新体詩抄/春夏秋冬の詩(尚今居士)


春夏秋冬 編集

此詩ハ句尾ノ二字ヲ以テ二句ヅヽ韻ヲ蹈ミタルモノナリ例ヘバ「よろこばし」「暖かし」ノ如シ

尚今居士

物事よろこばし 吹く風とても暖かし
庭の櫻や桃の 美しく見ゆるか
野邉の雲雀いと髙く 雲井はるに舞ひて鳴く

木草の葉も茂り 百日紅も咲きけり
夕暮かけて飛ぶ蟲は 集まり來たる軒のき
我家を立出でゝ ほ凉むらんさよふけて

尾花をみへし 桔梗の花も開くべし
晴れて雲き青空 照ら月影明か
されど何處も同じこと 寂しく見ゆる家の外

雪霜いと深く 冷ゆる手足を暖く
さん為とて爐火いろりび 近く團居まどゐをする時
吹き入る戸のあ の方見れ銀世界
 

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