第七 DSの御おきて十のまんだめんとすの事 二十五

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第七だいしち 天主デウスをんおきてのとおのまん多‟めんとす[1]こと 二十五にじゅうご

DAIXICHI DEUSNO GOVOQITENO TOVONO MANDAMENTOS NO COTO

弟 うえにㇵ早能はやよくたっして天主神デウスへものをまつしんじまつるために肝要かんようである意義いぎあらわしのたまいしなのです、今又いままたぜんつとむるみちをしのたまえ 師 (身持ちを)保つ為に天主神デウスをんおきてのまん多‟めんとりっぽうサンタ・エケレジヤSancta-Ecclesiaまん多‟めんとりつりょうおなじくつみ退しりぞけるためにモルタル咎ちめいてきとがを知る事専こともっぱら専用、肝心重要せんよう、かんじんじゅうよう)のことなのだからです。
弟 天主デウスをんおきてのまん多‟めんとりっぽうとは如何いかなるものなのですか?
師 万民ばんみんこれをたもつべきためにをんあるじ天主神デウスからじきさづのたま御掟をんおきて条々じょう〲であるからですのでまん多‟めんとりっぽうとは御掟をんおきてのことです。
弟 をんおきてのまん多‟めんとりっぽうとㇵ何箇条なんかじょうありますか?
師 十箇条じっかじょうあり、これふたつにけるはじめの三箇条さんかじょう御主をんあるじ天主神デウスに対しまつりてつとむべきをおし今七箇条いまななかじょうひとたいしてのみちおしえるためのものなのです。

をんおきてのまん多‟めんとすりっぽう
第一、御一体ごいったい唯一ゆいいつ天主デウスうやまたっとまつるべきである。
第二、天主、神てんしゅ、かみたっと御名みなかけむなしきちかいをすべきではありません。
第三、御祝日ごしゅくにちつとまもるべきです。
第四、父母ふぼ孝行こう〱すべきです。
第五、ひところすべきではありません。
第六、邪淫じゃいんをかすべきではありません。
第七、偸盗ちゅうとう[2]をすべきではありません。
第八、人に讒言ざんげん[3]かけるべきではありません。
第九、つまこいするべきではありません。
第十、他持たもつをみだりにのぞむべきではありません。

上此うえこの十箇条じっかじょうはすべからく二箇条にかじょうきわまるのであるひとつには御一体ごいったい[4]天主神デウス万事ばんじこえ御大切ごたいせつ[5]ぞん仕奉つかえまつろうべきこと、ふたつには我身わがみのように隣人りんじん[6]おもえと云うことれである。

弟 第一だいいちまん多‟めんとりっぽうをどのような仕方しかたつとまもるべきなのですか?
師 まこと天主神デウス唯一ゆいいつ御一体ごいったいおが仕奉つかえまつ御奉公ごほうこう抜出ぬきんでってわれらが御効力ごこうりょく御返報ごへんぽうたのもしく待仕奉まちつかえまつ我等われら吉事きちじみなもとにていましませれば此等これらのことをたのみ仕奉つかえまつるべきであるのです、また御作像ごさくぞうのものを至高しこう天主神デウスのようにうやまわないことをって此律法このりっぽうたもつものです。

