特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法


特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法をここに公布する。

御名御璽

平成十六年六月十八日

内閣総理大臣  小泉純一郎

法律第百二十五号
特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法

(趣旨)

第一条
この法律は、近年における我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、我が国の平和及び安全を維持するため、特定船舶の入港を禁止する措置について定めるものとする。

(定義)

第二条
  1. この法律において「外国」とは、本邦以外の地域をいう。
  2. この法律において「特定船舶」とは、次に掲げる船舶のうち次条第一項の閣議決定で定めるものをいう。
    一  次条第一項の閣議決定で定める特定の外国(以下「特定の外国」という。)の国籍を有する船舶
    二  次条第一項の閣議決定で定める入港が禁止される期間(以下「入港禁止の期間」という。)のうち当該閣議決定で定める日以後の期間に特定の外国の港に寄港した船舶(前号に掲げるものを除く。)
    三  前二号に掲げるもののほか、特定の外国と前二号の関係に類する特定の関係を有する船舶

(入港禁止の決定)

第三条
  1. 我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があると認めるときは、閣議において、期間を定めて、特定船舶について、本邦の港への入港を禁止することを決定することができる。
  2. 前項の閣議決定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
    一  入港禁止の理由
    二  特定の外国
    三  特定船舶
    四  入港禁止の期間
    五  前条第二項第二号の船舶を特定船舶とする場合にあっては、同号に規定する日
    六  第六条第一項の規定により特定船舶を出港させなければならない期日
    七  その他入港禁止の実施に関し必要な事項
  3. 第一項の閣議決定後、前項各号に掲げる事項の変更(当該閣議決定に基づく入港禁止の一部の実施の終了を内容とする変更を除く。)の必要が生じたときは、閣議において、当該閣議決定の変更を決定することができる。

(告示)

第四条
内閣総理大臣は、前条第一項又は第三項の閣議決定があったときは、直ちに、その内容を告示しなければならない。

(国会の承認)

第五条
  1. 政府は、前条の規定による告示があったときは、当該告示の日から二十日以内に国会に付議して、第三条第一項又は第三項の閣議決定に基づく入港禁止の実施につき国会の承認を求めなければならない。ただし、国会が閉会中の場合又は衆議院が解散されている場合には、その後最初に召集される国会において、速やかに、その承認を求めなければならない。
  2. 政府は、前項の場合において不承認の議決があったときは、速やかに、当該議決に係る入港禁止の実施を終了させなければならない。この場合においては、内閣総理大臣は、直ちに、その旨を告示しなければならない。

(入港禁止の実施)

第六条
  1. 第三条第一項又は第三項の閣議決定があったときは、当該閣議決定で定める特定船舶の船長(船長がその職務を行うことができない場合においては、船長に代わってその職務を行う者。以下同じ。)は、当該特定船舶に係る入港禁止の期間において、当該特定船舶を本邦の港に入港させてはならず、また、当該入港禁止の期間が開始された際現に当該閣議決定で定める特定船舶が本邦の港に入港している場合においては、当該特定船舶の船長は、当該閣議決定で定める期日までに、当該特定船舶を本邦の港から出港させなければならない。ただし、遭難又は人道上の配慮をする必要があることその他のやむを得ない特別の事情がある場合は、この限りでない。
  2. 前項の特別の事情は、閣議において、決定する。この場合においては、内閣総理大臣は、直ちに、その内容を告示しなければならない。

(入港禁止の終了)

第七条
第三条第一項又は第三項の閣議決定後、当該閣議決定に基づく入港禁止の全部若しくは一部を実施する必要がなくなったと認めるとき又は国会が当該閣議決定に基づく入港禁止の全部若しくは一部の実施を終了すべきことを議決したときは、速やかに、閣議において、当該入港禁止の全部又は一部の実施を終了することを決定しなければならない。この場合においては、内閣総理大臣は、直ちに、その旨を告示しなければならない。

(国際約束の誠実な履行)

第八条
この法律の施行に当たっては、我が国が締結した条約その他の国際約束の誠実な履行を妨げることがないよう留意しなければならない。

(罰則)

第九条
第六条第一項の規定に違反した船長は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

  1. この法律は、公布の日から起算して十日を経過した日から施行する。
  2. 国は、この法律の施行の状況、我が国を取り巻く国際情勢等にかんがみ、必要があると認めるときはこの法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて廃止を含め必要な措置を講ずるものとする。

外務大臣  川口 順子

国土交通大臣臨時代理

国務大臣  亀井 善之

内閣総理大臣  小泉純一郎

この著作物は、日本国著作権法10条2項又は13条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同法10条2項及び13条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。

  1. 憲法その他の法令
  2. 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの
  3. 裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの
  4. 上記いずれかのものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの
  5. 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道

この著作物は、米国政府、又は他国の法律、命令、布告、又は勅令等(Edict of governmentも参照)であるため、ウィキメディアサーバの所在地である米国においてパブリックドメインの状態にあります。“Compendium of U.S. Copyright Office Practices”、第3版、2014年の第313.6(C)(2)条をご覧ください。このような文書には、“制定法、裁判の判決、行政の決定、国家の命令、又は類似する形式の政府の法令資料”が含まれます。