正教要理問答/聖母讃頌の祈祷

せい讃頌さんしょうの祈祷 編集

生神しゃうしん童貞どうていぢょよろこべよ 恩寵おんちょうたさるるマリヤや主はなんぢともにす なんぢは女のうちにてさんたり なんぢはらさんたり なんぢは我等のたましひすくふのしゅめばなり

問 此祈祷は誰にささぐる祈祷なりや
答 これせいなる生神しゃうしんじょに捧ぐる祈祷なり
問 此祈祷は何よりられしや
答 『生神しゃうしん童貞どうていぢょよろこべよ 恩寵おんちょうたさるるマリヤや主はなんぢともにす なんぢは女のうちにてさんたり』のことばは神の使つかひせい童女どうぢょマリヤ救主すくひぬしはらむことの福音ふくいんしたるそのことばよりられ(ルカ一の二十八)又『なんぢはらさんたり』のことばは聖女エリサベタ聖神せいしんかんじてせい童女どうぢょマリヤしゅくしたることばよりられたり(ルカ一の四十二)しかし其他そのたことばは教会のせい師父等しふら附加ふかしたるなり
問 『なんぢは女のうちにてさんたり』とのことばは如何なるこころなりや
答 このことばせい童女どうぢょマリヤが神の母として天下萬民に尊恭そんきょうせられ女のうちにてもっとさかえある者なることをあらはすなり(ルカ一の五十八、しへん四十五の十七)
問 せい童女どうぢょマリヤはらとは誰なるや
答 神の子我等の救主すくひぬしイイスス ハリストスなり
せい讃頌さんしょうの祈祷

常にさいはひにして全くきずなき生神しゃうしんぢょ我神の母なる爾をさいはひなりととなふるはまことあたれり ヘルビムよりたふとセラヒムに並びなくさかさほやぶらずしてかみことばを生じ実の生神しゃうしんぢょたるなんぢあが

問 此祈祷を以て我等は誰をさんするや
答 せいなる生神しゃうしんぢょさんするなり
問 ヘルビム セラヒムとは誰なるや
答 ヘルビム セラヒムとはもっとたつとき神の使つかひを云ふしかして神の母なるせい童女どうぢょマリヤは此神の使つかひにもまさりてなほたつときなり
問 かみことばとは誰ぞや
答 かみことばとは神の子イイスス ハリストスなり
問 何故に神の子をことばと名づくるや
答 神の子がことばと(イオアン一の十四)名づけらるるは我等が己のおもひことばにてあらはす如く神の子イイスス ハリストスも父なる神のむねあきらかにけいせられたればなり
○ 我等が出来できだけ数々かずかず生神女にささぐべき簡略の祈祷あり即ちの如し『至聖なる生神女や我等を救ひ給へ』