新体詩抄/春夏秋冬の詩(尚今居士)


春夏秋冬

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此詩ハ句尾ノ二字ヲ以テ二句ヅヽ韻ヲ蹈ミタルモノナリ例ヘバ「よろこばし」「暖かし」ノ如シ

尚今居士

物事よろこばし 吹く風とても暖かし
庭の櫻や桃の 美しく見ゆるか
野邉の雲雀いと髙く 雲井はるに舞ひて鳴く

木草の葉も茂り 百日紅も咲きけり
夕暮かけて飛ぶ蟲は 集まり來たる軒のき
我家を立出でゝ ほ凉むらんさよふけて

尾花をみへし 桔梗の花も開くべし
晴れて雲き青空 照ら月影明か
されど何處も同じこと 寂しく見ゆる家の外

雪霜いと深く 冷ゆる手足を暖く
さん為とて爐火いろりび 近く團居まどゐをする時
吹き入る戸のあ の方見れ銀世界
 

この著作物は、1899年に著作者が亡くなって(団体著作物にあっては公表又は創作されて)いるため、ウルグアイ・ラウンド協定法の期日(回復期日を参照)の時点で著作権の保護期間が著作者(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者)の没後(団体著作物にあっては公表後又は創作後)80年以下である国や地域でパブリックドメインの状態にあります。


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