明治四十年法律第十一號中改正法律 (昭和6年法律第58号)


朕帝國議會ノ協贊ヲ經タル明治四十年法律第十一號中改正法律ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム

御名御璽
昭和六年四月一日

内閣總理大臣 濱口雄幸

内務大臣   安達謙藏


法律第五十八號

明治四十年法律第十一號中左ノ通改正ス

本法ニ左ノ題名ヲ附ス

癩豫防法

第二條ノ二 行政官廳ハ癩豫防上必要ト認ムルトキハ左ノ事項ヲ行フコトヲ得

一 癩患者ニ對シ業態上病毒傳播ノ虞アル職業ニ從事スルヲ禁止スルコト
二 古著、古蒲團、古本、紙屑、襤褸、飮食物其ノ他ノ物件ニシテ病毒ニ汚染シ又ハ其ノ疑アルモノノ賣買若ハ授受ヲ制限シ若ハ禁止シ其ノ物件ノ消毒若ハ廢棄ヲ爲サシメ又ハ其ノ物件ノ消毒若ハ廢棄ヲ爲スコト

第三條 行政官廰ハ癩豫防止必要ト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ從ヒ癩患者ニシテ病毒傳播ノ虞アルモノヲ國立癩療養所又ハ第四條ノ規定ニ依リ設置スル療養所ニ入所セシムベシ
必要ノ場合ニ於テハ行政官廳ハ命令ノ定ムル所ニ従ヒ前項患者ノ同伴者又ハ同居者ニ對シテモ一時相當ノ救護ヲ爲スベシ
前二項ノ場合ニ於テ行政官廳ハ必要ト認ムルトキハ市町村長又ハ之ニ準ズベキ者ヲシテ癩患者及其ノ同伴者又ハ同居者ヲ一時救護セシムルコトヲヲ得
前項ノ規定ニ依リ市町村長又ハ之ニ準ズベキ者ニ於テ一時救護ヲ爲ス場合ニ要スル費用ハ必要アルトキハ市町村又ハ之ニ準ズベキモノニ於テ繰替支辨スベシ

第四條第三項ヲ削ル

第四條ノ二中「被救護者」ヲ「入所患者」ニ改ム

第五條 私立ノ癩療養所ノ設置及管理ニ關シ必要ナル事項ハ主務大臣之ヲ定ム

第六條 北海道地方費又ハ府縣ハ命令ノ定ムル所ニ從ヒ第二條ノ二第一號ノ規定ニ依ル從業禁止又ハ第三條第一項ノ規定ニ依ル入所ニ因リ生活スルコト能ハザル者ニ對シ其ノ生活費ヲ補給スベシ

第七條第一項ヲ左ノ如ク改メ同條第三項ヲ削ル

左ノ諸費ハ北海道地方費又ハ府縣ノ負擔トス
一 第二條ノ二第二號ノ規定ニ依リ行政官廳ニ於テ物件ノ消毒又ハ廢棄ヲ爲ス場合ニ要スル諸費
二 入所患者(國立癩療養所入所患者ヲ除ク)及一時救護ニ關スル諸費
三 檢診ニ關スル諸費
四 其ノ他道府縣ニ於テ癩豫防上施設スル事項ニ關スル諸費

第七條ノ二 本法ニ依リ北海道地方費又ハ府縣ニ於テ負擔スベキ費用ハ東京府伊豆七島及小笠原島ニ於テハ國庫ノ負擔トス

第八條中「前條」ヲ「第六條及第七條ノ規定ニ依ル」ニ改ム

第九條中「扶養義務者」ヲ「親族」ニ改ム

第十條 第一條ノ規定ニ違反シ又ハ第二條ノ二ノ規定ニ依ル行政官廳ノ處分ニ違反シタル者ハ百圓以下ノ罰金又ハ科料ニ處ス

第十條ノ二 第二條ノ規定ニ違反シタル者ハ科料二處ス

第十一條 醫師若ハ醫師タリシ者又ハ癩豫防事務ニ關係アル公務員若ハ公務員タリシ者故ナク業務上取扱ヒタ癩患者又ハ其ノ死者ニ關シ氏名、住所、本籍、血統關係又ハ病名其ノ他癩タルコトヲ推知ルシ得ベキ事項ヲ漏泄シタルトキハ六月以下ノ懲役又ハ百圓以下ノ罰金ニ處ス

第十二條中「行政官廳ニ於テ救護中」ヲ「療養所ニ入所中又ハ第三條第二項及第三項ノ規定ニ依ル一時救護中」ニ改ム

本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム

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  1. 法律命令及官公󠄁文󠄁書
  2. 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
  3. 公󠄁開セル裁判󠄁所󠄁、議會竝政談集會ニ於󠄁テ爲シタル演述󠄁

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