章 部隊等の派遣及び撤収
(部隊等の派遣)
第10条 原子力災害派遣実施部隊の長は、防衛大臣の命令により部隊等を派遣するものとする。
(部隊等の撤収)
第11条 原子力災害派遣実施部隊の長は、防衛大臣の命令により部隊等を撤収するものとする。
第5章 原子力災害派遣時の措置及び権限
(都道府県知事等との調整)
第12条 原子力災害派遣実施部隊の長は、支援活動の適切かつ効率的な実施を期するため、都道府県知事その他関係機関と緊密に連絡調整するものとする。
2 原子力災害派遣実施部隊の長は、関係ある地方防衛局長に対し、前項の連絡に当たり、これを円滑かつ効果的に実施するために必要な事項について協力を求めることができる。
3 前項の規定により協力を求められた地方防衛局長は、積極的に協力しなければならない。
(火器等の携行)
第13条 派遣部隊等は、支援活動に特に必要があるため防衛大臣が別に命じる場合を除き、火器及び弾薬(艦艇、航空機等に装備されたものを除く。)を携行しないものとする。
(原子力災害派遣時の権限)
第14条 自衛隊の災害派遣に関する訓令第19条の規定は、原子力災害派遣時における派遣部隊等の自衛官の職務の執行について準用する。この場合において、同条第1項第3号から第6号までの規定中「災害対策基本法」とあるのは「原子力災害対策特別措置法第28条第2項の規定により読み替えて適用される災害対策基本法」と、同条第2項中「災害派遣命令者」とあるのは「原子力災害派遣実施部隊の長」と読み替えるものとする。
第6章 報告
(原子力災害派遣中の報告)
第15条 原子力災害派遣実施部隊の長は、必要に応じ、原子力災害の状況、部隊等の活動状況等を順序を経て防衛大臣に報告しなければならない。
(撤収後の報告)
第16条 原子力災害派遣実施部隊の長は、部隊等を撤収したときは、速やかに順序を経て次に掲げる事項のうち必要な事項について防衛大臣に報告しなければならない。
- (1) 原子力災害の一般状況
- (2) 派遣部隊等の人員、装備等及び活動状況
- (3) 隊員の死傷、疾病及び被ばく等
- (4) 派遣に要した経費
- (5) 装備品等の消費、亡失、き損等の数量
- (6) 表彰又は懲戒を行うべき事案
- (7) 将来改善を要する事項及び所見
- (8) その他参考となる事項
第7章 雑則
(委任)
第17条 この訓令の実施に関し必要な事項は、統合幕僚長が定める。
附則 この訓令は、平成12年6月16日から施行する。
附則 この訓令は、平成18年3月27日から施行する。
附則 この訓令は、平成19年1月9日から施行する。
附則 この訓令は、平成19年3月28日から施行する。
附則 この訓令は、平成19年9月1日から施行する。
附則 この訓令は、平成22年3月26日から施行する。
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