真珠の振興に関する法律


真珠の振興に関する法律

 (目的)

第一条 この法律は、我が国の真珠産業が、世界に先駆けて真珠の養殖技術を確立する等歴史的に世界の真珠の生産等において特別な地位を占めてきているとともに、その国際競争力の強化が重要な課題となっていること及び真珠が国民になじみの深い宝石であり、真珠に係る宝飾文化が国民の生活に深く浸透し、国民の心豊かな生活の実現に重要な役割を担っていることに鑑み、真珠産業及び真珠に係る宝飾文化の振興を図るため、農林水産大臣及び経済産業大臣による基本方針の策定について定めるとともに、真珠の生産者の経営の安定、真珠の加工及び流通の高度化、真珠の輸出の促進等の措置を講じ、もって真珠産業の健全な発展及び心豊かな国民生活の実現に寄与することを目的とする。

 (基本方針)

第二条 農林水産大臣及び経済産業大臣は、真珠(その加工品を含む。以下同じ。)の生産、加工、流通又は販売の事業(以下「真珠産業」という。)及び真珠に係る宝飾文化の振興に関する基本方針(以下この条及び次条第一項において単に「基本方針」という。)を定めるものとする。

2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 真珠産業及び真珠に係る宝飾文化の振興の意義及び基本的な方向に関する事項

 二 真珠の需要の長期見通しに即した生産量その他の真珠産業の振興の目標に関する事項

 三 真珠産業の振興のための施策に関する事項

 四 真珠に係る宝飾文化の振興のための施策に関する事項

 五 真珠の需要の増進のための施策に関する事項

3 農林水産大臣及び経済産業大臣は、基本方針を定めるに当たって真珠の需給事情を把握するため必要があると認めるときは、都道府県知事、真珠産業を行う者が組織する団体(次条第二項において「真珠産業団体」という。)その他の関係者に対し、資料の提出その他必要な協力を求めることができる。

4 農林水産大臣及び経済産業大臣は、真珠の需給事情その他の事情の変動により必要があるときは、基本方針を変更するものとする。

5 農林水産大臣及び経済産業大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。

6 農林水産大臣及び経済産業大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

 (振興計画)

第三条 都道府県は、基本方針に即し、当該都道府県における真珠産業及び真珠に係る宝飾文化の振興に関する計画(以下この条及び第十六条において「振興計画」という。)を定めることができる。

 都道府県は、振興計画を定めるに当たって真珠の需給事情を把握するため必要があると認めるときは、真珠産業団体その他の関係者に対し、資料の提出その他必要な協力を求めることができる。

3 都道府県は、振興計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

 (連携の強化)

第四条 国は、国、地方公共団体、事業者、大学等の研究機関等が相互に連携を図りながら協力することにより、真珠産業及び真珠に係る宝飾文化の振興の効果的な推進が図られることに鑑み、これらの者の間の連携の強化に必要な施策を講ずるものとする。

 (生産者の経営の安定)

第五条 国及び地方公共団体は、真珠の生産者の経営の安定を図るため、真珠の生産基盤の整備、災害による損失の合理的な補てんその他必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

 (生産性及び品質の向上の促進)

第六条 国及び地方公共団体は、真珠の生産に係る生産性及び真珠の品質の向上(以下この条及び第十一条において「生産性及び品質の向上」という。)を促進するため、真珠産業を行う者による生産性及び品質の向上のための取組への支援その他必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

 (漁場の調査等)

第七条 国及び地方公共団体は、真珠の生産に関する施策を総合的かつ効果的に実施するため、真珠の生産に係る漁場の状況の把握及び環境の変化の予測その他真珠の生産に関する施策の実施に関し必要な調査を行うよう努めるものとする。

2 国及び地方公共団体は、真珠の生産者その他の者の活動に資するため、前項の調査により得られた情報の提供に努めるものとする。

 (漁場の維持又は改善)

第八条 国及び地方公共団体は、真珠の安定的な生産を確保するため、真珠の生産に係る漁場を良好な状態に維持し、又はその改善を図るために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 (加工及び流通の高度化)

第九条 国及び地方公共団体は、真珠の加工及び流通の高度化を図るため、真珠の加工に関する技術開発及び流通関係施設の整備への支援その他必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

 (輸出の促進)

第十条 国及び地方公共団体は、海外市場の開拓等が国内で生産され、又は加工された真珠の需要の増進に資することに鑑み、真珠の輸出の促進に必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

 (研究開発の推進等)

第十一条 国及び地方公共団体は、真珠の生産技術の高度化に関する研究開発、生産性及び品質の向上に関する研究開発その他真珠産業の振興のために必要な研究開発(以下この条において単に「研究開発」という。)の推進及びその成果の普及並びに研究開発を行う者への支援に努めるものとする。

 (人材の育成及び確保)

第十二条 国及び地方公共団体は、効率的かつ安定的な真珠の生産の事業の経営を担うべき人材の育成及び確保を図るため、真珠の生産者の生産技術及び経済管理能力の向上、新たに真珠の生産の事業に就業しようとする者に対する就業に関する相談等の援助並びに生産技術及び経営方法の習得の促進その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 (真珠に係る宝飾文化の振興)

第十三条 国及び地方公共団体は、真珠に係る宝飾文化の振興を図るため、真珠に関する知識等の普及その他必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

 (博覧会の開催への支援等)

第十四条 国及び地方公共団体は、真珠産業及び真珠に係る宝飾文化の振興を図るため、真珠の博覧会、展覧会、展示会、品評会その他これらに類するものの開催への支援又はこれらへの参加への支援に努めるものとする。

 (顕彰)

第十五条 国及び地方公共団体は、真珠産業及び真珠に係る宝飾文化の振興に寄与した者の顕彰に努めるものとする。

 (国の援助)

第十六条 国は、地方公共団体が振興計画に定められた施策を実施しようとするときは、当該施策が円滑に実施されるよう、必要な情報の提供、助言、財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。

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