約翰第二書(明治元訳)

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本文

1 長老（ちやうらう）選（えらび）を蒙（かうむ）れるクリアと其（その）子（こ）等（たち）に書（ふみ）を贈（おく）る我（われ）誠（まこと）に爾曹（なんぢら）を愛（あい）す第（ただ）我（われ）のみならず凡（おほよ）そ眞理（まこと）を識（しれ）る者（もの）は亦（また）みな爾曹（なんぢら）を愛（あい）せり
2 爾曹（なんぢら）を愛（あい）するは是（これ）われらの衷（うち）に在（あり）て恒（つね）に離（はな）れざる眞理（まこと）に縁（より）てなり
3 爾曹（なんぢら）は實（まこと）と愛（あい）とに居（をり）て神（かみ）すなはち父（ちち）および父（ちち）の子（こ）イエス・キリストより恩寵（めぐみ）と慈悲（じひ）と平康（やすき）とを受（うく）べし

4 われ爾（なんぢ）の子（こ）等（たち）の中（うち）わが受（うけ）し所（ところ）の父（ちち）の命（めい）のごとく眞理（まこと）に遵（したが）ひて行（あゆ）む者（もの）の有（ある）を見（み）て甚（はなは）だ喜（よろこ）べり
5 クリアよ我（われ）いま爾（なんぢ）に勸（すす）む互（たがひ）に相（あひ）愛（あい）すべし此（こ）は新（あたら）しき誡（いましめ）を書（かき）贈（おく）るに非（あら）ず即（すなは）ち始（はじめ）より我儕（われら）が有（もて）る所（ところ）の者（もの）なり
6 われら彼（かれ）の誡（いましめ）に遵（したが）ひて行（あゆ）むは是（これ）すなはち愛（あい）なり爾曹（なんぢら）が始（はじめ）より聞（きき）し如（ごと）く愛（あい）に行（あゆ）むは是（これ）乃（すなは）ち誡（いましめ）なり
7 そは惑（まどひ）に誘（さそ）ふ者（もの）おほく世（よ）に出（いで）イエス・キリストの肉體（にくたい）と爲（なり）て臨（きた）り給（たま）へることを認（いひあら）はさず此（この）惑（まどひ）に誘（さそ）ふ者（もの）は乃（すなは）ちキリストの敵（てき）なれば也（なり）
8 なんぢら我儕（われら）が勤勞（はたらき）し所（ところ）の事（こと）を虚（むなし）くせず全（まつた）き賞（むくい）を得（え）んが爲（ため）に自（みづか）ら愼（つつし）むべし
9 凡（おほよ）そキリストの教（をしへ）に居（をら）ずして人（ひと）を導（みちび）く者（もの）は神（かみ）を有（もた）ずキリストの教（をしへ）にをる者（もの）は父（ちち）および子（こ）を有（もて）り
10 人（ひと）もし此（この）教（をしへ）を有（もた）ずして爾曹（なんぢら）に來（きた）らば之（これ）を家（いへ）に納（いる）ること勿（なか）れ彼（かれ）に安（やす）かれと言（いふ）なかれ
11 彼（かれ）に安（やす）かれといふ者（もの）は共（とも）に其（その）惡行（あしきわざ）に與（くみ）する也（なり）

12 我（われ）なほ多端（おほくのこと）あれども紙（かみ）と墨（すみ）とを以（も）て爾曹（なんぢら）に書（かき）おくるを欲（このま）ず我儕（われら）の喜樂（よろこび）の充滿（じゆうまん）せん爲（ため）に爾曹（なんぢら）に至（いた）り口（くち）を對（むかへ）て語（かた）らんことを望（のぞ）む
13 爾（なんぢ）の姉妹（しまい）すなはち選（えらび）を蒙（かうむ）れる者（もの）の兒女（こども）なんぢに安（やすき）を問（とへ）りアメン(※1)

※1 明治14(1881)年版では「アメン」→「アーメン」。