「防共協定記念国民大会 内閣総理大臣祝辞」の版間の差分

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2015年2月10日 (火) 11:05時点における版

本日、日独伊防共協定記念日を慶祝する盛大なる会合が開催せらるゝに際しまして、本協定が成立後僅かに二年にして今や世界の動向を示唆すべき強力なる国際理念の原動力となり、コミンテルンに対抗して世界平和を擁護する唯一の保障として、既に輝しき効果を収めて居る事実を天下に誇示し得ますことは、誠に欣快に堪へぬ所であります。

コミンテルンの暗躍は今尚滔として止まる所なく、輓近世界各地に起つた平和を脅威する種々なる事例は、其の陰に彼の策動が明白に看取されるものが少くありません。即ち欧州に於てはスペイン国の内乱、チエツコ問題の紛糾に乗じて国際不安を醸成し、東亜に於ては支那に赤化の手を伸ばし、蒋介石政権の排日政策を駆つて遂に抗日挑戦に迄至らしめたのであります。欧州政局不安の中にあつては、反共の旗幟の下に蹶起せる盟邦独伊の毅然たる行動が、何物にも勝る平和維持の支柱をなして居るのでありまして、両国の努力に対しては我国民挙て敬意を表し、且喜びを頒つものであります、

東亜の事態に就ては日本が赤化防衛の責務に任ずるものであります。今や没落を急ぐ蒋政権の背後にあつて妄動するコミンテルンが、愈々執拗にその魔手を働かし、所謂ゲリラ戦術によつて支那の国富を破り四億の民衆を痛ましき犠牲に供せんとするのを見る時、日本は、断乎赤化の根源を絶つて支那を救はんとする決意を新にするものであります。此の機会に際し、我が国民は、盟邦独伊が、今次事変に当つて終始一貫我国に寄せた絶大なる精神的援助に対しては満腔の感謝を表すると共に、聖戦の目的を貫徹し以て断じて盟邦国民の期待に背かざらんことを誓ふものであります。

世界の現状に当面せる日独伊三国民の胸中には、必ずや相共通する感慨が湧くに相違ありませぬ。吾々は渝らざる信頼を基礎とし、共同の理想の下に相携へて、三国の親交益々深く、世界平和への貢献愈々大ならんことを衷心念願して止まないものであります。

玆に防共の途を共にする国家の赫々たる国威と、洋々たる前途を稱へて祝辞と致します。

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