弟 第二だいにまん多‟めんとりっぽうをば如何云どういうようにまもるべきなのですか?
師 まことぜんのためとるべきときよりほかはちかいをするべきではないことを以ってこのまん多‟めんとりっぽうまっとうするべきです。
弟 まことちかいをするとは如何云どういうことなのですか?
師 いつわりとりながら宣誓文せんせいもんをすることまたはまこといつわりかとうたがわしいことにちかいをすることは天主神デウス虚言きょごん証拠しょうこ立申たてもうすことによってたとえかろ題目(命題)だいもく(めいだい)であるというともMortal致命的咎ちめいてきとがとなることがあるのです。
弟 ぜんのために誓文せいもんするとは如何成いかゞなることがらなのですか
師 たとえばまことであることを誓文せいもんをすると云うともきことにあらずんバ、その題目だいもくによってMortal咎ちめいてきとがベニアル科ゆるしえるとがになるものである。たとえばモルタルとがをかそうとのとのちかいを為さばモルタルとがになり、ベニアルとがをかそうとのちかいをさばベニアルとがとなるものです。
弟 るべきときとは如何云どういうことでしょうか?
師 たとえても真実善しんじつよいことに誓文せいもんするといえどもらざるときちかいをなすㇵことによりてモルタル咎ちめいてきとがにはならずといえどベニアル科ゆるしうるとがかられることが無いことなのです。
弟 天主神デウスよりほかにべつものけて誓文せいもんすることがありるのですか?
師 中々なか〱ありたとえば[7]クルス・ベアトたちにかまたたっとき事にけてとか、わが生命いのちにかその他何ほかいづれの御作ごさくのものにけてもちかいをすることがあります。
弟 そら誓文ぜいもんをしないためのたよりとなる物事ものごとがありますか?
師 つ誓文せいもんをしないようにたしなむことです。
弟 しからばものの実不じつふ事分ことわるためにㇵ如何云いかゞいうべきでしょうか?
師 あるいは真実又しんじつまたうたが必定ひつじょうであるなどと事葉ことばっててっするべきです。
弟 第三だいさんまん多‟めんとりっぽうをバ如何守どうまもるべきですか?
師 これをまもるにふたつのことありひとつにㇵドミンゴきゅうじつとヱッケレージヤより布令宣ふれのたもう祝日いわいびしょくむることである。但逃ただしのが子細しさいあるときにㇵ所作・業務わざ・ぎょうむをしてもとがにはならないことあり、ふたつにㇵ彼様かようにㇵ一座いちざのミイサをはじめよりわりまでおがもうことであり、これをわずらいかもっともである子細しさいあるときにㇵおがまずしてもとがにㇵならず、これらの子細しさい以後いごヱッケレージヤのいつつのまん多‟めんとおきてのうちにあらㇵすべきであればそれをよくるべきです。
弟 第四だいよんまん多‟めんとりっぽうをバ如何守どうまもるべきなのですか?
師 おやによくしたがい孝行こう〱いたうやまいをなすようにあるときちからえる事又人ことまたひと下人げにんであるものㇵその主人しゅじんその他司ほかつかさである人々ひと〲したがうことにゆるがせなきをってこのまん多‟めんとりっぽうまもるべきものなのです。
弟 父母主人ぷもしゅじんつかさであるひとよりとがとなることをせよといつけられるときにはしたがうべきですか?
師 親主人おやしゅじんつかさであるひとによくしたがえと云うこととがにならないことをわれるときことであり、天主神デウス御掟みおきてそむまつれとわれるときことにㇵそれは拘束こうそくはありません。
弟 第五だいごまん多‟めんとりっぽうにば如何云どういうようにまもるべきですか?
師 ひとたいしてあだをなさずがいをせずきずけず比等これら悪事あくじひとのうえにのぞまずよろこばざるをってたもものであり、そのゆえにそれは如何どうしてとなればひとㇵみな天主神デウス御写おうつしにつくのたまえばそうであるのです。
弟 ひとあだをなし折檻せっかんまたがいする事叶ことかなわずといましのたまうにおいては国家法律こっかほうりつおさめるみち如何いかゞなものであるべきですか?
師 比御これみおきて箇条かでうってすぐなる題目だいもくありとても弓矢ゆみやるべからずまた専断せんだんひとより咎人とがにん折檻せっかん成敗せいばいする事勿ことなかれとのいましめにはあらかえって罪人ざいにん折檻せっかん成敗せいばいすることければそのとが専断せんだんひとかるべきものであり、そのこの箇条かじょうㇵそのやくにはあたらずして無理むりひところあだすべからずとの教義きょうぎ意味いみなのです。
弟 主人しゅじんとして被官ひかん成敗せいばいすることかなことがあってはならないことなのですか?
師 身代しんだいする者共ものどもをかしたるとが況中きょうじゅうしたがい似合にあいの折檻せっかんくわえることかなうといえどもころこともっとふか題目だいもく命題めいだいがあるときたしかに糾明きゅうめいしてひところ程度ていどたしかであるゆるしをちたるひとであるにいてㇵくるしからざる意義いぎ意味いみであります。
弟 もっとふか題目だいもく目的もくてきおなじくひところ程度ていどたしかであるゆるしとㇵ如何云どういことなのですか?
師 ふか題目だいもく命題めいだいとㇵよろづ折檻せっかんなかひと生命いのちたすこと一大事いちだいじ折檻せっかんであればふか罪過あやまちなくしてころこともっと非道ひどうであることです又人またひところこと道理どうりはず国家こっかためにならずたゞうえよりたしかであるゆるしあるひとにのみたる意義いぎ意味いみなのです。
弟 ひとうえ悪事あくじのぞまざれとㇵ如何云どういことなのですか?
師 ひとたいして遺恨いこんふくあだしたくおもあるいㇵなかたが言葉ことばわそうとすることこのまん多‟めんとりっぽうそむ教義きょうぎ意味いみです。
