異本歌


01352

[詞書]あすはのみや

藤原輔相

我はあすはのみやつまむさはのせり水はこほりてくきし見えねは

われはあす-はのみやつまむ-さはのせり-みつはこほりて-くきしみえねは


01353

[詞書]むま、ひつし、さる、とり、いぬ、ゐ

読人不知

むまよりはひつしはかりはあるものをとりにいぬるかかゐてきぬらむ

うまよりは-ひつしはかりは-あるものを-とりにいぬるか-かひてきぬらむ


01354

[詞書]題不知

読人不知

うしと思ふ心をしはしなくさめむ後によひとをあはれと思はむ

うしとおもふ-こころをしはし-なくさめむ-のちによひとを-あはれとおもはむ


01355

[詞書]石見にて、なくなりぬへき時にのそみて

柿本人丸

かも山のいはねしまきてあるわれをしらぬかいもかまちつつあらむ

かもやまの-いはねしまきて-あるわれを-しらぬかいもか-まちつつあらむ


01356

[詞書]不記

式部

日くるれはまつ人もきぬからいともよるをはあふといふはかりなり

ひくるれは-まつひともきぬ-からいとも-よるをはあふと-いふはかりなり


01357

[詞書]不記

不記

よもやまのまほりにたのむあつさゆみ神のたからにいましつるかな

よのなかの-まもりにたのむ-あつさゆみ-かみのたからに-いましつるかな


01358

[詞書]不記

不記

わかくさのいもものりたりわれものりふねかたふくなふなかせふくな

わかくさの-いもものりたり-われものり-ふねかたふくな-ふなかせふくな


01359

[詞書]返し

源重之

このこにて心をさなくとはすともおやのおやにてうらむへしやは

このこにて-こころをさなく-とはすとも-おやのおやにて-うらむへしやは


01360

[詞書]題不知

読人不知

夢のうちの花に心をつけてこそこのよのなかはおもひしらるれ

ゆめのうちの-はなにこころを-つけてこそ-このよのなかは-おもひしらるれ