日本國、獨逸國及伊太利國間三國條約
朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ裁可シ昭和十五年九月二十七日「ベルリン」ニ於テ帝國特命全權大使ガ關係各國代表者ト共ニ署名シタル日本國獨逸󠄁國及伊太利國間三國條約ヲ茲ニ公布セシム
御名御璽
昭和十五年十月十九日
内閣總理大臣 | 公爵 | 近衛文麿 |
陸軍大臣 | 東條英機 | |
外務大臣 | 松岡洋右 | |
海󠄁軍大臣 | 及川古志郎 |
- 條約第九條
- 日本國、獨逸󠄁國及伊太利國間三國條約
大日本帝國政府、獨逸󠄁國政府及伊太利國政府ハ萬邦󠄁ヲシテ各其ノ所󠄁ヲ得シムルヲ以テ恆久平󠄁和ノ先決要󠄁件ナリト認󠄁メタルニ依リ大東亞及歐洲ノ地域ニ於テ各其ノ地域ニ於ケル當該民族ノ共存共榮ノ實ヲ擧グルニ足ルベキ新秩序ヲ建󠄁設シ且之ヲ維持センコトヲ根本義ト爲シ右地域ニ於テ此ノ趣旨ニ據レル努力ニ付相互ニ提携シ且協力スルコトニ決意セリ而シテ三國政府ハ更ニ世界到ル所󠄁ニ於テ同様ノ努力ヲ爲サントスル諸󠄁國ニ對シ協力ヲ吝󠄁マザルモノニシテ斯クシテ世界平󠄁和ニ對スル三國終󠄁局ノ抱󠄁負ヲ實現センコトヲ欲ス依テ日本國政府、獨逸󠄁國政府及伊太利國政府ハ左ノ通󠄁協定セリ
- 第一條
日本國ハ獨逸󠄁國及伊太利國ノ歐洲ニ於ケル新秩序建󠄁設ニ關シ指導󠄁的地位ヲ認󠄁メ且之ヲ尊󠄁重ス
- 第ニ條
獨逸󠄁國及伊太利國ハ日本國ノ大東亞ニ於ケル新秩序建󠄁設ニ關シ指導󠄁的地位ヲ認󠄁メ且之ヲ尊󠄁重ス
- 第三條
日本國、獨逸󠄁國及伊太利國ハ前󠄁記ノ方針ニ基ク努力ニ付相互ニ協力スベキコトヲ約ス更󠄁ニ三締󠄁約國中何レカノ一國ガ現ニ歐洲戰爭又ハ日支紛󠄁爭ニ參入シ居ラザル一國ニ依テ攻擊セラレタルトキハ三國ハ有ラユル政治的、經濟的及軍事的方法ニ依リ相互ニ援󠄁助スベキコトヲ約ス
- 第四條
本條約實施ノ爲各日本國政府、獨逸󠄁國政府及伊太利國政府ニ依リ任命セラルベキ委員ヨリ成ル混合專門委員會ハ遲滯ナク開催セラルベキモノトス
- 第五條
日本國、獨逸󠄁國及伊太利國ハ前󠄁記諸󠄁條項ガ三締󠄁約國ノ各ト「ソヴィエト」聯邦󠄁トノ間ニ現存スル政治的狀態ニ何等ノ影響󠄁ヲモ及ボサザルモノナルコトヲ確認󠄁ス
- 第六條
本條約ハ署󠄁名ト同時ニ實施セラルベク、實施ノ日ヨリ十年間有効トス 右期間滿了前󠄁適󠄁當ナル時期ニ於テ締󠄁約國中ノ一國ノ要求ニ基キ締󠄁約國ハ本條約ノ更󠄁新ニ關シ協議スベシ
右證據トシテ下名ハ各本國政府ヨリ正當ノ委任ヲ受ケ本條約ニ署󠄁名調󠄁印セリ
昭和十五年九月二十七日卽チ千九百四十年、「ファシスト」暦十八年九月二十七日「ベルリン」ニ於テ本書三通󠄁ヲ作成ス
來栖三郎 |
ヨアヒム、フォン、リッベントロップ |
チアーノ |
この著作物は、日本国の旧著作権法第11条により著作権の目的とならないため、パブリックドメインの状態にあります。同条は、次のいずれかに該当する著作物は著作権の目的とならない旨定めています。
- 法律命令及官公󠄁文󠄁書
- 新聞紙及定期刊行物ニ記載シタル雜報及政事上ノ論說若ハ時事ノ記事
- 公󠄁開セル裁判󠄁所󠄁、議會竝政談集會ニ於󠄁テ爲シタル演述󠄁
この著作物はアメリカ合衆国外で最初に発行され(かつ、その後30日以内にアメリカ合衆国で発行されておらず)、かつ、1978年より前にアメリカ合衆国の著作権の方式に従わずに発行されたか1978年より後に著作権表示なしに発行され、かつ、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(日本国を含むほとんどの国では1996年1月1日)に本国でパブリックドメインになっていたため、アメリカ合衆国においてパブリックドメインの状態にあります。