弟 第六だいろくまん多‟めんとりっぽうをば如何云どういうようにたもつべきなのですか?
師 言葉ことば所作しょさわざとをって男女だんじょとも淫乱いんらんとがをかすべからずまたみづかをかことおなとがなのです。
弟 如何どうして言葉ことばわざとをってとは宣給のたもうのですか?こゝろこれのぞことおなじくとが見做みなすべきなのでしょうか?
師 心中しんちゅうのぞこととがであるけれどもそれは第九だいきゅうマンダメントりっぽうやぶべつとがなのです。
弟 このまん多‟めんとりっぽうたもつためにたよりとなること如何云どういうようなことがあるのでしょうか?
師 御主をんあるじ天主神デウスより夫婦ふうふ御定おんさだめを第一だいいち宣給のたまいそのホか余多あまたことなか食物くひもの飲物のミもの飽迄阿くまでにせざることしきトもまじわりをやむることこひうたこい冊子さうしよまこひうたとううたわず可能かのうをひてㇵきかざることですなを肝要かんようことであるとふことㇵこのまん多‟めんとりっぽうたもつべきために御阿るじをんあるじ天主デウス御力みちからたのまつまたとがおちい便たよりとなること退しりぞくべきことであることなのです。
弟 第七だいななまん多‟めんとりっぽうをバ如何遣どうやってたもつべきですか?
師 他人たにん財宝ざいホうなになりともそのぬし同心どうしんなくしてこととゞこともあるべきではなく、ひとにもこれらのことすゝめずその協力きょう里ょくをもせずその便たよりともなるべきではありません。
弟 ひとものぬすみたくおもことこのまん多‟めんとりっぽうやぶと可‟ではないものなのでしょうか?
師 とがなれどもそれは第十箇条目だいじゅっかでうめまん多‟めんとりっぽうそむべつとがです。
弟 第八だいはちまん多‟めんとりっぽうをバ如何云どういうようにとたもつべきですか?
師 ひと讒言ざんげん云掛いいかけずそしらずひとかくれたるとがあらわすべからず、であるといえどもそのひととが引返ひきかえさぬべきこころあてにてつかさであるひと告知つげしらせ申事もうすこと可能かのうならひとうえ邪推じゃすいせず虚言きょごんうべきではありません。
弟 第九だいきゅうまん多‟めんとりっぽうをバなに分別ふんべついたすべきですか?
師 他人たにんつまこいせず、そのほか恋慕れんぼたることのぞむべからず、淫乱いんらん妄念まうねんくみせずまたㇵそれによろこ執着しうぢゃくすることもあるべきことではないことです。
弟 淫乱いんらんねんをこ度毎たびごととがとなりますか?
師 その意義いぎ意味いみにあらず、そのねんよろこばず、それをすてときかえって功力くりきの(功徳くどく)となるものである。またそのねん同心どうしんせずと云えどもこころとゞめてそれを思出おもいだしてよろこぶときㇵと可‟となるのです。
弟 第十だいじゅうまん多‟めんとりっぽうをバなに心得こころうべきですか?
師 他人たにん財宝ざいホう乱用みだりのぞむべからずといます。
弟 今比十いまこのじ箇条っかじょうまん多‟めんとりっぽうふたつにきわまるとえることしめのたまへ。そのふたつとは如何云どういことなのですか?
師 万事ばんじこえ天主神デウス御大切ごたいせつおも仕奉つかえまつことこれであります。
弟 万事ばんじこえ天主神デウスをば如何どのように御大切ごたいせつ[8]おも仕奉つかえまつるべきですか?
師 財宝ざいほう名誉めいよ父母ぷも身命しんみょうこれらのことたいして天主神デウス御掟ごおきてそむ仕奉つかえまつらずしてたゞ一辺倒いっぺんとう御大切ごたいせつおも仕奉つかえまつるにきわまるのです。
弟 天主神デウス御掟ごおきてたもつためのたよりはいづれでありますか?
師 そのたよりはおおきいのである。取分とりわ寝屋ねや起上おきあがりてよりは天主神デウス御恩ごおんぞんいだ御礼おんれい申上もうしあまつるべきです。またその御掟ごおきててにそむかずして御内照(証)ごないしょう[9]したがいをさむるために御守おんまもりをたのまつお祈Oratioりを申挙もうしあげるべきです。
弟 寝様ねざまにもおこたらずその本分ほんぶんつとむるめにㇵ何事なにごとすべきでしょうか?
師 寝様ねざまにそのこころ言葉ことば所作(仕業)しょさ(しわざ)糾明きゅうめいをし後悔こうかいってをかせるとがゆるしをたてまつおな功力くりきって身代しんだいあらためんと思定おもいさだ似合にあいのお祈Oratioりを申上もうしあぐべきことであるのです。
弟 ポロシモ(Proximo)りんじん[10]であるひとをばわがくにとㇵ如何云どういうようにうべきですか?
師 天主神デウス御掟ごおきてにしたがってめにのぞ程度ていどことひとたいしてものぞむべきものです。
弟 天主神デウス御掟ごおきてにしたがってとは如何云どういことなのですか?
師 こゝに子細しさいあり天主神デウス御掟ごおきてにそむきてひとめに何事なにごとであろうとものぞむときにㇵたとめにのぞむことある間敷まじことであるとうともごとくにひとおもうのではなくして、たゞにくごとくにひとにくことです。


  1. 十誡じっかい
  2. 窃盗せっとう
  3. 人をおとしいれる偽証ぎしょう
  4. 唯一ゆいいつ
  5. 羅葡日辞書らぽにちじしょ、カリタスの聖愛せいあい「Charitas」=大切、懇切たいせつ、こんせつ
  6. 「ポロシモ=Proximo」「隣人りんじん羅葡日辞書らぽにちじしょ近寄ちかよる、もっとちかしいひと
  7. まもりの
  8. Caritasの無私心むししんの「聖愛せいあい」や「慈善じぜん」である。
  9. ラテン、secretum, arcanum
  10. ラテンもっとちかもの