暴力行爲等處罰ニ關スル法律


朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル暴力行爲等處罰ニ關スル法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム

御名御璽
攝政名
大正十五年四月九日
内閣總理大臣兼内務大臣  若槻禮次郎
司  法   大  臣  江木  翼

法律第六十號

第一条 団体若ハ多衆ノ威力ヲ示シ、団体若ハ多衆ヲ仮装シテ威力ヲ示シ又ハ兇器ヲ示シ若ハ数人共同シテ刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百八条、第二百二十二条又ハ第二百六十一条ノ罪ヲ犯シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ二十万円以下ノ罰金ニ処ス

第一条ノ二 鉄砲又ハ刀剣類ヲ用ヒテ人ノ身体ヲ傷害シタル者ハ六月以上七年以下ノ懲役ニ処ス

2 前項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス

3 前二項ノ罪ハ刑法第三条、第三条の二及第四条の二ノ例ニ従フ

第一条ノ三 常習トシテ刑法第二百四条、第二百八条、第二百二十二条又ハ第二百六十一条ノ罪ヲ犯シタル者人ヲ傷害シタルモノナルトキハ一年以上十年以下ノ懲役ニ処シ其ノ他ノ場合ニ在リテハ三月以上三年以下ノ懲役ニ処ス

第二条 財産上不正ノ利益ヲ得又ハ得シムル目的ヲ以テ第一条ノ方法ニ依リ面会ヲ強請シ又ハ強談威迫ノ行為ヲ為シタル者ハ六月以上ノ懲役又ハ十万円以下ノ罰金ニ処ス

2 常習トシテ故ナク面会ヲ強請シ又ハ強談威迫ノ行為ヲ為シタル者ノ罰亦前項ニ同シ

第三条 第一条ノ方法ニ依リ刑法第百九十九条、第二百四条、第二百八条、第二百二十二条、第二百二十三条、第二百三十四条、第二百六十条又ハ第二百六十一条ノ罪ヲ犯サシムル目的ヲ以テ金品其ノ他ノ財産上ノ利益若ハ職務ヲ供与シ又ハ其ノ申込若ハ約束ヲ為シタル者及情ヲ知リテ供与ヲ受ケ又ハ其ノ要求若ハ約束ヲ為シタル者ハ三月以下ノ懲役又ハ十万円以下ノ罰金ニ処ス

2 第一条ノ方法ニ依リ刑法第九十五条ノ罪ヲ犯サシムル目的ヲ以テ前項ノ行為ヲ為シタル者ハ三月以下ノ懲役若ハ禁錮又ハ十万円以下ノ罰金ニ処ス

本法施行前刑法第二百八条一項又ハ第二百六十一条ノ罪ヲ犯シタル者ニシテ本法ニ該当スルモノハ本法施行後ト雖告訴アルニ非サレハ其ノ罪ヲ論セス


改正附則 編集

附 則(昭和39年6月24日法律第114号)

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。

 (罰則に関する経過措置)

2 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

附 則(昭和62年6月2日法律第52号)抄

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。ただし、第一条中刑法第四条の次に一条を加える改正規定、第二条及び第三条の規定並びに次項の規定及び附則第四項中新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法(昭和五十三年法律第四十二号)第二条第一項第十一号の改正規定は、国際的に保護される者(外交官を含む。)に対する犯罪の防止及び処罰に関する条約又は人質をとる行為に関する国際条約が日本国について効力を生ずる日から施行する。

 (経過措置)

2 改正後の刑法第四条ノ二の規定並びに人質による強要行為等の処罰に関する法律第五条及び暴力行為等処罰に関する法律第一条ノ二第三項の規定(刑法第四条ノ二に係る部分に限る。)は、前項ただし書に規定する規定の施行の日以後に日本国について効力を生ずる条約により日本国外において犯したときであつても罰すべきものとされる罪に限り適用する。

附 則(平成3年4月17日法律第31号)抄

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。

附 則(平成7年5月12日法律第91号)抄

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。

附 則(平成15年7月18日法律第122号)抄

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。

附 則(平成16年12月8日法律第156号)抄

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (経過措置)

第二条 この法律の施行の日が犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第   号)の施行の日前である場合には、第三条のうち組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律第三条第一項第七号の改正規定中「第三条第一項第七号」とあるのは、「第三条第一項第三号」とする。

2 この法律の施行の日が犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律第五条の規定の施行の日前である場合には、第四条のうち暴力行為等処罰に関する法律第一条ノ二第一項及び第一条ノ三第一項の改正規定中「第一条ノ三第一項」とあるのは、「第一条ノ三」とする。

 

この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。

  1. 法律命令及官公󠄁文󠄁書
  2. 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
  3. 公󠄁開セル裁判󠄁所󠄁、議會竝政談集會ニ於󠄁テ爲シタル演述󠄁

この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。