どちりな・きりしたん
題紙
編集DOCTRINA CHRISTAM.
御出世以来千六百年 とちりなきりしたん これきりしたんのをしへといふぎ也
慶長五年六月上旬
NAGASAQUI EX OFFICINA Gotô Thome Sôin typographi Societatis IESV. Cum facultate Ordinarij, & Superiorum. Anno. 1600.
序
編集御主JX御
- 御主JX御
在世 のあひだ御弟子達 にの給ひをき給ふ事の中にとりはき汝達に教へけるごとく一切人間に後生を扶かる真の道を広めよとの御事也。これ又学者たちの述べをけるごとく三の儀に極まる也。一には信じ奉るべき事。二には頼もしく存じ奉るべき事。三には勤めをこなふべき事これ也。しかるに信じ奉るべき題目といふは人智にをよぶ道理のうへなる儀なればヒイデスといふ善にあたる者也。これらの事を知らずんば後生の道に迷ふ事多かるべし。又頼もしく思ふ事とはヱスペランサといふ善にあたる事也。これすなはちDSより御約束をもてキリシタンに与へ給ふべき後生にあたるほどの事なり。此ヱスペランサなくんば難儀にあふべきとき頼むところなしと、力をおとす事もあるべし。これ又アニマの大きなる障り也。さて勤めをこなふべき事とはカリダデといふ大切の善にあたる事なり。これらの儀を心得ざればDSの御おきてをたび〳〵そむく事あるべし。故に此三の善はキリシタンの為にもつぱらなる儀なれば学者と名を得られし善人これらにつゐてあまたの経を書きをき給ふ者也。いまそのうちより肝要なるところを選びとりて版に開き迷ひを照すかゞみとなす者也。しかればキリシタンに後生のもつぱらなる事を教ヘん為にコンパニヤのスペリヨルの命をうけて此小経を編みたて名付けてドチリイナキリシタンといふ。これすなはちキリシタンの教へといふ心なり。上下万民にたやすく此のむねを知らしめんがために、言葉は俗の耳に近く儀はDSの高き理をあらはす者也。此理をすみやかに弁へんが為に、師弟子の問答となして示す者也。これ一切のキリシタンの智慧の眼を明らむる教へなれば、たれしも習ひ弁へ知つて迷ひの闇を逃れ真の道にもとづくべし。
目録
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第一 きりしたんといふは何事ぞといふ事 二
第二 きりしたんのしるしとなる貴きくるすの事 五
第三 ぱあてるのすてるの事 九
第四 あへまりやの事 十二
○たつときびるぜんまりやのろざいろとて百五十
○御よろこびのくはんねん五かでうの事 十三
○御かなしみのくはんねん五かでうの事 十四
○ごらうりやのくはんねん五かでうの事 十四
○ころはのおらしよの事 十五
第五 さるべれじいなの事 十五
第六 けれどならびにひいですのあるちいごの事 十七
第七 DSの御おきて十のまんだめんとすの事 二十五
○御おきてのまんだめんとす 二十七
第八 たつときゑけれじやの御おきての事 三十一
第九 七のもるたる科の事 四十
第十 さんたゑけれじやの七のさからめんとの事 四十二
第十一 此ほかきりしたんにあたるかんようの条々 五十三
○じひのしよさ 五十三
○てよろがれすのびるつうですといふ三の善あり 五十四
○かるぢなれすのびるつうですといふ四の善あり 五十四
○すぴりつさんとのだうねすとて御あたへは七あり 五十四
○ぺなべんつらんさは八あり 五十五 ○あやまちのおらしよ 五十五 目録之終
- 第一 キリシタンといふは何事ぞといふ事 二
- 第二 キリシタンの徴となる貴きクルスの事 五
- 第三 パアテルノステルの事 九
- 第四 アベマリヤの事 十二
- ○たつときビルゼンマリヤのロザイロとて百五十
反 のオラシヨの事 十三 - ○御よろこびの観念五箇条の事 十三
- ○御かなしみの観念五箇条の事 十四
- ○ゴラウリヤの観念五箇条の事 十四
- ○コロハのオラシヨの事 十五
- 第五 サルベレジイナの事 十五
- 第六 ケレドならびにヒイデスのアルチイゴの事 十七
- 第七 DSの御おきて十のマンダメントスの事 二十五
- ○御おきてのマンダメントス 二十七
- 第八 たつときヱケレジヤの御おきての事 三十一
- 第九 七のモルタル科の事 四十
- 第十 サンタヱケレジヤの七のサカラメントの事 四十二
- 第十一 此ほかキリシタンにあたる肝要の条々 五十三
- ○慈悲の所作 五十三
- ○テヨロガレスのビルツウデスといふ三の善あり 五十四
- ○カルヂナレスのビルツウデスといふ四の善あり 五十四
- ○スピリツサントのダウネスとて御あたへは七あり 五十四
- ○ペナベンツランサは八あり 五十五 ○あやまちのオラシヨ 五十五 目録之終