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2020年6月28日 (日) 14:50時点における版


あやつり神楽

凩の 手さばきが すこし乱れたばっかりに
秋雨の あやつり糸が 千々にからまり か
 らまり狂い
おまえがわたしやら わたしが誰やら 誰が
 誰やら
〈ぴいひょろ ぴいひょろ ぱるんちゃかち
 ゃか〉

笛ふけば 葉を落とし 虔しくその葉を落と
 し 敗日の
あやつり糸に ただに生きぬく いのちを托
 し
裸に還る 樹々のこころが愛しゅうてならぬ
 なり
〈ぴいひょろ ぴいひょろ ぱるんちゃかち
 ゃか〉

さて 生きて二人 星は二六 菫は四〇
あやかしの あやつり糸の ふと晩年の抒情に
 溺れ
柿噛めば 落睴冷え うたたねの恋のほろ渋
 さよ
〈ぴいひょろ ぴいひょろ ぱるんちゃかち
 ゃか〉

〈昭和二二年、新涛・兵庫詩人〉