彼得前書(明治元訳) 第三章

第三章 編集

1 つまなるもの爾曹なんぢらそのをつとしたがふべしをしへしたがはざるをつとあらばをしへよらつまおこなひよりしたがはん
2 そは爾曹なんぢら敬懼おそれきよおこなひをなすをみるよりてなり
3 爾曹なんぢら妝飾かざりかみくみかねかけまたころもるがごと外面そと妝飾かざりあら
4 ただこころうちかくれたるひとすなはちくつることなき柔和にうわ恬靜おだやかなるれい妝飾かざりとすべしこのれい妝飾かざりかみまへにてあたひたかきものなり
5 むかしかみ依頼よりたのみしきよきをんなそのをつとしたがひてかくごとおのれかざりたり
6 サラ、アブラハムにしたがひてこれしゆとなへしがごともしなんぢらぜんおこな何事なにごとをもおそれずばすなはちサラのたるなり
7 をつとたるもの爾曹なんぢらつまあつかふことよわうつはごとくしことわりしたがひてこれともをりこれをうやまふこと生命いのちめぐみつぐものごとくすべしこれなんぢらの祈禱いのり阻礙さまたげなからんためなり

8 をはりわれこれをいは爾曹なんぢらみなこころおなじうしたがひ體恤おもひやり兄弟きやうだいあいあはれ謙遜へりくだり
9 あくあくむくゆなかののしりののしりむくゆなかかへつかくごとひとためさいはひもとむべしそはなんぢらのめされたるもさいはひつがためなればなり
10 それ生命いのちあいして佳日よきひおくらんとおもものしたおさへあくいはくちびるとぢ詭譎いつはりいはざらんことをせよ
11 あくさけぜんおこな和睦やはらぎもとめこれおふべし
12 そはしゆただしきひとうへとどまそのみみただしきひと祈禱いのりかたむしゆかほあくおこなものむかひいかればなり
13 爾曹なんぢらもし熱心ねつしんぜんおこなはばたれ爾曹なんぢらそこなはん
14 たとただしことためくるしめらるるとも爾曹なんぢらさいはひなるものなりひと爾曹なんぢら威嚇おどすおそるるなかまたうれふなか
15 なんぢらこころうちしゆなるキリストをあがむべしまた爾曹なんぢらうちにあるのぞみ縁由ゆゑよしとふひとには柔和にうわ畏懼おそれこたへをなさんことをつねそなへ
16 かつこたふるときはよき良心りやうしんしたがふべしこれなんぢらをあくおこなものしひなんぢらがキリストにありおこなよきおこなひそしものみづかはぢためなり(※1)
17 爾曹なんぢらぜんおこなふによりくるしみうくることかみ意旨みこころならばあくおこなふによりくるしみうくるにまされり
18 キリストも一次ひとたびつみよりて(※2)くるしみただしきもの不義ただしからざるものためにせり(※3)これ我儕われら(※4)をひきかみいたらんとて(※5)なりかれその肉體にくたいころさそのれいいかされたり
19 かれそのれいひとやにあるれい宣傳のべつたへたり
20 このひとやにあるれいむかしノア方舟はこぶねそなふあひだかみしのびまちたまへるときしたがはざりしれいなりこの方舟はこぶねにいりみづよりすくはれしものわづかにしてただはちにんなりき
21 そのみづよりへうしたるバプテスマ、イエス・キリストの復生よみがへりよりいま我儕われらをもすくこのバプテスマは肉體にくたい汚穢けがれのぞくにあらよき良心りやうしんかみもとむる(※6)なり
22 イエス・キリストはてんゆきいまかみみぎいませりもろもろ天使てんのつかひ權威けんゐあるものちからあるものみなかれしたがふなり

※1 明治14(1881)年版では「なり」→「なり」。
※2 明治14(1881)年版では「によりて」→「のために」。
※3 明治14(1881)年版では「のためにせり」→「にかはれり」。
※4 明治14(1881)年版では「我儕われら」→「われら」。
※5 明治14(1881)年版では「とて」→「ため」。
※6 明治14(1881)年版では「もとむる」の次に「しるし」が入っている。