精神病院法
朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル精神病院法ヲ裁可シ玆ニ之ヲ公布セシム
御名御璽
大正八年三月二十六日
內閣總理大臣 原敬 內務大臣 床次竹二郞
法律第二十五號
精神病院法
第一條 主務大臣ハ北海道又ハ府縣ニ對シ精神病院ノ設置ヲ命スルコトヲ得
第二條 地方長官ハ左ノ各號ノ一ニ該當スル精神病者ヲ前條ノ規定ニ依リ設置スル精神病院ニ入院セシムルコトヲ得
一 精神病者監護法ニ依リ市區町村長ノ監護スヘキ者
二 罪ヲ犯シタル者ニシテ司法官廳特ニ危險ノ虞アリト認ムルモノ
三 療養ノ途ナキ者
四 前各號ニ揭クル者ノ外地方長官特ニ入院ヲ必要ト認ムル者
前項ノ規定ニ依リ精神病者ヲ入院セシムルニハ命令ノ定ムル所ニ依リ醫師ノ診斷アルコトヲ要ス
第三條 國庫ハ勅令ノ定ムル所ニ從ヒ第一條ノ規定ニ依リ設置スル精神病院ノ經費ニ對シ六分ノ一乃至二分ノ一ヲ補助ス
第四條 第一條ノ規定ニ依リ設置スル精神病院ノ長ハ主務大臣ノ定ムル所ニ依リ入院者ニ對シ監護上必要ナル處置ヲ行フコトヲ得
第五條 地方長官ハ入院者ヨリ入院費ノ全部又ハ一部ヲ徵收スルコトヲ得地方長官入院者ヨリ徵收スルコトヲ得スト認ムルトキハ其ノ扶養義務者ヨリ之ヲ徵收スルコトヲ得
前項費用ノ徵收方法ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第六條 道府縣ニ於テ設置スル精神病院ニシテ地方長官ノ具申ニ依リ主務大臣ニ於テ適當ト認ムルモノハ第一條ノ規定ニ依リ設置スルモノト看做ス
第七條 主務大臣必要ト認ムルトキハ期間ヲ指定シ適當ト認ムル公私立精神病院ヲ其ノ承諾ヲ得テ第一條ノ規定ニ依リ設置スル精神病院ニ代用スルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ第二條乃至第五條ノ規定ヲ準用ス
第八條 本法又ハ本法ニ基キテ發スル命令ノ執行ニ關シ行政官廳ノ處分ニ不服アル者ハ訴願スルコトヲ得行政官廳ノ違法處分ニ由リ權利ヲ傷害セラレタリトスル者ハ行政裁判所ニ出訴スルコトヲ得
附 則
本法施行ノ期日ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ各條ニ付之ヲ定ム
この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。
- 法律命令及官公󠄁文󠄁書
- 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
- 公󠄁開セル裁判󠄁所󠄁、議會竝政談集會ニ於󠄁テ爲シタル演述󠄁
この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。